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 記憶には様々な種類があり、それぞれ得手不得手が異なるようだ。短期的or長期的、あるいは画像の記憶や文章の記憶、ロジックの記憶、等等…。私はどうやら視覚的な記憶は苦手らしく、人の顔を覚えるのは苦手だ。文章やらの暗記はどちらかというと得意なほうだとは思っているが。

 そんな中、私がどうも人より異常に優れているらしいのが、私が『音の記憶』と呼ぶ、一度聞いた音楽の音階や音色の記憶だ。私が勝手にそう呼んでいるだけなので、学術的になんというのかは知らない。

 幼少の頃に何度か聞いた音楽は、数十年経った今でも口ずさめて、親や周囲の人間が驚くことも少なくない。面白いことに、歌詞のある歌も音として認識して記憶し、出し入れする際に言語化するフィルタを通すような脳内処理しているようで、幼少の頃に難解な言葉や外国語などの意味がわからなかった単語だけが言語化した記憶になっておらず、擬音のような記憶になっていてアウトプットできない場合が多々ある。

 現代では、昔みた文章や本、あるいは音楽でも歌詞があるものは、たいていタイトルや内容、作者などの一部分をネットで検索すれば辿り着けることも多い。しかし困るのが『音の記憶』だ。将来的には口ずさんだフレーズの一部分から、ネット上の音データを検索することも可能になるかも知れないが、現在ではまだ難しいように思う。昔の何かのドラマで流れていた曲、街角で聞いたピアノ曲などの歌詞が無い曲をもう一度聞きたいと思っても、探し当てるのは至難の業だ。

 だが、旅をしていると、偶然にそんな『音の記憶』に辿り着けたことが何度かある。ここに記しているのも、そんな記憶の一つだ。


 福島県の裏磐梯に、何度も利用させて頂いたペンションがある。そのペンションで夕食時に流れていたピアノ曲に聞き覚えがあった。当時からして20年以上前だっただろうか、子供の頃に、故石立鉄男さんの出演していたドラマがあったのだが、そのドラマで何度かバックで流れていた曲だった。非常に美しい曲で、子供の頃からもう一度聞きたいと思っていたのだが、ずっとなんの曲かわからず、記憶の奥にしまわれていた音楽だった。

 ペンションのオーナーに、その時かけていたCDを教えて頂いて、演奏者も曲名もわかった。西村由紀江さんのObjetという曲だ。さっそく入手したのが、写真のCDである。

こんな曲



 旅をして、色々な景色はもちろんのことだが、色々な音に巡り合えるのもまた楽しいものだ。ただ風景のように、ゆっくりとカメラに収めることはできないのが難しいところであるが。

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