インドの世界遺産

2014年09月21日

グジャラートの世界遺産 Rani Ki Vav ラニ・キ・ヴァヴ 女王の階段井戸

ラニ・キ・ヴァヴ (3)

2014年6月に新たに世界遺産に登録された階段井戸がパタンの郊外にあります。この井戸は11世紀のソランキ王朝の未亡人となった女王が、王の追憶と名声のために建設したと言われている階段井戸です。

「階段井戸」とは水が慢性的に不足するグジャラート州やラジャスタン州で多く見られる井戸で、貴重な水を人々に供給するだけでなく、水の蒸発熱を利用した天然のクーラーとしても利用されました。井戸の壁面にはヒンドゥーの神々や説話をモチーフにした精緻な彫刻が施されており、ひとつの芸術作品として涼をとりにくる人々の目を楽しませていました。

「ラニ・キ・ヴァヴ」はグジャラート最古の階段井戸で、奥行き64m、幅20m、深さ27mの長方形の形をした階段井戸は7層の階からなり、その壁面は800を越えるヒンドゥーの神々の像で覆われています。特にヴィシュヌ神の化身のレリーフの美しさ、精巧さには素晴らしいものがあります。

「ラニ・キ・ヴァヴ」はその後、サラスワティ川の氾濫により砂に埋もれ、忘れられていましたが、1958年以降、インド考古局 Archeological Survey of India により発掘・修復が行われ、その全貌を現しました。

