タイトルが先に思いついたけど内容がまとまらない…

先月、電子書籍について対照的ともいえる二つの報道がありました。
電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退(7/1 ITmedia)
 松下は、電子書籍専用モノクロ端末「ΣBook」を2004年に3万7900円で、カラー端末「Words Gear」を2006年に4万1790円(直販サイト価格)で発売したが、ΣBookは数千台程度、Words Gearは約2400台しか売れなかった。Words Gearは当初、初年度1万台程度の出荷を見込んでいたというが「専用端末の大きさや重さがユーザーに受け入れていただけなかったのだろう」と同社広報担当者は話す。

 Words Gearの生産は今年3月に終了。両端末とPC向けの電子書籍ダウンロードサイト「ΣBook.jp」「最強☆読書生活(PC版)」も9月末に閉鎖する。携帯電話向けの「最強☆読書生活」は継続する。


ソニー「LIBRIe」 ソニーは米E Inkの電子ペーパーを採用した「LIBRIe」(リブリエ)を2004年に実売価格4万円前後で発売したが、「販売台数が伸びず黒字化できなかった」として07年5月に生産を終了した。PCとリブリエ向けに電子書籍を配信していた「Timebook Town」(100%子会社のタイムブックタウンが運営)も来年2月末に閉鎖する。

〔中略〕

 E Inkのスタッフは、「取り次ぎが絡む複雑な流通体系もあり、日本の出版社などが電子書籍向けにコンテンツを開放しない」と話していた。日本でKindleと同様のビジネスモデルを採るのは難しそう。日本の電子書籍専門端末は、このまま死滅してしまうのだろうか――

2007年度の電子書籍市場は355億円に倍増、ケータイが7割占める(7/9 Internet Watch)
 インプレスR&Dは9日、日本の電子書籍市場規模についての調査結果を発表した。2007年度(2007年4月〜2008年3月)は市場規模を355億円と推計しており、前年度の182億円から2倍近くに拡大した。このうち携帯電話向けが7割を占めているという。

〔中略〕

 市場の内訳は、携帯電話向けが283億円、PC/PDA向けが72億円。前年度は携帯電話向けが112億円、PC/PDA向けが70億円だったため、特に携帯電話向けの伸びが前年度比2.5倍と大きい。

 市場拡大の要因としては、出版社がコンテンツの電子化に対し積極的に取り組み始めたこと、取次サービスの整備による流通の円滑化、タイトル数の増加によるコンテンツの充実、3G携帯電話やパケット定額制の普及によるプラットフォーム整備などが考えられるとしている。

融通の利かない専用端末は敗れ、機能の豊富な携帯電話が勝ち残った…とまとめてしまえばそれまでですが、何か未練が残りますね。
#専用端末を見たこともなく、電子辞書すら持っていない私が言っても説得力がないけど…

よくありがちな「紙の本にかなうものなどないのだウェーハッハッハ」的な主張には与したくもない。0か100かではなくて、紙のほうが向く本もあれば電子化したほうが便利な本もある、とあたりさわりのない主張になってしまいますが。テレビみたいに受け手と関係ないところですべてデジタル化するのとは話が違うのかな、と。

専用端末イラネという意見もあるけど電子辞書は結構売れてるわけでしょ。個人的には地図とか電子書籍向きかなと思ったり。

Amazon Kindleは売れてるみたいだし。
「Kindleは本の世界のiPod」――売れ行きは好調の見込み(8/12 ロイター)

こんな話もある。
来なかった電子書籍の未来 - コデラノブログ 3
米国の端末もそれぐらいするだろ、という指摘もあるだろうが、それ、アメリカ人は本も読まないバカだと思ってないか(笑)。米国人は、結構本を読む。というか、テキスト情報がものすごい数揃っている。特に専門家、プロフェッショナル向けの解説書などは、日本では考えられないぐらいの量の書籍が、安価に出ている。140年ぐらい前にタイプライターが出現して以来、欧米諸国は「文章と書類の国」になったのだ。その頃日本は明治維新で、征韓論とか廃刀令とかの時代である。

