番外編 バングラディシュ

2017年05月31日

発表!「バングラデシュテキスタイル紀行」おすすめの展覧会情報も!

前回に続き、特集パンフレット「インド・バングラデシュのこだわりの旅6選」をご紹介しております。

こちらのパンフレットには、他ではなかなか見られない西遊旅行らしいコースが勢揃いしておりますが、本日ご紹介するのは


「バングラデシュ テキスタイル紀行」7日間 298000円
 

です!

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ベンガル地方の刺子「ノクシカタ」

こちらのツアーでは、前回ご紹介した「グジャラート テキスタイル紀行」と同様、テキスタイルに特化した村巡りワークショップをお楽しみいただけます。

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素朴な村々を巡ります

ツアーで訪れるベンガル地方で有名な手仕事は、ノクシカタジャムダニ織り

ノクシカタについてはこちらのブログで、ジャムダニ織りについては以前、冊子「きんとうん」の「世界の手仕事」で、書かせていただきました(本社に在庫がありましたら、お送りできます)。

そして、ラッキーなことに今、東京でノクシカタ(≒カンタ)に関する素晴らしい展覧会が開催されています!


白の刺子 カンタ - ベンガルでの出会い
2017年4月6日 - 7月15日
場所   :岩立フォークテキスタイルミュージアム(東京・自由が丘)
開館日  :会期中の木・金・土曜日
開館時間 : 10:00 - 17:00 *入館は16:30まで(Last Entry16:30)
入館料  : ¥500 [小中学生 無料、高大生 300円、障がい者とその同伴者 300円] 
詳しくはこちらをご覧ください!


以前、私が岩立さんのノクシカタの大規模なコレクション展に行ったのは、2014年日本民藝館でしたでしょうか?虫眼鏡をお借りできるサービスがあり、「??」と思っていましたが、なるほどどの布も穴があくほど見つめていたい、何度見ても新しい発見がある一品ばかりでした。この貴重な機会に、是非訪れてみてください!

ノクシカタについてもっと知りたい!という方には、こちらの本もおすすめです。

ベンガルの刺繍カンタ展:その過去と現在』2001年に出版された図録です。写真が豊富で、ノクシカタにそれぞれの時代の女性たちの想いが描かれてきたことがよくわかります。図書館や古本屋さんで見かけられたらぜひご覧になってください!
インド 大地の布』ノクシカタ以外にも、アルナチャールプラデーシュ州の野生のシルク布やラジャスタン、グジャラートの刺繍、バラナシのシルクなど、インド全土の貴重な手仕事について紹介されています。

(そして、村の女性たちと実際にノクシカタ制作を体験したくなったら、ぜひ西遊旅行のツアーへ^^)

Text by Megumi NAKATANI

インド・バングラデシュのこだわりの旅6選」ラインナップはこちらです!


【インド・こだわりの旅4コース】


ラジャスタン Rajasthan


グジャラート テキスタイル紀行


原インドを撮る ソンプール・メーラと聖地バラナシ


ナガランド ホーンビル・フェスティバル見学


【バングラデシュ・こだわりの旅2コース】

黄金のベンガル バングラデシュ

 シュンドルボンの祭りドゥブラ・ラッシュ・メーラ見学


バングラデシュ テキスタイル紀行



nakatani_saiyu at 12:00|Permalink

2014年10月15日

【番外編】日本で出会うバングラデシュの手仕事

バングラデシュやインドの西ベンガル州の刺繍、カンタ。
東京・駒場東大前にある「日本民藝館」で、素晴らしいカンタのコレクションを一堂に鑑賞できる企画展「カンタと刺子 -ベンガル地方と東北地方の針仕事」が開催されています。

カンタと刺子 -ベンガル地方と東北地方の針仕事  
2014年9月9日(火)-11月24日(月・祝)
休館日:  月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)
入館料:  一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円
開館時間: 10:00-17:00(入館は16:30まで)

詳しい地図はこちら

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展示が行われている日本民藝館は、1936年に作られた趣ある建物です。
「下手物」と呼ばれ重要視されていなかった各地の手仕事に宿る素朴な美を見出し、「民藝」という呼び名を与えた思想家の柳宗悦氏に企画され作られました。

広い部屋一面に、大きなものから小さなものまで、19世紀~20世紀の貴重なカンタが展示されています。その多くはガラスケースに入っていない「露出展示」で、希望の方は虫眼鏡を借りて、じっくりと作品との会話を楽しむことができます。

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カンタ 儀式用布(部分) 19世紀後半 旧ベンガル地方 岩立フォークテキスタイルミュージアム蔵

10月19日(日)10時半からは、岩立フォークテキスタイルミュージアムの学芸員・廣田繭子さんによるギャラリートーク(カンタについて)を開催。終了後、引き続き、日本民藝館学芸員・石井りえさんによるギャラリートーク(東北の刺子について)も開催されます。

カンタと共に展示されている東北の刺子の展示も必見です。
ベンガルの大地そのものの、おおらかな温かみに溢れたカンタと対照に、
冬は雪に閉ざされる東北地方で作られた刺子は、その風土や、東北の女性たちの気概がそのまま映し出されているように思えてなりません。

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菱刺前掛用布 大正時代 南部地方(青森県東南部) 日本民藝館蔵

北ベトナムの山中に暮らすザオ族の刺繍は、日本の東北地方のこぎん刺しとよく似ていることでも知られています。北ベトナム・ハジャンを訪れるコースに行かれた方にも、興味深い展示だと思います。


ところで、カンタ(ノクシカタ)の簡単なワークショップも行う弊社の人気コース「バングラデシュ テキスタイル紀行」。
年末年始発着のコースは催行決定、間もなく満席です。ご検討中の方は、お早めにお申し込みください!

