D' s Basement supplement

キノコ・植物・博物館
このところ通常の更新はTwitterまたはFacebookから、となっています。このBlogはまとまったものを検索可能な形で置いておきたい、という場合のために運用を続けています。 日常を表現しているツイッターはアーカイブ http://twilog.org/sakumad2003/ をご確認ください

ICOM資金調達の倫理規定

ICOM(国際博物館会議)には「資金調達の倫理規定」というものがある
https://icom.museum/wp-content/uploads/2022/03/Fundraising-Standards_EN.pdf試みにchatGPTに訳させてみた。よい機会なのでこういう物があるということを知っていただくのも良いかもしれない。

国際博物館評議会の資金調達基準
序文

以下の基準は、資金調達を通じた博物館の財政資源の開発に関するICOM博物館倫理規定の原則を詳細に説明しています。この文書では、財政支援は、個人、慈善団体、財団、企業、政府機関などの外部からの資金調達を指します。どの場合でも、博物館は、活動の資金調達に関連するすべての適用可能な法律を遵守し、資金調達ポリシーの基盤としてICOM博物館倫理規定を参照すべきです。
倫理的原則(ICOM博物館倫理規定より)
博物館は、有形無形の自然と文化遺産に責任を持ちます。博物館の統括組織と戦略的方針と監督に関与する者は、この遺産とそれを支える人的、物理的、財政的資源を保護し促進するための主要な責任を負います。
 資金調達
  [博物館の]統括組織は、博物館の活動を実施し発展させるための十分な資金があることを確保すべきです。すべての資金は専門的な方法で説明されるべきです。(ICOM Code of Ethics for Museum, 1.9)
 収益生成ポリシー
統括組織は、博物館の活動から生じる収益源または外部から受け入れる収益源に関する方針を策定すべきです。資金提供源に関わらず、博物館は、プログラム、展示、活動の内容と誠実さを保持すべきです。収益生成活動は、機関の基準または公共の基準を損なうべきではありません。(ICOM Code of Ethics for Museums, 1.10)
博物館のコレクションは、それらが派生したコミュニティの文化的・自然的遺産を反映しています。そのため、現代のコミュニティを巻き込む活動に資金を調達する際に、博物館のポリシーがこの状況に適応することが重要です。(ICOM Code of Ethics for Museums, 6.6)
資金調達ポリシー
各博物館は、博物館による金銭的寄付の募集、受け入れ、保管を統制し、寄贈者に対して博物館の責任を説明する情報を提供する資金調達ポリシーを持つべきです。このポリシーは、そのような寄付を受け入れる際に関与する法的および倫理的原則と専門的責任を取り扱うべきです。博物館の財政支援の開発と管理の目標を取り扱い、博物館が活動から生じる収益源または外部から受け入れる収益源を定義するべきです。たとえば、博物館は美術作品の収集を支援する寄付を受け入れるかどうか、スタッフのポジション、改装、運営費を受け入れるかどうかなどを考えるべきです。
資金調達ポリシーは、博物館の統括組織と共同で策定され、承認されるべきであり、印刷物およびオンラインのデジタル形式で公開されるべきです。統括組織は、定期的にポリシーを見直し、評価し、更新するべきです。ポリシーに関する議論は透明性があり、すべてのスタッフメンバーは、その中に含まれる原則と手続きを認識しているべきです。ポリシーは、寄付を評価し、受け入れし、文書化するために博物館が使用する手続きを概説し、財政支援の受け入れに関する決定に関与するべき個人(統括組織およびスタッフのメンバー)を特定すべきです。
財政支援の開発と管理時の考慮事項
博物館は、個人または企業などの他のエンティティからの資金支援を、自身の使命と価値観に一致する方法で開発し管理するべきです。潜在的な寄贈者に対しては、使命、財政、プログラムに関する正確な情報を提供し、博物館自体や博物館のスタッフ、ボランティア、統括組織のメンバーに対して利益相反またはそのような利益相反の外見が生じないようにすべきです。
博物館は、提供される資金支援を受け入れるかどうかを決定するプロセスを作成すべきです。博物館は、事業の種類や事業の製品とサービスに基づいて特定の事業または事業の種類を除外するかどうかを検討すべきであり、これらの製品とサービスに関連する特性、価値観、態度を考慮すべきです。この決定は、博物館の使命だけでなく、それに関連するコミュニティも考慮して行うべきです。例えば、博物館はたばこ会社、銃製造業者、化石燃料抽出業者、またはその他の潜在的に物議を醸す事業からの資金を受け入れるかどうかを検討するかもしれません。
財政支援は、しばしば寄贈者側の活動への関与に期待が伴います。公の信頼を維持するために、博物館はすべてのプログラム、展示、活動の内容と誠実さを保持すべきであり、寄贈者からの過度の干渉を受けないようにすべきです。
博物館が受け取る財政支援は、寄贈者との書面による合意書に記載されるべきです。合意書は財政支援の条件と関係者の期待を明示すべきです。博物館は、財政支援に関連する展示とプログラムの最終的な制御を保持することを指定すべきです。博物館は受け取った資金を責任を持って管理し、寄贈者および公に資金の使用に関するタイムリーな報告を提供すべきです。ただし、寄贈者の要求に応じて機密保持が要求され、かつ法的に許可されている場合を除きます。
資金を受け入れた後の考慮事項
もし博物館が個人や企業など他の団体から資金支援を受け入れた後に、寄贈者の評判や行動に疑問が生じる状況が発生した場合、博物館はその状況が博物館およびその信頼性に否定的な影響を与える可能性があるかどうかを検討すべきです。博物館が自身の評判がこの状況によって危機にさらされていると判断した場合、博物館はその立場を説明する公開声明を行うか、極端な場合には資金支援を返却することを検討すべきです。その結果に関わらず、スタッフ、ボランティア、リーダーシップ、統括組織、そして博物館のコミュニティとの明確でオープンなコミュニケーションは不可欠です。
資金調達は、ますます多くの博物館の活動の一部となっています。同時に、財政支援を集める環境はより困難で競争が激しさを増しています。これらの基準は、博物館が専門基準を維持し、彼らが提供する公衆の信頼を確保するための指針として意図されています。

