毎日新聞が一面トップでRDF(ごみ固形燃料)化施設の問題を取り上げたのは3月31日のことでした。
ごみ固形燃料化:52施設の処理費、焼却の2倍…本紙調査
 静岡県の御殿場市・小山町広域行政組合の施設は操業開始(99年)直後からトラブルが続き、メーカーや商社を相手取った民事訴訟に発展(20億円支払いで和解)。高コストから焼却を選択する自治体もあり、長崎市は長崎県からRDF導入の打診を受けたが拒否し、焼却炉の建設計画を進めている。【三木陽介、奥山智己、岩佐淳士】

ごみ固形燃料化:事業失敗 国に検証、解決責任 自治体、補助金受け撤退困難〔削除済、全文は追記〕
 キャッチフレーズだった「夢のリサイクル技術」とかけ離れた実態が浮き彫りになったRDF化施設。そのほとんどが財政基盤の弱い地方にあり、自治体側の負担は1年で総額約200億円に達している。にもかかわらず、補助金などを餌に建設を推進した国は、この間事業の成否について何の総括もしていない。行政判断が正しかったかどうかを検証し、既設施設をどうすべきかについて解決策を示す責任がある。【三木陽介】

ごみ固形燃料:36億円の巨費…4年で休止 和歌山・湯浅

その後も追及が続くと思ったのですが、4月11日に続報があったきりです。
ごみ固形燃料:51施設で赤字33億円 利益は1施設だけ
ごみ固形燃料:1トンで2万円超の赤字 山梨・南部

3月31日の記事にも事実誤認があるらしい。
三重県よろずや:RDFを廃止せよ(3/31)
論説の結びは
「耐用年数が10〜20年とされるRDF化施設は、今後次々と建て替え時期を迎える。早く解決に乗り出すべきだ」となっているが

三重県がRDFから撤退するという話は
東京社会部には届いてないのか?
この新聞社は支局の記事に目を通してないのか?


調査報道が社会部主導で
津支局が噛んでないようだけど…
(あんまり書くと出禁喰らうから止めとこ)

毎日の一連の記事で奇妙なのは、RDFといえば避けて通れないはずの三重県で起きた爆発死傷事故、そしてこの事業の推進者が北川正恭だったことについて言及を避けていること。

当ブログでも再三取り上げてきた問題ですが、一連の経緯を時系列で追ってみましょう。

平成9年 三重県の呼びかけでRDF全国自治体会議が発足、北川正恭が会長に就任。
平成14年5月 RDF全国自治体会議が国家予算要望
(前略)
こうしたなか、可燃性廃棄物のRDF化及びその利活用は、二酸化炭素やダイオキシン類の排出抑制をはじめとする環境への負荷の少ない廃棄物処理の方法として、また資源循環型社会を構築するための方策として注目されております。「RDF全国自治体会議」は、21世紀における廃棄物の適正な処理と資源としての有効利用を図るため、RDF化を推進していくこととしておりますが、RDFの利用推進にあたっては、各種法規制、経済性の確保、技術開発など様々な課題等を抱えているのが現状です。

資源循環型社会を目指し、RDF化を中心とする新たな社会システムづくりのためには、これらの課題等をひとつひとつ解決していく取組みが必要です。

国におかれても、このような主旨を十分にご理解いただき、RDF化及びその利活用の促進に向けて、各種支援措置の創設、有効利用・適正処理のための各種規制の緩和・創設、信頼できる技術開発等に格段のご配慮をいだだくよう要望します。

平成14年5月

RDF全国自治体会議

会長 三重県知事 北川正恭
副会長 岩手県知事 増田寛也

(後略)

