August 15, 2020

 イソジン・ゼアズ・ノー・エビデンス
 アンド・ノー・リーズン・トゥ
 イソジン・オールザピーポー
 キャント・バイ・インザストー アハー

 暑さのせいでしょうか、くだらない替え歌が頭を巡る2020年8月15日です。敗戦を迎えたことを思い起こし、また同じ過ちを繰り返さないように、戦争が起きた原因と経緯、そして結末を何度も確認するための記念の日です。

 とはいえ75年目の敗戦記念日に思うのは、私たちはどうやらそのことに失敗してきたということです。戦争の生き残りが少なくなってきたからか、それとも最初から間違っていたのか。いずれにしても、近頃の状況は再び同じ過ちを繰り返す可能性を濃厚に示していると感じます。

20200815yoshimura 例えば、大阪の吉村知事の「イソジン騒動」。いや戦争とイソジンとどう関係があるの?ということなんですが、それはほら、「嘘のようなホントの話」なんです。

 目下コロナ禍で株価急上昇の吉村知事や、彼の「親分」である橋下徹氏、あるいは小池都知事のような「人気」の政治家たちは総じて、その時々にホットな話題を提供するセンスを持ち、メディア受けする一発勝負を好み、シンプルでワンフレーズな発信を得意とします。そしてそれは短期的成果を重視する現代社会との相性が抜群にいい。だから彼らは経営者層からだけでなく勤労者層からも支持されます。

 しかし一方で彼らは短絡的で長期的ビジョンに欠け、物事の複雑な背景を見ようとしません。今回のようなマルチ商法まがいの「嘘のようなホントの話」もその延長線上にあります。エビデンスや合意形成よりも、耳目を集めることを優先事項にして物事をすすめようとするのです。

 ゆえに彼らは、往々にして分かりやすい敵をつくり出し叩くということに終始します。それで人々は一瞬の歓喜と熱狂を得るかもしれませんが、社会の課題は何一つ改善していないばかりか悪化しているということが起こり得ます。

 その構造は、75年前に終わったとされる戦争体制と極めてよく似ています。複雑な国際情勢を理解せず、中国やアメリカを敵に見立てて一瞬の歓喜と熱狂を得た後、この国の国土と人民は地獄の業火に焼かれることになりました。

 当時の戦争指導者たちは戦勝国による「裁判」で有罪とされましたが、彼らは決して謝りませんでした。戦争の被害者である兵士や一般市民に対する謝罪は無かったのです。今の人気首長たちの共通点も「謝らない」ことです。自分が間違っても「誤報だ」「僕が感じたことを言えないんじゃ何も言えなくなる」などと開き直り、メディアや市民など他人のせいにしています。「責任政治家」をアピールしながらその実いっさい責任を取りません。そういえば戦争指導者の中にも、罪を免れて「敗戦後」も生き残ることに成功した人物が大勢いました。その代表格が安倍首相の祖父、岸信介であったろうと思います。

 ただ、ありきたりな結論ですが、それでも彼らを支えたのはやはり一般民衆であったわけです。敗戦時、一般市民は「一億総懺悔」をしましたが、それは間違っていました。責任にはグラデーションがあり、指導者には指導者の、市民には市民の、それぞれ取るべき責任の範囲があったのです。市民の責任は「指導者にきっちり責任を取らせる」ことでした。それが民主主義の第一歩となるはずでした。それを市民は怠った。だから日本という国は、いくらいい憲法があっても民主主義は根付かなかったのです。

 もしあのとき、「暴支應懲」「鬼畜米英」などというスローガンに振り回されず、よりマシな選択をするよう政府に圧をかけられていたら。もし今、「ポビドンヨード入りうがい薬」の買い占めに走らず知事や市長がすべき仕事をさせていたら。イソジン・オールザピーポーの責任の重さを感じながら、私は今日も水うがいをするのでした。



sakatakouei at 14:44 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

August 11, 2020

チラシ画像03 毎月1回お届けしている仏教×数学講座。今回初めてゲスト講師をお招きします。お越しいただく講師は、福山城をあらゆる角度から研究する野毛幸司さん。まだ30代ながら、古文書や古地図を自在に読み解き、福山城の知られざる真実を徹底解明します。

fukuyamajo 福山市民にとって福山城って何でしょうか? それは歴史的文化財であり、住民としてのアイデンティティの拠り所であり、重要な観光資源でもあります。一方で封建権力を象徴する「負の遺産」の側面もあると思いますが、それも含めて、今に至る福山という街の根っこにある遺産であることは間違いありません。そしてアイデンティティも観光も、まずは歴史的な事実がベースにあってこそ。歴史を知ることは今を知り、未来を知ることだと思います。

 福山城下の寺院の歴史にも触れられると思うので仏教的要素はもちろん、お城の構造を解明するという数学的要素もあります。なのでバッチリ仏教×数学講座。乞うご期待!


