サハラ砂漠

2016年09月22日

サハラの大国・チャド

アフリカ中央部に位置する国チャド。スーダン、中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ニジェール、リビアと国境を接し、国土の大半をサハラ砂漠が占めています。砂漠といえば砂丘をイメージする人が多いかもしれませんが、チャドの砂漠には大砂丘は少ない反面、土漠や山岳砂漠、礫砂漠などサハラの様々な姿をお楽しみいただけるという、サハラリピーターにはたまらない景色が広がります。

DSC_0016_kusunoki
エネディ山地北部に広がるバルクハン砂丘

DSC_0395
ハバイケの奇岩群

チャド北東部に広がるエネディ山地。チャドで最もみどころが残る場所といってよいでしょう。アルジェリアのタッシリ・ナジェールやアルホッガー、リビアのアカクスに匹敵する巨大な岩山が広がっています。これらの岩山は「タッシリ」と呼ばれ、風と雨により浸食された堆積岩(砂岩)の台地のことを意味します。このエネディ山地もサハラ砂漠の中央に位置する堆積岩(砂岩)の岩山で、全ての面を砂漠の砂により侵食されエネディ独得の渓谷、ワディ、ゲルタを作り出しています。

エネディ山地を最も有名にしている風景はアルシェイのゲルタでしょう。「ゲルタ」とはアラビア語で「砂漠にある水のたまっているところ」という意味があります。このゲルタに水を飲ませるためにたくさんのラクダが集まる風景は圧巻。ビューポイントまで片道1時間30分程、瓦礫や砂地の道を歩くと、素晴らしい風景に出会う事ができます。
DSC_0472
アルシェイのゲルタ

そしてこのゲルタには「サハラ最後のワニ」と呼ばれるワニが暮らしています。 1万年前まで続いた「緑のサハラの時代」にナイル・クロコダイルが西アフリカ全域に広がりました。その後の気候の変化で徐々に姿を消し、「サハラに生き残ったワニ」としてはチャドのエネディ山地だけになりました。 限られた食べ物、遺伝の問題などから体が矮小化し、ナイル・ワニは本来5mほどまで成長するのに対し、サハラのものは1.5~2mしかありません。 トゥブ族の人々はワニを神聖視し、ゲルタからこのワニがいなくなると水が枯れると信じ、大切にしています。ワニが人やラクダを襲うことも、人がワニを襲うこともないそうです。
アルシェイのワニ (4)
アルシェイのゲルタに生きるデザートクロコダイル

一般にサハラの壁画は古いものほど美しく、時代が新しいものは稚拙なものが多いように言われますが、チャドにおいては新しい時代のもの、馬の時代、ラクダの時代の壁画が美しく生き生きと表現されています。色素の材料はオークル(黄土)、岩石、卵、乳を使い、それをアカシアの樹液を用いて保護しています。

マンダゲリ
マンダゲリの壁画 ここは6m上に見上げた天井に多くの壁画が残っています。

テルケイ東 頭飾りをつけた男性
テルケイに残る岩絵 頭飾りをつけた男性

テルケイ東 走る馬の壁画
テルケイ 走る馬の壁画

DSC_0253_kusunoki
ビシャガラの岩絵

11月~2月にかけて、サハラのベストシーズンがスタート。チャドへのツアーも間もなく催行できるコースが2コースあります。是非、この機会に知られざるサハラの国チャドを訪れてみてください。

ツアーの詳細はこちらをクリック↓
チャド エネディ山地エクスペディション 18日間
01月15日(日) ~ 02月01日(水) 18日間 798,000円 催行間近

エネディとティベスティ山地 26日間
02月08日(水) ~ 03月05日(日) 26日間 1,150,000円 催行間近




yonetani_saiyu at 10:28|Permalink

2014年10月08日

ボロロ遊牧民とゲレウォール in ニジェール 2014 (1)

ニジェール ボロロ遊牧民 (1)

2014年9月末に訪れたニジェール、ボロロ遊牧民の暮らしと「ゲレウォール」の様子をご紹介します。

今年は「雨季」の到来が遅く、旱魃に至らないかと心配されましたがその後の雨は順調で遊牧民たちもいつもより少し遅いながらも「塩の平原」へ家畜を連れて北上していました。
運よく移動中の大きなボロロ遊牧民のグループに遭遇。聞いたところ、今日みんな集合してきて明日には2週間に及ぶゲレウォールが始まるとのこと。私たちがその場所へ到着すると、ちょうどボロロの首長も到着したばかりで、さっそくごあいさつへ。私たちツーリストの滞在のお願いすると快く受け入れてくれました。

