February 27, 2017

201202murakami 相変わらず「安倍晋三記念小学校」で話題沸騰の「軍国幼稚園」問題。遠い大阪の地の話かと思っていましたら、なんとこんな形で福山に飛び火するとは思いませんでした。

 2016年夏の福山市長選挙で立候補し善戦した村上栄二氏は、大阪維新の会の大阪市議だった人です。その彼は市議時代、国有地払い下げや軍国教育で問題になっている「塚本幼稚園」のために、なんと役所に怒鳴り込みに行っていたというのです。

 2012年2月のこと。塚本幼稚園は以前から地域との揉め事が多かったのですが、幼稚園がラグビーなどで使っていた公園が地域の判断で緑化されることになり、使えなくなる可能性が出てきました。そんな事態を見かねた村上氏は役所に直行。村上氏本人のブログには、「メチャクチャ怒りました!」「市役所の対応は住民の総意なんで…。総意なわけないやろ! 完全に嫌がらせに加担してるやんけ」とあり、担当者とのやり取りが生々しく書かれています(今は消されているらし。魚拓はこちら)。

担当所長の顔と名前を一致させに来た!! 時間が無いから単刀直入に言うわ。住民の総意って、なんや??? ほんまか???」
「はい、町会長からの総意と伺っています。」
町会長がなんぼのもんや? 総意やなくて意見やろが??? 子どもが笑顔で遊んでいる場所を奪って、緑を増やすってなんや? 関係あるか!」
「市長が機能する自治を求めてるのを知っているか? ほんまにこれは住民の総意なんやな??? 市長は一部の老害・形骸化した私物のように公園を扱う奴絶対に許さんぞ!!」
「俺が一番許せないのは大人の都合で子どもの遊び場を奪う事や 公園は誰のもんや? みんなのもんやろ? じいさんはじいさんで日向ぼっこしとけばええやろ? すでに公園の中でグランドと緑化に施設部分と区分けされているのに何でするんや???」
舐めてるやろ??? 子どもが元気に遊ばなくなったんとちゃうぞ??? 子どもの声がうるさいから、野球やサッカーをさせない。 遊び場を奪うのはわがままな大人が増えたからや」
「役所もなんや? この対応は? 昨日の今日で私たちは言われた事をしているんですの表情は??? 俺は絶対に許さんぞ 外郭団体か? なんや? 知らんけど、強行したら絶対にお前ら潰すからな! 文教経済委員会で名指しでお前らを質疑で出すからな!」

 みなさん、勘違いしないでくださいね。フツーは恫喝された側の言葉を載せて、「とはいえ村上さんの言い分も聞かなきゃね」とバランス取るところですが、これ村上さんの言い分ですから。ヤクザまがいの恫喝を、ご本人が意気揚々と載せちゃっているのです。

33) どうやら村上栄二という人は、塚本幼稚園の籠池理事長に心酔していたようです。福山市長選の準備をしている頃にも、仲間を連れて塚本幼稚園に視察に行っています。そのときのブログでは、「どうしても見て欲しかった 本物の教育ってやつをね!!」「子ども達は指先もピシッと伸び、そしてお礼はすべて手に地面が付くくらいと分離礼が出来ております」「籠池園長が12月8日は大東亜戦争がはじまった事と本当の歴史観のお話をします。年齢だとか関係なく、言葉を発します。マラソン大会も年齢で距離を分けません!!」「君が代、教育勅語、五箇条のご誓文にがんばれニッポン体操から、輝けぼくらの未来体操に変わりました!!」などと書かれています。

 私は別に枝広市長を支持していたわけではありませんが、村上さんがもし福山市長に当選していたらこんな幼稚園が福山にボッコボコできていたのかと思うと、胃の奥から吐瀉物がのぼってきそうです。あるいは村上氏は橋下徹氏にゾッコンでしたから、もしかしたら「橋下徹記念幼稚園」ができていたかもしれませんね。



