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不思議な話 怖い話などをまとめます

    sai-1251

    そいつはこの話を『絶対に人に言うなよ』の前提で教えてくれたが、俺に話すと言う事は『言っても良い』って事なんだなと解釈したので書き込みます。

    その友人を誠司とする。

    誠司の友人に義光という奴がいた。

    と言っても2人が会ったのはつい数年前で、俺も2、3回会った事があるだけで、直接喋った事は無かった。

    義光は、なんつーか「陰気」な雰囲気を持っていた。

    そもそもこの話を聞いたのも「カイジ」という漫画に今出ているカジノの社長の顔がそいつにそっくりで、その事を友人に電話したのがきっかけだった。

    ある時期誠司は義光と桃鉄が原因でちょっとした喧嘩をしてしまった。

    それからしばらくは、なんとなく気まずくて会う事は無かったそうだ。

    そんなある日、義光から電話がかかって来た。

    「今から家に来ないか?」

    誠司は胸のつかえが取れたと喜んでそいつの家に行った。

    ドアをノックして中に入ると真っ暗、

    「こっちだ。

    こっち」

    義光の声に誘われて部屋に入る。

    その部屋も何本かのローソクの明かりのみ、

    誠司は「どゆ事?」と聞くと

    「今停電してるんだよ、まあそこに座りなって」

    ああそうかと誠司が座った瞬間、

    「ポンッ」と回りの何本かのロウソクが音を立てて消えたそうだ。

    「うわっ」と驚く誠司の目の前で義光が誠司めがけてロウソクを吹き消した。

    次の瞬間、見えない何かが背中にズンと乗っかって来た後グニュウといった感じで自分の中に入り込んで来た感触があった。

    そんな感覚に驚きながらも

    「あぶねーな、テメーわ、よお」

    ムッとして誠司が言うと、義光は部屋の電気を付けてニヤニヤ笑いながら

    「馬鹿じゃねーの?お前」と態度が急変。

    誠司は「はぁ?」と聞くと義光は

    「今の儀式でお前に貧乏神がついたよ、いやあ、苦労したよ、こいつをこの部屋に連れて来てさあ、この部屋に閉じ込めるのは」

    誠司は急激に腹が立って義光をぶん殴った。

    「俺にいったい何をしたんだ!」

    と怒鳴ると義光は鼻血をだしながら

    「言ったろうがよ!オメーに霊をとりつかせたんだよ!オメーが土下座したら許してやんよ!オラ、さっさとしろクズが!」

    と狂ったように叫ぶ、

    「っの野郎…!」とまた誠司は義光を殴った。

    何度も、何度も。

    しかし義光の態度は変わらない。

    誠司は最後に近くにあったPS2を思いきり義光に投げ付けて家に帰った。

    その日から、夜中の3時近くになると頭痛と耳鳴り、そして気持ちが悪くなり何度も吐くといった日々が続く。

    医者に行っても原因不明、薬を飲んでもまったく効かないそうだ。

    義光の家に行っても誰もいない。

    毎晩の吐き気で眠れない誠司は軽いノイローゼーになったらしい

    「その時書いた日記もさ、訳わかんねえんだよ」

    と俺に言ったので、是非にと誠司の家で見せてもらった。

    2ちゃんに書き込むネタ発見!

    「この日記帳少し貸してくれ」

    とお願いしたのだが、

    「お前に貸したら何されるかわからん」と固く断られた。

    ならばと誠司が買い物に行っている隙に、何ページかをスキャンして自分宛にメールで送信してやった。

    日記帳には次のような事が書かれていた

    ○月○日 あたり(←天気を記載する場所に書かれていた)今日からめんそ、げら、眠ることはやしけどそんあの ばかり だな。
    恒久の平和崇高ゆうこさんからせんべいさんえび。。。
    ……………(読めない)あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あああがあああがっがああがああ?あ?むいりむりやっぱりなあそうだったか だらーうぜーくう……………
    あかい月あかい日 やり ないふそらからびばああばば、痛いいたいい。
    きつ月山日 板色 たすけてみてるみてるみてるみてるみえい。
    あっ8たこそおかしくりはらえんが骨が出現みてない。
    むけもむけてもだらだら流れりしてらんあい

