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 台東の街をふらりと散策していると、原住民文化会館、というのがあった。エントランスにはいかにもそれらしいレリーフや像、あるいは舟なんかが展示されていた。原住民文化に関する博物館か何かかな、とちょっと立ち寄ってみる気になった。

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 実は中はホテルだった。外側の看板の英語表記にはHOTELと書かれていたが、原住民文化会館の表記だけを見ていて、すっかり見落としていた。

 後に聞いた話だが、このホテルは台東県の経営で、原住民の文化・交流施設として使われるが、宿泊設備は一般にも開放しているらしい。次に台東に来る機会があれば泊まってみたいと思わせる雰囲気だった。

 ちなみに台湾東部は、原住民族の人口比率が比較的高い。台東市も原住民の人口比率は約半分で、台湾の主要都市の中で最も高い。

 ここで言う原住民は、現在の台湾人の多くを構成している中国から来た漢民族ではなく、それ以前から住んでいた土着の人々である。

 元々台湾には原住民族だけが暮らしていたのであるが、大航海時代以降17世紀ごろからスペインやオランダの支配を受けたり、中国大陸から多数移住してきた漢民族によって淘汰され山岳などの僻地に追いやられたり、その後日本の支配による日本化、中国国民党政権による漢化など、彼らの生活から伝統・文化に至るまで大きな影響を受けてきた。霧社事件と呼ばれる抗日闘争や、以前の記事でも触れた国民党の武力鎮圧である二二八事件など、武力による制圧も起きている。

 現代では土着文化の回帰運動も広がり、中国からの独立機運が高まりをみせた時には、そのアイデンティティ模索の一環として、台湾独自の文化のルーツを原住民のそれに求める動きも出ていた。

【写真】2012年12月
【文章】2016年11月
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