May 2014

May 31, 2014

201406141f 現在、日本国内のすべての原発がストップしています。しかし、原発労働者の人数自体はおそらく減っていないでしょう。福島第一原発(1F)の事故処理・廃炉作業員が膨大にいるはずだからです。

 ですが、そんな1F労働者の生の声は、ほとんど聞く機会がありません。これは貴重な機会です。


さよなら原発ヒロシマの会 市民講座
イチエフ(福島第1原発)で働いていた私のいま

 事故後、福島第一原発で働き、また福島で除染作業に従事、最近、広島に帰郷された方に、その実態と現在の思いを話していただきます。

  • 日時6月14日(土)14:30〜16:30
  • 場所広島市中央公民館3階大集会室3
     住所:広島市中区西白島町24-36
     TEL:082-221-5943(アストラムライン城北駅西)
  • 参加費無料
  • 主催:さよなら原発ヒロシマの会
     TEL:082-245-2501
     FAX:082-245-2502
     URL:http://zeronpphiroshima.daa.jp


sakatakouei at 23:30 
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May 29, 2014

 広島大学が、いつの間にか「学問の自由」をめぐる闘いの最前線になってしまったようです。

 広島大学の「演劇と映画」と題する授業で、もと日本軍「慰安婦」の証言シーンを含む「終わらない戦争」という映画が上映されました。この講義を聴講していた学生の一人が、講義への不満を産経新聞に投稿。産経新聞は特に何の周辺取材もしないまま学生の主張を取り上げ、「講義で『日本の蛮行』訴える韓国映画上映 広島大准教授の一方的『性奴隷』主張に学生から批判」「いつから日本の大学は韓国の政治的主張の発信基地に成り下がってしまったのか」と報じたのです。

 すると今度は、それを受けて広島選出の中丸啓議員(日本維新の会)が、衆議院の内閣委員会で文部科学省に説明を求めました。ネット上では担当教員に対する不当な非難と中傷が行われ、大学あてに多数の抗議が寄せられているそうです。さらには「在日外人の特権を許さない市民の会」(在特会)が講義の開催を阻止するという脅迫までやり始めました。

 「学問の自由」を揺るがす由々しき事態!とは、当然思いますが、それよりも何よりも、こういう「自称愛国者」たちの騒動は聞くたびにウンザリします。自分たちが日本の信用を落としているという自覚が無いわけですから。外国人が日本に対し「偏った国」「トラブルメーカー」という印象を抱く危険性を、想像できないんでしょう。マトモな学問の大切さをますます痛感するばかりです。



sakatakouei at 19:58 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

May 28, 2014

 知り合いが映画になるって、なんか不思議です。まぁ、監督も製作スタッフも知り合い多数なんですが、でも、予告を見る限り、とっても素敵な仕上がりじゃないですか〜。あの尾道駅北口にある「れいこう堂」の店主、信恵さんのドキュメンタリー映画です。ぜひ見たい! そして、ぜひ見せたいので、ぜひ見てください。


『スーパーローカルヒーロー』
2014年5月31日〜全国順次ロードショー!

  • superlocalhiro出演:EGO-WRAPPIN'/二階堂和美/モアリズム/オーサカ=モノレ­ール/畠山美由紀/アン・サリー/小池龍平/ハンバート ハンバート/Chocolat & Akito/高鈴など
  • 取材協力:UA/mama!milk/アーサー・ビナード(詩人)/鎌仲ひとみ(映画­監督)など
  • 音楽:青柳拓次
  • アートディレクター:山下リサ
  • スチール:亀山ののこ
  • 監督・撮影・編集:田中トシノリ
  • 製作・宣伝・配給:映画「れいこう堂」製作委員会
  • 公式サイトhttp://superlocalhero.com/

<上映情報>

  • シネマ尾道(0848-24-8222):5/31(土)〜6/13(金)
  • 横川シネマ(082-231-1001):6/14(土)〜6/26(木)
  • 福山駅前シネマモード(084-932-3381):7月上映予定


sakatakouei at 16:04 
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May 27, 2014

20140608onomichi 福井地裁の大飯原発差し止め裁判の判決文は、実に名文でした。弁護団の事務局を務める笠原一浩弁護士(緑の党の運営委員も務める)は、「自分が書いた訴状とほぼ同じ内容だが、判決文のほうが名文だった」と、冗談交じりに振り返っていました。

*福井地裁の大飯原発差し止め判決文
 http://www.news-pj.net/diary/1001

 再稼働に向かって暴走する安倍政権を、この判決文の力も借りつつ、なんとか「運転停止」に追い込みたいところです。6月8日はぜひ尾道で一緒に歌って歩きましょう。


第7回さよなら原発 歌声パレードinおのみち

フクシマの風化が進められています。
事故など無かったかのように、
政府は原発を「重要なベースロード電源」と言い、
鹿児島県の川内(せんだい)原発を筆頭に、
危険な原発を次々と再稼働させようとしています。
甲状腺を傷つけられた子どもたち。
人権も手当も差っ引かれている原発労働者
行き場のない放射能のごみ
原発をこれ以上、動かしてほしくはありません。
みんなで歩こう、瀬戸内の街を!
みんなで歌おう、さよなら原発!

