エネディ山地

2013年02月27日

チャド・エネディ山地に眠る原始岩壁画

こんにちは。大阪支社の米谷です。
1/21から「チャド・エネディエクスペディション19日間」のツアーに同行してきました。

今日は今回訪れたチャド北部・エネディ山地に眠る原始壁画をご紹介します。

これまでサハラの壁画を見学するツアーとして、リビアのアカクス山中、アルジェリアのタッシリ・ナジェール、エジプトのギルフ・ケビール、そしてニジェールのアイール山地など様々なコースを実施してきました。今回訪れたエネディ山地も他の国々に勝るとも劣らない芸術性の高い素晴らしい壁画の数々を見学することができました。

サハラ砂漠の各地に残る岩絵は、当時のサハラの様子をうかがい知る重要な資料でもあります。描き始められたのは今から10,000年前頃からと言われており、最初は象やキリン、ライオンなどの野生動物が描かれました。その後、時代によって描かれる主題も変わってゆき、学者や研究者にもよりますが、時代区分を大きく6つに分けて考えられています。

エネディ山地に残る壁画の多くは牛の時代、馬の時代、ラクダの時代が多く、特に馬の時代、ラクダの時代の壁画のレベルが他の国々に残る同時代の壁画よりも芸術性に優れている事に驚かされました。

最初に訪れたのはテルケイの岩山群の西側に残る壁画です。主に牛と馬の時代のもので、家畜として飼われていたウシやヤギ、また人間が馬に乗って走っている姿も綺麗に描かれていました。チャドではこの馬を走らせる姿の絵が非常に多く、トクという場所でたくさんこの様式の絵が見つかっていることからトクスタイルと呼んでいます。

テルケイ東 走る馬の壁画テルケイ東 ウシ

左)トクスタイルと呼ばれる走る馬の壁画 右)牛の時代の壁画

牛の時代の壁画からは人々が家畜を飼い始め、放牧生活を送るようになったことが分かります。
ヨーロッパから馬がサハラにも伝わると、壁画の主題も馬の絵に変わってゆきます。この時代はまだサハラを馬で旅することができたという事が分かります。

テルケイ東 ウシと女性
独特の髪型の女性達と牛の壁画。女性の髪には模様も施されています。

テルケイ東 頭飾りをつけた男性
頭の丸い人間が描かれています。頭の上には羽根の飾りが見受けられ、おそらく身分の高い人ではないかと推測されています。


続いてはアルシェイに残る岩絵です。
アルシェイ ウシとラクダ
牛、ラクダ、馬、人間など様々な絵が描かれていますが、これは違った時代の壁画が同じキャンバスに描かれているのであって、同じ時期に描かれたのではありません。馬や白いラクダに乗って走る人々の姿が非常にレベルの高い壁画として残っています。リビアやアルジェリアで見られる馬・ラクダの時代の壁画と比べるとより詳細に描かれていえます。紀元前200年頃、サハラの砂漠化が激しくなり、ラクダが登場します。馬ではサハラを旅することが困難になったのです。

アルシェイ ウシの壁画アルシェイ ウマの時代

牛は白と茶色を使い分けて描かれ、馬に乗る人は躍動感溢れています。

アルシェイ ウシアルシェイ ウシの群れ

アルシェイに残るウシの時代の壁画

次はマンダゲリの壁画です。ここは6m上に見上げた天井に多くの壁画が残っています。マンダゲリ


マンダゲリ ウシと遊牧民のテントマンダゲリ ラクダの時代
左)乳を白く描いた牛が綺麗に描かれています。その左の丸っぽい絵は彼らのキャンプを表しているそうです。
右)ラクダに乗って移動する人間

テルケイ西 ウマの群れ

続いてテルケイ東の壁画です。ここでは先ほど紹介したトクスタイルと呼ばれる馬に乗って走っている姿が数多く、大変美しい姿で残っています。

テルケイ西 大きな牛の壁画

等身大とまではいきませんが、非常に大きい牛の壁画も残っています。手前の人と比べるとその大きさが良くわかります。

今回ご紹介したのはほんの一部で、エネディ山地には無数の壁画が残っています。しかし、その多くは歩いたり、ラクダにのったりしなければたどり着けない場所がほとんどなのです。今回は四輪駆動車ですぐ近くまで行くことができる壁画を中心に見学しました。スタッフ達やお客様のご協力もあり、無事すべての観光を終えることができました。チャドという国自体まだまだ訪れる観光客は少なく、ホテルがある場所も非常に限られています。、その分今だからこそ素朴な観光化されていないチャドを見ることがきたと思います。