「公立博物館のドメインネーム mus-nh.city.osaka.jpの四半世紀」

ARG950号に以下の原稿を寄せた。CCBYNCでの公開なのでここにも掲載しておく。
ARGについてはこちら
http://www.arg.ne.jp/


  「公立博物館のドメインネーム mus-nh.city.osaka.jpの四半世紀」

                  佐久間大輔(大阪市立自然史博物館)

2023年4月、大阪市立自然史博物館は長らく使用したmus-nh.city.osaka.jpのドメイン名からomnh.jpへと変更した。
1997年秋に運用を開始してから四半世紀。現在city.osaka.jpドメインで運用している博物館は大阪歴史博物館のみであり、程なく同博物館も新ドメインへの移行を予定している。
大阪市を意味するcity.osaka.jpの運用は実は大阪市立自然史博物館のホームページ運用から始まり、ほぼ最後までその歴史を同館が担うことになった。実は、ドメインを変更せずに続けた博物館はむしろ少数派であり、この間に多くの館がドメインを変更してきた。
なぜドメイン名を変更する必要が生じたのか、変更の背景にはどのようなものがあるのか。ドメイン変更はどう影響するのか、検討してみたい。

佐久間は以前、博物館のドメイン上の位置づけと、管理権限を関連付けて議論をしたことがある < https://www.jusonbo.co.jp/books/213_index_detail.php > 。ドメインはWEBサイトに辿り着くための記号でしかないかもしれない。しかし、そこには博物館の現状も反映されている。