ボロロ遊牧民のキャンプの様子です。

ニジェール ボロロ遊牧民 (2)
移動途中のボロロ遊牧民

ニジェール ボロロ遊牧民 (3)
ロバの背に乗る女の子

ニジェール ボロロ遊牧民 (4)
ボロロ遊牧民たちがどんどん到着し、二週間ほどをすごす「住まい」を作り上げていきます。

ニジェール ボロロ遊牧民 (5)
完成したベッド。ゲレウォールのお祭りのときはベッドも家財道具も飾りをつけて最大限のおしゃれをします。

ニジェール ボロロ遊牧民 (9)
夕方、「ボロロ牛」が放牧から帰ってきました。

ニジェール ボロロ遊牧民 (6)

乳絞り。ボロロ遊牧民にとって「牛」はただの家畜ではなく、自然と自分達の間にいる特別な存在。彼らが持つ「ボロロ牛、Bororo Zebu」は彼らにとって他の牛とは違います。名前をつけて呼び、牛も自分の飼い主に強い愛着を示すことで知られています。また、ボロロ牛に関するいくつかのタブーがあり、「子牛のロープを踏んだりしてはいけない」、「ミルクを取るカラバッシュ(ひょうたん)の桶は他の用途に使ってはいけない」など暮らしの中にはこういった決まりごとがたくさんあるようです。

ニジェール ボロロ遊牧民 (7)

ミレットをついて夕食の準備も始まりました。遊牧民の食事は意外と遅く、長時間かけて準備・調理し、食べるのは夜9時、10時以降。シンプルな食事で、ミレットにミルクを混ぜたものを食べます。

ニジェール ボロロ遊牧民 (8)

日没前、ラクダに乗ってボロロの若者たちが到着しました。トゥアレグ族と近い場所に住み、またその文化を受け入れ模倣する彼ら、一瞬トゥアレグ族かと思うこともあります。明日から始まるゲレウォールに参加する若者たちでしょうか。

Text & Photo by Mariko SAWADA 澤田真理子

***ニジェールの旅・ツアーについては随時発表・実施しておりますので西遊旅行アフリカ担当までお問い合わせください。

>>西遊旅行 ニジェールガイド みどころMAPはこちら


sawada_saiyu at 12:29|Permalink

2013年02月20日

チャド最高峰にしてサハラ砂漠最高峰エミクーシ(3,415m)登頂

エミクーシ登頂 (3)
昨年末から長期のサハラ砂漠のツアーが続き、すっかりブログの更新に間が空いてしまいました。先日帰国した日本初のチャド最高峰エミクーシ登頂ツアーの様子をご紹介します。

チャドは長年続いた内戦の影響とその後の政情不安から日本から訪れる観光客の少ない国のひとつです。意外かもしれませんが、サハラ砂漠の最高峰の山はこのチャドにあります。チャドの北部には堆積岩の台地の上に火山活動によってできた山地、ティベスティ山地があり、標高3,000mを超える火山や溶岩原の山地が広がっています。

エミクーシはティベスティ山地の南にある火砕流原の楯状火山。山のすそは60Km x 80Kmと大きく砂漠に大きくそびえる山容は圧巻です。山頂部は巨大な、東西12Km、南北15Kmのカルデラになっており、さらにその中にナトロンを産出する小さなカルデラや溶岩ドーム、マールなどが見られる大変興味深い地形をしています。

今回の旅は29日にわたる長期の旅。首都ンジャメナだけがホテル泊で、首都を出てからの23泊はすべてテントという、旅自体がすでに「エクスペディション」なツアー。山歩きだけでなくチャド北部の自然、人々の暮らしも体験できる非常に内容の濃い旅でした。

エミクーシ登山は歩き始めて8泊9日の行程。そのほとんどが流紋岩、安山岩や玄武岩など火山岩の岩場です。溶岩のスロープを歩き、時に現れるワディ(枯れ川)で休養しながら、カルデラの縁を目指します。
歩き始めて6日目に見た巨大なカルデラの景色は実に感動的なものでした。エミクーシの山頂はこのカルデラの縁にあります。

エミクーシ登頂 (5)
エミクーシのカルデラの縁にて 登頂ガイドのアンドレア氏、西遊旅行大阪支社の楠さん
快晴の空、クレーター内の淡い緑が映えてとても美しい景色でした。

エミクーシ登頂 (6)
クレーターの中にはさらにクレーターが。ナトロンが湧いているエラ・コホールというクレーターです。高低差320m以上の岩壁を下りクレーターの中のクレーターへ。