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February 25, 2017

 2011年3月11日、未曽有の原発事故の対応に追われた菅直人首相(当時)と官邸スタッフたち。そのころ野党議員だった安倍晋三・現首相は自身のメールマガジンで、「やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だったのです」と発信しましたが、実際には注入は続けられていました。菅さんは安倍さんを名誉棄損で訴えましたが、さきごろ最高裁は菅さんの訴えを棄却し、菅さんの敗訴が確定となりました。

 菅さんが海水注入を止めたわけではなかったのですが、なぜか安倍さんのデマ拡散は無罪放免に。いったいどいうことなのか、不可解な判決です。

 当時、首相官邸内部では実際にどんなやり取りが行われていたのでしょうか。当事者たちへの綿密な取材をもとに作られ、閣僚や官邸スタッフが実名で登場する異色の映画が、このたび尾道で上映されます。幕間には制作者の橘民義さんが登場し、映画作りの舞台裏などを語ります。

 福山でも4月23日に上映を予定し、ゲストをお招きすることになっています。こちらも楽しみにしてください。


『太陽の蓋 3.11 危うい真実をあなたは目撃する』上映in尾道

  • 日時2017年3月12日(日)
     13:00〜15:10 1回目上映
     15:15〜15:55 制作者・橘民義氏のお話
     16:00〜18:10 2回目上映
  • 会場尾道市中央図書館2F視聴覚室
     住所:尾道市東久保町4-1
  • 入場無料
  • 主催:映画「太陽の蓋」上映実行委員会in尾道
  • お問合せTEL:090-5708-8460(小西)
  • 映画HPhttp://taiyounofuta.com/


sakatakouei at 18:30 
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February 24, 2017

20170225miyoshi 国家が戦争をしやすくするためには、国民を戦争に動員するために「ゆりかごから墓場まで」のシステムを整える必要があります。

 例えば、いま話題の安倍晋三記念小学校が「ゆりかご」だったら、「墓場」にあたるのは靖国神社でしょう。靖国神社では戦死した人を英雄として祀り、安倍晋三記念小学校では「自分も同じように英雄になりたい」と憧れる小国民を育てる。ゆりかごと墓場は相互に依存的ということです。

 ゆえに安倍晋三記念小学校と靖国神社、そして安保法制はすべてリンクしています。その螺旋階段は「戦争への道」につながっているのではないでしょうか。戦死した人を国家の英雄にせず、その魂を遺族や友人のもとに還してこそ本当の供養だと私は思います。


戦う国家は祀る国家
−再び国の「戦死者」の利用を許さないために−
「戦争法制」廃止を求める市民講座

 2014年7月1日、集団的自衛権を現憲法下でも行使できるとする閣議決定。2015年9月19日に「平和安全保障関連法」として強行採決。2016年3月29日施行、11月15日南スーダン派遣の自衛隊への「駆けつけ警護」等の任務閣議決定、12月12日現地到着の自衛隊へ新たな指令という段階をへて、現地では活動がはじまっています。
 すでに現地南スーダンでは、中国軍のPKO隊員に戦死者が出ており、起きてほしくないことですが、自衛隊員が戦闘行為によつて「戦死」する可能性は格段に高くなっています。 
 そうした事態を予想して、靖国神社への合祀を含め政府は既に準備を進めていると考えられます。そして「戦死者」を国葬級に扱い、その事をメディアが大々的に流すことで、政府の思惑である憲法「改正」のテコにすることは容易に想像されます。そしてそこには72年前までの日本の姿が甦るかのように思われます。
 再びかつての過ちを繰り返さないために、ここで踏みとどまるためにも、どのような事態が起こっても「国家による死者の利用」を許してはなりません。その主旨で、この度の市民講座を開催します。

  • とき2017年2月25日(土)14:00〜
  • 会場みよしまちづくりセンター1階会議室
     住所:三次市十日市西6-10-45
     TEL:0824-64-0091
  • 講師菅原龍憲さん(靖国合祀取消訴訟元原告団長/真宗遺族会代表)
  • 協力券1000円(高校生以下無料)
  • 主催:「戦争法制」反対広島県北行動
     TEL:080-5233-3429(小武)

