【東京税理士会】税務会計学会(経営部門)通信【東京税理士会】税務会計学会(経営部門)通信2

2024年06月04日

無(ナーダ)

アーネスト・ヘミングウェイの清潔でとても明るいところという短編小説の中で、酔っ払いがキリスト教のお祈りの「天にましますわれらの父よ」の部分部分を「無」に置き換えてバーテンダーにからむシーンがあります。

無(ナーダ)にましますわれらの無(ナーダ)よ、願わくは御名みなの無(ナーダ)ならんことを、御国の無(ナーダ)ならんことを、御心の無(ナーダ)におけるがごとく、無(ナーダ)において無(ナーダ)ならんことを。


その酔っ払いを見てバーテンダーは、「オトロ・ロコ・マス(また気のふれたヤツがきた)」と吐き捨てるのですが


私は人がいずれ“無(ナーダ)の存在”になるという比較的ハッキリしたイメージを持っているので、その酔っ払いの戯言にたいして違和感らしい違和感は覚えないのです。


もしかすると、私もロコ(気のふれたヤツ)なのでしょうか・・(笑)。



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そんな私は、先日娘に会いにインドのチェンナイまで行ってまいりました。


旅立つ数日前は、妻とご飯を食べながらこんな話をしていたのです。


『まさか自分の子供がインドに住んで、それに会うために毎年インドに行くことになるなんて、数年前には微塵にも考えもしなかったね・・』と。


それ以上に、インドに行った娘が、まさか就労ビザを更新してまでインドに残って永らく暮らすことになるいなんて、私たち夫婦揃って思いもよらないことだったのです。



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「これっていったい何なんだろうね?」って考えてみた時に、インドにはナーダ・ヨーガという哲学的概念があることを知りました。


それによると、全ての宇宙にあるもの(人間を含む全てのもの)はナーダと呼ばれる音の振動からなる波動によって成り立っているのだと考えられているのだそうです。


波動というのは同じ周波数のものとは共鳴し合い、引き寄せ合う性質があるといいますから、もしかしたら娘もインドで何か自らの魂と共鳴する“何か”を感じたのかもしれません。



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ところが帰国した翌日に、妻がおかしなことを言い出したのです。

『私もインドで仕事探して、あっちで暮らそうかな・・』


Σ(゚д゚;)えっ??



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いや、そんな予兆は感じていました。


現地では、朝からモリモリご飯を食べて、私が「暑いから昼寝してるわ」とホテルでゴロゴロしている間も娘と一緒に近所に買い物に行ったり、驚くほど活発に動いていたというのに、帰国すると食が細くなり、ゴロゴロと寝てばかり・・


もしかすると、妻もインドで“共鳴する何か”を感じていたのかもしれません


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両親を亡くし、姉も亡くし・・


子供が2人とも巣立って家から出て行っていなくなり・・


これでもしも妻もあっちに行ってしまったなら、我が家には私と犬が2匹だけになってしまいます


自分の周りからどんどん人が離れていっていなくなる


それはとても寂しいことのように思います




しかし、これもまた ある意味で 無(ナーダ)


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まあいいや・・どうせ、いずれ


私だけじゃない



誰だって皆等しく最期は無(ナーダ)になるって分かっているのだから・・



saiaki555 at 18:07│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック  

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