  • 日時2014年6月8日(日)13:30〜15:30ごろ
  • 場所JR尾道駅前
  • 内容集会(尾道駅前)+パレード(尾道駅前〜海岸通り〜市役所前〜商店街〜尾道駅前)
    パレード割り(参加者割引)あり…集会・歌声パレードに参加した方には、商店街の協力店の割引があります。当日店舗案内チラシをお渡しします。
  • 呼びかけ・お問合せ
    フクシマから考える一歩の会
     TEL:090-2002-8667(小林)
    原発のーてもえーじゃないBINGO!実行委員会
     TEL:090-9115-3317(坂田)
    命と未来を考える会・三原
     TEL:0848-66-3592(坂本)


sakatakouei at 15:46 
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May 26, 2014

 久々に「ブラック経済」という言葉を思い出しました(←私の造語です)。まるでブラック企業ウイルスが経済全体に蔓延したかのような、人権無視の格差を前提とした経済システムのことです。

 思い出したきっかけは、このニュース。厚生労働省が「人手不足対策」として、人材不足に悩む企業への「助成金拡充」が検討されたという報道です。ワタミやすき家が、アルバイト不足で大量閉店を余儀なくされているという「問題」を受けて、国が企業に助成金を出すというのです。

 政府としては、「これで雇用が増える」的な言い訳をしているようです。が、おいコラふざけるな!でしょう。低賃金でアルバイトをさせ、みなし管理職で残業代カットして、あげくに過労死させて、夜間は人件費カットのため一人で働かせて強盗に襲われても自己責任… そんなブラック企業を、国が助ける義理はありません。

 人手不足。これを労働市場の需要と供給の問題として捉えれば、労働条件をよくすれば人手が集まるのがセオリーです。新自由主義的な経済の中でのし上がってきた彼らが、需要と供給を理解していないとは驚きです。あるいは、仮に理解していたとして、なぜ対応ができないのか? それは今まで、ブラックな労働環境を前提に、安価な商品を提供していたからにすぎません。

 しかし、国はブラック企業の撲滅ではなく、温存を優先しようというのです。ついにブラック企業ウイルスが国家にまで感染したようです。

 もし雇用を増やそうというのなら、経済学者の朴勝俊さんが主張するように、企業が正社員を雇うときに支払う雇用保険などの負担を国が軽くするような政策を打つほうが、はるかにフェアで、しかも労働環境の改善につながります(これを環境税とセットでするのが「環境税制の二重配当」です)。なぜ、それをしないで、ブラック企業にお金を渡すようなことをするのでしょうか?

 ワタミの女性従業員が過労死したとき、「なぜ採用したのか。なぜ入社1カ月の研修中に適性、不適性を見極められなかったのか。本当に命がけの反省をしている」と語った創業者の渡辺美樹氏。「命がけの責任逃れ」をしようとする彼の言葉を、私は忘れません。



sakatakouei at 15:23 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

May 25, 2014

20140524kitanaka 草食系男子という言葉が流行り出して十年余り。この十年で、DVやセクハラに対応する法や施策はそれなりに整備されてきました。とはいえ、「男性の問題」がきちんと可視化され、解決に向けて進んでいかなければ、DVやセクハラは無くなることはありません。

 5月24日、ホッとるーむふくやまが開催した講演会「非暴力男子の社会学 〜DVは卒業できるのか〜」は、そんな問題意識をもとに企画されました。

 講師の北仲千里さん(広島大学ハラスメント相談室准教授)は、「男らしい」「女らしい」から講演を切り出しました。講演会の冒頭、司会者として「草食系男子です」と自己紹介していた私に、北仲さんは「坂田さんは、自分がどの程度、男らしいと思っていますか? すごく男らしい/まぁまぁ男らしい/あまり男らしくない/全然男らしくない、の4段階で言うと」と尋ねました。「あまり男らしくない」と私が答えると、今度はその理由について聞かれたので、「決断力がない」と回答。そのやりとりをきっかけに、「男らしさ」「女らしさ」の規範についての例をたくさんあげ、「男らしいと答える男性は多いが、女性は女らしいと答える人とそうでない人に分かれることが多い。“男らしさ”の縛りのほうが強い」と北仲さんは分析しました。つまり、男性のほうがジェンダーの縛りが強いということなのです。