*菅原龍憲(すがわら・りゅうけん)さんプロフィール
 1940年島根県に生まれる。現在、靖国合祀取消し訴訟(靖国合祀イヤです訴訟)2006-2011元原告団長。2011年「靖国合祀イヤですアジアネットワーク」の一員として、以来毎年、靖国神社に合祀取消しを要求している。現在、2013年の安倍首相の靖国参拝違憲訴訟を原告として闘っている。真宗遺族会代表。浄土真宗本願寺派正蔵坊前住職。著書に『靖国という檻からの解放』(永田文昌堂)、『合祀取消−靖国問題の核心を問う』(樹花舎)、『世をいとうしるし』(本願寺出版社)、DVD『靖国 YASUKUNI2008』出演。また本人も多くの靖国関係のDVDを制作。



sakatakouei at 16:30 
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February 23, 2017

 ある日の出来事。子どもを安倍晋三記念小学校に送った後、安倍晋三記念鉄道に乗って安倍晋三記念公園の清掃ボランティアに参加。終了後、参加者たちと安倍晋三記念ホテルのレストラン「UZU」で山口県産の作物を使った安倍晋三記念ランチをいただく。郵便ポストに安倍晋三記念切手を貼った手紙を投函し、安倍晋三記念病院で消化器系の検査をして安倍晋三記念胃腸薬を処方される。帰り道、安倍晋三記念道路「この道しかない」を通りながら、そういえば今日は9月21日、安倍晋三記念の日だということを思い出す。子どもは学校で安倍晋三記念ヘイトスピーチコンテストがあると言っていた。「よこしまな支那人」について発表すると言っていたが、うまくできただろうか。いつも世界の平和を守り、私たちを見守ってくれる偉大な領袖・安倍晋三同志に今日も感謝し、寝る前には安倍晋三記念経典の祝詞を読んでから就寝しよう。そうすれば、きっと明日もすばらしい朝が待っているはずだ。

 …座間宮ガレイさんが「政治大喜利」と称して「安倍晋三記念○○」を募っていたので、いくつか拝借して遊んでみました。最初はふざけて書き始めたものの、だんだんリアリティが出てきて、うすら恐ろしくなりました。

 さてさて、問題の元であるところの「安倍晋三記念小学校事件」は、いよいよ疑惑が出そろってきたようです。TBSラジオの荻上チキさんの番組で森友学園の籠池理事長があれこれ語っています。わりとざっくばらんに語っているので、表現は不適切ですが、なんつうか、オモロいです。この人、モリー(森喜朗)やモミー(籾井勝人)と同じタイプなのかもしれません。

*【音声配信&抄録書き起こし】「大阪の学校法人への国有地払い下げ問題〜森友学園・籠池理事長に荻上チキが直撃」(2月20日放送分)
 http://www.tbsradio.jp/120844

 核心部分の国有地払い下げ問題ももちろんですが、遠足にマクドナルドを持参し退園になった園児の保護者に「韓国人と中国人は嫌いです」と手紙を書いたことについて、「1つの人種、民族に対して言ったのではなく、その本人に言ったのだから問題ないはず」と喋っているのは、さすがだなと。差別って何なのかという基本的な倫理観がごっそり欠けている感じですね。要するに道徳心が足りない。教育に携わっちゃダメなタイプの人だと思いました。

 さて、これで安倍政権が倒れなければ、おそらくよっぽどのことがない限り、安倍さんは死ぬまで安泰です。いちどヘマした安倍さんのことなので、もう二度と「生前退位」しないかもしれない。もしそうなったとしたら、日本は本当に「安倍晋三記念○○」が国中にあふれるカルト国家になっていくのでしょうか。



sakatakouei at 21:31 
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February 22, 2017

20170325yamaguchi 今年も3.11が近づいてきました。福島からの避難者は、3月末に住宅支援が打ち切りとなり、低線量被曝地への帰還が進められています。福島第一原発は廃炉にはほど遠く、炉心はいまだに数百シーベルトという信じがたい高線量の放射能を発しています。原発メーカー東芝はアメリカの原発業者の買収で大赤字を抱えるも、原子力事業とともに無理心中を図ろうとしています。そんな7年目の3.11です。