寺子屋サムライデリカテッセン
勉強嫌いな大人のための仏教×数学講座

今だから知りたい! 今だから面白い!
現役僧侶が仏教を、人気塾講師が数学を、お手軽、お気軽にお届けします。
仏教と数学を理解すると世界はもっと楽しくなります。
ぜひお越しください!

  • 日程[第32回]2020年8月12日(水)22:00〜(約1時間半)
    *毎月1回開催予定
  • 会場サムライデリカテッセン2階
     住所:福山市伏見町2-5
     福山駅南口から東に徒歩3分
  • 受講料ワンドリンク+100円
     カウンターでドリンクを購入して2階へ
  • 講師
    [ゲスト講師]野毛幸司さん(福山城研究家)
    [聴き手]“仏教界の救世主”坂田光永(光明院住職) 、“数学界の牛若丸”松本理(かんがるー塾塾長)
  • お問合せ TEL:090-9115-3317(坂田)
    *各自ウイルス対策をしてご参加ください
    *フェイスブックページで動画中継があります
     https://www.facebook.com/groups/1791100874241755/


sakatakouei at 09:30 
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August 09, 2020

20200809nagasaki 毎年すばらしいメッセージを発信している長崎市長の平和宣言。今年も敬意と応援の気持ちをこめて全文を転載させていただきます。木野さんの詩の引用ではさりげなく「女」を「ひと」と読み替え、日本政府に対しても言うべきことを言っています。途中の「拍手」の下りはちょっと違和感ありましたが、全体として耳から聞いて分かりやすい文章になっています。

 女帝小池大阪維ソ新のような目立つことにしか興味のない首長ばかりが注目されますが、長崎の田上市長はもっと評価されていいと思います。


長崎平和宣言

 私たちのまちに原子爆弾が襲いかかったあの日から、ちょうど75年。4分の3世紀がたった今も、私たちは「核兵器のある世界」に暮らしています。

 どうして私たち人間は、核兵器を未だになくすことができないでいるのでしょうか。人の命を無残に奪い、人間らしく死ぬことも許さず、放射能による苦しみを一生涯背負わせ続ける、このむごい兵器を捨て去ることができないのでしょうか。

 75年前の8月9日、原爆によって妻子を亡くし、その悲しみと平和への思いを音楽を通じて伝え続けた作曲家・木野普見雄さんは、手記にこう綴っています。

 私の胸深く刻みつけられたあの日の原子雲の赤黒い拡がりの下に繰り展げられた惨劇、ベロベロに焼けただれた火達磨の形相や、炭素のように黒焦げとなり、丸太のようにゴロゴロと瓦礫の中に転がっていた数知れぬ屍体、髪はじりじりに焼け、うつろな瞳でさまよう女、そうした様々な幻影は、毎年めぐりくる八月九日ともなれば生々しく脳裡に蘇ってくる。

 被爆者は、この地獄のような体験を、二度とほかの誰にもさせてはならないと、必死で原子雲の下で何があったのかを伝えてきました。しかし、核兵器の本当の恐ろしさはまだ十分に世界に伝わってはいません。新型コロナウイルス感染症が自分の周囲で広がり始めるまで、私たちがその怖さに気づかなかったように、もし核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気づかなかったとしたら、取り返しのつかないことになってしまいます。

 今年は、核不拡散条約(NPT)の発効から50年の節目にあたります。

 この条約は、「核保有国をこれ以上増やさないこと」「核軍縮に誠実に努力すること」を約束した、人類にとってとても大切な取り決めです。しかしここ数年、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄してしまうなど、核保有国の間に核軍縮のための約束を反故にする動きが強まっています。それだけでなく、新しい高性能の核兵器や、使いやすい小型核兵器の開発と配備も進められています。その結果、核兵器が使用される脅威が現実のものとなっているのです。

 “残り100秒”。地球滅亡までの時間を示す「終末時計」が今年、これまでで最短の時間を指していることが、こうした危機を象徴しています。

 3年前に国連で採択された核兵器禁止条約は「核兵器をなくすべきだ」という人類の意思を明確にした条約です。核保有国や核の傘の下にいる国々の中には、この条約をつくるのはまだ早すぎるという声があります。そうではありません。核軍縮があまりにも遅すぎるのです

