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 台湾の中部、彰化県の員林の駅の写真が残っていた。

 2012年の大晦日の写真なのだが、横では大きな工事が行われていた。近い将来、員林駅は高架の新駅舎になるとのことだった。確かに街をブラリ歩きしていると、この駅が街を東西に断ち切っていると感じた。特に駅の西側のエリアから駅に入るにはグルリと迂回しなければならず、若干寂びれた下町の雰囲気だった。駅の出入り口がある東側の賑わいとは程遠く、同じ駅の傍とは思えなかった。

 今では立派な高架の駅になっているはずだ。ただ、私としては高架駅はどこにでもある感じでなんとも味気なく感じる。街の雑踏の中で、鉄道のガタンゴトンやブレーキ音、扉の閉まる音、駅のアナウンス、踏切の音なんかが聞こえる地上駅のほうが、なんとなく風情があって好きだ。

 私が現在住んでいる長岡京市には、鉄道の駅が3つある。比較的新しい阪急の西山天王山駅は高架駅だが、市の玄関口となる昔からのJRと阪急の駅は地上駅のままである。渋滞や往来の不便さの解消のため、高架化を望む声もあるようだ。確かに高架駅のほうが効率的なのは間違いないし、踏切の渋滞にウンザリすることも多々ある。しかし街の風情が味気なくなってしまった例を多数見る機会があった私としては、わざわざ大金をかけて高架化することには、大手を振って賛成もできない。まぁ考え方はそれぞれだろう。

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 話を元に戻して。

 員林の駅も、もう二度とこの風景を見ることはない、と意識していれば、もっとたくさん写真を撮っていたのかも知れない。ただ新駅を横で工事していて、それを見ているにも関わらず、案外そういった考えに至らなかったりもするものだ。アンテナが働いていないというか、センサーの感度が悪い、というか。

 言い訳に過ぎないが、当時は激務の中でなんとか年末に休暇がとり、日本からやってきて一泊したところで、まだ日常の忙しない精神状態が抜けやらず、心のセンサーやアンテナが旅モードに切り替わっていなかったようにも思う。

 というわけで、残念ながら、今はもうない地上駅だったころの員林駅の写真は、この2枚しか残っていない。

【写真】2012年12月
【文章】2017年10月
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