2007年05月15日
傍聴 No.53
事件：「わいせつ図画販売目的所持」
被告人：５０代半ばの男性。
傍聴席：１０人
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このブログ、どれほどの方が読んでいるのかあまり把握していませんが、一応、毎週日曜日に更新すると言ってた以上、更新が遅れたことは申し訳ありませんでした。
社会人忙しいといえば言い訳っぽく聞こえるんですけど、結局飲み会が重なっただけでした……。
さて、今回から東京に戻ってのお話。
最終回まで何回あるかわかりませんが、もう出張の話はありません。
できれば、もっといろんなところに行ってみたかったなぁとか思ってもみたり……。
では、さっそく裁判の話。
裁判を行う弁護士や検察官は単に公判中に意見を言い合うだけではありません。
提出する書類（証拠）に基づいて意見を言い合うのです。
その書類、だいたいどれくらいの量があると思いますか？
実際に見せてもらったわけではないので、ここからは傍聴席から見えたなんとなくの推測になるのですが、どんなに小さい窃盗事件でも検察官はレポート用紙（？）１０枚分は提出していると思います。
弁護士の場合は、場合によってはあえて提出する証拠もなかったりするので、最後に述べる弁論を書かれた紙のみのときもありますけど。
では逆に大きな裁判だと証拠の量はどれほどになるのか。
僕が見た中で一番、証拠の量が多いと思われる裁判は、六法ほどの厚さがある証拠が１０束ほどカートのようなもので運ばれてきました。
きっとオウムの麻原被告やホリエモンなんかの裁判だともっと多くなるんでしょうけどね。
簡単には言えないんでしょうけど、事件の大きさと書類の量はやや比例の関係はあるかもしれません。
さて今回のこの罪名ですが、比較的罪は重くないです。
なので、書類も薄っぺらいのかなとか思ってたら、ゆうに10cmはあろうかという膨大な証拠書類でした。
この被告人、こんな膨大な証拠書類作られるなんて何をしたかというと、
わいせつDVDを２５０１枚
も複製していました。
わいせつDVDというのはですね、いわゆる単なるエロビデオじゃなくて、無修正のエロビデオなんですよ。
そんなの２５０１枚なんていったら、なんとも想像しがたい世界です。
一応、複製だけだったら罪ではないと思うんですけど、この被告人は販売を目的として複製していたので罪になったんですね。
もし仮に、販売を目的とせずに自分の私利私欲のためだけに２５０１枚ものわいせつDVDを複製していたら、それはそれですごい話ですけど。
もちろんそんな数、生半可な設備じゃできませんから、貸しビルの１フロアを複製工場として利用していたそうです。
そんな中、ついつい想像しすぎてしまったのでしょうか、検察官がこんな言い間違いを
検「被告人は、○○市○○所在のビルの５階を貸し切り、そこを
わいせつ工場
として、複製を行い……失礼っ！」
複製工場をわいせつ工場と間違っていました。
エロDVDを複製してるからわいせつ工場って、近所のガキが「やーい、やーい」の果てにつけたあだ名みたいです。
さすがに検察官さんも顔を真っ赤にしていました。
証拠を裁判官に提出する際、その大まかな要旨を告げるのですが、先ほども言ったとおり証拠が多いです。
要旨は「甲第１号証はナニナニ、第２号証はナニナニ」ってな感じで1つずつ告げて行くので、資料が多いから長びくなら嫌だなぁと思っていたら
検「甲第○号証はナニナニ、甲第○号証は、取調べ警察官による検分書でありまして、押収しましたDVD２５０１枚が、わいせつなDVDであることを示しています」
と言って、書類の８割方をめくっていました。
つまりはこの分厚い書類の８割方は、エロビデオのタイトルとそれがエロいっつう認定印なんですよ。
最初、書類を見たときはこの書類を作った検察官の努力に感銘を受けたのですが、蓋を開けてみればなんつう汗と涙の結晶なのでしょう。
そもそも、２５０１枚は何人で見たのでしょうか。
そして、何日かけて。
何時間かごとにローテーションを組んでいたのでしょうか。
もしくは、ちゃんと２５０１枚チェックしたのでしょうか。
または、何枚かは取り調べと称して、取り調べ官の家に押収してはいないのか。
想像はいくらでも広がります。
真面目な顔して、上司に「押収した品物は全部エッチぃかったです」的なことを報告してるかもと思うと、たまりません。
