幸町IVFクリニック 院長の雀部です。

 

今回は、専門医の話です。しばらく診療の話が続いたので、コーヒーブレイクのつもりで読んで下さい。

 

○○専門医という医師の肩書きを最近よく目にすると思いますが、この専門医というのはどのようなしくみになっているかご存じですか?ひょっとして、○○専門医って医者が自分の専門分野名に専門医をくっつけて勝手に名乗っているだけと考えている方いませんか?そのような方のために、今回は専門医のしくみについて書きたいと思います。

 

もちろん、○○専門医ですと医者が勝手に名乗ることはできません。それぞれの専門分野の学会が審査を行い、一定レベル以上の専門性をもった医師を専門医として認定しています。さらに最近では、今まで各学会がばらばらに行っていた専門医の審査・認定などの業務を、日本専門医機構という中立性の高い組織が一括して担う方向で制度が変わりつつあります。

 

その専門医ですが、基本領域とサブスペシャルティ領域の2段階制になっています。そして、基本領域の専門医を取らないとサブスペシャルティ領域の専門医は取れないしくみになっています。産婦人科の場合、周産期、腫瘍、生殖と3つの専門領域があり、産婦人科専門医が基本領域の専門医、周産期専門医、婦人科腫瘍専門医、生殖医療専門医がサブスペシャルティ領域の専門医に相当します。産婦人科医はまず産婦人科専門医の認定を受けた後に、より専門性の高い周産期専門医、婦人科腫瘍専門医、生殖医療専門医をそれぞれ目指すことになります。
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このブログを読みに来ていただいている方は、妊活に興味がある方だと思いますので、最も関連のある生殖医療専門医について書いていきます。生殖医療専門医は、産婦人科専門医または泌尿器科専門医どちらかの認定を受けていることが審査の前提になります。約10年前にできた専門医で、学会のホームページに依りますと20174月現在649名が認定を受けているそうです。私の周りでも生殖医療を専門とする先生は、たいてい認定を受けています。

 

専門医の審査は、専門外の医師が試験勉強だけして筆記試験で合格ということにならないようにいろいろな工夫がされています。生殖医療専門医の場合、まず一次審査で、自分が診療に関わった症例のレポート、その分野の研究論文のリスト、その分野の診療実態があることを証明する学会役員の証明書などの書類を提出しなければなりません。研究論文のリストは、その分野を専門としている医師は問題なくクリアできますが、そうでない医師にとってはハードルが高い基準になっています。論文といっても、商業誌の依頼稿などはダメで、査読のある(掲載の可否を決める審査がしっかりしている)ジャーナルに掲載された論文でないと受け付けてもらえません。この一次審査で、専門外の医師はほとんど振り落とされます。

 

一次審査を通ると、次に二次審査が待っています。二次審査は、筆記試験と口頭試験です。これらは、いわゆる専門知識を問う試験です。専門家ばかりが受ける試験ですのでかなり難易度の高い問題が出ますが、資格試験なのでみんなが解ける問題をしっかり押さえれば普通に通ります。私も、約10年前の生殖医療専門医制度の創設と同時に審査を受け、無事認定を受けることができました。その時は、全国の生殖医療の専門家がいっせいに試験を受けたのですが、普段試験をする側の有名教授や専門的な研究で有名な先生が、その日ばかりは受験する側になって試験問題と格闘している一種異様な光景を今でもよく覚えています。

 

無事合格して認定を受けてもそれで終わりではありません。5年毎に更新の審査を受けなければなりません。5年間に参加した学会や研究会を申請する書類、診療実態があることを証明する書類などを提出しなければなりません。また、決められた講習を一定単位以上受講しなければなりません。専門医を維持するにも一定の労力が掛かるため、専門でもないのに見栄で取った専門医は、維持するのが難しくなっていきます。

 

このように、その専門分野で実際に稼働している医師のみが認定を受けられるようにいろいろな工夫がされています。さらに、専門医はたくさんの種類がありますが、厚生労働省が広告に使用してもいいと認めている専門医でないと、広告に使用することができません。ですから、皆様が目にする○○専門医というのは、一定の社会的評価を受けた専門医と考えて大丈夫です。

 

このような背景知識を持って○○専門医という資格をみると、よりその医師の専門が理解できると思います。ぜひ、いろいろな場面で活用してください。

 


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