    ……本当に訳わからん。

    そして「このままじゃマズイ」と思った誠司は友人麻比古に相談した。

    麻比古の実家は結構有名な神社の息子で霊感がある。

    因にその神社には名のあるミュージシャンなどが祈願にやって来るそうだ。

    「電話じゃ何だから」と麻比古は直接誠司に会った。

    誠司を見るなり「ああ…、嫌な感じがするな、お前」と麻比古は言った。

    「どうすればいいのかな?」

    誠司が聞くと麻比古は

    「取りあえず、その義光の家に案内してくれ」

    そして2人は義光の家に、相変わらず人の気配は無い。

    郵便受けには広告や手紙がつまっている。

    「んー…」と麻比古は唸った後に「今から行くか」と、麻比古は誠司を自分の車に乗せた。

    「どこに行くの」

    聞く誠司に麻比古はタオルを渡して「それで目隠ししてくれ」と言う。

    「え?何で?」

    「いいから俺を信じろって、助けてやるからさ、着いたら起こしてやるし、しばらく寝てろ」

    と麻比古が言ったので「じゃあ、そうするか」

    と誠司はタオルで目隠しをして後ろの座席で横になった。

    横になり目を閉じて車に乗っていると、なぜか子供の頃を思い出して懐かしい気分になった。

    車は左右に曲ったり砂利の上を走ったり…、しばらくすると麻比古は携帯で何所かに電話をしている。

    「今から行くから、ああ…」

    その内誠司は妙な安心感からか眠ってしまった。

    「おーい。着いたぞー」

    その声で誠司は目覚めた。

    反射的に目隠しを取ろうとする誠司を麻比古は

    「まだ取るなって!」と、それを止めた。

    そのまま誠司は何人かの人に腕を取られながら何所かへと連れて行かれた。

    砂利の上を歩いているのが足の感触でわかった。

    途中から靴を脱がされて建物の中に入って行く。

    「久しぶり」と言う麻比古の声と「ああ、この子か」と低い誰かの声、しばらく行くと「着いたから座って」と麻比古に言われ、その場に座った。

    床が冷たかった。

    なにかお香のような匂いがする。

    が、妙に落ち着き、そしてなぜか泣きそうになる匂いだった。

    「目隠し取るぞ」

    と麻比古が言ってタオルが外された。

    暗い。

    何本かのロウソク、まるであの時の義光の部屋のようだった。

    上を見るとかなり高い天井から何本かのロープがぶら下がっている。

    部屋の四隅にもロープやおサツ、目が馴れず上手く見えないので目を細めてジッと見つめようとすると「こんばんは」と低い声。

    見ると誰かが自分の前方に座っている。

    見た目はヤクザ、その人は立ち上がり誠司に近付いて

    「そのまま」と誠司の目を親指でアカンベーするように目の下の皮を引っ張った。

    そして誠司の目をジッと見た後

    「可哀想になぁ、今迄つらかったろ、よく頑張ったな」と優しく言った。

    心身とも疲れていた誠司はその言葉を聞いてボロボロと泣いてしまった。

    「うん、それでいい。とりあえず無理に泣き止もうとせんで力を抜いて感情に身をまかせりゃええでな」

    と誠司が泣き止む迄ジッと待っていた。

    誠司が泣き止むと

    「息子から大体の事は聞いたが、君の言葉でもう一度、その時の状況を事細かに教えてくれんかね?」

    というので誠司はそれに答えた。

    するとその人は

    「やはりな、お前さんに憑いとる霊はここにいてはいけない霊だでな、それはなあ、いわゆる自縛霊というもので、本来は人で無く場所に憑く霊なんだよ、だが君の友人があるやり方したもんで自縛霊を憑いていた場所から引き剥がして君の体を霊の憑く場所にしてしまったんだ。今から引き剥がすで、力抜いてそのままでな」

