幸町IVFクリニック 院長と培養士のIVFこぼれ話

幸町IVFクリニックの院長と培養士の、役に立つような、立たないようなブログです。 (主に院長の文句?)

2017年07月

原因不明なのになぜ体外受精?

幸町IVFクリニック 院長の雀部です。たま~に登場しますので、よろしくお願いいたします。

 

しばらくは、診察室でよく遭遇する患者さんの疑問や誤解をテーマに取り上げていきたいと思います。まずは、

Q 「前の病院で体外受精を勧められたんですが、不妊原因不明なのになんで体外受精が必要なんですか?」

先に答えをいいますと、

A 「不妊原因不明だからこそ体外受精が必要なんです。」

 

この質問をされた患者さんの頭の中では、

不妊検査で原因が見つからなかった

不妊原因が無い(異常なし)のだから妊娠するはず

体外受精などの高度な治療はいらない

と考えているのではないかと想像されます。

 

順を追って説明していきます。主な不妊検査として、ホルモン検査、甲状腺機能検査、卵管疎通性検査(通水や子宮卵管造影検査など)、クラミジアトラコマティス抗原・抗体、フーナー検査、一般精液検査、抗精子抗体検査などがあります(他にも細かい検査はたくさんあります)。どれも妊娠に関係しているものを調べているのですが、一番重要な部分、つまり妊娠の本体部分を調べていません(というか調べることができない)。卵子・精子が本当に出会っているのか、正常受精が実際に成立しているのか、受精卵(胚)が正しい発育しているのか、については調べることができないのです。ですから、不妊検査にて原因が見つからなかったことと、異常なしは意味が違います。

それでは、妊娠の本体部分を調べるためにはどうしたらいいのでしょうか。

答えは、「体外受精をやる」です。

体外受精というと治療のイメージを持たれている方が多いのですが、実は半分検査、半分治療なのです。検査と治療が同時進行していくとイメージしてもらえればいいかと思います。ですから、不妊検査で原因不明、かつタイミング法や人工授精法などで妊娠しない場合、次のステップとして体外受精が選択肢として浮上してくるのです。

 

もう一度Q&Aを振り返ってみましょう。

Q 「前の病院で体外受精を勧められたんですが、不妊原因不明なのになんで体外受精が必要なんですか?」

A 「不妊原因不明だからこそ体外受精が必要なんです。」

答えの意味を理解していただけたでしょうか?

 

皆様の妊活に少しでも役立ってもらえれば幸いです。


 


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妊娠のためには鉄って大事です。

こんにちは 幸町IVFクリニック 培養室の雀部です。

 

なんだかすっかり真夏、っていう気温で、毎年こんなに暑かったかなぁ?なんて思ったら、二十四節気では、昨日7日は小暑。つまり本日から暑い日!ってことらしい。

暑中見舞いも、この日から。というわけで、文句言えないのかー・・・。


でも、暑いモンは暑いよーーヽ(#`Д´)ノ!!

 

はぁ。・・・培養室に入る前にイライラも飛ばさないとね。

 

不妊治療中でホルモン剤を使っている場合、薬によっては血液がドロドロになりやすいものもあるので、普段以上に水分摂取を心がけましょう。一気にグビグビ飲むのじゃなく、少量でもちょこちょこ補給する方が良いですよ。血液サラサラがポイントですよ。

 

さて。

先述の通り、私は検査技師でもあるので、培養室も検査も管理しています。

 

当院では患者さんの術前検査の結果は、検査の専任者が最初に一次スクリーニングを行って、次に私のところで初診時の問診とか持参資料から、臨床情報に照らし合わせて二次スクリーニングを行って、最終的に医師が総合的に診断しています。

なので、患者さん全員のデータを、私が一度は見ることになります。

これがワリと大変ですが、患者さんの基礎データを把握できるので、卵の所見や体外受精の結果を診察室へフィードバックする際に、臨床データに結びついた情報として返すことができて、診療上、結構便利です。

 

で、患者さんのデータでやたら目にとまるのは、貧血!!