 あの大事故を経験してなお、原発をあきらめきれないニッポン。その代表格が「上関原発をあきらめられない中国電力」です。安倍総理のお膝元では、原発建設のための埋立許可が粛々と進められています。

 もう原発はいらない!の声を山口の中心で叫びましょう。3月25日に行われる大集会では、中国電力からスラップ裁判(嫌がらせ裁判)で訴えられた清水さんが共同代表、そして原さんが今年は事務局長を務めています。ぜひ全国各地から山口へ、応援と連帯をお願いします。


BYE BYE NUKES
上関原発を建てさせない山口県民大集会

  • 日時2017年3月25日(土)10:00〜
  • 会場山口市 維新百年記念公園
     住所:山口市維新公園四丁目1番1号
  • ゲスト河合弘之さん(弁護士・映画監督)、赤城修司さん(福島市在住・高校美術教員)、古川好子さん(原発いらない福島の女たち)
  • 主催:上関原発を建てさせない山口県民連絡会議
  • 共同代表:清水敏保(祝島島民の会)、田川章次(弁護士)、那須正幹(児童文学者)
  • 事務局長:原康司(アウトドアガイド)
  • お問合せTEL:080-6331-0960
  • HPhttp://kenminrenrakukai.wixsite.com/2017


sakatakouei at 17:29 
行事案内 | 環境

February 21, 2017

20170121trump アメリカ合州国はいちおう政教分離の近代国家といわれていますが、大統領の就任式で新大統領はなぜか聖書に手を置いて宣誓しますよね。あれってどうなの?と思ったら、アメリカ大統領選挙とキリスト教にはこんなトリビアもあるそうです。

 大統領選の一般投票は「11月の第1月曜日の次の火曜日」と法律で決まっているらしく、なんでこんな面倒くさいルールになっているかというと、もし「第1火曜日」とした場合、暦によっては11月1日の「カトリックの祭日」と重なる可能性があるからなんだそうです。さらに、ほかの曜日でなく火曜日としているのは、選挙日が設定された当時は、有権者の多くが田舎に住んでおり、日曜日の礼拝が終わってから馬車で遠方の投票所に向かうまでに十分な時間が必要だったから。単なる昔の名残なのか、今も配慮すべき問題なのかは、私にはよく分かりませんが。

 それはさておき、トランプ大統領が就任早々、矢継ぎ早に発した大統領令の1つに、「人工妊娠中絶を支援する団体に補助金を出さなくする」というのがありました。トランプ氏を支持した、人工妊娠中絶に反対するキリスト教保守派への返礼というわけです。

 アメリカ大統領選挙では近年、キリスト教保守派、とりわけ「福音派」と呼ばれる人々の影響力が注目されています。彼らは今回、トランプ候補を支持しました。白人福音派の81%がトランプ支持に回ったともいわれています。ある識者は、福音派の白人男性たちが、トランプ氏の移民・イスラム教徒へのむき出しの敵意や、地球温暖化に対する懐疑的な見解に共鳴を覚えたと分析しています。また、人工妊娠中絶や進化論に否定的な福音派の人々と、保守的なトランプ氏との相性も、それなりによかったのだと思います。

 とはいえ、コトはそう単純ではないようです。福音派のすべての人々がすんなりトランプ支持になったかというと、どうやらそうではない、という見方もあります。そのあたりはこちらを読むとよく分かります。

*クリスチャン・トゥデイ「キリスト教から2016米大統領選を見る」
 http://www.christiantoday.co.jp/articles/21277/20160627/united-states-presidential-election-2016.htm

 そもそも「福音派」の定義がはっきりしないんだとか。もともと自分たちのよりどころを「聖書のみ」に求めた流派を福音派と呼びましたが、彼らは聖書と現実との様々な矛盾をうまく説明しきれなかったため、結果的に多種多様な聖書解釈を生み出し、それらをまとめられずに現代に至りました。なので、統一された教理があるわけでもなく、組織も緩やかな流派だったそうです。

