旅の本

2018年05月08日

【旅の本】ガンディー 平和を紡ぐ人

ガンディー暗殺からちょうど70年の節目を迎える2018年1月19日、新たな評伝が発売されました!岩波新書からです。

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書かれたのは、竹中千春先生。立教大学政治学部教授で、ご専門は国際政治、比較政治、南アジア政治などです。

“誰が平和をつくるのか。その人はどこから来るのか。(「はじめに」より)。”

ガンディーといえば、誰でも知っている有名人で、今までに評伝を含め膨大な量の関連書籍が出版されています(巻末には「読書案内」として、竹中先生ご自身がたくさんの本や論文を紹介されています)。

このブログを読まれている方の中にも、昔、ガンディーの偉人伝を読んだことがある!という方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、今までガンディーについて書かれた評伝は、しばしば事実が美化されていたり、偉人としての側面が強調されたものになっていました。

そんな中、竹中先生は、できるだけ「人間としてのガンディー」を描きたいと、今回筆を取られたそうです。

イギリスに行ったばかりのころ服装にやたらと気をつかったり、奥さんをほったらかしてアフリカに行ってしまったり、行動が突飛すぎて兄を困らせたり。。

本書では、生き生きと人間らしいガンディーの姿が描かれます。

裕福な家に育った少年時代、イギリス留学をへて南アフリカに渡った青年時代、インドに戻ってからの壮年時代をどんな風に過ごし、「モーハンダース・ガンディー」が、「マハートマ=偉大なる魂」となっていったかが、丁寧に綴られています。

ガンディーゆかりの地を訪ねるチャンスがあれば、その前にぜひお読みください!

西遊旅行のツアーでは、2018年5月現在、ガンディーの足跡を辿るツアー。。という商品はありませんが(そんなツアーがあれば参加したい!という方はぜひリクエストをお送りください 塩の行進の足跡を歩くとか。。ガンディーは3週間かかったそうですが。。 実際に歩いて論文を書かれた学者さんもいらっしゃるそうです!)、

グジャラート州を訪れるツアーでは塩の行進の出発点となったガンディーアシュラムを訪れたり、デリーで時間ができた時には暗殺の地・ガンジー記念博物館(Gandhi Smriti)を訪れたりと、所々でガンディーゆかりの地を訪れるチャンスがあります。

ガンディーの出身地・グジャラート州では、今も州全体が禁酒を守っていて、外国人も特別許可を取らないとお酒を飲むことができません。

私自身も、このようなガンディーゆかりの地を何度か訪れたことがありますが、「あの有名なガンディーの。。ふーん。。」という気持ちで、なんとなくガイドさんの説明を聞いておりました。

けれど、この本を読んだあとならば、それらのゆかりの地を、もっと違った、熱い気持ちで訪れることができただろうと残念に思います。もっと早く、この本に出会っていたかった。。!!

というわけで、今回この本をブログでご紹介しました。インド方面へのツアーに行かれる方は、ぜひその前にご一読ください。

また、岩波書店の特設サイト「B面の岩波新書」にて、執筆直後の竹中先生へのインタビュー記事も掲載されています。こちらも面白いので、ぜひ合わせてお読みください

余談ですが、この本を読んでいて、学生時代にガンディーのそっくりさんが出てくるインド映画「 Lage Raho Munnabhai(2006)」を見て衝撃を受けたことを思い出しました。現代のマフィアのボスがガンディーのアドバイスによって問題を解決していく。。というストーリーです。こちらもチャンスがあればぜひご覧になってみてください(以下は映画の挿入歌。オレンジシャツのマフィアのボスが、図書館で、一生懸命ガンディーについて学んでいます。ガンディーの思想は老若男女、国籍、職業の差を越えて、多くの人に今も影響を与え続けています)。



*** 今回ご紹介した本 ***
*** 関連ツアー ***

西遊旅行で行く、インドのツアーはこちら!!
個人旅行の手配も受け付けております!

nakatani_saiyu at 14:00|Permalink

2018年01月25日

【旅の本】インド・道の文化史

シルクロード(中国ほか)」「茶馬古道(中国)」「インカ道(ペルー)」「グランド・トランク・ロード(インド、パキスタンほか)」・・・古来、物や人、文化が行き交った「道」は、そのものにロマンがあり、旅心を掻き立てるものです。

今回は、「道」と「南アジア」という2つのキーワードを元に、日本が誇る南アジア研究者たち多種多彩な文章を寄せた一冊をご紹介します。

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「道」をキーワードに様々な側面から語られる南アジア

むらをゆく かの 赤土のみち
ひたぶるに わがこころ 魅せらるる

ベンガルの詩人・タゴールの美しい詩からこの本は始まります。

目次を読むと、まずその執筆陣の豪華さに驚いてしまいます。例えば

死者の丘からー先史以来の道の動態ー小西正捷先生(立教大学名誉教授)

