元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~

2017年08月

【キーンランドC回顧】ソルヴェイグはスプリンターズSで楽しみ/惨敗シュウジには荒療治が必要

続いて、キーンランドCの回顧をやっていこうか。

エポワスは、これはルメールの騎乗をほめるべきレース。普段は先行タイプだけど、ハイペースを読んで後ろからジーっと脚を溜める競馬。最後は伸びあぐねる他馬の隙間を縫って抜けきったね。開催が進んでかなりタフな馬場になっていたから、もともと洋芝巧者のこの馬にとって好都合だったのもある。とにかく今回は条件がすべて向いた。さすがに高速決着のスプリンターズSで勝ち負けとはいかない気がするよ。

ソルヴェイグは、一番強い競馬をしていると思う。序盤は少しイレ込むところがあったし、好位の外めで終始ラチから遠いところを回らされた。おまけに1頭になったところでソラを使っている点も踏まえると、まともなら楽に勝っていたかもしれない。休み明けのせいか追い切りも手控え気味。ここを使って次はさらに良くなるはずで、10月のスプリンターズSが楽しみになる内容だったね。

ナックビーナスは、これもソルヴェイグと同じく休み明けだったけど、ハイペースの逃げでこれだけ粘れれば大したものだよ。もともとパワータイプではないから、洋芝をこなせたのは成長の証。今後も重賞では要注意だね。

モンドキャンノは、いつもより1列後ろからの競馬。中団でじ~っとしてそのまま中団で終わったあたり、もう少し前でレースをしたほうがいいのかな。これも1戦叩いて次あたり変わってきそうな雰囲気はあるね。

シュウジは、直線でまったくいいところがなかった。序盤はダッシュ良く走っているものの、勝手に走って勝手に止まった感じ。おそらくだけど、乗り役が息を入れようとした段階で自分でやめてしまうんだろう。いくら重賞ウィナーでもこうなってしまったら立て直すのは楽じゃない。スタートから押さえつけて終い勝負に徹するか、もしくは転厩して調教から何からすべて変えて刺激を与えるか、そのくらいの荒療治をしないとどうしようもないかもしれないな。

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【新潟2歳S回顧】フロンティアは気性が素直で距離延長にも対応できそう

それでは早速先週の重賞を振り返ろう。まずは新潟2歳Sから

フロンティアは、実に素直そうな馬だね。まずまずのスタートからスッと先行して、ペースが落ち着いたところでもリズムを崩さずいい雰囲気で追走できている。あの位置取りから32秒台の脚を出されたのでは後続は届かないよな。追ってからの反応も良かったし、これだけ乗り手に従順なら距離はまだ伸ばせそう。揉まれる競馬になってどうかはわからないけど、先々のクラシックでも楽しみはあるんじゃないかな。ドリームパスポートの下で血統的にも文句ないしね。

コーディエライトは、津村が上手いこと乗っていた。大外枠からジワっとハナに行って、すぐにペースを落として自分の競馬に持ち込めている。後続が絡んでこなかったのが良かったとはいえ、逃げてあの脚を使うんだから内容としては上々。フロンティアと同じく、これもキツイ競馬をしているわけではないから、そういう点では不安も残るけどね。

テンクウは、前半少し力んでしまったのがもったになかった。コーディエライトがサッと逃げなかったぶん、我慢する時間が長くなったからね。それでも中盤以降は折り合えていたし、直線では一番いい脚を使っている。内容的に悪くはないんだけど、個人的に距離が伸びて良さそうタイプには見えないかな。

ムスコローソは、そもそも追い切り診断の評価が高くなかったんだけど、レースでの乗り方もイマイチ。3角手前で前のプレトリアに乗り上げそうになって、ハミを噛んだしポジションも下げるしで終始スムーズさを欠いた。スローの流れであれだけロスしちゃうと、最後はやっぱり厳しくなるよ。そういう意味では度外視可能な一戦だろう。

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【キーンランドC追い切り診断】シュウジは併せ馬と並んだ時にクビが硬くなる/ソルヴェイグはいい頃に比べると物足りない

続いてキーンランドCを見ていこう。

エポワスは、反応はあるんだけど併せ馬と並んでからの走りが硬いし、クビ使いもちょっとイマイチかな。

シュウジは、前回と同じくこの馬にしては落ちつきはあって、併せ馬を交わしてからの伸びや動きは上々だった。ただ、馬と並んだ時にクビをグッと硬くする点がどうも気になる。重賞を勝つ力は十分あるんだから、もっと馬具を工夫したりして力を出し切れるようにしてもらいたいけどね…。