いわゆる鉄欠乏性貧血です。

 

ウチは体外受精しかやってないので、世間一般の人たちと比べるとデータの偏りがあるとは思いますが、それにしても、とにかく多い!!基準値で比較すると、約7割くらい。妊娠前の理想値を基準にすると、ほぼ9割以上は鉄の補給が望ましいくらい。

以前、「ためして○ッテン」でもやってたので、多分、不妊治療をしている患者さんだけに限らず、世の中の人が全体的に貧血傾向なんでしょう。

 

貧血なんて、ちょっとクラクラするだけでしょ?なんて、思っていませんか?

 

鉄っていうのは、血液の赤い色素、身体中に酸素を運ぶものっていうイメージが強いかもしれませんが、実際にはもっとたくさんの大事な役割を持っています。

生物が生きていく上ではとても重要な微量元素で、酸化還元反応を触媒する酵素の活性中心として働いています。

つまり、細胞が行う化学反応の中で、酸素を取ったりつけたりして起こる(正確には電子の受け渡しだけど)化学反応を起こす酵素の、最も大事なパーツです。

赤血球だけではなく、全身の細胞が生きていくために必要とする微量元素です。

 

鉄が不足すると、だるい、目眩がする、疲れやすいといった症状が紹介されていて、それは全身の酸素が不足気味だから、と説明されてますが、実際にはそれだけではなく、全身の細胞の生命活動が低下している状態になってるということですね。。

 

また鉄は、セロトニンとか、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を作る際にも必要になることが判っています。セロトニンは精神を安定させたり、リラックスさせたりするホルモン、ノルアドレナリンは交感神経系に作用して、やる気や集中力を向上させたり、ストレスを受けたときの状態を学習して順応させるホルモンです。鉄が足りなくなると、これらのホルモンも減ってしまい、イライラして怒りっぽくなったり、逆に気分が落ち込んで抑うつ状態や無気力になったりということが起こりやすくなります。

抑鬱状態が強くて、抗うつ剤の適応になるような人でも、重度の貧血がある場合、抗うつ剤よりも鉄の補給で症状が改善する場合もあることが報告されています。

 

鉄って思ってたより大事な成分なんだ~って、思いませんでしたか?
鉄を摂取しただけで、卵の質が劇的に改善するとはなかなか言い難いですが、少なくとも全身のパフォーマンスを上げる、身体の細胞の働きを良くするという意味では、十分な量が身体にあることは必須要件です。

 

年に一度の健康診断で、ヘモグロビン量(Hb)が低いって引っかかる人は、既に明らかな貧血なので、これを放っておくのは論外。ちゃんと病院に行って鉄剤を処方してもらうか、最低限、鉄のサプリを摂取しましょう。

 

問題なのは、いわゆる「隠れ貧血」。

健康診断でも異常値までには至らないので、特に指摘はされないものの、実際には下限値ギリギリで、血球成分を詳しく見ると身体の中は鉄貧乏になっている状態です。昔ながらの健康診断って、Hbしかみてない場合も多くて、病的な状態までHbが低くならなければ貧血を指摘しないんですよね。そうなる前に、自分で気がついて身体のメンテナンスをすることが大切ですよ。

 

次回はこの「隠れ貧血」と摂取の注意点についてのお話です。

ではでは。

 


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「健康」に自信ありますか?

こんにちは 幸町IVFクリニックの培養士の雀部です。

 

早いもので、もう7月ですね。

この時期、ウチでは例のものがやってきます。

職員検診!!

