セルカン事件〜「論文捏造」「ニセ宇宙飛行士候補」に釣られた東大・朝日・日経の続編です。

論文不正で博士号取り消し 東京大のトルコ人助教(3/5 共同通信)
 セルカン助教は1999年に国費留学生として東京大に入学、博士号を得て2005年に助手(現・助教)となった。日本語による複数の著書があり、マスコミにもしばしば登場していた。

トルコ人の東大助教が論文盗用、博士号取り消し(3/5 産経新聞)
論文盗用:トルコ人助教の博士学位取り消し−−東大(3/6 毎日新聞)
博士号剥奪の東大トルコ人助教、論文4割が盗用(3/6 読売新聞)
 東大によると、博士の学位剥奪(はくだつ)は東大史上初めて。大学側の事情聴取に対し、助教は盗用を認めた。助教は自身のブログなどで、米航空宇宙局(NASA)から、トルコ人初の宇宙飛行士候補に選ばれたとも説明しているが、NASAは読売新聞の取材に「該当者はいない」と回答している。

地道な検証作業と勇気ある告発に携わった方々に敬意を表したいと思います。
信頼性の乏しい情報が氾濫する」などと蔑まれてきたネットが、権威を振りかざしてきたアカデミズムとジャーナリズムの虚像を暴いたことはもっと評価されるべき。

東大の公式発表。

セルカン本人は、何とか自分を正当化しようとしています。盗用という言葉は使いたくないらしい。コピーて(呆

AERA 2006.12.25学術的な話は今回も2chとまとめサイトにお任せするとして(ていうか自分には手に負えない)…
東大はひとつのけじめをつけましたが[※1]、マスコミはどうなの?
彼がこれだけ好き勝手に振る舞えたのは、東大とマスコミの「共謀」という面もあるはずです。

朝日新聞は新たな動きなし。「be」の誤りはあくまで宇宙飛行士候補だけ、と言い募るつもりのようです。セルカンの「日本のお母さん」遠山敦子に再取材してもらいたいものですね!
アエラでも宇宙飛行士候補、NASAのプロジェクトリーダーなど法螺を吹きまくってました。どうせなら表紙に登場するぐらい派手にやってくれてれば叩き甲斐もあったのにw

明日はどっちだ! commentary 313 宇宙エレベーター S・アニリール 宇宙飛行士候補
聞き手・編集局 石塚知子(AERA 2006.12.25)
私は現在、東大大学院で先端技術を応用してインフラに依存せずに生活できる空間技術「インフラフリーライフ」の開発・研究をしています。12月13日にトルコのイスタンプールで開かれた第1回国際インフラフリーシンポジウムでは、国際インフラフリー学会会長として座長を務めました。

「宇宙飛行士候補の肩書を持つ外国人が、なぜ日本でこんな研究をしているのか」と思う人もいることでしょう。まず、それを説明しておきましょう。

私は2010年以降に計画されている米航空宇宙局(NASA)の有人惑星探査ミッションの候補に選ばれています。東大で建築構法を研究中に衛星や宇宙ステーションなどの構造や技術に興味を持ち、「独自の宇宙エレベーター」を構想したのがきっかけでした。

一方読売グループは。
盗用東大助教の著書、中央公論新社が絶版に(3/6 読売新聞)
 中央公論新社は5日、東京大大学院工学系研究科のアニリール・セルカン助教の著書「ポケットの中の宇宙」(中公新書ラクレ)を絶版にすると発表した。

 助教が他人の論文などを盗用していたとして、東大から工学博士の学位を取り消されたことを受けたため。同書は昨年8月10日に刊行。初版は1万部で、実売は4000部程度だったという。

意外と売れないものですね(嘲)。新書バブルを象徴するような出来事ではあります。
読売新聞のサイトにはこんな記事も残っていて、良心的なのか単にうっかりさんなのかw

結果こうなりました。上映アニメ 監修者に論文盗用の東大助教…向井千秋記念科学館が困惑(3/9 読売)
 向井千秋記念子ども科学館(群馬県館林市城町)で上映中のアニメ作品について、監修者の東大トルコ人助教が博士論文を盗用していたとして学位を取り消され、同館が困惑している。助教は以前から数多くの経歴・業績の詐称疑惑が取りざたされ、作品中にも、疑いが持たれている「宇宙飛行士候補」との肩書で登場する。ただ、同館は上映日程に穴が空くとして、配給元から修正版が届くまで上映を継続するという。