ソルヴェイグは、クビ使いがイマイチで追われてからの反応もひと息。いい時の状態にはないかな。

ナックビーナスは、頭が高いしクビ使いもちょっとイマイチ。見た目の動きより時計は速いから、ある程度仕上がってはいるんだろうけど…。

ネロは、トモの入りがイマイチだし走りが硬い。

ノボバカラは、頭が高いものの体は使えているし、ダート馬にしては走りも柔らかい。芝でも十分走れそうな雰囲気はあるね。

ヒルノデイバローは、これも頭が高いものの体やクビの使い自体は良かった。この馬なりに順調だろう。

フミノムーンは、体やクビの使いは良かったし、気分良さそうに走れている。いたって順調だね。

ブランボヌールは、走りが全体的にぎこちないのが気になる。いい時の状態にはないようだね。

メイソンジュニアは、体やクビの使いは上々。気分良さそうに走っているし、脚の伸びもすごく良かった。

モンドキャンノは、いつもはハミを噛むけど、折り合い自体はついていた。ただ、クビの使いはちょっとイマイチかな。

ライトフェアリーは、体やクビの使いが悪いし、全体的にイマイチだね。

一番良かったのはメイソンジュニア。あとはフミノムーン、ヒルノデイバロー、ノボバカラ、シュウジ。このあたりまで。


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【新潟2歳S追い切り診断】フロンティアは完成度という点で割引か/テンクウは気性面の課題さえ克服すれば

それでは今週も重賞の追い切り診断をしようか。まずは新潟2歳Sからだね。

エングローサーは、走りが柔らかくて新潟の軽い馬場はあいそうだけど、ちょっとパワー不足な感じだね。

オーデットエールは、走りが重苦しく映る。

キボウノダイチは、体は使えているので順調そうではあるけど、これといってほめるところも見当たらないかな。

グランデウィークは、クビの使いがイマイチ。

コーディエライトは、体は使えているものの力強さに欠けるね。

シンデレラメイクは、体は使えているんだけど、追われてからの反応が物足りないかな。

ダンツセイケイは、追われてからクビが使えなくなって走りが上に上に行ってしまう。トモも弱いし、今は気持ちだけで走っているような印象を受けるね。

テンクウは、荒っぽい気性と馬体が小さいのは気になるけど、体とクビをいい感じに使ってキビキビとした走りができている。まずまず順調そうだね。

トッカータは、追われてからの反応や伸びがひと息。

フィルハーモニーは、体やクビを十分使えているし、走りが柔らかいのもいいね。

プレトリアは、これが一番よく見えたよ。体やクビは使えているし、追われてからの反応も上々。いたって順調だね。

フロンティアは、体は使えているものの、トビの大きさのわりにパワーがひと息。ゆったり走れる新潟は悪くなさそうだけど、現時点の完成度という点ではイマイチかな。

マイネルサイルーンは、体やクビの使いは上々。反応も良かったし、状態としては文句ないね。

ムスコローソは、クビが高くて走りが硬い。もう少し短いところのほうが良さそうな感じだね。

ラインギャラントは、体やクビの使いは良かったし、力強さも十分。後々の伸びしろという点では何といえないけど、現時点でソコソコ程度仕上がっている印象を受けるな。

一番良かったのはプレトリア。続いてテンクウ、フィルハーモニー、ラインギャラント、マイネルサイルーン、エングローサー。この6頭だね。

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【北九州記念回顧】ダイアナヘイローは秋の飛躍が楽しみになる楽勝

続いて、大荒れだった北九州記念を振り返ろう。

ダイアナヘイローは、かなり強い競馬だった。よどみないペースをスッと番手に付けて流れに乗り、最後は楽な手応えでそのまま突き抜けてしまった。まあ相手が弱かったってのはあると思うけど、秋の飛躍が楽しみになる内容だったと言っていい。

むしろ気になったのは、3連勝できていたわりに意外と人気がなかったこと。おそらく前走の着差がわずかだったせいだと思うんだけど、豊(武豊騎手)に関しては着差というのはあまり参考にならなかったりする。なぜなら彼は馬に無理をさせないために、ギリギリの着差で勝つことが多い。道中からゴール前をイメージして、逆算して最小限の力で勝てるようにレースを組み立てる。それは彼のスゴイところのひとつだね。

ナリタスターワンは、まずまずのスタートから中団の外めにポジションを取って、そのままなだれ込んだ感じ。とくに強いレースをしたわけではないんだけど、幸がスムーズに乗ったことが一番の好走要因だと思うよ。パドックの気配自体は悪くなかったし、体調も良かったんだろう。しかし、追い切りを見られなかった馬がよく穴をあけるんだよなぁ…。

ラインスピリットは、これもナリタと同じで、好スタートから流れに乗ってなだれ込んだ印象。大外枠から好走しているのは立派だと思うけど、次に繋がるという印象は受けないな。

ファインニードルは、直線で進路をカットされるシーンがあったとはいえ、そもそもこの馬自身もフラツイてるから、不利がなくても好走できたかどうかは微妙なところ。キングハートアクティブミノルはともに人気を裏切ったけど、どちらも体調面の不安がモロに出た感じ。真夏の短距離重賞だから、こういう荒れ方をするところまで考えなきゃいけないんだろうな。

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