与党 共謀罪法案の修正検討(10/16 NHK)
組織的な犯罪の取締りを強化するため、犯罪を計画した時点で、「共謀罪」という罪に問えることを柱とした組織犯罪処罰法などの改正案について、自民・公明両党は、適用の対象を組織的な犯罪集団に限定するなどの法案修正の検討を進めています。

この法案は、組織的な犯罪集団が関与する重大犯罪について、実行されていなくても犯罪を計画した時点で、「共謀罪」という罪に問えるようにするもので、最高で5年の懲役か禁固刑を科す内容となっており、14日衆議院法務委員会で審議に入りました。ただ「共謀罪」については、市民団体などから、「適用される対象があいまいで、乱用される危険性が大きい」という批判が根強く、これまで法案が2度廃案となったことから、与党側はこうした懸念をふっしょくする必要があるとして、法案を修正する方向で検討を進めています。具体的には、適用の対象を組織的な犯罪集団に限定し、何らかの具体的な準備行為がなければ立件できないことを法案に明記することを検討しています。与党側は、民主党にも法案修正の協議を呼びかけたいとしていますが、民主党は、対象となる犯罪が多すぎる、盗聴やおとり捜査の拡大をまねくなどと批判しています。与党側としては、民主党の対応を見極めながら修正を進め、今の国会で成立を図りたいとしています。

共謀罪についてはネット上でも議論百出の様相です。
来週以降いろいろと反対運動が予定されているようですね。拉致関係の集会や人権擁護法案反対集会には極めて冷淡だったマスコミも、きっと大々的に報道することでしょう。

反対論についていくつか疑問というか感想などを。

1.共謀罪の主たる標的の一つであろう暴力団は、この法律をどう捉えているのでしょうか。暴力団に強いマスコミやジャーナリストもいるはずですが、そういう観点からの記事ってないですよね。

もう一つの標的と思われる過激派が反対する理由は、こちらを読んでよく分かりました。
【他称:原理関係者】mumurブログ「心配のし過ぎではない」 朝日新聞が共謀罪に反対(10/12)
一方で反対派の論拠を見てみましょう。

その1 マンション建設反対運動も
(前略 高層マンションが建つというお話)
 住民の反対運動にもかかわらず地下室マンション建築計画は進行し、工事着工予定が示されました。話し合いを拒否された住民と、建築を強行しようとする業者との間で対立は激化しました。住民は、反対運動の方法を相談しました。建築資材の搬入を阻止する実力行使も検討しました。業者から防犯設備について相談を受けていた警察は、住民の反対運動に注目していました。このため、住民の中にその動向を警察に通報してくれる協力者を作って情報を収集していました。
 業者の資材搬入日が決まると住民らは、相談して、大量動員してピケットをはり、資材搬入を実力阻止することを決めました。これが住民の中の協力者によって警察に伝えられました。
 資材搬入の当日早朝、住民がピケのために家を出ようとしたとき、全員が組織的威力業務妨害共謀罪(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律3条7号)で逮捕され、反対運動は挫折しました。そして、地下室マンションは、業者の計画通りに建築されました。

警察って民事不介入が原則なのに、なんでこんなことに首を突っ込んでるのでしょうか。警察はそんなに人と時間が余ってるのでしょうか。

そもそも、マンション建設反対運動で一般市民がピケをやる例ってありますか?
横断幕で「マンション建設反対」の垂れ幕を張るとか、ビラを撒くとかそれくらいでしょう。で、業者と住民で話し合いが出来ないなら、法廷で決着をつける。それしかない。

上記例で真っ先に思い浮かんだのは、三里塚闘争。
「空港建設反対」を叫んで、中核派がやっているアレです。
中核派はゲバ棒を持って、機動隊と小競り合いをやってます。

要するに「空港建設反対」を叫んでいるのがアレな人たちというのは有名なので、「マンション建設反対」に置き換えたと。
「マンション建設反対でピケ?」「マンション建設反対で警察がスパイを送り込む?」という疑問も「空港建設反対」に置き換えれば納得。
中核派が実力行使にでるのもありうるし、公安がスパイを送り込むのもわかる。

一般国民としては全然困りませんし、不自然な例えはむしろ共謀罪に反対する理由をバラしちゃってます。

貝原浩2.「共謀罪は内心の自由を処罰するもので違憲」という主張がままありますが、一人で何を妄想しようがそれだけでは処罰は不可能ですよね?
共謀であれ予備であれ、外部に何かが表出するからこそ犯罪につながるという話になるわけで(むろん表に出たから何でもかんでも処罰しろとはいいませんが)、憲法違反をいいたいがために無理をしている気がします。

3.mumurブログで引用されている自由法曹団をはじめ、反対論の中には「共謀罪は盗聴法の改悪につながる」という主張が多く見受けられます。最初のサイトなんかアドレス自体tochoho.jca.apc.orgですから。

ところでそこのイラストの作者は「貝原浩作」じゃなくて貝原浩(今年6月30日死去)じゃないかと。って、左翼系の本や雑誌でよく見かけます。
※すいません、私の勘違いです。「貝原浩・作」のようですね。

