斎藤酒場
2軒目は十条駅の方に移動して昭和3年創業の老舗『斎藤酒場』へ。ここは太田和彦氏の名著「新 精選 東京の居酒屋」にも掲載されている店で、「散歩の達人の」の別冊「THE 東京夕暮れスタイル」ではトップで紹介された名店だ。元々は酒屋で立ち飲みもやっていたが、父親が太平洋戦争で帰って来れず、徴兵で男手が足りず配達もできない中、女手だけで居酒屋を始めたのが今のスタイルの原型らしい。
店は駅前の細い通りを入るとすぐにある。濃紺の激烈に渋い暖簾をくぐって店に入るとまず感じるのが空気の色が違うのである。電球の違いとかではない歴史が産む独特のものですねー。月島の『岸田屋』にも近いような空気。
店内は大きめの木のテーブルが5卓ほどで、基本的に合席。自分が案内された席は木の自然な形というか歪なへこんだ場所で、そこにはめ込まれるような感じで座った(笑)。ホールは3人位のおばちゃんたちが担当。この人達の暖かい接客もこの店の魅力のひとつなんでしょう。明らかに始めてという雰囲気の1人客の自分にも、常連客と差別する事なく優しく接してくれました。
メニューは刺身、煮物、揚げ物などベーシックな居酒屋メニューばかりでどれも安い。まぐろの刺身は例外的に450円ですが、ほとんどが300円前後ですね。串かつ、コロッケ、ポテトサラダ、肉どうふ辺りが人気のようです。
とりあえずレモンサワー(280円)と肉どうふ(300円)を注文。肉どうふはあっさりした醤油味ながらしっかりと味が染みていてホッとする。
2杯目に清酒(160円!!)を注文。ついでにポテトサラダ(200円)をもらう。このポテトサラダ、何とも言えず家庭的な懐かしい味だ。味付けもあっさり過ぎずこってり過ぎない絶妙な加減。どこの店でもあるメニューなのだがちょっとした感動すら覚えた。
2杯で帰る予定だったが清酒をおかわり。ついでにしいたけ煮(200円)も。
店は常に満席で自分が滞在中何人も返されていた。長居する感じでもないのでお会計。何と1300円。人情味ある暖かい雰囲気の中、安く呑める。繁盛の理由も納得の、古き良き居酒屋の見本のような店だ。おばちゃんが「よろしかったらまたどうぞ〜」と声を掛けてくださったので、「はい、また来ます」と残して店をあとにした。
帰りに駅の反対側にある讃岐うどんの『すみた』に行くが残念ながら終わっていた。『斎藤酒場』で長居しすぎたようです…。近辺には他にも気になる店があるので近々また、という感じです