 被爆から75年、国連創設から75年という節目を迎えた今こそ、核兵器廃絶は、人類が自らに課した約束“国連総会決議第一号”であることを、私たちは思い出すべきです。

 昨年、長崎を訪問されたローマ教皇は、二つの“鍵”となる言葉を述べられました。一つは「核兵器から解放された平和な世界を実現するためには、すべての人の参加が必要です」という言葉。もう一つは「今、拡大しつつある相互不信の流れを壊さなくてはなりません」という言葉です。

 世界の皆さんに呼びかけます。

 平和のために私たちが参加する方法は無数にあります。

 今年、新型コロナウイルスに挑み続ける医療関係者に、多くの人が拍手を送りました。被爆から75年がたつ今日まで、体と心の痛みに耐えながら、つらい体験を語り、世界の人たちのために警告を発し続けてきた被爆者に、同じように、心からの敬意と感謝を込めて拍手を送りましょう。

 この拍手を送るという、わずか10秒ほどの行為によっても平和の輪は広がります。今日、大テントの中に掲げられている高校生たちの書にも、平和への願いが表現されています。折り鶴を折るという小さな行為で、平和への思いを伝えることもできます。確信を持って、たゆむことなく、「平和の文化」を市民社会に根づかせていきましょう。

 若い世代の皆さん。新型コロナウイルス感染症、地球温暖化、核兵器の問題に共通するのは、地球に住む私たちみんなが“当事者”だということです。あなたが住む未来の地球に核兵器は必要ですか。核兵器のない世界へと続く道を共に切り開き、そして一緒に歩んでいきましょう。

 世界各国の指導者に訴えます。

 「相互不信」の流れを壊し、対話による「信頼」の構築をめざしてください。今こそ、「分断」ではなく「連帯」に向けた行動を選択してください。来年開かれる予定のNPT再検討会議で、核超大国である米ロの核兵器削減など、実効性のある核軍縮の道筋を示すことを求めます。

 日本政府と国会議員に訴えます。

 核兵器の怖さを体験した国として、一日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核兵器地帯の構築を検討してください。「戦争をしない」という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください。

 そして、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、未だ被爆者と認められていない被爆体験者に対する救済を求めます。

 東日本大震災から9年が経過しました。長崎は放射能の脅威を体験したまちとして、復興に向け奮闘されている福島の皆さんを応援します。

 新型コロナウイルスのために、心ならずも今日この式典に参列できなかった皆様とともに、原子爆弾で亡くなられた方々に心から追悼の意を捧げ、長崎は、広島、沖縄、そして戦争で多くの命を失った体験を持つまちや平和を求めるすべての人々と連帯して、核兵器廃絶と恒久平和の実現に力を尽くし続けることを、ここに宣言します。

 2020年(令和2年)8月9日

長崎市長 田上富久



sakatakouei at 17:07 
さかたこうえいの「時々通信」 | 反戦・平和

August 04, 2020

soejimamichimasa ずいぶん前にビデオに撮っていた歴史物のテレビ番組で、1940年「幻の東京五輪」を終わらせた副島道正について見ました。彼は佐賀藩出身で明治維新の立役者の一人である副島種臣の息子で、イギリス留学経験を通じて培った外交力を活かし、1940東京五輪招致に尽力した人物です。大河ドラマ『いだてん』で塚本晋也が好演したのが印象的でした。

 副島は東京招致を成功に導きましたが、時代は泥沼の日中戦争に突入していて、とても五輪などできる状況ではありませんでした。このままギリギリまで粘った挙句に開催不可能となるより、いち早く返上を表明したほうが、いつか再び日本開催を目指す際にその芽を摘まなくていいと判断し、独断で近衛文麿首相と掛け合って政府に返上を決断させたのでした。

 これを見ながら思い出したのですが、本当ならば今ごろ2020東京五輪が開催されている時期なんですね。いや「本当ならば」というのは違いますね。本当ならば「福島はアンダーコントロール」と世界に大嘘をついた時点で招致資格を失っていなければいけないところです。それは置いといたとしても、来年本当に開催できるのかと考えると、どう考えても無理じゃないかと思ってしまいます。

 ちょうどそんな話がプチ鹿島とダースレーダーのYouTube番組でも取り上げられていました。大会委員長の森元首相は来年の開催を「神に祈っている」そうです(さすが神の国の人)。ボランティアの確保も、関係会場を来年使用するためのいろいろな手続きもほとんど進んでおらず、新国立競技場をうっかり木造にしてしまったばかりに設置場所がなくなった聖火台の行き場についても決まっていないとのこと。費用的なことも最終的に誰が負担するのか不明瞭なままです。あと1年弱あるとはいえ、いかにも進まなさすぎですよね。

