秋利美記雄 ベトナムの縫製工場を巡る

ベトナムをはじめとするアジアの縫製工場を巡っているコンサルタント・秋利美記雄が見聞したインドシナ地域の四方山話を披露する。

ベトナムやカンボジアやミャンマーやタイなど
東南アジアでのアパレル生産に必要な情報を提供する
アパレル情報サイト
「アパレル・リソースinインドシナ 」(http://apparelresource.asia
の舞台裏を紹介しています。

日本の企業の皆様にはベトナムでの商品調達に関するアドバイスを、
ベトナムの企業の皆様には日本へのセールスの相談をうけています。

<連絡先>
会社:My Lang Consultant Co., Ltd.
住所:288/G7 Nam Ky Khoi Nghia Str., Distr.3, HCMC, Vietnam
WEBSITE:http://mylang.com.vn
E-MAIL:info@mylang.com.vn

今回のホーチミン市出張では生地屋をいくつか訪問した。
そのうちに、大手バイヤーばかりを得意先にしている韓国資本100%のデニム工場のセールス事務所にもお邪魔した。
実際の商品もいくつかご紹介しておこう。
P_20180915_104003_1

ミニマムオーダー

商品を紹介する前に、まずはミニマムの話を簡単に。

たいていの日本の顧客の注文は小ロットの注文となる。
小ロットならまだ聞こえはいい。実際は、ごく小ロットだったりもする。(^^;

だから、生地であろうと、アパレル商品であろうと、ともあれ訊いておく必要があるのは生産工場が受けてくれる注文の最少数量の情報だ。
これに届かないので、発注できないというケースは頻繁にある。

海外工場は国内工場に比べると、ミニマムの数量が大きいし、ベトナムの工場は中国の工場よりもミニマムが大きい。
カンボジアのように、ベトナムからさらに遠くに行けば、ベトナムよりもミニマムが大きいので、ほとんどの日本のバイヤーは話にならない。

このデニム生地工場にミニマムの質問をしたところ、返ってきた答えは以下の通り。

アパレル製品の場合、3000pcs/型。
生地の場合、3000m。

デニム生地がいいのは、色展開しないこと。
他の種類の生地なら色展開があって、色のミニマムもクリアしなければならない。
基本的にそれがないデニムは比較的数量の問題をクリアしやすい。

生地の価格帯は?

今回のデニム屋訪問は一つにはデニム専門の子供服の客先からの依頼に因る。
客先は二次製品の価格レベルを知りたがっていて、すでに中国で生産した商品の現物サンプルを持ってきていた。
商談後、私はそのサンプルを預かることになった。

サンプルを見せて、似寄りの生地をサンプルを探してもらう。

商談テーブルの上に、生地ラックから引っ張り出された生地サンプルのハンガーが積み上げられていく。
ストレッチの利き具合を確かめてみる。
それを確認後、生地値を計算してもらう。

生地No.01
C/P/SP 84/15/1
9.3oz
55/56
89x58
3/1 Z

生地No.02
C/P/SP 78/19/3
9.7oz
44/45
131x69
3/1 Z

生地No.03
C/SP 98/2
9.8oz
53/54
83x58
3/1 Z

生地No.04
C/SP 98/2
9.8oz
48/49
107x60
3/1 Z

私がもらった生地値はざっと$2台後半。

denim sample


重量級アイテムは?

それ以外にメンズの客先に何か提案できないものかと、11OZクラスのアイテムをいくつか紹介してもらった。

生地No.05
C/SP 99/1
10.8oz
53/54
81x57
3/1 Z

生地No.06
C/SP 99/1
11.2oz
54/55
72x48
3/1 Z

生地No.07
C/SP 98/2
11.2oz
56/57
85x50
3/1 Z

生地No.08
C/SP 98/2
11.3oz
54/53.5
69x51
3/1 Z

生地No.09
C/SP 98/2
11.3oz
54/55
82x54
3/1 Z

生地No.10    これはアメリカ向けの得意先あり。
C/SP 99/1
11.3oz
55/56
75x45
3/1 Z

$3台半ばのアイテムが多いが、$3を切るものもある。

もっと重い製品はないかと、訊いてみると、待ち構えていたように以下の新作2点を出してきた。

生地No.11
C 100
15.6oz
61/60
67x55
3/1 Z
$4.2

生地No.12
C 100
13.3oz
59/60
53x35
3/1 Z
$3.5

とくに、No.12は日本の顧客を意識して開発した生地だとか。
既存客からも好反応をもらっているという。

P_20180915_103957_1

アパレル製品の価格は?