 これがどんなところに現れてくるか。犯罪統計を見ると、殺人、強盗、傷害、暴行など様々な犯罪は、どれも圧倒的に男性の犯罪者が多いのです。しかし、なぜ男性が多くなるのか、その分析はこれまでほとんど行われてこなかったといいます。北仲さんは、この分析の必要性を力説するとともに、「男らしさの病を治さなくてはいけない」と訴えました。

 なぜ男性の犯罪や暴力が多いのか? メッサーシュミットは、自らの男性性に疑問を抱かれてしまうような窮地に立ったとき(つまり「男らしくないんじゃないか」と疑われてしまうような状況になりそうなとき)、犯罪や暴力によって「男性性を達成」しようとする、と述べています。また沼崎一郎さんは、秋葉原事件を「男になるための犯罪」と見立て、殺人さえも「男になる」手段とすることがあると述べています。

 こうした「男らしさ」は、男同士のコミュニティの中で、より強く育まれていきます。最近のジェンダー研究のキーワードとして、「ホモ・ソーシャリティ」(同質性に基づいた仲間意識)という言葉があるそうです。例えば、男にとっての「メンズ・クラブ」です。例えば、軍隊やスポーツチームの中で、女性やゲイに対する酷い暴力が振るわれることがあります。これは、「俺たちは(女が好きな)男だ」という同質性の確認行為だといえます。このような男の仲間意識は、ときに性暴力やセクハラの被害者に対する男性の冷淡な態度として現れます。

 一方、こうした「男らしさ」に強く規定されている男性像は、時代とともに変化しているともいえます。例えば「草食男子」の登場です。また、男尊女卑に根差したDVは世代が下がると減少傾向にあります。とはいえ、夢を語りつつ彼女に貢がせる「だめんず」や、DV/ストーカー系の若者もいるわけで、DVが無くなるかというと、簡単にそうとは言えない状況です。

 北仲さんは、「大学でセクハラについて調査を行ったところ、10年前の調査結果に比べて大きく減っていた。管理職の理解度もよくなっている。DVやセクハラは、無くならないとはいえ、減っていくのではないか」と語りました。

 日本ではまだまだ様々な場面で「男らしさ」を求められるのは確かです。学校は制服で明確に男女を区分しようとしますし、企業に入れば圧倒的に男性の給料のほうが高いです。こうした男女の過剰な区別意識男女の経済格差が、「男らしさの縛り」を緩めにくくしていると感じます。今後、もっと男性の問題についての研究が深まり、非暴力男子が増え、男らしくなくても気楽に生きられる社会に変わっていけばいいなぁと思います。



sakatakouei at 18:34 
行事報告 | DV・ジェンダー・子ども

May 23, 2014

kyotomuseum 京都国立博物館に行ってきました。「南山城の古寺巡礼」というテーマで、古代から近世までの幅広い仏教美術が展示されていました。

 京都(山城)の南部、南山城の地には、奈良から平安時代につくられた古い寺院が点在しています。私もまだ行ったことがないお寺ばかりでしたが、京都と奈良という二大古都のに挟まれて、両方の影響を受けつつも、都から距離を置いた場所ならではの気風を感じました。

 例えば、山岳信仰の影響でしょうか、明王や天部の像が多くありました。神仏習合を示す法会の記録や、天台宗・真言宗双方の影響を受けた仏像なども、山岳信仰と関係が深いのでしょう。また、応仁の乱の戦火から避けて移動した仏像や軸物もあり、切迫感を感じさせました。

ikkyuzenji 都から距離を置いたという点では、「一休寺」と通称される酬恩寺の宝物はまさにそのものです。天皇の御落胤と言われながら権力を批判し、風狂に生きた一休さん。その「一休宗純像」に描かれている木剣は、「鞘に納めていれば豪壮に見えるが、抜いてみれば木剣でしかない」ということで、外面を飾ることにしか興味のない当時の世相を批判したものであったそうです。その剣先は、民衆をかえりみない政治に向けられたのか、それとも形式主義の仏教界に向けられたのでしょうか。

 いずれも険しい山々だからこその個性豊かな仏教文化群です。振り返って現代社会は、交通事情がよくなり、どこもかしこもマクドやスタバ、ヤマダ電機があって、個性のない地方ばかりになりました。のっぺりと平準化されたこの時代から出土する物を、後の人は「なんてつまらない時代だ」と振り返ることでしょう。



sakatakouei at 15:33 
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May 21, 2014

 大飯原発の運転差し止め判決が出ました!