次回は今年の秋以降の設定を予定しています。
サハラファンの方必見の場所がまた新たに登場しました。















yonetani_saiyu at 09:30|Permalink

2012年08月22日

チャド サハラ最後のワニを探して・アルシェイのゲルタへ

アルシェイのワニ (2)
サハラ砂漠最後のワニ・・・かつて「緑のサハラ」の時代に生息していたナイル・ワニがチャドのエネディ山地にひっそりと暮らしています。2011年の4月と2012年の1月、季節を変えて2度、この貴重なワニと出会うことができました!

アルシェイのワニ (3)チャドのエネディ山地へ
首都のンジャメナから車で走ることまる3日以上。エネディ山地はチャド北東部、スーダン国境付近に位置する岩山地帯です。サハラ砂漠の中央にある堆積岩(砂岩)の岩山で、全ての面を砂漠の砂により侵食されたため、独得の景観の渓谷やワディ、ゲルタを作り出している山地です。




アルシェイのワニ (5)アルシェイのゲルタ
「ゲルタ」とはアラビア語で「砂漠にある水のたまっているところ」。アルシェイのゲルタのみどころはいくつかありますが、ハイライトはたくさんラクダがゲルタに集まっている様子と、「サハラ最後のワニ」、デザート・クロコダイルです。
アルシェイのゲルタのビューポイントまで歩けば、その2つを一度に楽しむことができます。もちろん、ラクダの数はその日によって違いますし、ワニは必ずしも見れるとは限りません。すべては「運」。

「サハラ最後のワニ」
エネディ山地のゲルタには「サハラ最後のワニ」と呼ばれるワニが暮らしています。アルシェイのゲルタに暮らすワニは7匹。調査を開始したとき9匹いたワニは、1匹は夏の増水のときにゲルタから流れ出て死んでしまい、もう1匹は行方不明になり現在7匹が暮らしてるといいます。
1万年前まで続いた「緑のサハラの時代」にナイル・クロコダイルが西アフリカ全域に広がりました。その後の気候の変化で徐々に姿を消し、モーリタニアのタガント・ヒルのものが1996年に絶滅した後、「サハラに生き残ったサニ」としてはチャドのエネディ山地だけになりました(モーリタニアの“サヘル”にも残っていますが、“サハラ”としてはエネディが最後です)。
限られた食べ物、遺伝の問題などから体が矮小化し、ナイル・ワニは本来5mほどまで成長するのに対し、サハラのものは1.5~2mしかありません。
トゥブ族の人々はワニを神聖視し、ゲルタからこのワニがいなくなると水が枯れると信じ、大切にしています。ワニが人やラクダを襲うことも、人がワニを襲うこともないそうです。

ではサハラ最後のワニの写真をどうぞ

アルシェイのワニ (6)
水の中から現れた、ワニ。

アルシェイのワニ (7)
もうすぐ陸に上がるのか、ワニ。

アルシェイのワニ (4)
くちを開けてひなたぼっこ、ワニ。

アルシェイのワニ (1)
しげみにひそむ、ワニ。

アルシェイのワニ (8)
そしてこれは同僚の山田さんが撮った非常に珍しいツーショット・ワニさん。

ワニを上手に観察するには、ビューポイント到着前から静かに歩き、しゃべったり、音を立てたりしないことです。「サハラ最後のワニ」が本当に最後にならにように見守っていきましょう・・・。

文・写真 Mariko SAWADA 澤田真理子、
写真提供 Yamada Koji 山田宏治

西遊旅行のチャドの旅2012-2013
エネディとティベスティ山地の旅 チャド北部のサハラ踏査行 28日間
エネディ山地のみを訪問するコース、サハラ最高峰エミ・クーシ登頂企画もあります。お問い合わせください。


sawada_saiyu at 19:05|Permalink