世界遺産に登録される直前の4月、ラニ・キ・ヴァヴを訪問したときの様子です。

ラニ・キ・ヴァヴ (1)
遺跡の入り口にはインド考古局が発掘・修復を始めた当時の昔の写真を展示していました。

ラニ・キ・ヴァヴ (2)
遺跡公園内を歩いていて、突然現れる地下建造物、階段井戸。

ラニ・キ・ヴァヴ (5)
7層のテラスがあり、中央の壁龕にはヒンドゥー神話のモティーフが。

ラニ・キ・ヴァヴ (6)
壁龕を正面にのぞみます。

ラニ・キ・ヴァヴ (4)
階段の岩と岩を木のくいでつないでいます。

ラニ・キ・ヴァヴ (7)
階段を下ると、周囲をヒンドゥーの神々に囲まれます。

ラニ・キ・ヴァヴ (11)
当時の装飾、暮らしぶりが伺える彫刻。

ラニ・キ・ヴァヴ (8)
参拝に来ているグジャラートの観光客に出会いました。グジャラートらしい鮮やかなサリーの女性。

ラニ・キ・ヴァヴ (10)
テラスの天井も彫刻が施されています。

ラニ・キ・ヴァヴ (9)
こんなにかわいらしいモチーフも。

ラニ・キ・ヴァヴ (12)
壁面には幾何学的な模様も見られます。

ラニ・キ・ヴァヴ (13)
美しい、神々の姿。ここはたんなる「井戸」ではなく、「神殿」なのです。

ラニ・キ・ヴァヴ (15)
ラニ・キ・ヴァヴにはヴィシュヌ神とその化身の姿の彫刻がたくさん施されています。ヴィシュヌの化身のひとつ、イノシシ。

ラニ・キ・ヴァヴ (14)
井戸という日常の中に作られたヒンドゥー神話の世界と、精緻な建築美。

砂に埋まり忘れられていたことが、往時のままの美しい彫刻残る階段井戸の姿を残してくれたのです。

Photo & Text by Mariko SAWADA 澤田真理子


西遊旅行のグジャラートの旅
グジャラート 魅惑のインド最西端の地をめぐる
グジャラート テキスタイル紀行

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2014年03月07日

世界遺産 アンベール城

ナマステ!
2月はインドの世界遺産を巡るツアーに同行させていただきました。
今回は、2013年に「ラージャスターンの丘陵要塞群」として新たに世界遺産に加えられたアンベール城についてご紹介いたします。
アンベール城はジャイプルの町から北東11㎞の丘の上にあります。
もともと砦があった場所に1592年、ムガール帝国のアクバル皇帝の軍司令官であったラージプート族の、マハラジャ・マン・スィン1世によって大規模な増改築が始まりました。その後も150年増改築は続き、現状の形になったのは1727年にマハラジャ・サワーイ・ジャイ・シン2世の治世になった時です。
外観は非常に堂々とした印象ですが、内部の宮殿は当時勢力を誇ったムガール帝国のイスラム様式とラジャスタンの伝統様式が融合した独自の建築や細かな装飾が素晴らしく、隆盛を極めた王朝の栄華を偲ぶことができます。
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アンベール城へは、名物「象のタクシー」にて向かいます。
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アンベール城には100頭余りの象がおり、1日4往復(もしくは3往復)しかできません。
絶対象のタクシーに乗りたい! という方は、午前中の早めの時間に行かれることをおすすめします。
象の背中にベットが乗っかっており、2人乗りです。横乗りですので、浅く腰掛けると象の上のバランスが悪くなり象使いに怒られます。深く腰掛けましょう。
なかには可愛くお化粧している象もちらほらいます。
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世界で一番美しい門といわれているガネーシャ・ポール(ガネーシャ門)。
細かいモザイク装飾と見事な透かし彫りが施されています。僅かな風でも吹き抜け、夏は涼しく過ごせます。
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内部で特に必見なのが、シーシュ・マハル(鏡の間)。
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壁、天井どこを見ても一面に施された鏡の装飾は、まさに贅の極み。基本が幾何学模様なのはイスラームの影響です。今のパキスタン・ラホールにもムガール時代の建築であるラホール城に見事な装飾のシーシャ・マハルが造られています。ここアンベール城では、それがラジャスタン地方独特のデザインにアレンジされています。
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宮殿内のあちこちに残る見事な装飾。ステンドグラスも一部残っています。
城内はとても広く、装飾をじっくり見ながらの見学となると大分時間がかかります。

ちなみにユネスコのHPをみると、「ラジャスタンの丘陵城砦群」として登録されたのは、チッタウルガル、クンバルガー、ランタンボール、ガグロン、アンバー、ジャイサルメールの6城砦です。
ヒンドゥー教を主体とした独自の文化にイスラーム等その他の要素を見事に混ぜ込んで出来上がった、オアシス都市群。写真だけで見るにもとても優美ですが、ぜひ現地でご覧いただきたいと思います。

アンベール城を訪問するツアーはこちら
ゴールデン・トライアングルと聖地バラナシ

アマール・ヴィラスに泊まる ゆったり巡るインド


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2013年09月09日

悠久の歴史とロマン アジャンタ石窟寺院

やっと夏の暑さが落ち着き、朝晩は涼しくなってきました。
夏の疲れがとれて次の旅行の計画をしようとされている方も多いのではないでしょうか。

今回は、8月のお盆に訪れたアジャンタ石窟寺院をご紹介させて頂きます。

「アジャンタ石窟寺院」

その名を聞いて、「?」と思う方は少ないのでは。
歴史の教科書にも必ず載っている、インドが世界に誇る歴史遺産です。

1819年にイギリスの軍人ジョン・スミス氏が虎狩をしていた際、
蔦に覆われた崖に逃げ込んだ虎を目で追っていると、生い茂る蔦の隙間から石の建造物のようなものを発見しました。
ただちに多くの人が動員され、蔦を取り除くと、そこには崖の中腹をくり抜いた石窟が現れたのです。
それも一つや二つではなく、26もある壮大なスケールの石窟寺院でした。
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緑に包まれたアジャンタ石窟寺院

これは、アジャンタ石窟寺院発見の話です。
発見された石窟寺院は全部で26窟の仏教石窟寺院でした。

石窟の造営は、前期と後期の2期に行われました。前期はサータヴァーハナ朝の紀元前2世紀に、後2世紀からの中断の後に、5世紀末、後期の開窟がヴァータカ朝のもとで始まり、7世紀まで続きました。

壁画は、1500年の時を経てもなお、その輝きを失うことなく当時の壮麗さを私たちに伝えています。
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第1窟蓮華手菩薩

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第1窟金剛手菩薩

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第2窟インドラ(帝釈天)が生まれたばかりのシャカ族の太子を抱き上げる

壁画の題材は、仏伝やジャータカが主なものです。
ジャータカの多くは、釈迦の前世としての菩薩が様々な困難、試練に出合う話です。
当時、こういった壁画により、仏陀の教えを説いたのです。P8133878
第17窟六牙白象本生
六牙象は自ら牙を引き抜いて猟師に与えます。

