2011年02月03日

日蓮墨筆を読む(359)一乗要決要文

一乗要決要文

『日蓮聖人真蹟集成』(法蔵館)5巻167頁[245]から転載


正嘉元(1257)年 愛知県浅井氏蔵
掛幅1幅貼合行 28.0×11.2


花經 雲經 大雲經 法雲經 弥
勒問經 六波羅蜜經 广訶般若ハら□經 如
是寸無量無邊阿僧{祇}經 或佛説 或化佛説 或大
菩薩説 或メメ説 或諸得道天説 是事和合 皆名广訶衍

一中亅淨名云 二乘不成佛 如高原蓮花 法花七エ云
二乘皆成佛 如衆流皈海 二文相違 如天与地 若偏執不
會 疑網何日除 須會權經流 皈於実(ウ冠に人)教海 諸余權
実(ウ冠に人) 准此應知

§


難読である。原文とも対校しようにも、『一乗要決』を持ち合わせていない。いつだったか、黒岩秀行師から教えていただいた大正新脩大藏經テキストデータベースで“一乗要決”を検索し、データを得た。しかし、当然ことながら、使われている文字はデータどおりではない。日蓮が、どのような字を使っているか「墨筆を読む」という趣旨からするわたしの興味の一つである。

当断簡は貼り合わせで前3行と後4行の脈絡がない。おまけに、前がT2370_.74.0369a27、後がT2370_.74.0352b28で、前が後ろの文である。

1行「六波羅蜜經」の“波羅蜜”の略記がわからない。
つづく「广訶般若ハら□經」は“摩訶般若波羅蜜經”。「般若」は舟偏に若は般若の略字、「ハら」“波羅なのだろうが、蜜がどう略しているのかわからない。
「寸」は“等”の略記。
「無量無邊阿僧{祇}經」の{}で括った書き様がわからない。
4行冒頭「一中亅」としたけれど、『一乗要決』本文には、こんな言葉はなく、また、拙い判読で合っているかどうか覚束ない。
「七エ」としたのは“涅槃”の略記。
6行「実(ウ冠に人)」(ウ冠に人)は“実”の略字。
末に10字ほどあるが、これまた読めない。
いやはや、連載を続けて、恥を晒している如くである。

〔参〕黒岩秀行師からのご教示

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