 ところが、1960年代ごろより政治的な主張を展開し始めます。「同性愛」「人工妊娠中絶」「進化論教育」などへの非難・反対がその代表例です。これらは福音派が自ら始めた主張というよりは、リベラルな政治に不満を持つ保守層が福音派を刺激した結果だという指摘があります。なので、政治的主張を声高に叫ぶ自称・福音派たちを、冷ややかに見ている隠れ福音派もいるというのです。

 今回の大統領選挙にしても、何度も離婚を経験し、女性スキャンダルも豊富なトランプ候補を、敬虔なキリスト教徒が支持しうるのか?という疑問は当然わきおこります。トランプ氏を批判する福音派の牧師もいるそうです。消極的支持はするけど迷いもある。そんな微妙な距離感なのかもしれません。

 日本でも特定の宗教勢力(とりわけ神道)と政治との距離感がぐっと縮まってきています。アメリカ政治とキリスト教の今後の関係は、そういう意味でも注目に値するでしょうね。



sakatakouei at 17:00 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

February 19, 2017

2005nikkei01 2月19日は私にとってちょっとした思い出の日です。

 今から10年ちょっと前、2005年の2月19日、ロサンジェスル付近をうろうろしていた私は、アメリカ最大の日本町「リトルトーキョー」へやってきました。そして博物館を見つけ、深い考えもなく入館しました。全米日系人博物館(Japanese American National Museum)。日系アメリカ人の歩みや情報を知ることができる、充実した立派な建物でした。

 窓口で「大人1人お願いします」と言って入場料を差し出すと、「いらない」と言われました。なんだかわかんないけどラッキー! ということで、やみくもに展示を見始めました。

 するとこんな項目を発見しました。

1942年2月19日 大統領行政命令9066号

 これはときの大統領ルーズベルトが、日系アメリカ人の強制収容を発令したものです。戦後、ニッケイたちはこの日を「Day of Remembrance」(記念日)と定め、博物館の入場を無料にし、各種イベントを行ってきたということです。

 2月19日!? 私は何の気なしにプラっと訪れただけでしたが、なんと年に一度の記念日だったのでした!

2005nikkei04 そして、これまたいいタイミングで、記念イベントが始まりました。そのテーマに私はまた感動してしまいました。

When Loyalty is Questioned... From Tule Lake to Guantanamo
(忠誠心を疑われたとき… トゥール・レイクからグアンタナモへ

 トゥール・レイクとは日系アメリカ人の強制収容所の中でももっとも厳しい施設で、強制収容に抵抗した人々が特に収容された場所です。またご存知グアンタナモは、アメリカがテロ対策と称して容疑者を法律の枠外で逮捕し、無制限に拘束や拷問を行っていたと言われる収容所です。

 イベントはシンポジウム形式で行われました。前半はトゥール・レイクへ収容された日系アメリカ人らの語りがあり、後半はイスラム団体や南アジア系アメリカ人団体の代表が演台に立ちました。

2005nikkei02 トゥール・レイクからグアンタナモへ…。確かに、言われてみれば「テロとの闘い」を名目にした当時のアラブ系の超法規的拘束は、戦時中をほうふつとさせるような、現代版「行政命令9066号」だったかもしれません。もちろん、こうしたとらえ方が日系アメリカ人社会のすべてではないでしょう。でも、日系アメリカ人が過去を記憶する作業として、むしろ「イマ・ココ」に焦点を当てようとしている姿は、感動的ですらありました。

 数日後、今度はサンノゼ日系人博物館に足を運んでみました。ロサンジェルスとは打って変わって小ぢんまりとした建物でした。入り口はインターホンを押すようになっていました。「まるで民家みたい」と思いながら、そのインターホンを押しました。

 ドアを開けてもらって中に入ると、そこは本当に民家を博物館仕様に改造したような感じでした。しばらくすると、年配のニッケイの方が来られました。なんだろうと思っていると、なんと展示の写真を、ひとつずつ説明してくださったのです。その方はヒラワカさんという強制収容体験者でした。歴史の生き証人から直接に歴史の話を聴けるなんて、なんと貴重な機会でしょうか。