やっと終わりが見えてきました。長かった-。

 

これが、結構大変なのですよ。

というのも、なぜか看護師のオバちゃん達が、のらりくらりと検査を先延ばしにするんですよね。

急に言われても困るわよ~ とか。

心の準備がね~ とか。

よくわかんないこと言って、日にちを稼ぎ、1週間くらいすると

じゃあ、そろそろいいかしら~ とか言いながら、採血するっていう・・・。

 

要は、日頃の生活でスネに傷があるもんだから、健康診断の前だけ、ちょっぴり健康的な生活をして、少しでもいいデータを装いたいらしい。

今年なんて、そろそろ時期だなって当たりをつけて、先に禁酒してたオバちゃんは、

 

もう、限界なんだけど!!今年は健康診断いつすんのよ?!

と検査技師に詰め寄ってくる勢い。

 

詰め寄られた検査技師が、

ど、ど、ど、どうしますか??

と私に詰め寄ってきて、どーにもこーにも・・・。

 

挙げ句、院長なんて、検査期間中に採血をバックれ、文句言ったら、

俺、聞いてないもーん。知らないもーん。とか、言ってごまかし。

院内通知に出てましたよねぇ? これ以上伸ばすと今年の新卒に採血させますよ。

 

・・・翌日採血してました。←弱虫。

 

で、結果が報告されてきて、オバちゃん達いわく、

いや~、今年は頑張ったわよね~!!(なぜか、清々しげでドヤ顔)

↑ちょっぴりデータが改善してた。って、何を頑張るってんだ??

 

全く、健康診断だっていうのに、検査値が良くなるように装うって・・・。

しかも1週間程度でなんとかしようだなんて・・・。セコ過ぎる・・・。

検査で異常を見つけたり、今後の日常生活を必要に応じて改善しましょうって趣旨、判ってのかしら。

まったく、白衣着てる人の方が不健康なのよね。困ったモンだ・・・。

 


というわけで。

皆さんは、術前検査や、年に1度の健康診断など、結果をしっかり見てますか?

異常値が出なかった人は、ホッと一安心。

何かの項目で問題アリの人はそのままにしないで、ちゃんと対処しましょう。

大切なのは、データを読むこと。基準範囲なので大丈夫と思っていても、基準値ギリギリ、もう少しで異常値に片足突っ込む!くらいの数値では、やっぱり日頃の生活習慣を見直す必要があります。

基準値ギリギリではなく、基準値の中央値あたりを目指しましょう(項目にもよりますよ)。

 

健康診断というのは、特に自覚症状がない、見かけ上健康な人が受けることが大半なので、ほとんどが「概ね健康」って結果が多いと思います。でも実際には、毎日はつらつで、超元気!って人はなかなか少ないのでは?前の日の疲れが抜けないとか、寝付きが悪いとか、お腹が下りやすい/便秘しやすいとか。多かれ少なかれ、不定愁訴がある人がほとんどではないでしょうか。

 

不妊症も同じです。

見かけ上健康そうで、検査でも特に明らかな不妊要素を認めないにもかかわらず、なかなか妊娠しない。妊娠する人としない人の違いは何なのか?

私たちにとっても永遠のテーマですね。

 

生殖医学的に考えうる可能性をすべて挙げたらキリがないですが、案外、答えは最もシンプルで、患者さんの身体の健康度合いの違い、これが一番大きな要素かもしれません。

不妊治療では、卵を育てるためにホルモン剤を使用しますが、投与した薬剤成分が直接卵を育てるのではなくて、卵周囲の卵を育てる細胞が薬剤成分に反応して卵細胞を育てます。

つまり、卵を育てる細胞や、卵細胞自身が元気じゃないと、いくらホルモン剤を使っても質の良い卵は育たないということです。

 

患者さんにとっては、卵を育てる方法が一番気になる要素らしくて、ネット上でも何の薬を使って卵を育てるかという内容の質問をよくみかけますが、「誰かにとって良かった方法」をネットで長時間探すよりも、自分の細胞の活力を上げる方法、元気になる方法を探す方が、妊娠への近道だと思います。


医学的に妊娠率が高くなる方法や、体外受精の技術は常に私たちが探しています。

患者さんは、ご自身にとって「自分が元気になる方法」を探して、試してみて下さい。


ここはひとつ、二人三脚で頑張りましょう。


 


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