    と、誠司の後ろに回って砂のようなものを首に擦り付けた。

    その後お経のようなものを唱えながらシャンシャンと鈴の様なものを鳴らしはじめた。

    誠司の体は一定の感覚でブルルッ、ブルルッ、と震えたそうだ。

    その内頭がクラクラし、意識がもうろうとする。

    最後に体が立ち上がる程ブルルルッと震え、何かが自分の体から抜けて言った。

    その後そのまま車に乗せられて帰る事に、頭はボーッとしたままだ。

    だが今度は目隠しは無し

    「悪かったな、目隠ししちまって、あーゆーのはさ、場所とかの先入観無い方が成功しやすいからさ」

    と遠くで聞こえる麻比古の声を聞きながら誠司は眠ってしまった。

    気が付くと家の前、麻比古に起こされ目が覚めた。

    外はすっかり夜になっている。

    麻比古は「今日は俺が一緒に止まるよ」とデカイ荷物と共に誠司の家に上がり込んだ。

    そして家の中をウロウロした後誠司の家の見取り図を紙に書いて「FAXある?」と聞いたので無いと答えると「それじゃあ」と麻比古はコンビニへ行きFAXをした。

    誠司は麻比古に「何がはじまるの?俺はもう大丈夫なんだよね?」

    と聞くと、麻比古は

    「まだ終わって無いよ、きっとその内引き剥がされた霊がお前の所に戻って来る可能性がある。これからその対策をするのだ」と答える。

    すると麻比古の携帯に電話が、どうやら麻比古の父かららしい。

    麻比古は誠司の家の見取り図を見ながら

    「うん…そう、そっちが北ね、ああ、やっぱりこのルートね」

    と、ひとしきり喋った後電話を切り

    「今から帰って来る霊を追い返す処置をするから手伝ってくれ、あ…、鏡が無いや、誠司の家って全身が映る鏡ある?」

    「いや、無いよ」

    「じゃ、買いに行くぞ」

    そして近くのロヂャースで全身が映る姿見を買い、家に帰ると誠司の家の見取り図を見せて

    「お前の家のここ、ここが霊道になってるのよ、霊道ってのはさ、もしお前の家に霊がやって来るとすんだろ?その場合霊が通る場所ってのがあるんだよ、それが霊道ね、いまからその道に障害物とかを置いて通行止めにするんだよ」

    どうやら誠司宅の霊道は玄関から入り真直ぐ廊下を突き抜けて外に出るルートらしい。

    「最良のルートだ」と麻比古は言った。

    そして持って来た荷物の中から色々取り出して廊下の端に祭壇の様なものと日本酒の入ったコップ、そして廊下を塞ぐような形で姿見を置いた。

    何でもこうする事により玄関から入って来た霊が鏡に映った自分を見て死んでいる事を気付かせる。

    また鏡には色んなものを反射する力があるので、鏡にぶつかった霊は鏡に跳ね返されて戻って行ってしまうらしい。

    「これを何日か続ければ霊は消えるか他の場所に行ってしまう」

    と麻比古は言う。

    その夜麻比古は色んな事を教えてくれた。

    誠司を連れて言った場所が麻比古の実家、誠司の除霊をしてくれたのが麻比古の父であった事、義光の家は安易な行動の為に関係ない霊までが集まってしまっているのだが、恐らく間違った結界を貼ってしまった為に霊達があの場所から出るに出れない状況、それに耐えられず義光はあの家にいられなくなった。または死んでいるだろう、と。

    結局その夜は何も起らなかった。

    誠司は久しぶりにまともに眠れた。

    次の日、誠司にお礼を言われた麻比古はそのまま仕事に行き、誠司はバイトに行った。

    その際麻比古はいくつか誠司に注意をしていった

    「日本酒は毎日取り替える事」

    「鏡は出来れば動かさない事、特に夜は絶対にあの場所に置いておく事」

    「出来れば塩も盛っておく事」等。

    その事を誠司はキチンと守った。

    そして何日後の夜、誠司はある物音で目が覚めた。

    耳をすまして聞くと、ミシッ、ミシッ、と何者かが廊下を歩いている

    「帰ってきやがった!」

    そう思いジッとしていると

    「ガン、ガシャーン!」と何かが落ちる音が!

