秋利美記雄 ベトナムの縫製工場を巡る

ベトナムをはじめとするアジアの縫製工場を巡っているコンサルタント・秋利美記雄が見聞したインドシナ地域の四方山話を披露する。

タグ:生産性

サイゴンテックスへの日本企業の出展は多くないが、中には毎年出展している企業もある。
バンナン・バノックは数少ないそうした企業の一つである。

海外市場へ展開するバンナン・バノック

日本のトスカバノックのベトナム現地子会社であるVan Nang Banokは、
売上の90%がベトナムを含めた海外向けであり、日本向けはわずか10%しかない。
ただでさえ、市場が小さい上にそれが全体としてさらにシュリンクしているわけだから、
同社が日本市場よりも海外市場に目を向けているのは当然だろう。
さらにはベトナムでの事業展開において、
生産工場が先にできてそれからこの販売会社ができたということもあって、
この展示会には毎年出展している。

納品先はいずれも世界的大企業

得意先は世界規模のSPA企業ZARA。
ZARAへは本社のあるスペインへ一括して納品し、そこからZARA本社がコントロールして各工場へ流通させる。当然のことながら、ボリュームはある。
さらに昨年は、梱包仕上げの各種サービスを提供する米国のAvery Dennision RBIS社が
ホーチミン市ビンタン区に物流センターを設立し、こちら向けの納品も増えている。
青木社長は「マークス&スペンサーがもっと入ってくれないかな」と呟いていた。



苛酷な中国企業との競争

同社の競争相手は中国企業だ。
類似品を作り上げ、安値で販売する中国企業との闘いを繰り広げている。
彼らの商品はベトナム企業よりは品質がよく、価格も安い。
競争相手としては非常に強敵である。

今年の展示会は...

今年の展示会について、青木誠社長も他の方と同様訪問客数が少ないことを嘆いていた。
副資材業者のブースはメイン会場から離れていて、とりわけ客足がまばらではあったが、
私が同社のブースに訪れた際にはいずれも客が入っていて、対応スタッフと熱心なやりとりを繰り広げていた。

差別化商品が人気に



今年、同社はこの展示会に付加価値の高い商品を紹介していた。
バイオーダーでロゴを入れられる「ブランドシール」というロゴ入りロックスである。
他社との差別化が図れるところが受けて、非常に多くの方々にこの商品に興味を持ってもらえたという。

生産性がキーワードに



さらには、通常の手作業でのロックスつけに比べ3倍の速さで作業ができる「ファスバノック」というロックスガンも、生産性を重視する企業経営者らの心をとらえた。
この商品はZARAに採用され、全世界のZARAの工場で使われているとのことだが、
ベトナムの工場でも現地企業が興味を持って、客先に承認を請い、採用となるケースもあるとのことだった。

当たり前のことかもしれないが、こうした生産性向上のためのアイテムというのは工場関係者には大きなアピール力を持ってくるだろう。


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昨日の記事で、日本向けの経験のない工場にいきなりオーダーを入れてみるのは、
「なにかしら見所があったときに」という条件をつけた。

では、具体的にこの見所というのは、どんなものだろうか?



取り組むべき縫製工場の「見所」とは...?

これも、私の経験だが、以下の2点に集約されるような気がする。

1. 工場の生産性が高い
2. 工場の管理能力が高い

それぞれについて、説明したい。

「縫える工場」なのか?

上記の1の生産性については、いわゆる「縫える工場」であることだ。
単位時間あたりに多くの製品を上げられる生産性が高い工場で、相対的に安い工賃を顧客に出すことができる。ベトナムで生産する欧米の顧客は、この点を非常に重視している。彼らのこうした視点も非常に重要である。
言うまでもなく、<高い生産性=安価な工賃>は最大のメリットになりうるからだ。

最終的には、数字で把握することになるのだが、現場を訪問する際であれば、ラインの工員たちの動きに注意を払いたい。
私が工場を訪問する際には、ミシンの鳴り響く音がどうかとか、それぞれの工員の動作が素早いかどうだとか、を観察するようにしている。

要は、腕の良い縫製工を集められているかどうか、が現場を訪問する際に観察すべき最大のポイントだと思う。

もう一つのポイントは統制力

縫製業は労働集約型産業の代表と言われる。
多くの労働者を束ねて、集団で成果を上げるのが縫製業である。
だがら、人員が多くなれば、多くなるほど、集団の統制力が重要になってくる。

その統制力がある工場なのかどうなのか、それをできれば、工場訪問の際に見極めたい。
たとえば、日本の顧客はだいたいにして工場の整理整頓の状況を気にするが、これも統制力を見極める一つの指標だ言える。整理整頓の状況を見れば、経営陣の統制力はある程度測れるだろう。
あるいは、工場が独自に導入しているシステムや制度をどれくらいに徹底できているかも注意して現場を見たほうがいい。

社長を筆頭にした経営陣が、工場をしっかり把握できていれば、大きな問題は起きないはずだし、仮に問題が起こっても、たいていは解決できるはずだ。



現場とトップがいずれもある程度のレベルであれば...