日経アーキテクチュア 2008.5.26著書『タイムマシン』の版元、日経BP社は日経アーキテクチュアでも偉そうに語らせるなど、最もセルカンの売名に加担した会社と言ってもいいでしょう。

建築と社会をつなぐ15人の提言(日経アーキテクチュア 2008-5-26)

セルカン以外も内田樹、弘兼憲史、佐藤優に菊川怜(東大卒タレント)、大西若人(朝日新聞記者)などいかにも見栄えだけで選んだような人選です。
弱点を知る アニリール・セルカン氏(宇宙物理学者、工学博士)

日本のゼネコンで働いた経験もある。東大博士課程のときに鹿島に研修生として在籍。清水建設の研究員になったことも。「グループで一つのプロジェクトを遂行する日本のゼネコンの組織力には本当に驚いた。ただ、その力を国内でしか発揮できなていない。もっと世界の中でその力を生かしてほしい」。

週末には一般向けの講演会や子ども向けのワークショップを精力的に行う。「一般の人に話すときには、6歳の子どもがわかる言葉で説明するように心がけている。子どもがわかれば、ほとんどすべての人に伝わる。建築分野にも素晴らしい研究はたくさんあるのに、人に伝わらないから、専門家の間だけで終わってしまう。自分の経験をみんなに伝えたい。そうすれば、未来の建築が生まれると信じている」。 (大家 健史)

確かに日本人はあんたみたいに異国でハッタリをかませませんよ(皮肉

日経BPのサイトはごく最近まで宣伝ブログやインタビュー記事を載せていましたが、今回の発表後丸ごと削除。最低だ!
あくまで小説であって「ノンフィクションじゃないから恥ずかしくないもん!」(笑)と言い張ることもできたのかもしれませんが、やはりやましいところがあったんでしょう。[※2]

アニリール・セルカン『宇宙エレベーター』奥付アニリール・セルカン『宇宙エレベーター』表紙大学内の世界にとどまればまだ被害は少なかったでしょうが、セルカンカレッジと称して学外でカネを取って講演会もどきをやってたというんですから万死に値します。
参加者の一人によるParrot Diaryは必読です。

そしてこちらも。トルコ語サイトのインタビューでは言いたい放題だったようです。
“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(14) - 歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ)
例のインタビュー記事を読んでみて感じたのは、セルカン氏のアニメに対する理解と敬意の欠如でした。アニメそれ自体を一つの表現とは認めず、単なる売名+プロパガンダの手段としかみなしていない気配が非常に濃厚なのです。

氏と日本との関係も似たようなものなのでしょうね。こちらに長居しているのも、他の先進国に比べて人間が騙しやすく、架空の業績と名声を得るには都合の良い環境だったというだけの話で。

これだけの仕掛けが一人でできるはずもなく、2ちゃんねるでは「チームセルカン」の存在が噂されるところ。たとえば最初の著書『地球エレベーター』(大和書房)の編集協力に名前があり、その後マネージャー役をやっているという高橋国子とか。[※3]
本来ならそうしたからくりを暴くのがジャーナリズムの役割なんですけどね…
<3/12 更新>
※1 まだ懲戒処分と、科研費詐取疑惑の究明という大仕事が残ってますけどね。
【工学】東大大学院工学系研究科:アニリール・セルカン助教の博士号取り消し 論文盗用で
57 :名無しのひみつ:2010/03/09(火) 14:50:30 ID:viW8BsNB
さあ燃料おいときますよ。

http://kaken.nii.ac.jp/ja/r/40422331
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18760453/2006/3/ja
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18760453/2007/3/ja

※2 一部ページにかろうじて痕跡をとどめています。

※3 『宇宙エレベーター』のAmazonレビューには大笑いしました。

セルカンとその取り巻きはどうしようもないクズですが、彼をヲチする人には文才がある人が多いですね。