コンテンツの問題としては、記事内では取り次ぎなどの保守的な流通システムの問題も指摘されているが、やはりWEBコンテンツをダイレクトに取り込む仕掛けがなさ過ぎたことは敗因だろう。いやそれも、おそらく旧態ビジネスへの配慮をしずぎたせいではあるのだが。

シロクマ日報 Kindle が大学のテキストに使われ始めている件
ご存知 Amazon が手がける電子書籍端末"Kindle"向けに、大学用のテキストを出版する動きが出ているというニュース。と言うだけで詳しい説明は不要でしょうが、確かに大学生の頃って、人生のなかで最も本を持ち歩く時期かもしれませんよね。特に米国の大学では大きくて分厚いテキストが使われることがあり、僕も留学中にヒーヒー言いながら持ち歩いていた思い出があります(特に会計やファイナンス系のテキストがやたら重かった記憶が)。それが小さな端末に収まるというのであれば、喜んで電子書籍に乗り換えるでしょう。実際、Kindle 版の方が何倍も売れたというテキストが出始めているとのこと。

そこに「日本の大学生は本を読まない」と裏読みしてしまうのはだめですか?
まあ大学教授さえ思いつきで発言するような輩がマスコミでもてはやされる国では(ry

やっぱり日本の出版流通ひいては再販制度が諸悪の根源だろ、ということは去年12月に書きました。
Amazon Kindleは電子書籍コンソーシアムの屍を越えるか同・2
そのときも「本より新聞のほうが向いてるかも」といったんですが、海外に比べると日本の宅配至上主義が足を引っ張る形になっているようです。
電子新聞端末は日本に上陸するか − @IT(8/7)
 国内で電子書籍端末市場が縮小する一方、欧米ではここ半年ほどで電子ペーパーを使ったいわゆる電子“書籍”端末が、電子“新聞”端末となって普及の兆しを見せ始めた。

 先鞭を付けたのはフランスで約40万部を売る経済誌「Les Echos」(レゼコ)だ。2007年9月、同紙は世界に先駆けて電子新聞端末を1年間の購読料込みで販売開始した。これに中国の4紙が続いたほか、現在、イギリスやオランダでも同様の動きが広がりつつある。また、国際新聞技術研究協会(Ifra)は「eNewsプロジェクト」としてヨーロッパ各地で実証実験を行っている。

〔中略〕

 「ヨーロッパには個別に購読者宅に配達する制度が日本のように発達しておらず、マガジンスタンドで販売していた新聞各紙は、部数減に苦しんでいる」(下川氏)。

 日本の場合、数年あるいは十数年と続けている宅配式の新聞購読をやめるのは一種の決断を要する。「買わない」という選択は能動的なものだからだ。それに対して出勤途中にキオスクで新聞を買うのが一般的なヨーロッパでは、もともと「買う」ことが能動的動作だったから、市場が崩れ出せば早い。インターネットによる影響をモロに受けるというわけだ。

サミットのときに北海道新聞が電子新聞配信実験をしたというのもちょっと話題になりましたが、結果報告がないようです。

いつも「バスに乗り遅れるな」的な煽り記事の好きな日本のマスコミ(特に日経ビジネスとかそのへん)も、どうもこの話題には消極的にみえます。まあ過去の大失敗があるから無理もないでしょうが。

何せ自分たちのいる業界は常に正しいというのがジャーナリズムのようですから(嫌味)過去の失敗は活字になることなく葬り去られるのでしょうかね。失敗から学ぶことも大事ではないかと思うのですが←なぜか上から目線
本気で分析すると流通の不合理とか著作権至上主義の弊害とかにも切り込まなきゃならなくなるので、業界のしがらみの中では不可能なんでしょう。
仮に日本で電子書籍が成功するとしたら、業界の論理に縛られないアウトサイダーが担い手になる…といいたいところですが、そんな人はいるのだろうか。
<かきかけかも>