共謀罪をもう一度廃案にしよう! 盗聴法に反対する市民連絡会
共同行動ONLINE

「共謀罪」が招く-スパイ横行社会(10/9 赤旗)
共産党幹部盗聴事件というのもありましたね、そういえば。

あなた見られてます 監視と安全のはざまで(北海道新聞)
 「実行行為ではなく、犯罪の合意という内心的事実を対象とする共謀罪は、通信傍受法(盗聴法)の拡大につながらないか」

 今月十二日の衆院法務委員会。公明党の漆原良夫議員は市民団体などの懸念を代弁するように、こんな質問を政府にぶつけた。

 二○○○年に施行された盗聴法は、令状請求を義務付けた上で、対象を《1》組織的な殺人《2》薬物《3》銃器《4》集団密航−などの組織犯罪とし、傍受は電話やメール、ファクスに限定している。

 しかし、共謀罪が「話し合いの内容」を摘発対象としているだけに、「現行法を拡大して室内盗聴の導入をもくろんでいる」との危惧(きぐ)が市民団体などに広がっているのは自然だ。

素人考えでも、通信傍受(盗聴)の範囲を拡大するには別途法改正が必要なはずですが、共謀罪が通れば次に通信傍受法改正が来るということなのか、警察は法律なんか関係なく盗聴をするということなのか。後者ならそれ自体問題ですよね。
「憲法九条改正は徴兵制につながる」という主張と同種の、論理の飛躍があるのでは?

盗聴といえば韓国のこの事件、まだ終結してません。
Yahoo!ニュース - 韓国情報機関の盗聴事件
韓国の新聞記事ばかりです。盗聴を問題にするなら避けて通れないはずですが、なぜか日本のマスコミも市民団体も触れたがらないようですね。

ちょっと前になりますが、読売のこの記事に注目してみました。
韓国情報機関・不法盗聴 「民主化後も」衝撃広がる(8/7 読売)
記者のパソコンに不正侵入 「携帯は安全」広報もウソ

【ソウル=中村勇一郎】韓国の国家安全企画部(現・国家情報院)が政財界、マスコミ幹部の会話を盗聴していた問題で、「民主化後」の金泳三、金大中の歴代政権下でも、不法盗聴が行われ続けてきた実態が明らかになった。青瓦台(大統領府)は「盧武鉉政権になってから盗聴はない」と強調しているが、信用する向きは少ない。
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安企部の前身は、1973年の金大中拉致事件への関与が指摘されている中央情報部(KCIA)。KCIAが盗聴をしていたことは“公然の秘密”だったが、民主化後は「盗聴はない」というのが韓国政府の公式見解とされた。99年には「携帯電話の盗聴はしていません。安心して下さい」と、国民向け政府広告を新聞各紙に掲載していた。
            
だが実際は、民主化後も金泳三政権(93〜98年)だけでなく「私が一番の盗聴の被害者。私の政潅では盗聴はない」と公言していた金大中政権下でも、2002年まで盗聴が行われていた。政敵、財界幹部、マスコミ関係者などが対象だったと見られ、盗聴内容は政権内にも伝えられていたという。

国家情報院は「2002年3月に盗聴装置を焼却し、以降は盗聴はしていない」としているが、これに疑問を呈する声も多い。
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韓国の通信秘密保護法は、通信傍受や通話内容の照会を安全保障などに関する事項に限定して盗聴を認めている。しかし、国家情報院が今年1月から5月までに同法に基づいて行った傍受、通信会社への資料提出要求は、5万件以上に上る。

日本では2000年に通信傍受法が施行され、薬物や銃器犯罪など4分野に限って通信傍受が可能になっだが、「令状を得るためのハードルが高すきる」(警察幹部)こともあり、昨年は4件の実施にとどまっている。

さすがIT先進国・韓国ですね。日本はとても追いつけません(ぉぃ)
日本の実施状況はこちら。4件とも覚醒剤取引です。
[PDF]通信傍受法第29条に基づく平成16年における通信傍受等に関する国会への年次報告について

4.共謀罪に限らず「現代の治安維持法」という表現が多過ぎです。ちょっと検索しただけでもこんなに。
 ・通信傍受法(“盗聴法”)
 ・組織的犯罪対策法
 ・破防法
 ・個人情報保護法
 ・青少年社会環境基本法案
 ・人権擁護法案
私も人権擁護法案を批判してますが、現代の治安維持法だからという言い方は避けてきました。安易だと思ったので。
横浜事件とかと絡めて危険性を訴えたいのかもしれませんけど「またか」という印象を拭えません。前にもちょっと書きましたが、ワンフレーズ・ポリティックスを批判する人たちが「ワンフレーズ・ジャーナリズム」に陥ってるのはいかがなものかと。

でもって、日本の治安維持法を受け継いだといわれているのが韓国の国家保安法です。
国家保安法 - Wikipedia

数年来、撤廃論がでていますがなかなか難しいようです。
韓国法相の親北朝鮮教授逮捕で指揮権発動に批判(10/16 日経)

共謀罪−盗聴−韓国−国家保安法−治安維持法−共謀罪と、反対論者の主張と現実に起きている事態を組み合わせればすべて結びつきます。反対論者が共謀罪がもたらすのは韓国のような盗聴社会・監視社会だ!というのであれば、今すぐにでも賛同したいですね。