■2000年以前の博物館ドメイン
1990年代、地方のインターネット基盤の公的な整備はしばしば後手に回り、公立博物館のWEBサイトが民間プロバイダー上で開設される場合もしばしばであった。
民間プロバイダで固定IPを確保する費用は高額であり、プロバイダドメイン下のユーザーディレクトリで公開を始めた博物館も多い。行政が出資・整備したプロバイダの場合も同様だ。一方、SINETなど固定IPでのサービスに接続した博物館は独自にドメインを取得した。
当時、公立博物館は商業サイトを意味する.comやco.jpを避ける傾向にあり、ごく初期にはgo.jpを取得する博物館もあったが、地方行政機関がWEBサイトを開設し始めた頃は行政機関も地域型JPドメイン、その中でも[city][pref]などの行政組織に割り当てられたドメインを選択する場合も多かった(or.jpad.jped.jpを選択した館もあるが大学以外にac.jpは開放されなかった)。

自治体のネットワークに直接接続した場合はもちろん、そうでなくても地域型JPドメインは直営機関であれば問題なく取得できた(自治体の方針が定まらないためにcityやprefのつくドメインを回避した機関もあると聞く)。何よりも地域型JPドメインは効率感であることの明示でもあり、ドメイン管理料がかからないこともメリットだった。こうして地域型JPドメイン下のサブドメインまたはディレクトリを使ってWEBサイト運用を運用始めた公立博物館も多く存在した。

city.osaka.jpドメインの場合にはまだ行政での利用が一般的でなかった1997年に、研究業務のために大阪市立自然史博物館がいち早く当時の「省際ネットワークIM-Net」に接続した際にmus-nh.city.osaka.jpドメインとして取得した。その後、大阪市が上位ドメインのcity.osaka.jpを使用開始したのに伴って移管したという経緯になる。

lg.jpドメインの台頭と選択を迫られた公立博物館
しかし、この状況は2000年前後に大きく変化する。地方行政を含め官公庁では個人情報を扱うことからサイバー攻撃、不正侵入、情報漏洩に対抗しうる高度なセキュリティを維持した行政専用ネットワークが以前より求められていた。
行政間の重複投資を避ける目的で政府ミレニアムプロジェクトとして位置づけられ、2000年の実証実験を経て「総合行政ネットワーク」(LGWAN)が稼働した。2001年から都道府県が、2003年から全市区町村が接続した。地方公共団体と地方公務員のドメイン名としてlg.jpドメインも2002年に運用を開始した。
このドメイン名のメールアドレスは自治体職員および公営企業などに限定され、例えば外郭団体職員の利用は認められていない。LGWAN網は行政の庁内業務のための閉域システムが基本となっている。インターネットに接続された公開系はASPを介した公開セグメントに置かれている < https://www.j-lis.go.jp/file/L-1_pamphlet_4th_202012.pdf > 。

このような変化の下、大阪市は庁内LANだけでなく、公開WEBサイトもサーバー認証と暗号化通信に対応させ、ドメインもcity.osaka.lg.jpに移行した。この動きと連動して、2012年、jpドメインを管理するJPRSは第2レベルに都道府県名、第3レベルに市区町村名を含み、特定の組織または個人が使用を許可される地域型JPドメインの新規受付を停止した < https://jprs.jp/about/jp-dom/prefecture.html > 。
city.osaka.jpドメインは、LGWAN網に参加していないその他の大阪市関連機関のためのドメインとなったが、新規に広げることのない方向性が示された。自治体が管轄するが十分な管理ができない、いわば「残務整理」の対象となったともいえる(なおJPRSは同時に、それ以外の第2レベルは都道府県名だが第3レベルは任意の文字列とした△△.tokyo.jpなどの「都道府県型ドメイン」を汎用jpドメインに準じたものとして受付開始した)。

この段階で、公立博物館のWEBサイト運用は大きく二つの道に分かれたのではないか。すなわち、自治体の一部としてLGWAN網に取り込まれ、自治体ホームページの一部として情報発信をする博物館と、様々な理由でLGWAN網外で発信する博物館とである。
そしてLGWAN網内の博物館はCMSによる運営を要請され、そうでない場合にはLGWAN網内の通常業務と、網外のサイト運営のための二重のシステム維持というそれぞれの課題を抱えることになる。なお、2023年4月現在も例えば群馬県 https://www.pref.gunma.jp/ のように地域型JPドメインを公開サイトのアドレスとして利用し続けている自治体も少なくなく、これらの自治体傘下の博物館も http://www.gmnh.pref.gunma.jp/(群馬県立自然史博物館)のように地域型JPドメインを継続使用している。