この日応対してくれた二人は生地担当スタッフで二次製品はわからないという。
韓国にいるスタッフが製品担当なので、持ち込んだ製品サンプルの写真を撮っておいて、翌週改めて返事するということだった。

この商談後もう一社訪問し、昼食を採ってから自宅に戻ると、今しがた会ったデニム屋の韓国人スタッフの一人からメールが入った。
御礼ともに、韓国にいるアパレル担当のスタッフを紹介してくれていた。
すぐに返信した。
すると、今度は韓国にいるアパレル担当が電話をかけてきた。週末で外にいるのですぐには返事できないのをすまなそうに謝っていた。

週明けすぐに彼からメールが届き、見積ももらえた。

ベトナム企業だと流石にここまでの迅速な対応はできないだろう。


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デニムの商品を生産したいという客先があり、デニム生地工場に問い合わせた。
韓国資本100%の生地工場で、2013年からベトナムで操業。
かつては本国韓国でも生地を製造していたが、すでに完全に工場を閉めて、現在の製造拠点はベトナムのみ。
生産工場自体は北部にあるのだが、セールス事務所が南部のホーチミン市にある。
その事務所を訪れた。

P_20180915_100910

コンタクトが取れない アポが取れない

ベトナムではデニムの製造が盛んになり、ホーチミン市では2016年以来毎年6月にdenimsandjeans.comによるデニムの展示会が開催されている。
今年はスケジュールが合わず、顔を出せなかったが、昨年、一昨年は参加した。
この韓国企業のデニム工場も当然この展示会には毎回出展している。

その際に、スタッフの方とは名刺交換もしたのだが、なぜかもらった名刺が見当たらない。

それで、ウェブで会社名を検索し、サイトを見つけた。
連絡先はメールアドレスのみで、電話番号はない。
メールアドレスに簡単に訪問したい旨メールした。しかし、返信は来ない。

ホーチミン市への出張は訪問できる日が限られていて、それが間近に迫っていたので、
同社と取引ありそうな知り合いに頼んで、言付けしてしてもらった。
すると、1時間も経たないうちに先方が電話をくれ、やっとアポが取れた。

デニム工場のホーチミン市事務所訪問

ホーチミン市内の事務所に伺う。
この7月末に商業施設部分がオープンしたばかりの東南アジア最高層ビルLandmark81の近くにあった。

オフィスビルに入ると受付があり、そこで訪問先を告げると、身分証明書の提示を要求された。
レジデンスカードを出すと、それを預かるという。
代わりに、エレベータのカードキーをくれた。
なかなかセキュリティーしっかりしているビルだ。
アポが取れなかったら、飛び込みで行くかと考えていたが、きちんと事前にアポ取っておいて良かったとホッと胸を撫で下ろした。
飛び込みでは先方には会えない。
エレベータで事務所のあるフロアまで上がる。

エレベータから出るとすぐに会社名のボードが目についた。
ノックしてドアを開けると4-5名のベトナム人女性スタッフがデスクで仕事していた。
アポの旨を告げようかすると、一人の男性が現れ、隣の会議室に通してくれた。

広い会議室の窓の外には、Landmark81が聳え立っていた。
実に見晴らしのいい会議室だ。

ずらりと並べられた、デニム生地のサンプル棚を背にして、席に着いた。

二人の韓国人男性が入ってきて、挨拶を交わし、商談が始まった。
二人とも聞き取りやすい英語を話してくれる。

P_20180915_100918

巨大な生産能力

事前にメールで工場紹介の資料をいただいていたので、
簡単に内容を確認しながら質問を投げかけながら話を進める。

生産工場は北部の工業団地内にあり、生地工場とアパレル工場を併せ持つ。

工場の人員は総勢2500名。

生地の生産キャパは月産350万yd。
アパレルの縫製キャパは月産30万点。洗いは50万点。

元々生地屋といってもベトナムに出てきた以上アパレル製品にして売りたい。
誰しもそう考える。

<裁断-縫製>こそがこのベトナムの一番の強みだからだ。

ここも今考えているのはいかに縫製のキャパを広げるかということだった。

来年2019年6月ごろまでにアパレルの縫製キャパを月産100万点まで引き上げるとの計画をあたためている。

工場がある現在の工業団地内では工員を集めるのに限界がある。
それで、別の工員を集めやすい地域に縫製工場を出すという。
だが、これは非常にナイーブな事項なので、現時点で場所を明かすわけにいかないと言われた。
縫製工場の立地というのは重要な要素なので、それは当然だろう。