 これらから考えて、どうやら東京五輪は来年も開催不可能というのが暗黙の流れになっているのではないかというのです。ただそれを公表すれば大変なことになるので、機が熟すを待っているのかもしれません。

 もしそうだとすると、さすがに選手たちに対して酷すぎませんか。1年先になった五輪を目指してどうにかこうにか調整を図っている選手たちに、はしごを外すようなまねをしていることになりませんか。すでに「幻の2021東京五輪」となっているのであれば、1日も早く「返上」を表明して、選手たちの、そして関係者たちの呪縛を解いたほうがいいと思いませんか。

 副島道正が1940東京五輪の返上を決断できたのは、世界に対して、未来に対して誠実だったからです。今の2020東京五輪の関係者に彼のような人物はいないんでしょうか。



sakatakouei at 19:57 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

July 31, 2020

 8月2日(日)告示、9日(日)投票の三原市長選挙。前職の天満祥典氏河井克行・案里夫妻から賄賂を受け取って辞任したことで、急きょ選挙が行われることになりました。天満氏は当初からごみ利権をめぐる疑惑が絶えず、加えて竹原市との市境の本郷地区には悪質な業者による産廃処分場建設が進んでおり、住民たちによる「ストップ本郷処分場」の運動が展開されています。

20170414arai こうした中で立候補を表明しているのが荒井静彦、岡田吉弘、角広寛、藤岡輝久の4氏です。このうち私が注目しているのは荒井静彦さん。前回の市長選挙(=写真)でも天満市政からの転換を訴えた元市議です。市政の浄化を訴え、「ストップ本郷処分場」についても理解を示しています。スマートシティ推進については異論もありますが、ここはごみ利権の一掃を目指して頑張ってほしいところです。

 一方、同じ日程で行われるはずの福山市長選挙は、今のところ現職の枝広直幹氏以外に立候補表明がありません。人口46万人の中核都市でまさかの無投票とは、福山という街はどれだけ人材不足なのでしょうか。選挙がないということは現職を甘やかすことになるので市政のレベルは確実に下がります。過去に投票率20%ということもありましたが、あれのほうがまだましです。

 福山駅北口で進む市とJRの土地交換を巡っては何らかの癒着を指摘する声もあります。あまり酷い候補者では困りますが、ちゃんと論戦が成り立つような対抗馬の立候補を強く望みます。



sakatakouei at 18:46 
さかたこうえいの「時々通信」 | まちづくり

July 23, 2020

 友人の中小企業経営者が、最低賃金のニュースを見て不満を言っていました。いわく「賃金いうのは労働者が頑張ったぶんだけ支払われるべきじゃ」「人件費が上がったらモノが高くなりますよ。それでええんですか」とのこと。たぶん同じように思っている経営者はたくさんいるのだと思います。

 確かに、労働者の生産性が上がってから賃金を上げるのが筋だ、先に賃金を上げてしまうと労働者を甘やかすことになる、というのは、感覚的に理解しやすい考え方ではあります。「これ以上人件費を上げたら会社がつぶれる」という危機感もよく分かります。

 でも、実際には、最低賃金を引き上げても労働者を甘やかすことにはなりませんし、会社がつぶれることもありません(もしそれでつぶれるとしたらそれはダメな会社だったというだけ)。最低賃金の引き上げは、適切にやれば労働者・経営者・社会の「三方良し」になる政策です。そのことを、上記の友人に説明するつもりでまとめてみたいと思います。

 まず最低賃金引き上げは労働者にとってメリットづくしです。経営者というのは基本的にコストカット意識が強いものです。とはいえ原材料費や設備費用は簡単には下げられませんので、いきおい「人件費を抑えるしかない」という思考に陥りがちです。なので最低賃金というのは、そんな経営者から労働者を守るための必須の制度です。

 これを引き上げるということは、労働者の生活水準を上げるということだけでなく、労働者の自己投資能力を引き上げることになります。つまり労働者に金銭的な余裕ができれば、新たな資格取得や技術向上のための自己投資をしやすくなるということ。また低賃金をめぐる労使間のトラブルが減れば、そのぶん仕事に専念できるようになります。