■博物館と自治体CMS
LGWANに参加した自治体の庁内LANからの情報発信は閉域網からLGWANにASPサービスを提供する事業者のプログラムを利用し、DMZに書き込まねばならない。こうした事情から多くの自治体が定型的な管理が可能な行政CMS(コンテンツマネジメントシステム)を用いたものになっている。
CMSを用いる自治体の割合は年々上昇し、日本広報協会による2018年の市区町村広報活動調査結果では調査回答者のうち88.7%がCMSを利用していた < https://www.koho.or.jp/useful/research/2018/web.html > 。現在は9割を超えているだろう。
この結果市役所や県庁のWEBサイトはどこもよく似たデザインのものとなり、どちらかというと無味乾燥なものとなっている。この傾向は小中高校などの公立の教育機関も同様である。発信基盤の管理などのコストはかからない一方、当然ながら自由度は小さい。

自治体CMSを用いてのこまめな情報発信が全くできないわけではない。きしわだ自然資料館や橿原市昆虫館など、様々な工夫で発信をしている。しかし、一方で、例えば大容量の画像DB公開や外部との連携DBなどをこのCMS上で実現することは難しい。
外部の民間サービスを使えばできるとしてもLGWAN網からの直接アクセスはできず、管理や運営に課題がある。また、自治体CMSには公開期限が来た情報を非公開のリポジトリに収納する機能がある。これは自治体文書管理システムとしては標準的なものとして評価できるシステムだが、博物館の情報保持の原則は行政文書の保存期間とそぐわないものも多い。
例えば事業発注しておこなった自然環境調査の結果は、行政文書としての保存期間は10年程度だろう。しかし、博物館は何十年たっても過去の調査結果を比較のために保存する。過去の特別展の解説リーフレットなどもチラシと同じ年限で廃棄するのではコンテンツとして再活用できない。
過去コンテンツの管理に自治体文書管理と博物館でのあり方に齟齬がある部分を自治体CMSによる一元的な管理はなかなか乗り越えることができないのである。このほかSNS連携、市民参加など様々な課題もある。

■LGWANに参加できない様々な事情
一方、LGWAN網に参加しなかった公立博物館の事情は様々である。市役所などの本体と離れた立地条件のためにVPN網の構築がコスト的に見合わなかった施設や、例えば外郭団体管理など直営組織でなかったためにLGWANに参加できなかった館も多い。
lg.jp創設期前後にドメイン取得した博物館が多いのはそうした事情もあるだろう。その後の指定管理者制度導入などを期にドメイン変更した博物館も多い。

運用の自由度の課題から適しないと判断した館もある。大阪市立自然史博物館もその一つであり、大阪市がLGWAN網に移行した後もSINETに接続し、地域型ドメインを使い続けた。
外部の研究者や市民とデータの受け渡しの多い博物館には大学などと同様、LGWANはあまり適切ではないシステムであった。大阪市立自然史博物館の場合には業務ネットワークではなく、研究業務のためにインターネット接続を実現した経緯もあり、LGWANには参加しなかった。

公立博物館や美術館は行政組織であるが、市民の好奇心や学習意欲を喚起する社会教育機関として、WEBサイトにおいてもメッセージ性やアピール力を必要とし、また市民とも双方向の情報交換が多く起こる施設である。イベントや展覧会に即した機動的な情報発信が求められる。
リアルな空間で利用者・市民とコミュニティが作られるのと同様、WEBサイトでも同様のコミュニティ形成が重要と筆者は考えている < https://ua-book.shop-pro.jp/?pid=173208687 > 。しかし、こうした機動的な運用にLGWANや自治体CMSによる運用はあまり適しているとはいえない。
ただし、この場合にはセキュリティを含めドメイン・ネットワークの運営を博物館自身が課題として抱え込むことになった。大阪市立自然史博物館も古くなるシステムを少しずつ改良しながら維持していた結果、OPEN BUG BOUNTY PROGRAMに複数の脆弱性を指摘されるに至った。
博物館の情報投資の必要性を示す事態であった。地域型JPドメインを使用している博物館の場合、こうした脆弱性の管理責任の所在がやや曖昧になりがちである。地域型JPドメインから、独自のドメインへの移行はこうした管理の問題を明確化する意味もある。

