鈴木敏文・セブン&アイ会長
「洗浄された空気か、汚れた空気か。汚れた(過当競争で劣化した)ものじゃいかんでしょう。常に洗浄されてなくちゃいけない。内容の競争はあってしかるべきでしょうが、外側から価格競争を仕掛けて質を低下させるというようなことは絶対にやるペきではない。」

竹島一彦・公正取引委員会委員長
「あくまで独禁法の問題。独禁法は公正な競争、特に価格競争が行われることが消費者利益になるという考え方です。」
「ほかの業種はみんな苦労して物を売ってるんです。」
「消費者にいかによりよいサービスを提供するか考えていかれるべき立場にある。そこを自覚して頂きたい。」

さて、この二人は何について論争しているのでしょう。答えは後ほど。

セブンイレブン、加盟店の値引きを制限か 公取委が調査(2/20 朝日)魚拓
 国内1万2千の加盟店を抱えるコンビニ最大手「セブン―イレブン・ジャパン」(東京)の本部が、傘下の加盟店に対する優越的な地位を利用し、店側が弁当などの売れ残りを減らすため値引き販売しようとするのを不当に制限していた疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で同社の調査に乗り出したことがわかった。

H21.2.20 朝日以前からコンビニオーナーは「鵜飼の鵜」のようなものと噂には聞いていましたがこれはひどい。
過去に訴訟になっていて、中には本部勝訴の事例もあります。しかし調査に入るからには公取委にも「勝算」があるのでしょう。
セブンイレブン廃棄ロス訴訟、本部敗訴も報道されず(08/24 2005 MyNewsJapan)
セブンイレブン・ロスチャージ事件の最高裁判決出る(2007/06/16 JANJAN)
加盟店「会計の説明不足」 セブンイレブン本部と訴訟も(2/22 朝日)
それにしても分かりにくい計算だな…数字の話は他の人にお任せするとして(ぉぃ
当方の関心はセブンイレブン、そしてトップに君臨する鈴木敏文の“言論弾圧”にあります。

セブン−イレブン・ジャパンの超内向き体質 「鈴木敏文王国」で繰り広げられる異様な言論弾圧 角田裕育(週刊金曜日 07/11/16)
他のマスコミが逃げてきたこの問題について、継続的に取り上げた点は評価してやってもいい(上から目線)>週金
「本当に頭にきました。あの記事は単なる雑誌記事じゃないんです。学術論文として経済専門誌に依頼されて執筆したものなんですよ。その校了済みの原稿を、印刷段階の六月十四日に毎日新聞社に圧力をかけて改竄させた、セブン−イレブン本部の暴挙は異常です。戦前の日本政府ですらこんなことはしなかったんじゃないですか。その圧力に屈服した毎日新聞社も情けないですね。しかも戦後、言論の自由が保障された国でこんなことがあってもいいのでしょうか」
怒りを込めてこう語るのは、日本大学法学部の北野弘久名誉教授だ。

北野名誉教授は弁護士・税理士の資格を同時に持ち、あの“悪名高き”豊田商事の被害者弁護団団長も務めた実務家としての実績も持つ。その経験に基づき。『エコノミスト』誌の論文中に次のように記述した。
私は、希代の詐欺集団であった豊田商事の被害者弁護団団長をつとめたが、コンビニの優良企業といわれるセブン−イレブンの詐術は、豊田商事以上であるという感を深くしている

毎日新聞社側も当初は要請を突っぱねたが、なおもセブン−イレブン側は、「北野論文を削除できないのなら、『豊田商事云々』の部分の記述は削除せよ。でなければ、『サンデー毎日』などをセブン−イレブンから締め出さざるを得ない」と毎日新聞社側に迫ったという。
これに屈服した毎日新聞社は、止むを得ず『エコノミスト』編集部に記事を訂正するよう指示。北野名誉教授が豊田商事とセブン−イレブンを比較した部分の前述の六行は、「お蔵入り」となった。

毎日新聞をはじめマスコミが常日頃言ってる「編集権の独立」はどこへ?
こうしたセブンイレブンの横暴を可能にしているのが、鈴木敏文の有する“権力”です。
セブン−イレブン・ジャパンの鈴木敏文会長は、中央大学在学中はマスコミ志望であり、卒業後は大手出版流通会社トーハンに人社した。入社七年目にトーハンからイトーヨーカ堂に転職している。友人・知人のマスコミ、関係者を集め、独立プロダクションのような製作会社の出資先を探し求めていた折、学生時代の友人にイトーヨーカ堂を紹介された。それがきっかけとなり、そのまま転職したという経歴を持つ。
それだけに、若かりし頃からマスコミ、業界への人脈も豊富な上、現在では“古巣”のトーハンの副会長も兼務しており、出版業界ヘの影響力も非常に強い。実際、「トーハンの売上高の約一割はセプン−イレブンのもの」(「鈴木敏文経営を語る』江口克彦著 PHP文庫一三二頁)と鈴木会長みずから豪語している。

加えていまやセブンイレブンは「日本最大の書店」でもあります。
【書籍/話題】任天堂栄えて本屋潰れる 旭屋書店閉店の衝撃度 (ゲンダイネット)
 そればかりじゃない。街の書店は、中古本のブックオフやコンビニにも客を奪われ続けている。
 セブン―イレブンの雑誌・書籍・新聞の売上額は1430億円(07年度)に達し、日本一の冊数を売る書店、紀伊国屋書店の売上額(1173億円)を軽く上回る。