    「うわー」と震えていると何時の間にか物音は消えてしまった。

    朝廊下に出てみると廊下の脇に置いてある洗濯機の上に置いてあった物が廊下に散らばっていた。

    その日誠司と麻比古はファミレスで会う、誠司が昨晩の事を話すと

    「ああ、そりゃあ、霊の奴がムシャクシャしてやったんだよ」

    麻比古は笑いながら言った。

    やな霊だな、オイ」

    「ま、そんだけ効果があるって事だからね、出来るだけ廊下付近には余計な物置かないこった」

    と麻比古は言って帰っていった。

    さっそく廊下付近の物を無くし、廊下を歩く音にも馴れ、朝起きて夜ぐっすり眠るという普通の生活を取り戻し、ついに霊は現れなくなった。

    麻比古も誠司の家に来て

    「これならもう大丈夫、御苦労様でした」

    と事件の終わりを告げた。

    しかし、こうなると気掛かりなのは義光の行方。

    麻比古に聞いても

    「別に知ったこっちゃ無ぇんじゃね?まあ死んだ所で自業自得だしな」
    と、全然気にしていない。

    まあ、麻比古と義光は直接会った事も無いのでそんなもんなんだろう。

    数日後誠司と義光の共通の友人勝男から義光の事を聞いた。

    麻比古の言う通り義光はあの後すぐ実家に帰って、そこで暮らしていたそうだ。

    その数日後、夜2階の部屋で寝ていた義光を義光の父が包丁でメッタ突きにして殺してしまったそうだ。

    その後父は2階から飛び下りて骨を骨折、しかもその時の事は覚えて無いらしい。

    ただ奥さんの話しだと、その夜は何か父の様子がおかしかったそうだ

    「この世ではない物に腕を舐められた」

    と訳のわからん事を言っていたそうだ。


    sai-1250

    祖父母が健在だったころ、私の田舎には大きな持ち家がありました。

    母屋と離れの二棟から成るその家、特に物置として放置されていた離れは当時、小学生の私にとって格好の遊び場所となっていました。

    田舎に帰省した時には、隣の子と一緒に離れで『かくれんぼ』をするその度に祖母にたしなめられたものですが、その意味を深く考えることはありませんでした。

    その日、途中でかくれんぼを切り上げ、外に遊びに行こうとした私と隣家の子を、祖父が呼び止めました。

    言いつけを聞かない悪ガキにも、祖父は決して怒ることはなく私と隣家の子にお菓子をくれ、『離れ』にまつわるちょっとした怪談を聞かせてくれました。

    とりたてて怖い話ではないかもしれませんが、今日はその話について書いてみます。

    その家は祖父の家系代々の持ち物で、祖父もそこで生まれ、そこで育った人でした。

    家にはちょっと変わった決まり事があり、それは……

    『離れの二階、東の部屋には入らないこと』

    というものでした。

    理由は語らず、かたくなに忌諱する。

    田舎にはそういう『理由の分からない習わし』がいくつか残っていました。

    そんな決まりはあるものの、家には物が多いためか離れには倉庫としての需要が多く、いつでも家の者が出入りできるようにと、鍵は分かり易い場所に掛けてあったそうです。

    『ソレ』が起こった当時、祖父は私と同じぐらいの年頃の少年でした。

    家の者が出払ったある日、祖父は歳二つ上の兄と自分の友達の3人で遊び、離れで『かくれんぼ』をしました。

    いんじゃん(ジャンケン)で負けた友達が鬼になり、祖父と兄が隠れる役。

    鬼は母屋で百を数えて、数え終わったら離れを探す。

    遠く、母屋の外壁に伏せた鬼が、「いーち、にいー」と元気に読み上げる声がする。

    離れはどの部屋も荷物が積まれ、なかなか隠れ甲斐のある場所が多い。

    一階の奥の部屋に隠れる、と言った祖父に対し、兄は