香料・ビーズ・陶器を運んだ海の道辛島昇先生(東京大学名誉教授・大正大学名誉教授)

デリーへ!インド大反乱長崎暢子先生(東京大学名誉教授)

(南アジア業界のレジェンドが揃い踏み

どの文章も20ページ前後でまとめられていますので、自分の気になるテーマ以外の文章も簡単に読むことができます(そして関連書籍が各文末に書かれていますので好きなテーマをどんどん掘り下げることも可能)。

編者は小西正捷先生と宮本久義先生。小西先生には2015年西遊旅行のイベント「パキスタンを知ろう!」東京会場にてご講演いただきました

西遊旅行南アジアツアーの予習・復習にも!

この本の中で扱われているテーマは、西遊旅行で訪れる南アジアの旅で登場するものも少なくありません。例えば、

モヘンジョ=ダロとインダス文明について書かれた「死者の丘から」は「シンド・パンジャーブ紀行

ゴータマ・ブッダの求道・伝道について書かれた「犀の角のようにただ独り歩め」や、法顕や玄奘の辿った道について書かれた「天竺への道」は「仏陀の道

コラム「シャトルンジャヤへの道」は「美しきグジャラート 階段井戸とシャトルンジャヤ巡礼」などなど。。

他にもスリランカの山岳信仰について、パキスタンの聖者廟について(聖者廟を見学する際、ここに書かれているシャハバーズ・カランダルをテーマにした歌を聞かれるかもしれません)、カイラス山〜バラナシに続く巡礼路について、海のシルクロードについて、ガーンディの辿った道について。。

知っていれば必ずどこかで役に立つ、「道」に関する話題が満載の一冊です!

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釈尊入滅の地クシナガルの大涅槃堂

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ジャイナ教の聖地シャトルンジャヤ

*** 今回ご紹介した本 ***


*** 関連ツアー ***

砂漠と遺跡のパキスタン。パキスタンをカラチからイスラマバードまで陸路で走破。南部・中部のみどころを網羅。モヘンジョダロ、ハラッパ、インダス文明の遺跡をじっくり見学。

仏陀の道
八大仏跡を全て訪問、釈尊ゆかりの地を訪ねるインド・ネパールの旅

金子貴一氏同行シリーズ 拡大版 仏陀の道 〜インド仏教の始まりと終わり〜
釈尊の仏跡群とインド仏教滅亡時の三大山を訪ねるインド・ネパールの旅

その他、西遊旅行の南アジア方面行きのツアーはこちらからご覧ください。






nakatani_saiyu at 17:45|Permalink

2017年12月22日

【旅の本】ムガル美術の旅

 「どうしてムガル建築は白大理石と赤砂岩でできているんですか?」と、新入社員(当時)の男の子に聞かれたのがこの本を手に取ったきっかけでした。

今回は、北インドやパキスタンを旅していると必ず訪れる、ムガル帝国時代の建築物、庭園、細密画に関して楽しく面白く読むことができる一冊をご紹介いたします。

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どうしてムガル建築の多くは「白」と「赤」の石でできているの?

ムガル帝国時代の建築物といえば、

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タージ・マハル(アグラ)

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フマユーン廟(デリー)   

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ラール・キラー(デリー)

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ジャマー・マスジッド(デリー) 

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バードシャヒーモスク(パキスタン・ラホール)

確かに、どれも「白」と「赤」の石でできています(この「白」と「赤」=インド のイメージが、のちにエア・インディアのイメージカラーにも繋がったという説も)。

白い部分の原料は白大理石、そして赤い部分の原料は赤砂岩です。そして、白大理石の多くは西インドのラジャスタン、赤砂岩はアグラ付近が主な産地となっています。

「白大理石と赤砂岩の建物を建てている」ということは、つまり「その建物を建てた王がラジャスタンとアグラを制している」ということを周囲に示すことになるのです。

特に、ラジャスタンには前回ブログでもご紹介した勇猛果敢なラージプート族が住んでいます。

「あのラージプートの土地から、こんなに大きな建物を建てるだけの大理石を持ってこられるとは!」と、当時の人々は王様を尊敬の目で見たに違いありません。

様々な疑問を豊富な資料と斬新な解釈で解説!