12月27日(土) ~ 01月02日(金) 追加設定・年末年始特別企画
東京発着・7日間 308,000円 催行決定・残席わずか


nakatani_saiyu at 09:00|Permalink

2013年06月28日

番外編バングラディシュ バングラデシュテキスタイル①ノクシカタとは

インドの隣の国、バングラディッシュのテキスタイルのご紹介です。

詩人タゴールが「我が黄金のベンガルよ」と讃えた国バングラデシュ。
豊かな農村風景が広がるこの大地をそのまま表すような、素朴で美しいテキスタイル「ノクシカタ」をご紹介します。

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「黄金のベンガル」美しい農村風景

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ベンガルの大地で生まれたテキスタイル「ノクシカタ」

『ある川のほとりの村に住むルパとシャジュは恋に落ちて結婚し、幸せな生活を送っていた。
 ある晩、近所に稲泥棒が入り、ルパは勇敢に戦うが、殺人の濡れ衣で警察へつれていかれた。
 傷心のシャジュはルパとの出会いからの日々を全てカンタに刺繍しながら待ち続けたが、
 ルパが戻ってくる前に亡くなってしまった。

 シャジュの墓には彼女の人生が縫い込まれたカンタが掛けられた。
 村人たちはある日、やせ衰えた男がシャジュの墓で死んでいるのを見つけた。
 男は墓のカンタを見て、それが愛するシャジュであるとわかったのである』


これは「ノクシカタ(ノクシ・カンタ)」という言葉を広める契機となった、詩人ジョシムッディンの刺繍『ノクシ・カンタの野原』の要約です。


「ノクシカタ」は、古布を広げて3層から4層に重ねあわせて四隅と縁を止め、中央に古いサリーからとったカラフルな糸で刺繍をした「カンタ」から発展したものです。
「カンタ」は冬用のふとん、ベッドカバー、日用品や貴重品を包むふろしきのように利用されてきましたが、次第にその刺繍に芸術的要素が加わり、「ノクシカタ(ノクシ・カンタ)」へと変わって行きました。


「ノクシカタ」の元となった「カンタ」という語は、紀元前6世紀頃のサンスクリット文法書やラーマーヤナ叙事詩でも言及されるほど歴史が古く、
もとはボロ布、苦行者のつぎはぎ布の衣装という意味を持ち、「赤貧の象徴」とされていました。


「ノクシカタ」は、農村女性たちが宗教・階層の違いを越えて、中庭に集まり、語らいながら縫い広げられてきました。
嫁選びの際、婿側の家族は、嫁の母親の作品を見てその家の女性が働き者かどうかを判断したと言います。

母から娘へと代々技術が受け継がれてきた「ノクシカタ」には、冒頭でご紹介した詩のように、女性たちの「暮らし」や「美意識」が縫いとられています。
家畜や日用品、農村風景が刺繍されたノクシカタには、女性たちが日々大切にしているものや家族への想いがそのまま表現されています。

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「ノクシカタ」に描かれた農村風景

「ノクシカタ」の中央によく刺繍される蓮の花のデザインは、ヒンドゥー神の降臨を促すために地面に描かれるアルポナ(アリパン)から派生したデザインです。
ほかに、めでたい席で利用される「ノクシカタ」には、豊穣を意味する魚や生命を象徴する孔雀、生命の木など吉祥をもたらすデザインが刺繍されています。
中には家の繁栄を願うため、農機具や鋏、櫛などの身の回りの品物が刺繍されたものもあります。

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神を家に招き入れるために床に描かれた「アルポナ」

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ノクシカタの中央に縫い取られた「アルポナ」のデザイン

「ノクシカタ」には、その時代ごとの女性たちが関心を持っていた出来事も縫いとられています。
19世紀後半、バングラデシュにはじめて列車が走ったときには「ノクシカタ」のデザインにも列車が使われ、
1971年パキスタンとの独立戦争直後には、バングラデシュの国土や国を称える詩などが刺繍されました。

「ノクシカタ」は、今まで何度か衰退の危機に見舞われました。
1971年の独立戦争後、独立は果たしたものの、多くの難民や犠牲者を出した戦争のため、農村の女性たちが手の込んだ刺繍製品を作り続ける余裕を失ってしまったのです。
美しい「ノクシカタ」は、次第に縫い目の大きな平縫いを施しただけのものに変化していきました。

次回は、一度衰退の危機に貧した「ノクシカタ」がどのように復興し、現代に蘇ったかをご紹介します。

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参考図書『生活とアートⅡ ベンガルの刺繍 カンターその過去と現在ー』財団法人 福岡市文化芸術振興財団 2004

文:中谷愛 写真:西遊旅行

西遊旅行のバングラディッシュの手仕事を訪ね、体験する旅
バングラディッシュ・テキスタイル紀行

nakatani_saiyu at 09:09|Permalink