    「じゃあ俺はあの部屋に隠れる」

    と言い出しました。

    家に遊びに来ることの多い、仲良い幾人かの友達は、『離れの二階の部屋』の話を知っています。

    余所様の家で入ってはいけない場所は、隠れるためにこれほど都合の良い場所はないでしょう。

    「それはだめだよ!」

    とたしなめますが、体格も良くケンカの強い兄には、祖父の制止も逆効果でした。

    急いで階段を上る音が聞こえ、少し間が空いて、祖父の隠れた部屋から真上にあたる『或る部屋』に踏み込む足音が聞こえました。

    上の部屋、奥の方で 『カタ、コトン』と少し硬い音。

    それは押入を開けた音か、何か荷物を動かした音か……

    百を数えた鬼が、母屋から走ってきました。

    はじめに土間や台所を探していたのでしょうか、しばらくしてから祖父の隠れた部屋へと踏み込んできました。

    積まれた荷物の隙間に、器用に身を収めた祖父を見つけるのは難しく、鬼は

    「くっそー、どこだー」

    と言う言葉を残して部屋を後にしました。

    安堵した祖父が荷物の隙間から顔を覗かせたその時、上の部屋から

    『ガタンッ』

    と言う少し大きな音がしました。

    それを聞きつけた鬼は、祖父の隠れていた部屋で音がしたものと間違え、再び部屋に戻ってきました。

    突然の物音に呆けていた祖父は、あっけなく鬼に見つかりました。

    鬼は祖父を見つけたあと、一階の残り二部屋、再び台所を探した後、二階へと向かいました。

    物音が気がかりな祖父は、鬼のあとについて一緒に二階へ。

    どの部屋にも荷物が積まれ、鬼はその中をくまなく探しました。

    ですが、いずれの部屋にも、兄はいませんでした。

    残った部屋は『あの部屋』だけでしたが、余所様の家で出入りを禁じられている部屋です。

    強い確信を持ちながらも、鬼はその部屋の襖すら開ける気にはなれませんでした。

    部屋の前から

    「せいすけくん、そこに隠れてるだろ」

    と呼びかけるも返事はなく、目で合図を受けた祖父は、

    「ここに隠れてるはず」と返す。

    そんなやり取りの中で、襖の向こう、部屋の中から

    『カタ、コトン』と硬い音がしました。

    その音に後押しされ、二人は襖を、勢いよく、開けました。

    部屋には一つの荷物も無く、人の気配も無く、本当に何もありませんでした。

    奥に一つ押入があり、ためらいがちに部屋に踏み入った二人は押入の戸を開きました。

    むわっ、と何か塊になったような空気が流れ出してきました。

    ですが、押入の中に期待していた兄の姿はなく、ただ一つ、液体の入った小さな杯が置かれていました。

    言葉にできない気味の悪さに包まれ、二人は逃げるように部屋を後にしました。

    結局、兄は見つかりませんでした。

    部屋と言う部屋、人の隠れれそうな場所は何度も探し、呼びかけました。

    離れだけでなく、母屋も必死になって探しました。どこに兄の姿はありませんでした。

    事態に怖くなった二人は、家の者が帰る前に外へと出ました。兄が見つからなかったら、こう言おう。

    「今日は二人で外で遊んでいた」

    夕方、帰ってきた両親と姉。兄を探す母に

    「せいすけはどこ行ったの?」

    と聞かれましたが、知らぬ存ぜぬを通しました。

    夜になっても帰らない兄を、父が探しに出かけました。夜も更けて、未だ見つからない兄を隣近所の大人も探しました。

    家は一晩中せわしなく、祖父は後ろめたさと得体の知れない恐ろしさに、布団の中で震えました。朝を迎えても兄は見つからず、家には近隣の大人や警察があわただしく出入りを繰り返しています。