*読売オンライン
 http://www.yomiuri.co.jp/national/20140521-OYT1T50131.html?from=ytop_top

20140426kyoto03 福井県にある関西電力大飯原子力発電所3、4号機について、福井や大阪などの住民189人が関電を相手取り、運転の差し止めを求めて訴訟を起こしていました。原告団長は小浜市の僧侶・中嶌哲演さん。先日の講演で中嶌さんは、「3.11後、初の原発差止訴訟の判決となる。どうか注目してほしい」と呼びかけていました(=写真)。

 そして福井地裁は、5月21日、運転差し止めを命じる判決を言い渡しました。

 今回の訴訟は、「想定される最大の地震の揺れ(基準値震動)は妥当か?」「非常用の発電機や給水ポンプなど、放射性物質が外部に漏れるのを防ぐための安全対策は有効か?」などをめぐって争われました。

 住民側は、2005年以降、原発が基準地震動を超える揺れに襲われた例が、3.11を含めて5回あることを指摘。「関電の想定は過小だ」と主張していました。

 しかし、関電側はまったくやる気のない態度で、基準値震動が700ガルであるにもかかわらず、想定を上回る759ガルの地震が起きても安全などと言い募り、要請された根拠を出さないまま判決を迎えました。おそらく「まさか敗訴するはずはない」もしくは「敗訴したところでどうせ下級の裁判所だ」とナメていたのでしょう。そういう司法を馬鹿にした態度も含めての判決だと言っていいかもしれません。

 いずれにしても、これは画期的なニュースです。この判決を無駄にしないように、各地の再稼働をきっちり止めていかねばと思います。



sakatakouei at 16:36 
さかたこうえいの「時々通信」 | 環境

May 20, 2014

 いまだ一般社会にはほとんど何も知らされていない福島第一原発事故の真相の、一端が明らかになりました。政府事故調の「吉田調書」を朝日新聞がスクープしたのです。

 2011年3月11日の震災の後、未曾有の大事故を起こした東京電力福島第一原発。その現場監督であった吉田昌郎所長(当時)が、「福島第一原発にいた所員の9割、約650人が、自分の待機命令に違反し、10km南の福島第二原発へ撤退してしまった」と語っていたのです。吉田所長は線量から判断して、まだ大丈夫だ、と待機命令を出したにもかかわらず、現場の人員が危険を感じて勝手に逃げ出した、ということです。その中にはグループマネージャー(GM)と呼ばれる管理職も相当数いたようです。その後、線量が急上昇したものの、対応が不十分だった可能性があります。吉田所長は「しょうがないなあ」「まずGMから帰ってこい」と対処したとのことです。

 驚くべき内容… とは思いません。むしろ当然の事態でしょう。つまり、一触即発の事態では、現場作業員は自分の命を優先して逃げることも有り得るということです。私だってそうするかもしれません。

 問題は、そのことをずっと隠蔽してきたことです。東電が隠蔽するならまだ分かります(あの東電ならそれぐらいするだろう、という意味です)。なんと、事故の検証をしなければいけない政府事故調が、これまで隠蔽してきたというのです。

 政府事故調のトップは「失敗学」で一世を風靡した畑村洋太郎という人物ですが、彼は失敗から学ぶより、隠すことを選んだようです。なるほど、失敗を隠すのが失敗学というやつですか。すばらしく下劣な学問ですね。

 この国は、福島原発事故から何も学ぶ気が無いようですよ。それどころか、失敗を隠蔽して原発再稼働する気です。いったい、何度失敗すれば気が済むんでしょうかね。



sakatakouei at 22:02 
さかたこうえいの「時々通信」 | 政治・社会

May 18, 2014

 『美味しんぼ』「福島の真実編」がもたらした波紋は、私の予想をはるかに上回って広がりました。

 私はまだこの回を読んでいません。なので、はっきりしたことは書けないのですが、ネットなどで散見するセリフ起こしを見ると、次の3つの感想を抱きます。

 まずは、「よく書いてくれた」と思うと同時に、「これのどこが問題なのかな」という素朴な疑問です。人気漫画であること、ゆえに読者が多いことを除けば、内容自体には特にびっくりするようなものはないのです。井戸川さん荒木田さんなどの人物が実名で出てきていますが、彼らは元町長であったり医学の専門家であったりするわけで、決して作者の妄想を描いているわけではありません。ジャーナリスティックな裏取りもしてあって、ほとんど「ノンフィクション」のようです。さらに、「放射線だけの影響とは断定できませんが」などと慎重に「予防線」まで張ってあります(なので私は「たかがマンガごときで…」という声には賛同しません)。

