朝晩がグッと冷え込むようになり、樹木が赤や黄色に色づく美しい11月がやってきました。紅葉狩りにでかけたり、鍋を囲んだり、目にも食欲にもうれしいシーズン到来! 晩秋の澄み渡る空気が、気持ちよく、体調も落ち着くときですね。実りの秋は、妊活にもベストシーズンです。夫婦ふたりで出かけると気分も上がります。気持ちいい気候の中、授かり体質にシフトチェンジしましょう。
1

妊娠しやすいカラダづくりのために、先月に引き続き、若さを保ち妊娠・出産にも重要な役割を果たすミトコンドリアについてお話しましょう。

 

抗加齢対策には、細胞にある小器官であるミトコンドリアを増やすことが重要です。なぜなら、ミトコンドリアには、すべての生命活動を維持するエネルギー(ATP)をつくる働きがあるから。ミトコンドリアの機能が衰えると充分なエネルギーがつくれなくなり、細胞の機能が低下、老化につながります。

加齢による妊娠率の低下は、卵子のミトコンドリアの機能低下が原因の一つではないかと考えられています。卵子の質が悪いと言われても、自分では特に心当たりがない、という方がほとんどではないでしょうか?

 

卵子の質を改善するための妊活キーワードは、ミトコンドリアを「増やす」ことと、「守る」こと。そこで先月は、ミトコンドリアを「増やす」ために運動を、というお話をしました。今月は、ミトコンドリアを「守る」ためにできることを考えてみたいと思います。

 

ミトコンドリアの老化の原因のひとつは、活性酸素の大量発生によるダメージです。ミトコンドリアを守るためには、過剰な活性酸素の発生をおさえることが重要になってきます。活性酸素とは元来、体内に入ってくる細菌やカビ、有害物質から私たちの体を守るもので、なくてはならないものです。しかし近年は、オゾン層の破壊や大気汚染などの環境が悪化して、体の中の活性酸素が必要以上に増加しています。加えて、生活環境の変化とストレスにより活性酸素がさらに増加! 増えすぎた活性酸素は、健康面のトラブルを引き起こす原因になります。

 

活性酸素とは、そもそもどのようにして増えるのでしょうか。ミトコンドリアがエネルギーをつくるとき、電子がミトコンドリアの膜の上を流れています。ミトコンドリアには、とてつもない電圧がかかっていて、一瞬でも電圧が高くなりすぎると電子がこぼれ落ちてしまいます。この、膜からこぼれ落ちた電子が、近くの酸素とくっついて活性酸素が発生します。私たちの体は、生きるためのエネルギーをつくると同時に活性酸素をもつくりだすのです。

 

そして、活性酸素は、呼吸するだけでも発生します。私たちが生きていくためには、活性酸素は不可欠なもの。健康な体なら、活性酸素はミトコンドリアの中で処理され、外にもれ出て悪さをすることはありません。しかし、活性酸素が過剰になると、自力で処理できなくなり体のあちこちで組織が破壊されるようになります。活性酸素が細胞を酸化させ、老化や病気の原因になるのです。

 

喫煙やアルコール、脂肪のとりすぎや過度な運動、ストレスなどは、活性酸素を増やすので注意が必要です。排気ガスや紫外線などにも気をつけて。最近、肌が荒れてきた方、もしかしたら、活性酸素が増えすぎているサインかもしれません。肌は、体内の様子を知るバロメーターです。自分の健康状態を把握し、健康な暮らしを心がけましょう。
2

さらに、ミトコンドリアを守るためには、「活性酸素を増やしすぎないこと」と「発生した活性酸素を速やかに除去すること=抗酸化」が重要です。活性酸素を適量に保つためには、日ごろから暴飲暴食を避け、ストレスを上手に乗り切りながら、適度な運動を心がけましょう。規則正しい生活習慣こそが、ミトコンドリアを守ってくれるのです。

 

忙しさにかまけて、いい加減な食事をしたり、食欲の秋だからとおいしいものの誘惑に負けて、つい食べ過ぎたり飲みすぎたりしていませんか。腹八分目、バランスのいいメニューを心がけ、おいしいものはよく味わいながら少量ずついただくようにしましょう。アルコールをストレス解消の楽しみにしている方、飲みすぎは、活性酸素を増やしミトコンドリアを疲れさせ、老化につながります。過度な飲酒は控えましょう。

 

活性酸素が適量で、ミトコンドリアが元気なら、全身にある60兆の細胞のひとつひとつが元気になり、若返ります。するとお肌がつやつやになり、卵子の若返りも期待できます。当院では、抗加齢対策としてミトコンドリアに注目しています。卵子の老化に直接効果のある物質は、残念ながらまだ見つかっていませんが、全身への抗酸化療法が卵子の抗酸化と機能向上につながるのではないかと期待されています。

 

自然環境が悪化し、ストレスフルな現代。自分のミトコンドリアは自分で守り、より若々しく元気でいたいものです。そのために、ミトコンドリアを「増やす」ことと「守る」ことを意識してください。

 

ゆるやかで適度な運動をして、ミトコンドリアが多く存在する赤い筋肉を増やしましょう。同時に、ミトコンドリアが多くある脳を活性化するよう、パソコンやスマホから離れ、ゆっくりと読書に親しんでみてはいかがですか? また、文字を書くと脳が活性化するのでおすすめです。たまには、お友だちや大切な方に手書きでお手紙を書いてみるのもいいでしょう。
3

ミトコンドリアが増えたら、活性酸素を増やしすぎないよう、きちんとした生活習慣を身につけ、ミトコンドリアを守ることが重要です。

 

根菜のおいしいこの季節、旬の食材で手料理を楽しんでみませんか。外食やインスタント食品に頼りがちでは、ミトコンドリアが元気になれません。あたりまえのことですが、バランスのいい食事で充分な栄養を補い、充分な休息と睡眠を大切にしましょう。要は、早寝早起き、適度に体を動かし、規則正しい生活をすることがいちばんたいせつということ。昔の人が、あたりまえにしていた普通の生活が、現代の私たちにはいちばん難しいというのも皮肉なものです。

 

生きている限り、ミトコンドリアは休みなくエネルギーをつくり続け、細胞が生まれては死に、老化していきます。少しでも若く元気でいられるよう、エネルギー工場であるミトコンドリアの数を増やし、ミトコンドリアの機能を維持するよう心がけましょう。誘惑に負けそうになったとき、ミトコンドリアを「守る」ことが、若返りにつながるのだと思い返せるといいですね。

4