    昼を過ぎる頃、自分の隠していることの重みに耐えかね、母の姿を探しはじめたその時

    「見つかった」と言う知らせが飛び込んできました。

    ……兄は死んでいました。

    兄は村のはずれを通る川の下流で、死体で発見されました。

    溺死と判断されたその死体に外傷はなく、しかし、何故か足は裸足でした。

    ここまでが祖父から聞いた話。

    「あそこは、おとろしいところじゃから、いったらいかんで」

    と、話し終えた祖父は私と隣家の子に、優しく強く言い聞かせました。

    私たちは二度と離れに入らないと約束しました。

    祖父から聞かされた話は、私にとって非常に恐ろしい思い出として心に残っています。

    ですが、その話を聞かなくても、離れに入ることはなかったと思います。

    祖父に声をかけられる前に、私たちは『かくれんぼ』をやめていました。

    一階東の部屋に隠れた要領の悪い私を、隣家の子はすぐに見つけました。

    次の鬼を決めるためにジャンケンをしようとしたその時、上の部屋から

    『ガタン』と物音が。

    恐る恐る様子を見に行った『あの部屋』の前で、確かに聞いたんです。

    襖の向こうから

    『カタ、コトン』という、硬い音を……


    sai-1249


    もう三〇数年以上も前の、私が小学生だった頃のこと。祖父の家に遊びに行った時の出来事だった。

    2011/01/13 02:51

    寒くて凍てつきそうなこの季節になると、昨日の事の様に記憶が鮮明に蘇る。

    学校が夏休みや冬休みになると、私は父親の実家でもある、祖父の家に毎年の様に長期で預けられた。

    ひと夏、ひと冬を祖父と必ず過ごしていた。

    あの年の冬もそんな祖父は、相変わらず太陽の様な、愛情に満ち溢れた優しい笑顔で私を迎えてくれた。

    「よう来たな健太、少し大きくなったか?」

    私はたまらず祖父に抱き着き、いつもの様に風呂も寝る時も一緒に過ごした。

    祖母は随分前に他界しており、祖父は一人、小さな家で暮らしている。

    祖父もきっと、私が訪れるのを毎回とても楽しみにしていたに違いない。

    祖父の家は、東北地方の山間に位置する集落にある。

    私は毎年祖父の家を訪れる度に、冒険するようなワクワク感に駆られていた。

    当時、私は都心の方に住んでいたので、祖父の住む土地の全てが新鮮だった。

    清らかに流れる川や、雄大な山々、清々しい木々など、神々しく感じる程の素晴らしい大自然が、私は大好きだった。

    特に冬になると、雪が降り、辺りは一面キラキラ光る銀世界で、都心では滅多に見れない光景だ。

    そんな中でも、なにより私は祖父が大好きだった。

    いつも穏やかで優しく、決して怒るということはしない。

    その穏やかな性格と屈託のない笑顔で、祖父はたくさんの人たちから愛されており、花がパッと咲いた様に、祖父の周りはいつも笑顔が絶えなかった。

    また、祖父は農業の他に、マタギ(猟師)の仕事をしており、山の全てに精通していた。

    大自然と共に生き、また、生き物の命を奪う、マタギという仕事をしているが故に、誰よりも命の尊さや、自然の大切さと調和を何よりも重んじている人だった。

    祖父の家に滞在して、はや一週間経ったそんなある日の朝

    私は集落の友人彰と隆志二人と、秘密基地を作りに出かけた。

    「いってきまーす!おじい、おにぎりありがとう!」

    「おお、気をつけるんだぞ。川に落ちないようにな。あまり遠くに行くんでねぇぞ。あ、ちょっと待て!健太」

    「なに?」

    「ええか、健太。何度も言うが《中つ森》にだけは絶対に行ったらいかんぞ。あそこはおじい達も近づけん場所だからな。わかってるか?」

    「うん、わかってるよ」

    「それと……なんだか今朝から山の様子がおかしくてな。鳥がギャーギャーうるせぇし、それでいて山の方は妙に静かなんだが、変に落ちつかねぇ。
    おめぇにあんまり小うるせぇ事は言いたくねぇけど、こんな日はなるたけ山の奥には行くんでねぇぞ」