H18.4.21 毎日H18.4.25 毎日そこで冒頭の記事の種明かし。三年前の毎日新聞に載った、新聞特殊指定死守プロパガンダ記事からの抜粋です。まさか今になって直接対決することになるとはねぇ。
鈴木のインタビューについては当時取り上げたことがありました。

2006年04月24日 【活字利権】みのもんた・鈴木敏文が公取批判に便乗する理由
イトーヨーカ堂のチラシとかもあるし、これだけ鈴木と癒着した新聞がセブンイレブンの阿漕な商法を批判できるわけないですよね。

インタビュー 新聞「特殊指定」を考える
4/18 作家・保阪正康 廃止「旧軍部の論理そっくり」
4/19 法哲学者・長尾龍一「市場原理から公共財守れ」
4/20 司会者・みのもんた「情報発信 減ってもいいの?」
4/21 セブン&アイ会長・鈴木敏文「価格競争で質の低下招く」
4/22 衆院議員・高市早苗「改廃 公取委任せでなく」

こういうマスゴミに媚を売って保身を図るクズ共は地獄の果てまで批判し続けるするつもりですが何か? 他に内橋克人とか井上ひさしとかね。江藤淳や城山三郎は亡くなりましたが。

セブンイレブンの言論統制はその後さらに激化します。
2008年12月12日 Birth of Blues:【週刊金曜日】 出版取次大手トーハン 「取締役の不利益になることはできないから」 セブンイレブン告発本の委託配本を拒否?
さすがに撤回したようですが、その経緯についてもマスコミは報道なし。伝えたのは通販系のこの雑誌ぐらいでしょうか。
セブン‐イレブン批判本を「封殺」するトーハン(月刊FACTA 2月3日)
書籍取次大手のトーハンが、週刊金曜日取材班と古川琢也氏の共著『セブン-イレブンの正体』の配本にストップをかけたことが、師走の出版業界に波紋を呼んだ。

全国約1万2千店のセブン-イレブンを支配し、トーハンの副会長を兼務する鈴木氏に対する批判は出版業界のタブーとされてきた。ある大手出版社の役員は「鈴木会長の逆鱗に触れる雑誌を出したらセブンの店先から撤去されるのは目に見えている。おまけにトーハンに圧力をかけられたら書店に出版物が行き渡らなくなる」と打ち明ける。夕刊紙の幹部も「(駅売りの)キオスクの売り場が年々狭くなっており、夕刊紙やスポーツ紙のコンビニ依存度は4割を超えている。セブン批判は一行も書けないよ」と諦め顔だ。

週刊金曜日の記事を書いた人がまた新しく本を出したんですね。
「信なくば立たず!」角田裕育のR・Lジャーナル(セブン−イレブンの真実 本日発売! セブン−イレブンの正体・好評発売中!)
間の悪いことに(あるいは意図的に?)、日経ビジネスなんかつい先日、大特集を組んだばかりだし。
セブン&アイの破壊 鈴木敏文会長、最後の大仕事(日経ビジネス 2009年2月2日号)
セブン&アイ鈴木敏文会長が語る 自己とともに不況を壊す
別の意味で壊れかねないんですけど(笑)
そして今回の件でもやはり、日経は全国紙の中で一番扱いが小さかった。

#しかし何だな、日経ビジネスがマンセーしてきたソニーやトヨタが失速して、これでセブン&アイもダメになったら何と言っていいのやら。2chに「日経ビジネスの呪い」というスレが立ちそうだw
すごいうろおぼえですが、タブーが無いといわれた雑誌『噂の真相』にも批判できないものが二つあって、ひとつは流通を支配する取次、もうひとつは重要な販売拠点であるコンビニだったとか…確かサイゾーの記事だったかな?
とするとやはり、双方に君臨する鈴木敏文最強伝説(笑)ということになります。

あと2chのこの件でのスレを眺めてたら「公取が動いたからにはただでは済まない」「公取を甘くみるな」みたいな書き込みが結構あって、ほーって思いました。
著作物再販や新聞特殊指定をヲチしてて公取のヘタレ具合に落胆していた私にとってはちょっと意外です。もちろん頑張ってほしいですけど。

で、もちろん次は新聞社の販売店に対する「優越的地位の濫用」も取り上げるんですよね? セブンイレブンの容疑が、値引きを禁止する再販売価格維持なら現行法上新聞には適用できませんけど、「押し紙」や店舗改廃という優越的地位の濫用であれば理論上は同じはずです。
しかも「鮮度」の落ちた新聞は値引きしても売れない分、コンビニ弁当より一層悪質だともいえるはず。そういう意味でも今後のマスコミ報道にワクテカですね。

#しかし何ですね、朝日が今回の件を最初に報道した日に公正取引委員会委員の人事が国会で可決されてるんですが、これが前に肩書きに「偽装」があったとして否決された新聞特殊指定見直し派の元公取委事務総長の代わりだったというのもなかなか意味深長です(考えすぎ?)。
<2/24 更新>