 格差是正も労働者にとってのメリットに入れていいかもしれません。正社員と非正規雇用の格差が縮まれば「正社員は給料が減って損をする」ということをいう人がいますが、現実には会社が正規を減らして非正規を増やす圧が弱まるので、正社員のリストラが減ります。正社員のメリットも大きいのです。

20200723saichin 一方、経営者にとって最低賃金引き上げのメリットはあまりなさそうな気がしますが、実は絶大なのです。まず経営学の常識として「最低賃金を引き上げれば労働生産性が上がる」というのは様々なエビデンスによって実証済みです。よく引き合いに出されるのはイギリスの例です。ブレア労働党が政権奪還をして最低賃金制度を導入して以降、イギリスでは労働生産性が顕著に向上しています。それは経営者の工夫と社員のモチベーション向上があったからで、逆に心配されるような中小企業の倒産や失業率の増加は起きませんでした。

 「人件費が上がればモノの値段が上がるぞ、いいのか」という脅しにも似た反対論も、よく考えれば全社一律に人件費が上がるので競争に不利になることはなく、物価が上がってもそれに見合う賃金アップがあれば耐えられます。上記のイギリスの例でも過度なインフレは起きていません。

 それに残業代も少なくなるでしょうね。低賃金であれば残業代で穴埋めしようとする社員が出てきますから。あ、これはきちんと残業代を払っていた企業にだけ言えることですが。

 さらに、最低賃金引き上げは社会全体にとって大きなメリットがあります。まず無能な経営者が市場から退場します。例えば、労働者の賃金を過度に抑えることでしか低価格を維持できないような経営者は、単純に経営能力が低いわけですから当然です。経営者の質が向上すれば日本経済にとってプラスなのは当たり前ですよね。

 また貧困層の「底」が上がることで消費が増えて景気が良くなります。金持ちがもっと金持ちになるより、貧乏人がちょっと豊かになるほうが断然、消費が増えるのです。貧乏人はエンゲル係数高めなので、毎食300円の牛丼だった食費をもうちょっと増やしておしんこつけたり、食費以外にお金が回せたりするようになります。でも金持ちはいくら金があるからって毎食300万円の牛丼を食べたりしないでしょ。なので貧乏人がちょっと豊かになるほうが世の中の金回りはよくなるのです。

 貧困率の軽減は犯罪が少なくなり、生活保護費の負担が軽くなり、医療費も抑えられるなど、社会が負担していたコストが軽くなります。格差是正は教育水準の向上にもつながるので、日本が蓄積してきた知的財産を守り次世代に受け継ぐこともしやすくなります。

 こんなにいいことづくめの最低賃金引き上げを、政府は見送るようです。理由は「コロナ」。本当はこういうときだからこそ必要な政策だと思うのですが。



sakatakouei at 18:33 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

July 16, 2020

 公私で多忙を極めてしまいまして、ブログの更新が滞って申し訳ありません。時事問題も追いきれていませんが、今日は生存確認の意味で投稿しました。

 新聞紙面には「コロナ感染者 東京で過去最大」という見出しとともに、「GoToトラベル」キャンペーンの文字が躍っています。これ、まさか同じ国の話ですか? 新型コロナウイルスの第2波が目に見えて来ている状況で、政府は観光旅行を促進? 「GoToトラブル」の間違いかとも思ったんですが、どうやらそうでもない様子。「異次元」という言葉を好んで使う安倍首相だから、きっとこれも「異次元の政策」なんでしょう。

 と思ったら「東京は除外」との情報が。いやいや、そういう問題ではないはず。GoToトラブル、もといトラベルの趣旨は、政府が積極的に観光旅行を促していますよ、という国民向けのアピールそのものにあります。不要不急の移動を控えてきた多くの人々にとって、これは「か・い・き・ん!」のメッセージになるでしょう。

 ここだけの話、私も旅行が趣味なので、この期間ずっと我慢しています。でもそれは今は仕方ないでしょう。観光業界の苦しさも分かります。でもそれは別の対処法を考えればよいことです。旅行を促進して感染がさらに拡大すれば、観光業はますます苦しくなるばかりです。

 政府は当初からコロナ対策として「旅行クーポン」など観光促進に力を入れていました。まだ感染が拡大している真っ只中にです。優先順位がまったくおかしい、それこそ異次元の国の政府のようでした。自民党の二階幹事長が全国旅行業協会の会長であることと何か関係があるのでしょうか。3000億円を超える事業委託費を特定企業にばらまいて儲けさせるのが狙いなのでしょうか。このキャンペーンの意図がいまだに理解できないのは、私が個人的に忙しいからだけではなさそうです。



sakatakouei at 19:08 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会
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