さて、残りスペースも少なくなってきてしまいましたけど、ちょっとは被告人について触れましょうか。
被告人は高校を中退後、板前修業をして、それに挫折しヤクザ屋さんになりましたが、最近は組を脱退しているそうです。
見た目は、ヤクザ屋さんに全然見えなくて、芸能人でいうとルビーの指環を歌ってた人に似た感じで、いい年のとり方で落ち着いている印象があります。
弁「わいせつなDVDを販売したりしたら犯罪だと知っていましたか？」
被「はい、知っていました」
弁「では、どうしてこのような犯行をしてしまったのですか？」
被「組を抜け、まっとうな生活をしようと思ったのですけど仕事もうまくいかず、妻に飯を食わせてもらっている状況が男として情けなくて……」
確かにこの罪状の場合、動機は九分九厘お金の問題と言っていいと思います。
奥さんも証人として立って、今後も見守るとの旨を語り、弁護側の立証としては上々。
何度も書いてますけど、あとは仕事さえ見つかれば、弁護士としてはもう言うことなしと言った感じなのですが……
弁「もし社会復帰したらどうしますか？仕事のアテはあるのですか？」
被「はい、友人から工場で働かないかと誘われています」
弁「なんの工場ですか？」
被「DVDなどをプレスする工場です」
本当にその工場は大丈夫でしょうか。
その工場は、わいせつ工場ではないのでしょうか。
そこはやや心配ですが、きっと大丈夫なのでしょう。
最後に検察官との受け答えが少し面白かったので、今回はそれで終えたいと思います。
今まで、一般的な裁判のイメージをいろいろと払拭してきたつもりです。
しかし、ヤクザ屋さん業界は、一般的なイメージをまだ多少お持ちのようです。
検「前回の刑の執行の後、組を抜けていますけど、これはあっさりと抜けれたんですか？」
被「えぇ、抜けれました。もともと組長と気があっていたこともありますし、私も歳も歳なんで円満に卒業できました。まぁ、
もし、若いモンだったら、そう簡単にカタギにさせるかってんで、いろんなこともあるんですけどね」
いろんなことってなんなんでしょう……。
やっぱり小指を……？
なんとも想像のつきない裁判でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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この記事へのコメント
相変わらずいいですね〜わいせつなDVDを複製してたからわいせつ工場とは、なかなか検察さんも考えていますねwww
それにしても、簡単にカタギにさせないだなんて、いったい何が？と思うと恐くて夜も眠れません(-_-;)
完璧ですね。
２５０１枚っていう枚数はもう完璧です。
たぶん２５０１枚目は特別なものです。
私が思うに、一番上に置いといて、そのＤＶＤはニュースだったりするんでしょうね。
ってなに勝手に想像膨らましてるんだ。爆発爆破爆発しろ。
２５０１枚・・・
それを全て無修正かどうかを地道に１枚１枚確認しているのだったら、ボクはその人を尊敬します。
『俺、一体何してるんだろ･･･』
そういうことを自問自答しながらＤＶＤプレイヤーを手馴れた手つきで操作し続けるその人の姿を想像すると涙が出てきますねｗｗ
色んなことを妄想できる記事としてはこの記事が一番かと思いました(笑)
コメントありがとうございます。
被告人はさらっと言ってましたけど、カタギになるにはどんな試練があるのか、気になってしょうがないですね。
まぁ、決して裁判で言えることではないことは確かだと思いますが。
>>爆発爆破さん
コメントありがとうございます。
どんどん想像を膨らませてください。
２５０１枚分、想像を膨らませていただければ、これ以上の喜びはないです。
２５０１枚分の資料爆発しろ、それで最初からやり直せ。
コメントありがとうございます。
やっぱり１枚１枚確認してるんでしょうね。
手抜きが発覚して、不祥事！みたいなのもそれはそれでマヌケで面白いですけど。
自分で書いていても妄想力が鍛えられた記事となりました。
コメントありがとうございます。
ランキングへの投票依頼を不快に感じたようですが、このランキングサイトから当ブログにたどり着いた方もいらっしゃるので、特にやめるつもりはございません。
まぁ、閉鎖同然のブログにランキングもなにも無いのは事実ですが……。