■大阪市立自然史博物館ドメイン移行時の接続維持への配慮
2023年4月1日に自然史博物館はドメイン移行をおこなった。
しかし、この移行のためには2022年12月に新ドメインomnh.jpを取得し、2月までに新サーバーにクローンを設定し、内部リンクを新ドメインに変更し準備した。そして3月31日に旧ドメインで動くサーバに301 redirectを設定し、 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/ へのアクセスをすべて https://www.omnh.jp/ へと転送した。
この転送はトップページだけではない。多くの利用者が博物館WEBサイトの中の特定のページをブックマークしていることを想定し、例えば「学校と博物館」 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/edu/index.html は  https://www.omnh.jp/edu/index.html に自動転送される。ユーザーはそれと気付かないでも移行されていることを目標とした。
これは前述の情報への市民アクセスの維持が重要である、ということに大阪市当局にご理解を頂き協力を得た結果だ。このためにはmus-nh.city.osaka.jpのDNS情報の維持が必要になるので未来永劫とはいかないが、数年間は維持できる。この間にドメイン移行をできるだけ周知していくことが必要になる。
もちろんせっかく移行したのだからユーザーの使い勝手を向上したい。サイト管理者としてもメンテナンス性を向上させたい。このために表紙から2階層目まではCMSを使ってデザインすることにした。
しかし、同時に過去コンテンツもアクセスできることを重視している。大阪市立自然史博物館サイトには過去25年の活動が様々な形で詰め込まれている。これらは今後の活動のヒントであり、再活用の源泉である。可能な限り「動態保存」を試みたい。

■博物館ドメインの安定性
博物館のドメインは意外と安定していない。これは博物館ばかりの責任とも言えない。特に初期には、博物館の情報発信基盤が安定していなかったことを考慮する必要がある。ドメイン、サーバー、IP空間など様々なものが博物館自前で確保できていない博物館は2000年頃までは特に不安定であり、前述のように商業プロバイダ、地域プロバイダ、地域型JPドメイン、独自の一般ドメインなど多様なドメイン名が入り交じる。
このことが示すようにホスティング形態や管理体制も個別に事情が異なっていたことがわかる。商業プロバイダや地域プロバイダが廃業あるいは統廃合されることの影響を受けやすかった。自治体の名前のついた地域型JPドメインを取得している公立博物館の場合にも市町村統合、文化施設の教育委員会から首長部局への移管、指定管理者制度への移行、あるいは地方独立行政法人化など様々な経営環境の変化を受け、現在までに様々な博物館でドメイン名が変化している。
あるいはクラウドサーバー化への移行などシステム環境の変化や、指定管理者、あるいは契約ベンダーの変更によっても変化する場合がある。

試みに2000年当時の大阪市立自然史博物館のホームページリンク集 < https://web.archive.org/web/20001217005900/http://www.mus-nh.city.osaka.jp/links-nfj.html > に掲載していた自然史系博物館、動物園、水族館、植物園のドメインの現状を調査してみた。当時掲載していた70アドレスのうち、現在でも有効なサイトはわずか16サイト(22.8% https化しているものを含む)であった。
その他、変更されているが、リダイレクトやリンクが設定されるなど現在のサイトにたどり着けるものを合わせても30サイト(31.5%)であった。
博物館(動物園なども博物館法上は博物館と扱われる)という高い公共性を持ち、継続性を要求されている機関でも20年余りで実にほぼ7割のサイトがドメイン変更あるいは閉鎖をしていた。多くの博物館が過去のリンク情報を無意味なものにしてしまっている。サイト内の個別ページの変化も当然それ以上に大きいだろう。