平成12年1月 三重県が発電所建設に向けて9社から設計プランの提示を受ける 2月 富士電機に決定
平成13年8月 一般廃棄物処理施設の設置許可、9月 着工
平成14年11月 完成、12月 稼動開始 試運転はわずか半月。
平成15年4月 北川が三重県知事退任
平成15年8月 2度の爆発で消防職員2名死亡、作業員5名負傷 9月 三重県警、県庁・消防・富士電機などを家宅捜索
同年10月 北川、三重大学での講演後に報道陣に囲まれるも「ノーコメント。場所が違う」と捨て台詞を吐き逃亡
平成16年1月 三重県議会、北川を参考人招致。遺族への面会謝罪拒否。
平成18年1月 三重県警、県職員・消防幹部・富士電機社員ら15人を業務上過失致死傷の疑いで津地検に書類送検。三重労働局も富士電機元発電所長、県企業庁幹部らを労働安全衛生法違反の疑いで書類送検
同年12月 全員不起訴

刑事事件としては結論がでていますが、これで北川の責任がなくなったわけではない。RDFの記事を書いた記者の一人・岩佐淳士といえば連載「ネット君臨」の歪曲記事で2ちゃねらーを攻撃して返り討ちにあった奴ですが、北川のようなマスコミの寵児にはてんで弱腰のようですね!

ことは一つの政策が偶々不幸な結果に終わったというレベルの話ではない、と私は思います。結局北川のやってきたことって一事が万事、マスコミでブームを煽ってやり逃げの繰り返しなんじゃないですか?

RDF全国自治体会議代表として事業推進→死傷事故の責任逃れ
「マニフェストの伝道師」→実は英国でも重視されず、かえって柔軟な対応を阻害
21世紀臨調で分権主張→メンバーの和歌山県知事・枚方市長が汚職で逮捕
せんたくで新政治運動→実態は既存政治家とベッタリで橋本大二郎らと仲間割れ
橋本大二郎です:「せんたく」に選択(4月3日)
 また、当初は、自民党と民主党の、5人ずつに声をかけると言われていた議員連盟のメンバーも、100人を超えて、ごった煮の状態にまでふくれ上がったため、安全保障政策でも経済政策でも、目指すような質の高いマニフェストが、議論ができる状況とは思えません。

 さらに、議員連盟の窓口になっている方の中には、三位一体の改革の際に、族議員の代表として、中央省庁の側で動いた方もいますので、分権改革や生活者の視点からの議論も、到底望めないと感じました。

 こうしたことから、重ねてのお誘いがないのを幸いに、わざわざ断るのも角が立つと考えて、しばらくは、かかわりをもたないことにしました。

「せんたく」の母体で北川正恭が共同代表を務める21世紀臨調の運営委員には、毎日新聞の幹部も多数名を連ねています。
菊池哲郎  毎日新聞取締役経営企画担当
岸井成格  毎日新聞特別編集委員
倉重篤郎  毎日新聞編集局次長
小松 浩  毎日新聞政治部長
七井辰男  毎日新聞読者室長
人羅 格  毎日新聞論説委員
丸山昌宏  毎日新聞大阪本社編集局次長
与良正男  毎日新聞論説委員

さらに毎日新聞は北川正恭が審査委員長のマニフェスト大賞を早大マニフェスト研究所と共催しており、他のマスコミ以上に北川と癒着関係にあります。

参加しているのは政治部出身の人間が多いようで、RDFの件は社会部記者が書いているようですけどね。
それでも北川の嘘と偽善を書かずに改革の旗手と「報道偽装」をする点では同類でしょう。

【関連】
猪名野の原の笹枕 「右派」「左派」マスコミの呉越同舟に注意すべし
<2009/6/5 更新>
ごみ固形燃料化:事業失敗 国に検証、解決責任 自治体、補助金受け撤退困難
 キャッチフレーズだった「夢のリサイクル技術」とかけ離れた実態が浮き彫りになったRDF化施設。その大半が財政基盤の弱い地方にあり、自治体側の負担は1年で総額約200億円に達している。にもかかわらず、補助金などを餌に建設を推進した国は、この間事業の成否について何の総括もしていない。行政判断が正しかったかどうかを検証し、既設施設をどうすべきかについて解決策を示す責任がある。【三木陽介】

 RDF化施設導入は98〜03年に集中した。きっかけはダイオキシン問題で、発生源の焼却炉について厚生省(当時)は97年1月「(新設は)最低でも1日の焼却量が100トン以上とすべきだ」と小型炉を事実上認めないガイドラインを発表した。100トンは人口十数万人の都市のごみ量に相当し、RDFなら補助金が出るため、小さな自治体の選択肢は事実上、RDFに絞られた。メーカーと商社も好機とみて売り込んだ。

