幸町IVFクリニック院長
雀部です。今回も多胎妊娠の話の続きです。重要なテーマなのでもう少しお付き合いください。
患者さんに1胚移植の説明をしていると「私、双子希望なんです。先生、双子にしてください!」と話される方がいらっしゃいます。双子出産を夢見るのは結構なことなのですが、ほとんどの方が双胎妊娠のリスクについて理解されていません。
そこで今回は双胎妊娠のリスクについて話をします。双胎妊娠のリスクはたくさんありますので、今回は2胚移植の結果発生することの多い双胎(
正確には、
二絨毛膜二羊膜性双胎)のリスクに絞って話をします。A
早産になりやすい
本来1児が入るべき子宮に2児が入りますので、その分子宮が大きくなり、子宮壁になると言われています。早産になると言う事は、児が未熟な状態で生まれてくるということです。これが、双胎妊娠の周産期死亡率を引き上げる要因の1つになっています。
が伸びすぎることになります。その結果、双胎妊娠の約半数が早産B
その他の産科合併症
妊娠すると母体の循環血液量が、非妊時より増えます。双胎妊娠では、単胎妊娠よりもさらに増えることが知られています。その結果、妊娠性高血圧症ます。
、HELLP症候群
などの母体合併症の発生頻度が高くなり、かつ発症時期が早くなり他にも、血栓塞栓症、胎児発育異常(胎児発育不全、両児の発育差)、産後の過多出血などの発症リスクが高くなります。
C 分娩時に事故が起きやすい
施設の方針にもよりますが、両児とも頭位の場合、
経腟分娩が行われることがあります。その際に、
特発性微弱陣痛、胎位異常、臍帯脱出、胎盤早期剥離、が起きることがあります
。特に、先進第一児の分娩後から後続第二児分娩までの間が最も事わざわざ双子を作ることのリスクがいかに高いか、ご理解いただけたでしょうか?双胎妊娠は、1胚移植を行うことにより大幅に減らすことができます。
妊娠・分娩は安全という根拠のない思い込みを捨てて、
ご夫婦の意思でより安全性の高い選択肢である1胚移植を選びましょう。