でも、彼らがくれたヒントでおよそ見当はついた。
話しながら何気なしに地名をいくつか呟きつつ、二人の顔色をうかがう。
まあ、外れるはずはない。
こちとら、20年以上ベトナム各地を歩き回って知り尽くしているのだから。

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客先はユニクロはじめ大手ばかりがずらり

仕向け先市場は、米国、欧州、日本を33%ずつきれいに三等分しているとの説明があった。
残りの1%に韓国、中国などが入ると自嘲気味に語る。

主な客先を訊いたところ有名どころのブランドが出てくる、出てくる。
米国市場は、アメリカン・イーグルやターゲットなどベトナムのどの工場に行っても製品が流れているバイヤーだ。
欧州市場は、トミーフィルフィガー、ヒューゴボス他。 
日本市場では、ユニクロ、エドウィン、バロック、アダストリア、ウィゴー、ジョジョタウンとこれでもという名前が並ぶ。最後のほうに、繊維商社各社の名前も出てきた。
小さなところは、商社にたっぷりマージン落として仕入れるしかない。

だいたいにして現在の我が社は中小企業をメインの顧客としているし、規模感が桁違いにちがう。

それでも、門前払いされずにこうして商談に対応してくれたのは、ちょっとばかし仕掛けをしておいたからだろう。小さな会社は知恵を絞るしかない。



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ベトナムでも1年に何度か繊維・アパレル産業がらみの展示会はあるのだが、その中でも最大規模の展示会が毎年この時期に開かれるSAIGONTEXである。
でも、以前には「ベトナムの展示会に期待するなかれ」という記事も書いているくらいで、見るべきものはさしてないはずだが、今年はいささか様相が変わっているかもしれない兆候が見られる。


中国企業の独断場

ベトナム繊維公団(VINATEX)主催でベトナムのホーチミン市で開催されるので、ベトナム企業が多数出展していると考えて来られる方もいらっしゃるようだが、実情はまったくちがう。
1000社以上出展企業は圧倒的に中国企業が多く、ご当地ベトナム企業の出展は数えるほどしかない。
ベトナム企業を目当てに来られると、がっかりされること間違いない。ベトナムで開かれる中国企業の展示会程度くらいに思っていたほうがいい。
ベトナム企業と取引したくて、取引先を探しにこの展示会に訪れようとしているなら、考え直したほうがいいだろう。

ではこの展示会での商談はどんな取引が行われているのか?
SAIGONTEXでは、中国企業が生地や資材や設備をベトナム企業に売り込む販促目的が大多数を占める。そのために、中国政府も展示会参加費用を各企業に補助しているという。各企業はベトナム旅行がてらに展示会に出展しているというらしいのだ。
それゆえ中国企業の独壇場だ。
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日本企業の出展はごく少数

中国企業以外には、台湾、韓国、タイ、インド、他に欧州各国などからの参加もある。
ベトナム企業も少ないながら参加しているが、めぼしい企業はほとんど見当たらない。
たとえば、OEM生産の委託先を探そうとこの展示会を見に来ても、そうしたベトナム企業は参加していない。目的がちがうから。

日本企業の参加は例年ごく少数にとどまる。主として設備関係で下記の2つの分野の企業は常連で、たいてい会場の中心を陣取っているので、いやでも目立つ。本体みずからが出展するケースもあれば現地代理店が出てきているケースもある。

  • ミシン(ジューキ、ブラザー、ペガサス)
  • 刺繍機(タジマ、バルダン)

これに加えて、織機、編機やCAD・CAM、裁断機などの分野も最近は日系企業が力を入れようとしている分野だ。
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今年は一味ちがうかも

日本企業は上記以外はほとんど目にしないのだが、今年はあちらこちらから、この企業、あの企業が出展するという話を聞く。
個人的に身近なところでは副資材関連業者が2社、帽子メーカーの現地法人が1社出展参加されるとか。他にも、日本から和装関連の企業が展示会のアテンドをしてほしいとの予約がある。

先にも述べたようにこの展示会のメインの「お客さん」は現地ベトナムの縫製業者だから、とくに副資材業者などはやり方次第で十分に大きな商機をつかむチャンスだと思う。
頑張ってほしいものだと、ちょっとだけ期待しているところだ。
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まとめ

例年中国企業の独壇場となっているSAIGONTEXだが、今年は日系企業の出展も何社かあるようでちょっと期待しながら見てみたい。


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経済産業省後援事業「ドリームゲートアドバイザーサービス」認定専門家として起業支援のコンサルティングを行っています。
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