アジャンタ石窟寺院は、ジョン・スミス氏に発見されるまで、
1000年もの間、ジャングルの中で眠っていました。

今も色鮮やかなこれらの壁画。
描かれた当時を想像すると、その美しさは計り知れません。

1983年世界遺産に登録され、アジャンタ石窟寺院群には世界中からその姿を一目見ようという人びとが訪れてきます。
皆様も是非、一度この壮大な歴史とロマンを肌で感じてみて下さい。

▼西遊旅行のアジャンタ石窟寺院に訪れるツアーはこちら
「アジャンタ・エローラ 西インド世界遺産紀行」 

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2012年01月31日

インドの宝となった「妻への愛」  タージ・マハル

インドを代表する世界遺産 タージマハル  誰もが一度は目にしたことがあると思います。

タージマハル1
インドが誇る世界遺産タージマハル

ムガール帝国の5代皇帝シャー・ジャハーンが亡き妻を偲び1632年に着工し、1653年に完成させた
巨大なお墓です。

シャー・ジャハーンの寵愛を受けた妻ムムターズ・マハルは彼との間に14人もの子供をもうけ、
最後の14人目の息子のお産中に36歳の若さで亡くなりました。
シャー・ジャハーンは彼女を戦にまで連れて行く愛しようで、一説では彼女の死を悼んで、一晩で黒々
とした髪が真っ白になったと言われています。

亡くなった翌年にタージマハルの着工にかかり、ラジャスタン地方から約10,000頭もの象で運んだ
白大理石、世界各地から運んだ数々の宝石。建設にかかった費用は明らかではありませんが、
国の財政を傾けるほどだったと言われています。

ムムターズ・マハルの14人の子供のうち、成人したのは男子4人と女子2人のみ。
タージマハル完成からわずか4年後、シャー・ジャハーンは病床に臥します。その後、息子たちの間で
皇位継承の争いが行われ、勝ち取った第3皇子アウラングゼーブ。
彼は成人した兄弟全てを殺害し、その座を奪取しました。更には実父のシャー・ジャハーンを1658年、
タージマハルからほど近くに建つアグラ城に幽閉。亡くなるまでの約8年間、シャー・ジャハーンは
幽閉された部屋の窓から明けても暮れてもタージマハルを眺め、妻を偲ぶ余生を送ることになりました。

現在、世界遺産に指定されているアグラ城。シャー・ジャハーンが幽閉されていた小部屋(テラス)も
見学することができます。ムガール様式のアーチ状の小窓から見えるタージマハル。
シャー・ジャハーンが見続けたものと同じ景色を眺めると、その強くも悲しい愛が重く伝わってくるような
気がします。
アグラ城
靄の中に浮かぶタージマハル(アグラ城より)

[映画のご案内]
シャー・ジャハーンのムムターズ・マハルへの深い愛が描かれた映画。
ずばりタイトルは「TAJ MAHAL」。
1963年に撮られたヒンディ語の古い映画ですが、いにしえのインドの美しさが表現されている素敵な
映画です。英語字幕のDVDも出ているそうですので、よければ見てください。登場人物の相関図さえ
わかれば、言葉がわからなくても筋は概ねたどることができます。


chika murata






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2011年08月24日

ビーマベトカの岩壁画 ―1万年以上昔の人類が残した遺産―

 皆様こんにちは。大阪支社の清水です。
 日中は少し汗ばむ季節となって参りましたが、お元気でいらっしゃいますか。

 今回も引き続き、インドの見所について紹介いたします。今回は、アグラのタージ・マハルなどほど知名度は高くありませんが、考古学上とても重要とされており、UNESCOに世界文化遺産にも登録されているビーマベトカの岩壁画についてご紹介します。

 ビーマベトカの岩壁画は、マディヤ・プラデーシュ州の州都であるボパールから南へ45km行ったところにあります。岩壁画に向かう途中にある山道を上がっていくと、目的地に近づいていくにつれて、いよいよ自然風景が豊かになり、交通量も減って、小鳥の囀りが聞こえるほどです。山の眼下に見えるのは、無数の草木に覆われた大地。この土地の豊かな植物相と動物相が窺われます。そして、ビーマベトカは、山を登ったところにある森の中にあります。