・・というような、「なるほど〜!」というエピソードが満載のこの一冊。

「なぜイスラームの建築には青が多く使われているのか」

「ムガル帝国時代に作られた庭園はどうして碁盤の目のような形をしているのか」

「ムガル細密画は何から影響を受けたのか?そしてどんな目的で描かれたのか」

というような疑問に対して、

旧約聖書から古代メソポタミア神話、リグ・ヴェーダといった様々な書物、膨大な論文、

そしてスペインのアルハンブラ宮殿や古代ローマのポンペイ、イスラエルのエルサレムなど様々な場所と比較・対象して分析されています。

ユーモア溢れる文体で書かれていて大変読みやすい本ですが、巻末には参考文献を丁寧に載せてくださっていますので、「もっと突っ込んで勉強したい」という方にもとても親切です。

普通のガイドブックにはあまり詳しく載っていない、ムガル帝国時代の夢の都ファテープルシークリーに関しても詳しく載っています!

西遊旅行の名物ツアー「ナマステ・インディア大周遊」「シンド・パンジャーブ紀行」に行かれる前に、是非とも読んでいただきたい一冊です。

*** 今回ご紹介した本 ***

ムガル美術の旅
山田 篤美
朝日新聞社
1997-12


*** 関連ツアー ***

ナマステ・インディア大周遊
文化と自然をたっぷり楽しむインド 15の世界遺産をめぐる少人数限定の旅

シンド・パンジャーブ紀行
カラチからイスラマバードまで陸路で走破し、パキスタンの遺跡をじっくり巡る

<年末年始特別企画>シンド・パンジャーブ紀行 7日間
7日間で古都ラホールやモヘンジョダロ、ハラッパを訪問

nakatani_saiyu at 13:30|Permalink

2017年11月15日

【旅の本】南インドカルチャー見聞録

南インドに行ってみたいけど、どんなところなんだろう?
タージマハルやガンジス川のある北インドとはどんな違いがあるのだろう?
そう思ったとき、気軽に手に取れる楽しい一冊をご紹介いたします。

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著者は南インドに心を奪われたた4人の日本人

著者は写真家の井生(いおう)明さんと奥様の春奈さん、ミュージシャンの鹿島信治さんとアーティストの武田尋善さん。長年南インドに住んだり旅をしたりしていて「面白いな」「素敵だな」とビビッときて、長年溜めていらしたであろう写真とネタをこの本で惜しみなく紹介してくださっています。

料理、舞踊、映画、ファッション、日用品といった話題から、魔除けグッズやマッチ箱のデザイン、最近日本でも話題になっている手作り本の出版社タラブックスについてなど、一般的な話題からマニアックな話題まで網羅されています。

中でも南インド料理のコーナーはとっても充実しています。最近は日本でも「ミールス」や「ドーサ」などの南インド料理を食べられるようになりましたが、軽食やスイーツなどまだまだ知らない料理がたくさんあるんだなと読んでいてワクワクします(なんとサンバルやラッサムなどのレシピも載っています!)。

ガイドブックとしても優秀な一冊

本の最初にはチェンナイやマハーバリプラム、コーチンなど主要な街の説明があり、本の最後には愉快なタミル語の指差し会話帳や参考図書の一覧などもついていて、ガイドブックとしても優秀な一冊です。

著者のうちの2人、鹿島さんと武田さんは「マサラワーラー」というユニット名で南インド料理の「食べさせられ放題」イベントをされています。お二人の作った美味しい南インド料理をどんどん食べさせられる楽しいイベント。気になった方は、まずはイベントに足を運んでみられるのもいいかもしれません。

*** 今回ご紹介した本 ***

『南インドカルチャー見聞録』阿佐ヶ谷書院, 2014.

*** 関連ツアー ***

金子貴一氏同行シリーズ 南インド大乗仏教・密教の起源を探る旅
長年、仏教研究に勤しみ、仏教に関する執筆記事も多数ある金子氏と共に、大乗仏教の大成者 龍樹菩薩の史跡「ナガルジュナ・コンダ遺跡」、密教発祥の地ともされる「アマラヴァティ大塔」、密教曼荼羅の起源となる仏像群が見られるオリッサ州の仏教遺跡群を訪れて、日本仏教のルーツに迫ります。

南インド至宝のドラヴィダ建築を巡る旅
<新企画>世界遺産「大チョーラ朝寺院群」三寺院全てを訪問。南インドの至宝・ドラヴィダ様式の寺院を巡る旅。スリランカとの海の国境を隔てる聖地・ラーメーシュワラムにも訪問。

楽園の南インド
バックウォーターを巡るハウスボートの優雅なクルーズと旅世界遺産・ニルギリ山岳鉄道、聖地カンニャークマリも訪れる究極の南インドの旅。全都市でこだわりのホテルに宿泊、南インドの食も楽しむ。



nakatani_saiyu at 19:04|Permalink