エミクーシ登頂 (8)
ティベスティ山地にあるもうひとつのナトロンのクレーター、トゥルー・オ・ナトロン(トゥシデ山のカルデラ)より浅く小さいクレーターですが、採取できるナトロンは良質とのこと、みんなでナトロン掘りを体験しました。

登山中の荷物運びはラクダです。ティベスティ山地のラクダは小型で岩山を歩くのに適した足をしています。それでも、トゥブ族のラクダ使いは自分のラクダが大切で、けがをしないように見守り、水場ではナトロンや薬草の栄養剤を飲ましたりしていました。

エミクーシ登頂 (4)
ラクダの栄養剤を準備している様子。ラクダもそばで待っています。

エミクーシ登頂 (1)
夜、ラクダ使いたちは火を囲んで民族楽器を鳴らし、歓談。

エミクーシ登頂の当日は風のある日で、頂上に近づくにつれ風も強くなり寒さも増しました。頂上は玄武岩のカルデラの縁にのった溶結凝灰岩のシートです。
無事に初登頂を果たした瞬間、トゥブ族山ガイドのセヌーシー氏がカラシニコフ銃で祝砲を鳴らし歓喜の声に包まれました。未知の国、未知の山。首都ンジャメナを出て13日目、無事に全員で登頂です。

エミクーシ登頂 (7)
チャド最高峰にしてサハラ砂漠最高峰エミクーシ3,415mを登頂

「いつか実現したい」と思っていた夢の実現、一緒に初登頂を果たした皆さまとスタッフに感謝申し上げます!

文・写真 Mariko SAWADA 澤田真理子






sawada_saiyu at 11:34|Permalink

2012年05月21日

ニジェールの旅 ゲレウォール ボロロ遊牧民の祭り

ゲレウォール01
9月下旬のニジェールの美男子コンテスト、ゲレウォールのコースを発表しました。

9月半ばの西アフリカ。雨期の明けるこの季節はサハラ砂漠やサヘルに暮らす遊牧民の祭りの季節です。ニジェールでは「塩の平原」に家畜を連れた人々が集まり、牧草の北限となる塩の大地に遊牧民の家族、そして氏族が集まり、結婚や子供の誕生を祝う祭りを執り行います。その中でも特筆すべきなのが、ウォダベ遊牧民、通称ボロロ族による「ゲレウォール」。男性がメイクをして美を競い、それを女性が選ぶというもので、まさに「砂漠の美男子コンテスト」。

ニジェールのボロロ遊牧民の祭りはさまざまな行事で構成されています。ゲレウォールとは祭りのハイライト、女性がもっとも美しい男性を選ぶもので、そのほかにもボロロの男の美を見せる踊りヤーケ、女性達の歌と踊りのバーゴ、夜に行なわれる集い・歌・踊りのドーサなどいくつもの行事があります。ボロロの男性は、背が高くスリムな体が美しいとされ、この祭りに向けて痩せたり、また祭りでは背が高く見えるように背伸びをして踊ったりします。白目や白い歯も美の象徴とされメイクでもパフォーマンスでも強調されます。

ゲレウォール02
男性の美しさを魅せる「ヤーケ」のパフォーマンス。白目や白い歯が強調されます。

ゲレウォール03
赤い顔料を塗った男性達によるゲレウォール。この中から一人の男性が選ばれます。

ゲレウォール04
女の子が「美男子」を選ぶ瞬間。きれいなだけでなく「背が高い」というのもポイントが高いようです。

ツアーでは自然発生する遊牧民の祭りを訪問しています。プログラムや何が見れるのか・・・などは流動的ですが、時代の大きな変化の中で、いまだアフリカ・サヘルに強く残される伝統風習に直に触れることは、非常に貴重な体験となるはずです。

文・写真Mariko SAWADA



西遊旅行のアフリカ 2012年ニジェールの旅 GUEREWOL ゲレウォールを訪れるツアー
Gurewol111ニジェール ボロロ遊牧民の祭典とトゥアレグの都アガデスへ






Tenere Arakaoニジェール大紀行 遊牧民の祭典ゲレウォールと最も美しいサハラ、アイール山地とテネレ砂漠






西遊旅行のゲレウォール、ニジェールに関する記事
ゲレウォール GUREWOL
サハラ砂漠・サヘルの遊牧民 ウォダベ WODAABE

ブログAfrican Dream のニジェールの中にも記事がありますので是非ごらんになってください。


sawada_saiyu at 04:49|Permalink

2011年11月08日

アガデスのグランド・モスク Grande Mosquée de AGADEZ

アガデス グランドモスク agadez02
ニジェール北部の中心地アガデス。11世紀頃からトゥアレグ族の町として発達し、サハラ交易の要衝として、サハラ横断「塩のキャラバン」の終着地として栄えました。現在はアルリットを中心とするウラン鉱山の交易の中継地でもあり、アイール山地ティミアからの野菜や果物が並び、冬には観光客も訪れるちょっとした「町」の様相です。

