燃え尽き症候群の私。講習会だけはなぜだか行き続けていました。
それからというもの、名人達の仕事を見たお陰で、自分の仕事と比較
対象となるものが、名人達の作る“本物”となった訳です。

そうなると、毎日が挫折の連続。全然満足できない。
達成感がまったくない。充実感が湧いてこない・・・
「おれ左官屋に向いてないのかも・・・」思いつめて、本気で左官を
辞めようと思いました。

ラーメン屋。ネットビジネス。何ができるかな。。。

なんて思っていても気が付けば左官。
逆に、「これだけの御縁を頂いたのに、左官を辞めるのはバチあたりだ」と
自分を鼓舞しながら、ひたすら左官にしがみついていました。

この頃からでしょうかね。技術力でもなく、センスでもなく
「長く続ける事」にものすごく、大変な労力とモチベーションがいることに
気付いたのは。

むしろ、それだけで良い気さえする。

そうやって、苦しい時期をなんとかしのぎつつ、それでも磨きの仕事も
こなしておりました。

磨き
これは、古民家の移築で施工した、黒漆喰磨き仕上げ。

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PC051135
この二つは、トヨタネッツで施工した、青と黄色のイタリア磨き風の仕上げ。
とまあ、こうやって今思い返せば、そんな状況でも良くやっていたなと。。。

そして、2010年ひょんなことから、かまど作りのワークショップを
開催することになる。三浦半島の左官仲間と一緒に、
研究しながらみんなで挑戦することになりました。

「みんな、よく勉強しているな・・・」そう感じた私。

それぞれが、それぞれの得意なこと、不得意な事を補いながら、かまどは、
無事完成するのです。

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「みんなで作るって凄いな。自分の想像を超えるものができて面白い」
なんとなく、そう感じました。

そして、2010/10 もっとも左官の壁で難しいとされる、“大津磨き”に
挑戦することになる。
一枚の壁は大きく、一人では施工出来ないので、弟と左官仲間の三人で
施工することとなりました。


PA302525

みんなが、はじめての挑戦なわけで、みんな不安があるなかでの施工。
自分ひとりの技術があっても意味がなく、三人のチームワークが大切な訳です。

・・・思い起こせば、この磨き壁。自分が名人になりたいと思っていたのに、
気がつけが、名人になる意味さえ疑問に思ってきた。それにどんな意味が
あるのだろう?

仲間と一緒に、一つの仕事に立ち向かう事の面白さ。そして、出来上がりに
喜びを感じること。それが、左官なのではないか?そんな事に気付き
だしました。


「ああ、終わった・・・しかし、いまいちだな」
相変わらず、比較対象が、“名人の本物”な私。
そこで友人がぼそりと・・・「そうか?おれはもっと出来ないと思った。
色々とやかく言う奴がいるかもしれないけど、それは“分かってない奴”
が言うんだよ」

その一言に、僕は救われた。名人の仕事と比較することのバカバカしさに
気付いた。

名人ではない私が、名人の仕事が出来る訳もなく、それよりも、
昨日の自分に勝つことが大切なのだと友人に気付かされた。

それからは、自分との戦いに日々いそしんでいます。

左官は、奥が深いです。
死ぬまで勉強です。
知れば知るほど、分からない事が多くなります。
ですが。。。
やればやるだけの事が自分に返ってきます。
自然を扱う仕事だからこそ、自然の法則に至極従順しています。

簡単にものが作れるかのような錯覚に陥る現代で、
これほど、手間暇かけて物を作る仕事は、ナンセンスかもしれない。
だけど、そのナンセンスの中に、人生を楽しく生き抜く“知恵”をも
身につけてくれる仕事、それが左官だと思う。

沢山の御縁によって、自分は進化させられる。
それは、みんなが純粋に左官の行く末を案じているからこそだと思う。
その想いを無駄にしないよう、これからも挑戦する気持ちは死ぬまで
失いたくはないと思う。

名人になるためにはじめた磨き壁。

今は、人生を豊かにするために創る磨き壁。

その様は、きっとお施主さんにも移って行くのだと噛みしめて、
今日も壁を塗っております。

有限会社 左菊 代表取締役親方 鈴木 一史

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大津磨きのサンプル

磨き2
現代大津磨き


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現代大津紋様仕上げ


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石灰クリーム磨き


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