2005nikkei03 収容所を再現した展示室を案内いただいているとき、ふいにヒラカワさんが、そこに置かれていた展示品のトランクを持ち上げました。「私のものです」とヒラカワさん。聞けば、展示品の多くは収容体験者が自分たちで集めたものだったのです。まさに歴史が今、ここにある、という実感。すごいリアルさ。展示全体が雑然としているのも、むしろリアルさを強く印象づけました。

 また展示の中には、日本人小学生の作った日本語のサンノゼ案内が模造紙で貼り付けられていました。彼女は親の仕事の関係で一時期カリフォルニアで暮らしていた間に、サンノゼのニッケイたちに聞き取り調査をしたのです。これは日本語なので助かりました(笑)。しかし小学生と言っても甘くない。「日系人の博物館なのに日本人のお客が少ないということが意外でした」という彼女の感想に、ガツンとやられた感じでした。

 あれから12年後の現在、アメリカ合州国では移民排斥を堂々と掲げる大統領が誕生し、世界に不穏な空気が充満しています。私たち日本人は、移民問題といえば「外国の貧しい連中が入り込んでくること」という視点しか持ち合わせていないかもしれません。実はかつて多くの日本人が移民として海を渡り、苦難の歴史を経験したにもかかわらず、そのことに関心を向ける日本人はあまりいません。

 サンノゼ日系人博物館の展示には、なぜか第2次世界大戦のヨーロッパ戦線における、ある写真が展示されていました。日系人ばかりで組織された「422/522部隊」が、戦火をくぐりぬけ、ダハウにあるユダヤ人の強制収容所を解放したという写真です。

 その写真に添えられているのは、こんな言葉です。

ユダヤ人を収容所から解放した彼らの親たちは、そのとき収容所の中にいた。

 この出来事を、ニッケイたちは「ダハウの皮肉」と呼んでいます。

 古今東西を問わず、移民は安い労働力として重宝されます。それがひとたび景気が悪くなったり、社会不安が広がったりするとき、社会を支えてきた移民は迫害の対象になります。アメリカの日系人たちは、そんな迫害の経験を自分たちだけのものとはせず、今またトランプ旋風下での移民排斥に警鐘を鳴らし、街頭に立ち、集会を行っています。誰かの迫害を見過ごせば、自分もまた傷つけられることを、彼らは知っているのです。

 日本に暮らす者のひとりとして、私はこのことを誇らしく思うのでした。



sakatakouei at 14:54 
さかたこうえいの「時々通信」 | 旅行紀
「蒼生舎」(そうせいしゃ)とは?
■「蒼生舎」は、市民活動・まちづくりを支援する市民SOHOです。

■「蒼生舎」は、広島県福山市を拠点に事業を展開しています。

■「蒼生舎」へのご連絡は、下記までメールをください。
 Eメール: soseisha@mx52.tiki.ne.jp
ギャラリー
  • 「軍国幼稚園」問題、福山に飛び火する!
  • 「軍国幼稚園」問題、福山に飛び火する!
  • 3/12(日)『太陽の蓋』上映会@尾道
  • 2/25(土)靖国神社テーマに市民講座「戦う国家は祀る国家」@三次
  • 3/25(土)上関原発を建てさせない山口県民大集会
  • トランプ大統領と福音派の微妙な距離感
  • トゥール・レイクからグアンタナモへ… 日系移民の歴史といま
  • トゥール・レイクからグアンタナモへ… 日系移民の歴史といま
  • トゥール・レイクからグアンタナモへ… 日系移民の歴史といま
  • トゥール・レイクからグアンタナモへ… 日系移民の歴史といま
  • 安倍晋三記念小学校はまさに「戦争への道」 2/19(日)福山総がかり行動
  • ポピュリズムをどう考える? 2/18(土)みどり福山「トランプ大統領と民主主義の行方」
  • ポピュリズムをどう考える? 2/18(土)みどり福山「トランプ大統領と民主主義の行方」
  • トランプの犬か、それとも伝書鳩か
  • 「9条に違反するから」本音爆発の稲田閣下
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