ニジェール北部を訪れる観光客は、主にテネレ砂漠やアイール山地を訪れるため、あまりアガデスで時間を過ごすことはありませんが、アガデスのグランド・モスクは是非訪れてみてください。

アガデス グランドモスク agadez grande mosque01スーダン・サヘル様式、27mの高さのミナレットを持つアガデスのグランドモスク
この「スーダン・サヘル様式」というのは現在のスーダンではなく、かつてこのサハラとその南縁部のサヘル地域を指した呼び名で、マリやモーリタニアなどでも同様の様式のモスクが見られます。ミナレットの上のほうには椰子の木の棒を突き出して作られ、これは単なるデザインではなく、年に一度、モスクの修復の際の足場に使われるものです。このミナレットの突起物以外、なんの外部も内部も装飾は無く、とてもシンプルなものです。









アガデス グランドモスク agadez grande mosque02金曜日の集団礼拝
礼拝の時は外国人はモスク内部には入れませんが、その祈りの景色は圧巻です。アガデスでは金曜日の昼、町中の男性が集まり、モスクの周辺の道路を礼拝所に変えます。アザーンに続き、礼拝が始まるとモスクとその周辺一帯が神聖な祈り場へと変わります。わずか15分ほどの集団礼拝ですが、アガデスの人々の祈りが一体化する瞬間です。集まる人々の衣装も、「アフリカ・サハラのモスクの祈り」を感じさせます。










グランド・モスクのミナレット
礼拝の時以外の日中、観光客はモスクの中に入って見学することができます。中には礼拝所、アガデスのスルタン専用の礼拝所、そしてミナレットへの階段があります。ミナレットは中が狭いことから一度に登れるのは4人まで。通路も暗いのので注意が必要です。蒸し暑い通路をくるくると登っていくと、地上27mのミナレットの頂上へ出ます。2~3人のスペースしかないミナレットの頂上からは土と泥でできたアガデスの町並みが広がっています。
アガデス グランドモスク agadez05

文・写真 Mariko SAWADA  澤田真理子


ニジェール、アガデスを訪れる西遊旅行のニジェールの旅
「ニジェール・アイール山地とテネレ砂漠塩のキャラバンルートを行く」

sawada_saiyu at 21:25|Permalink

2011年06月23日

サハラ砂漠のフェネック Fennec

fennec03

ハルマッタンの熱い風が吹くチャド。かつては川が流れていたというバハル・エル・ガゼル Bahr el Ghazalの北にある砂漠でフェネック(アラビア語でFoxの意味)のかわいい姿を見ることができました。

fennec01フェネックはサハラ砂漠で見られる犬科最少の動物。キツネ属に属し、フェネックギツネともよばれ、実際にその姿も耳の大きな小型キツネ。
体長は40Cmほどですが、耳は15Cm。その大きな耳は放熱の役割をするうえ、強力な聴力で獲物の動きを察することができるそうです。毛皮は強い日差しをさえぎって体を守り、熱い砂の上を歩けるように足の裏も毛で覆われ、毛の色は砂漠と同じ保護色。さらには熱さに対応した腎機能も備え、乾燥と灼熱のサハラで暮らすことに見事に適応した動物です。

fennec04「砂色」の毛皮をまとったフェネック、当然見つけるのは楽ではなく、砂漠の移動中に見かけたときは、いつも走って逃げる“うしろ姿”。今回は偶然にもキャンプ地のそばに巣穴があり、近くで観察することができました。






fennec02夜行性で砂に巣穴を掘ってくらします。夜間に、虫や小動物を捕食するため、朝、夕方に巣穴付近で活動する姿をみかけました。この巣穴、入り口は小さいですが細長く、奥は10mほど続いているとのこと。






日本でもペットとして飼育されているフェネック。調べていて、そのペットとして愛くるしい姿の写真や、かわいくてたまらないという飼い主の方のコメントもたくさん拝見しました。
でも、サハラの大自然の中で見る、フェネックのたくましさ、美しさも格別です!

文・写真 Mariko SAWADA 澤田真理子


sawada_saiyu at 09:00|Permalink