ポンペイ

2017年12月22日

【旅の本】ムガル美術の旅

 「どうしてムガル建築は白大理石と赤砂岩でできているんですか?」と、新入社員(当時)の男の子に聞かれたのがこの本を手に取ったきっかけでした。

今回は、北インドやパキスタンを旅していると必ず訪れる、ムガル帝国時代の建築物、庭園、細密画に関して楽しく面白く読むことができる一冊をご紹介いたします。

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どうしてムガル建築の多くは「白」と「赤」の石でできているの?

ムガル帝国時代の建築物といえば、

34
タージ・マハル(アグラ)

18
フマユーン廟(デリー)   

33
ラール・キラー(デリー)

54
ジャマー・マスジッド(デリー) 

33
バードシャヒーモスク(パキスタン・ラホール)

確かに、どれも「白」と「赤」の石でできています(この「白」と「赤」=インド のイメージが、のちにエア・インディアのイメージカラーにも繋がったという説も)。

白い部分の原料は白大理石、そして赤い部分の原料は赤砂岩です。そして、白大理石の多くは西インドのラジャスタン、赤砂岩はアグラ付近が主な産地となっています。

「白大理石と赤砂岩の建物を建てている」ということは、つまり「その建物を建てた王がラジャスタンとアグラを制している」ということを周囲に示すことになるのです。

特に、ラジャスタンには前回ブログでもご紹介した勇猛果敢なラージプート族が住んでいます。

「あのラージプートの土地から、こんなに大きな建物を建てるだけの大理石を持ってこられるとは!」と、当時の人々は王様を尊敬の目で見たに違いありません。

様々な疑問を豊富な資料と斬新な解釈で解説!

・・というような、「なるほど〜!」というエピソードが満載のこの一冊。

「なぜイスラームの建築には青が多く使われているのか」

「ムガル帝国時代に作られた庭園はどうして碁盤の目のような形をしているのか」

「ムガル細密画は何から影響を受けたのか?そしてどんな目的で描かれたのか」

というような疑問に対して、

旧約聖書から古代メソポタミア神話、リグ・ヴェーダといった様々な書物、膨大な論文、

そしてスペインのアルハンブラ宮殿や古代ローマのポンペイ、イスラエルのエルサレムなど様々な場所と比較・対象して分析されています。

ユーモア溢れる文体で書かれていて大変読みやすい本ですが、巻末には参考文献を丁寧に載せてくださっていますので、「もっと突っ込んで勉強したい」という方にもとても親切です。

普通のガイドブックにはあまり詳しく載っていない、ムガル帝国時代の夢の都ファテープルシークリーに関しても詳しく載っています!

西遊旅行の名物ツアー「ナマステ・インディア大周遊」「シンド・パンジャーブ紀行」に行かれる前に、是非とも読んでいただきたい一冊です。

*** 今回ご紹介した本 ***

ムガル美術の旅
山田 篤美
朝日新聞社
1997-12


*** 関連ツアー ***

ナマステ・インディア大周遊
文化と自然をたっぷり楽しむインド 15の世界遺産をめぐる少人数限定の旅

シンド・パンジャーブ紀行
カラチからイスラマバードまで陸路で走破し、パキスタンの遺跡をじっくり巡る

<年末年始特別企画>シンド・パンジャーブ紀行 7日間
7日間で古都ラホールやモヘンジョダロ、ハラッパを訪問

nakatani_saiyu at 13:30|Permalink