 しかし、導入直後からトラブルが続出。しかも「ダイオキシン類の低減対策に有益」(98年3月、環境庁大気保全局長の参院委答弁)とPRしていたのに、RDF製造過程でダイオキシンが発生することが判明し、01年2月、焼却炉同様の規制を行う事態になった。

 今となっては自治体側は失敗を認めざるを得ない。それでも事業を継続しているのは、施設を壊すと受領済みの補助金を返還しなければならないからだ。雪だるま式に負担が増えるのに撤退する方法がない。事業を所管する環境省は、この悪循環を断ち切る責任がある。一般的な耐用年数が10〜20年とされるRDF化施設は、今後次々と建て替え時期を迎える。早く解決に乗り出すべきだ。

 ◇ごみ抑制の施策を−−ごみ問題に詳しい武蔵工業大の青山貞一教授(環境科学)の話
 RDFは経済、技術、管理面などの基本データが公開されないまま推進されてきた。コスト高は当初から指摘されていたが、全国調査で具体的な数字が出たのは初めてだろう。失敗は明らかだが、単純に焼却処理に戻るのではなく、ごみの発生抑制、減量化を施策の中心にすべきだ。

==============

 ◇RDF化施設1トン当たりの処理費用
施設名            処理費(円)
 <北海道>
富良野市リサイクルセンター  16,623
札幌市ごみ資源化工場     17,492
留萌市美・サイクル館     55,021
 <茨城県>
広域鹿嶋RDFセンター
広域波崎RDFセンター   ※29,481
 <群馬県>
板倉町資源化センター    143,108
クリーンセンター奥多野    60,744
奥利根アメニティパーク    59,276
 <富山県>
南砺リサイクルセンター    47,525
 <石川県>
河北郡市クリーンセンター   31,747
リサイクルセンター      39,786
ななかリサイクルセンター   30,949
奥能登クリーンセンター    29,325
 <山梨県>
南部町環境センター      76,100
 <岐阜県>
エコセンター恵那       38,972
 <静岡県>
御殿場・小山RDFセンター  66,874
 <三重県>
海山リサイクルセンター    78,383
資源循環センター       51,143
香肌奥伊勢資源化プラザ    62,964
さくらリサイクルセンター   46,979
エコフレンドリーはまじま   72,056
紀伊長島リサイクルセンター  55,187
紀南清掃センター       59,651

 <滋賀県>
リバースセンター       46,146
 <京都府>
綾部市クリーンセンター    39,580
 <兵庫県>
宍粟環境美化センター     57,322
中播北部クリーンセンター   52,189
 <和歌山県>
太地町清掃センター      94,819
 <島根県>
雲南エネルギーセンター    61,580
 <広島県>
エコワイズセンター      72,597
府中市クリーンセンター    55,428
庄原市東城クリーンセンター  61,256
クリーンセンターじんせき   96,407
夢エネルギーセンター     43,941
福山市ごみ固形燃料工場    15,398
エコセンターはつかいち    24,027
 <山口県>
周南市ごみ燃料化施設     43,738
カルストクリーンセンター   44,608
クリーンセンター響      60,909
 <愛媛県>
砥部町美化センター      54,361
伯方クリーンセンター     81,515
 <高知県>
クリーンセンター四万十    90,982
ごみ固形燃料化施設      69,518
 <福岡県>
築上町清掃センター      77,696
大牟田・荒尾RDFセンター  20,676
ごみ燃料化センター      35,580
クリーンパークわかすぎ    32,263
くらじクリーンセンター    31,710
耳納クリーンステーション   39,950
 <熊本県>
Eco Village旭   30,704
大阿蘇環境センター未来館   42,542
 <大分県>
ドリームフューエルセンター  50,418
52施設平均         52,887

 ※数字はすべて05年度。茨城県は2施設分を併せて計算

毎日新聞 2008年3月31日 東京朝刊

<5/10 更新>