 内容自体にびっくりしない理由の一つは、もともと井戸川さんや荒木田さんが常日頃から主張してきたことをそのまま描いているに「過ぎない」ということがあります。原作者の雁屋哲さんは、あるいは相当な覚悟をもって書いたのかもしれませんが、こういう主張のルポや出版物は、今までも存在したわけで、なにも『美味しんぼ』が初めてではないのです。

 なので、感想の2つ目は、こうなります。「どうしてそこまで過剰に反応するのか」。福島県行政や大阪市長が即座に抗議し、ついには国までお出ましになり、出版社に圧力をかけています。「表現の自由」を脅かす非常事態です。

 私は別に「表現の自由」を全面的に保障すべきとは思いません。ヘイトスピーチに規制をすべきという意見にも一理あると思いますし、影響力あるメディアは「第四の権力」であることを自覚して、その力を行使してほしいとは思います。

 ですが、『美味しんぼ』のセリフ起こしを読む限り、そんなセンセーショナルな表現や、荒唐無稽な現象が描かれているわけでもありません。むしろ、今まで主流だった原発推進側の放射線防護医学の立場、いわゆる「ICRP派」を意識して、それに批判的な疫学の考え方を丁寧に記述しています。

 これに対する政府の反応は、どのようなものでしたか? 菅官房長官は「住民の被ばくと鼻血に関係があることは考えられない」と言い切っているのです。百歩譲って、「関係あるかないかは不明だ」なら、まだ理解できます。なぜ「関係ない」と言い切るのか。こんな非科学的な態度があるでしょうか?

 この「騒動」を客観的に眺めると、こういう絵が浮かびます。『美味しんぼ』はきわめて「科学的な態度」で描かれているが故に、そしてかなり真実に近づいているが故に、それを血祭りにあげて「見せしめ」にすることで、第二、第三の『美味しんぼ』が後に続くことを防ぎ、原発事故の影響を「隠蔽しよう」「無かったことにしよう」としている。特定秘密保護法もびっくりの、国家をあげた情報操作です。

 ですが、3つ目の感想は、いずれにしても福島の人々の傷つきには向き合わなければいけない、ということです。『美味しんぼ』で福島の人々が傷ついたこと、そのこと自体は非常につらいことです。「逃げる?逃げない?」「食べる?食べない?」という迷いや不安に苦しんだ末、そんな迷いや不安に蓋をして「逃げない」「食べる」という決断を強いられている人々が、『美味しんぼ』によって強引にその蓋を引っぺがされて、再び迷いと不安の中に突き落とされる苦しみは、私の想像をはるかに超えます。

 一方で、その迷いと不安に「ウソの蓋」をして安心を手に入れるやり方は、きっと長続きしないだろうとも思います。蓋の下では無意識の迷いや不安がむしろ増幅していくはずです。時を置いて病気を発症したとき、もはや因果関係を証明するのも難しく、泣き寝入りするしかありません。親は子どもの病気を自分のせいだと感じ、自分を責めるかもしれません。そのことはつらいことですが、それを頭のどこかで予想しながら、「ウソの蓋」をして平静を保っていることは、もっとつらいことです。

 ただし、単に放射能の怖さを強調するだけでは、迷いや不安に蓋をして過ごす福島の多くの人々の共感は得られないということは分かります。それを利用して、政府の情報操作はやすやすと実行されていきます。今回の騒動は、そんな「絵」を浮かび上がらせました。『美味しんぼ』は、それ自体のストーリーを超えて、日本の現状を端的に描いてしまったわけです。すごいマンガです。やっぱり、はやく買って読まなければ。



sakatakouei at 13:02 
さかたこうえいの「時々通信」 | 食・健康
「蒼生舎」(そうせいしゃ)とは?
■「蒼生舎」は、市民活動・まちづくりを支援する市民SOHOです。

■「蒼生舎」は、広島県福山市を拠点に事業を展開しています。

■「蒼生舎」へのご連絡は、下記までメールをください。
 Eメール: soseisha@mx52.tiki.ne.jp
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  • 12/1(日)東京新聞・半田滋さん講演会「安保法制下の自衛隊」@三原
  • 11/23(土)・24(日)叫ぶ芸術 ポスター展@福山
  • 「本屋UNLEARN」クラウドファンディングにご支援を
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  • 11/19(火)伏見町はしご酒vol.9@福山市
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