つまり、現場のスタッフの能力とトップマネージメントの能力を見極めて、
この両者がある程度のレベルにあれば、取り組んで見る価値はあるのではないだろうか?

通常、私が日本向け未経験の縫製工場を顧客に紹介するのはこうした工場である。
後は、方向性の問題で、経営者が日本向けの仕事をどう位置づけるか、だろう。

自社や日本市場向けの仕事にどういうスタンスで取り組んでくれるか?これは経営者と話し合うべき、また別の課題だと考える。



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そもそも、小ロット生産は大ロット生産に比べ生産効率が低いため、
コスト高となり、それが結局は製品単価の上昇に繋がる。
欧米市場はもちろん他の市場でもコスト高は避けたいという買い手の意向から
必然的に発注数量を纏め上げ、小ロットを避けようとする。

だから、ベトナムではたいていどこの工場も大きなロットでの生産しか経験がない。



小ロットの生産というのは、一定の期間内に多くの型の商品を生産するため、
アイテムの切替による生産性のロスが大きい。

たとえば、10,000枚の注文を仮に25日で上げられる生産ラインがあるとしよう。
平均あがり枚数は400枚/日ということになるが、
実際には、生産開始から毎日きれいに400枚ずつ上がる(下のグラフA)ということはない。
生産を開始した頃の上がり枚数はこれよりも少ないし、後半はこれよりも多い。(下のグラフB)
生産アイテムが変わるたびに、一時的に生産性は低下し、
同じアイテムを作り続けていくうちに徐々に生産性は上がるが、
これもある程度のところで頭打ちになる。

だから、小ロットの生産をやろうと思えば、
このアイテム切替時の生産性のロスを最小限に抑える技術が必要とされる。
できるだけ、短時間のうちに生産性をピーク時のそれに持っていく必要があるわけだ。

欧米のオーダーは数量が大きいので、こうしたオーダーばかりを生産していれば、
アイテム切替のロスはあまり問題にならず、ピーク時の生産性の高さが中心課題となる。

一方で、日本の小ロットのオーダーをこなしていこうと思えば、
アイテムを切替えた時にいかにロスを軽減するかに焦点を合わせる必要がある。
生産数量が少ないと生産性のピークを迎える前に生産が終わってしまう可能性があるためだ。

つまりは、同じ生産性の追求をとってしても、求められるポイントが異なっている。



だから、日本向けの小ロットの生産をやったことのない工場では
やれといっても無理である。

よしんば、仮にやってみると言った工場があったとしよう。
アイテム切替のロスを軽減する方策を何ら打たないままやれば、あるいは、やろうとすれば、
すごく高い工賃を要求されることになる。
なぜなら生産性が悪いからだ。
どの生産工場でも、1日に稼ぎたい売上目標額があって、
出来高は売上金額に直結する。
出来高が少なくて、売上金額を同等に保とうとすれば、
当然単価は上がることになる。
これには日本のバイヤーも、うんと言えない。

従い、小ロット生産というのは、そもそも無理な話である。

どうしてもやろうとすれば、日本向け専門の工場に頼むしかないのだ。


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以前に「ベトナムには小ロット対応のアパレル生産工場はあり得ない」というエントリを書いた。
その中で理由を3つ挙げたが、それを一つ一つ説明していこうと思う。

48

2014年の輸出統計によれば、ベトナムからのアパレル製品の輸出金額合計は209億ドル。
この内訳は以下のとおり。

輸出先  金額   比率
米国 98 46.9%
EU 33 15.8%
日本 26 12.4%
韓国 21 10.0%
BRICS 7 3.3%
カナダ 5 2.4%
ASEAN 4 1.9%
その他 15 7.2%
合計 209 100.0%
(金額:億ドル)

これを円グラフで表すとこうなる。


何が言いたいかといえば、日本向けの比率の低さ。
前年の2013年は15%近くまで「拡大」していたのだが、
昨年2014年はEU向けが復調し、日本向けはまたその比重が小さくなっている。

もっともアメリカ向けが始まった2002年以降、
日本向けの比率は大方10%内外で、大きくは変わっていない。



多くのベトナムの縫製工場の目は日本市場に向いていないと言える。
多くの工場は欧米市場を中心に見て動いている。
欧米市場では通常1型数千枚以上の商品を競争力ある価格で買いたがる。
だから、縫製工場はいかに生産性を上げるかに心を砕く。
動画の工場はハノイ郊外フンイン省にある400名ほどの小規模工場だが、
機械設備の投資に積極的で度肝を抜かれた。
日本円にして数百万円もする機械が何台も、それこそ惜しげも無く投入されていたのだ。
ただ単に設備投資をすればいいというものでもないが、
アメリカ向けを専門に受注していく、この工場の社長の話を聞くと
生産性にかける社長の意気込みを感じさせられた。

ベトナムでは、日本市場が必要とする小ロットの生産は、従い、ニーズがない、
仮にあるにせよ極めて少ないというわけである。



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