    「はーい」

    その日は、この時期には珍しく雪が降っておらず、よく晴れた日だった。

    それ以外は何も変わらない、いつもの朝だ。

    だが、この時私はまだ、祖父の言っていた言葉の意味がよくわからなかった。

    ところで《中つ森》というのは、この山の中のある一部の森で、そこには絶対に行ってはいけないと、祖父から常々言われている場所だった。

    近づいてはいけない理由は、なんでも中つ森はこの山の神様である、山神様を奉ってある神聖な森であるから、決して立ち入ってはならないのだとか。

    もし山神様に会ってしまうと、命を吸われたりだとか、はたまた生命力を与え、一生健康に暮らせるだとか、色々な話があるようだ。

    命を奪いもすれば与えもする、この山そのものの神様、と、祖父は言っていた。

    もっとも、私はもともとここの人間ではないし、中つ森の場所がどういう場所でどこに存在するのかも、いまいちよくわからなかったので、つゆしらずだった。

    そして私は友人たちと合流し、山に到着したあと、秘密基地を作る場所を探した。

    「さてどこで作るか?」

    「俺達の秘密の隠れ家なんだし、もう少し奥にいこうよ」

    「大人に見つかったら隠れ家の意味ないもんね」

    私達は更に山奥に進んだ。

    三十分ほど歩くと雑木林の中に丁度良い、開けた場所があり、そこに秘密基地(秘密基地と言ってもかまくらだが)を作ることにした。

    そして昼も過ぎ、昼食をとりながら基地作りに没頭していた。

    日が暮れかけている夕方になった頃、彰は落ち着かない様子で林の奥の方を見つめていた。

    「どうしたの?」

    「……なんか、山が変な感じだ。いつもと違う」

    私には彰の言ってる意味がよくわからなかった。

    私の目に映るのは、別にいつもと変わらない、ありふれた山の光景だ。

    ただ、確かなことは、彰の言っていることは祖父の言っていたことと重なっていた。

    「どういうこと?」

    「俺もようわからんけど、なんかこう……山がゆらゆら揺らめいてる感じだ。吹いてくる風もなんか変なんだ。寒くもないし暖かくもないし……ほら、見れ!」

    彰が指さした森林の奥を、鹿が五、六頭群れをなして走り去った。

    そして続くように、鳥の群れも、何かから追われるように騒ぎ立てながら私達の上を飛び去っていった。

    隆志「今の時期、鹿はもっと上の奥の方にいるはずなのにどうしてだ?熊から逃げてるのかな?それだったらまずいぞ」

    彰「いや、この辺りは村のおじい達(マタギ)が仕切ってるから熊は絶対近寄らんて。やっぱりなんか変だよ、もう今日は帰ろう」

    隆志「そうだな、今日は帰った方がよさそうだ。遅いし」

    まだまだ遊べたが、私達は早々に帰ることにした。

    この時なんとなく嫌な感じがしたのを、まだ覚えている。

    帰路について二〇分ほど歩いたが、どうも周りの様子がおかしかった。

    隆志「なぁ、こんな所通ったか?来る時こんなでけぇ岩なかったろ」

    彰「うん、右行ってみるか。あっちだったかもしれん」

    しかし右へ行っても違っていた。私達は完全に迷っていたのだ。

    私はともかく、彰と隆志にとってここは地元の山だ。しょっちゅうこの辺りで遊んでいる。

    二人にとっては庭の様な所で、決して迷う様な場所ではなかった。

    もうどれほど歩いただろうか。

    時間も距離も、今どこにいるかということさえも、私達にはわからなかった。

    まるで同じ場所をグルグル回っているかの様に思える程に、途方に暮れてしまった。

    私達はいつのまにか深い森に入ってしまっており、冬という日照時間が短い季節のせいなのか、森の木々が太陽を遮っているのかわからなかったが、辺りは段々暗くなっていた。

    いつのまにか雪も降りだし、寒さも増し、子供心に不安が募る。

    更にしばらく歩くと太陽は沈みかけ、村役場の一七時を知らせる鐘が鳴り響いた。

    「もう一七時だよ。ここどこ?」


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