BB当たりの様子P1290079


 現存する考古学の記録で、初めてこの岩壁画についてふれるものは、1888年のものと言われています。その後、インド人の考古学者であるワカンカル氏がたまたま旅行でボパールを訪れた時、この岩群を見かけて興味を持ち、考古学者の調査団とともに本格的な調査をすることになりました。そして1957年、ついに先史時代の岩壁画が発見されたのです。

 この岩壁画は、約3000年~12000年前に描かれたと言われています。その画は、狩り、民族舞踊、宗教儀式、家事の様子など当時の人間模様とともに、野牛、虎、ライオン、猪など当時の自然界の様子が生き生きと描かれています。

岩壁画P1290084


 オーストラリアのカカドゥ国立公園、まだフランスのラスコー洞窟の壁画にも通じる特徴を備えるといわれる、このインドのビーマベトカの岩壁画。是非皆様も訪問され、実際に太古の時間の流れを感じてみられてはいかがでしょうか。

BBロゴP1290092


弊社では、次のツアーでビーマベトカを訪問していただくことが可能です。詳細は次のページをご覧ください。
↓↓
『ナマステ・インディア大周遊』
『アジャンタ・エローラ 西インド世界遺産紀行』

shimizu_saiyu at 12:42|Permalink

2011年08月19日

アジャンタ・エローラ 岩面に刻まれた宗教芸術

 こんにちは。大阪支社の清水です。

 今回は、ムンバイから陸路・空路ともにアクセスしやすい、広大なデカン高原にある二つの世界遺産についてご紹介いたします。

 まず、紀元後6~9世紀頃にかけて製作されたと言われる、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教と3つの異なる宗教が互いに並存するエローラ石窟群。そして紀元前約2~紀元後7世紀頃にかけて製作されたと言われる仏教石窟群、アジャンター石窟群です。いずれも当時の宗教を物語る貴重な石窟群です。

 二つの石窟寺院にアクセスする上で、旅行者の受け入れ玄関となるのがオーランガバード。ムンバイから東へ350kmに位置するその町は、大都会のムンバイとうってかわり、車窓から見えるテーブル・マウンテン(卓状山。テーブルのように平らな山々)の景色が特徴的です。わたしは今年3月に『ナマステ・インディア大周遊』のコースに添乗させていただきましたが、その時期にはデカン高原の平らな台地に、見渡す限りに広がる綿花畑やさとうきび畑の景色がたくさん見えました。道の両脇には、炎のように赤く大きな火炎樹(かえんじゅ)の花もよく咲いていました。

 デカン高原の南北に連なる絶壁に穿たれた34の石窟寺院群がエローラ石窟群です。1983年に世界遺産に登録されたこの石窟群は、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の3つの宗教寺院が同じ場所に作られています。中でも最大の見所である第16窟のカイラーサナータ寺院は、完成までに100年以上の年月を費やしたと言われており、インドでも最大の石彫寺院です。
エローラ石窟の眺め 

石窟の敷地内では、野生の猿達が戯れていました。
野生のサル 

                   
 一方、アジャンタ石窟群は、デカン高原を流れるワーグラー河の馬蹄形の渓谷に造られた、仏教石窟寺院です。先にご紹介させていただいたエローラ石窟群と同じく、1983年に世界遺産に登録されています。石窟中最高の見所と言われる第1窟では、ブッダの前世物語「本生」や、アジャンタ壁画の最高傑作と言われる「蓮華手菩薩」、「金剛手菩薩」を見学することができます。これらは日本の法隆寺金堂内陣の装飾に見られる菩薩像のオリジナルとしても知られています。第26窟には全長約7mもあるインド最大のブッダの涅槃像が岩面に彫られています。横たわるブッダの目を閉じるその姿は、眠っているようにも微笑んでいるようにも見えます。
アジャンタ 涅槃像


インドの宗教に興味のある方や、仏教に関心の深い方に特におすすめの観光地です。    
アジャンタ、エローラには、次のツアーで訪問していただくことが可能です。
ぜひご覧になってください。↓↓

ナマステ・インディア大周遊
アジャンタ・エローラ 西インド世界遺産紀行

shimizu_saiyu at 17:39|Permalink