2011年01月05日



無沙汰しております。
ここに何回か登場していたかもしれない。70年代の鉄道ファンの
連載記事の一つに「こっそりひっそりめだたずに」叙情的な連載が
あった。
その中で地味なテーマに伊豆の金山跡(縄地金山)が紹介されていた。
残念ながら既に“跡”の言葉が示すとおり既に廃坑になっていて「岩礁に飛び
出たレールが非常に芸術的な配置である。」という筆者の想いがこめられた
記述であったと記憶する。詳細な表現は忘れてしまったが、他の連載記事が
現役であるのに対し、何故かこの記事だけが廃坑であることが私の心に
強い印象をあたえなかった。

昭和58年、私とRU、Ue-menと他1名の4名で写真の坂越大泊の金鉱山を
訪問した。写真にあるとおり瀬戸内海を見下ろす高台に坑口があって、
金属鉱山にしては珍しく海を背景した写真を狙えた。
突然の訪問にもかかわらず、我々を暖かく迎え入れて
いただいてわざわざ坑内にいたBLを出していただいた。当時
も対応が二分されていて門前払いか恐ろしく対応よく見せて
いただけるか。大企業の鉱山は前者、中小の鉱山ほど後者だった。

金山というと、バカスカ坑内を掘り進むというよりは、小さな
集落の端っこで細々と・・・という印象があった。栃原にしても
佐渡にしても。だから人知れず古い方式による金属鉱山の採掘が
進められていた。ただ九州の金鉱山はスゴイみたいだけど。
従って、“金”というステータスが高く、成金のイメージとは裏腹に
産出現場は質素だなぁという印象。
つまり、冒頭の廃坑にあるように自然に従った線路配置は極めて
美しい側面を見せている“等高線理論”にかなっているのだなぁ。
小規模な金山であるとともに海という背景と、過去のものになって
しまったという時間軸が「ひっそり」しているなぁ。

はたして、西部劇に出てくる金の鉱脈を探すため一攫千金を夢見て
西部開拓の旅に出る。なんてウソッパチじゃん。
この後に、金属鉱山は猛烈な円高によって海外からの安価な金属
が流入し壊滅的な打撃をうけてしまう。まだまだ稼動いている鉱山
に対しては今の円高をなんとか乗り切ってほしい。

<yuzzu>

(01:31)

この記事へのコメント

1. Posted by RU   2011年01月05日 21:33
おひさしぶりです。本年もよろしく。
これ懐かしい写真だね。でも、このアングルは
オレは撮っていないので新鮮だ。
こっそりひっそりシリーズは結構集めたんだけど
この金山のヤツはもってない。正直悔しい。
佐渡へも行っているのか。知らなかった。今度は
佐渡編で是非。
2. Posted by yuzzu   2011年01月07日 00:22
コメントありがとう
佐渡には行ったものの、廃坑になってからの家族旅行での訪問でした。岩山の間にひっそりとしたたたずまいで、今は観光地として整備されていますが、大量に掘削していたり、過去の栄華を誇っているような雰囲気はありませんでした。
例の「知られざる・・・」本にもTV番組のチョイ出での発見されるぐらいメジャーじゃなかったみたいだしね。
これ以外にもOナロー模型の掲示板に写真を投稿しました。
ttp://www.onsenfan.com/bbs/index.htm?uid=l1ijqo0pzdj&mode=showpict&ENC=L5STsRF6IQa8ol59YG2iN7jA1QwQPB8dooxmrKTfhYg%3D
にてご笑覧してください。
3. Posted by Edy   2011年01月09日 19:08
初めまして。
検索で来ました。私もこの鉱山に閉山後行った事があり思い入れのある鉱山です。今ではもう往時の面影を想像するのが出来ない位に荒廃しております。大鉱山はともかくとしてこのような中小鉱山は時代とともに忘れ去られる運命なのでしょう。残念な事です。
このような往時の貴重な写真を拝見できとてもうれしく思います。ありがとうございました。
追伸
以前のこの鉱山の記事のコメント欄にてバテロコのチェーン引きの話題が出ていたと思いますが、恐らく(素人目で)チェーン駆動ではなくギア駆動のようです。
4. Posted by yuzzu   2011年01月09日 21:58
Edyさん、コメントありがとうございます。
“坂越大泊鉱山”で検索すると閉山後の様子が写真入りで表示されますね。
施設は部分的に残っているそうですが、おしゃるとおり荒廃してるみたいです。
世の中には他にも人知れず消えていった鉱山があるみたいで、中小鉱山は
なかなか表舞台に出ることはないです。これはいろんな背景があるのですが、
一つには保安上の問題があってあまりにメジャーになって事故があると大きな
問題になるからでしょうね。こうして公開できちゃうのも閉山になったからこそ。
なのかもしれません。
ひょっとすると、このページを見てても公開できないでモンモンと
している方がいるかもしれない。

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