無効になったドメインを詳しく見ると、ドメイン、あるいはサーバーが存続していないサイトは26サイトにのぼり、民間プロバイダ、あるいはhokkai.or.jpi-kochi.or.jp、 coara.or.jpなどの地域公共プロバイダなどを利用していたサイトが目立つ。
しかし行政機関が用いる地域ドメイン、官公庁ドメインのほうが安定化といえばそんなこともなく、同じアドレスで存続しているところが6サイト、アクセスできないところが14サイトに登る。キッズプラザや海遊館のようにもともと独自ドメインを持っていたところのほうが生存率は高い。
詳細は https://www.dropbox.com/s/vphb5o0ze0v1b94/URL_transition.pdf?dl=0 を参照してほしい。

■アクセス保持の必要性
多くの博物館でドメイン移行・サーバー移行を機に過去のコンテンツに全くアクセスできないという状態が生じている。博物館WEBサイトが、広報宣伝のための使い捨てのチラシであるならばそれでもいいだろう。しかし、今の活動の積み重ねが博物館の歴史である以上、博物館という最もアーカイブを意識すべき機関が過去の活動を切り離していいのだろうか。
内部でアーカイブとして保存したとしても、それがアクセスできない状態になることは、「Open and accessible」であることを求められる現代の博物館(ICOM 博物館の定義2022 https://icomjapan.org/journal/2023/01/16/p-3188/ )としてそれでよいのだろうか。最も望ましいのはドメインを変えず、同じ情報に同じアドレスでアクセスできる状態を保持することである。
公立博物館のURLがこれだけ変遷していると、2018〜2020年前後のジオシティーズやYahoo!ブログなどの廃止により大量の民間提供の情報が失われたことを笑えない。博物館の発信する公的な学術情報が多くの人の学びに重要な文化資源だとするのであれば、そんな簡単にアクセス不能になってしまってよいのだろうか。
大阪市立自然史博物館がドメイン変更をしてもリダイレクトによるアクセス維持を重視したのは、情報発信機関としての責任だと感じているからだ。

■公的アーカイブの課題
上述のようにアーカイブ機関であるはずの博物館の活動をいかにアーカイブするのかという課題が生じている。公立機関のWEB情報のアーカイブの担い手として有力なのは国立国会図書館だろう。国立国会図書館による「インターネット資料収集保存事業」は国の機関及び独立行政法人、地方自治体のWEBサイトを自動収集の対象として定期巡回、アーカイブ化している < https://www.ndl.go.jp/jp/collect/internet/ > 。独自ドメインの公立博物館はどうだろう。

先程の70サイトについて、現在のアドレスを対象に確認してみた。結果、公立直営及び指定管理の大部分の施設が収集対象になっており、私立はほとんど収集対象になっていなかった。lg.jpあるいは地域型JPドメインかどうかに関わらず収集対象となっているようだったが、近年ドメイン変更になったと思われるところは対象になっておらず、ドメインの変化に収集対象選定が追いついていないようであった。
また、館内限定公開なのか、公開になっているのかはどのような基準で判定されているのか、不明である。国立国会図書館の権限からすれば、統一的に公開で良いように思われる。意外だったのは、私立でも収集対象になっている場合があった点だ。可能なら、登録博物館を一律対象にするといった基準が望ましい。
かつて出版物の収集など実物資料で生じた地方の博物館が対象から漏れる < https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/zassikiji.pdf > といった事態がWEBサイトの収集では回避されていることが理解できた。アーカイブの保持は一義的には各博物館の自己責任かもしれないが、公的にバックアップする機能は重要である。
文化庁などと連携の上、例えば法律で国が支援することのできる「登録博物館」のメリットとしてWARP事業を上げるのもよいだろう。東日本大震災で多くの博物館がオンプレミスのサーバーごと被災したことを是非念頭に置いてほしい。

バックアップ機能とは別に自治体CMSの下で十分な情報発信ができない博物館にはバックアップ機能付きのJAIRO Cloud型のポータルとそこにデータ公開するためのLGWAN向けASPを用意するだけで、小規模館の情報発信は劇的に変わるのではないだろうか。
日本の文化資源を統一的に収集する活動がジャパンサーチなどと連動していくことで、かなり厚みを増してくれる未来を期待したい。アメリカの図書館や博物館はデジタル化を契機として大きく活動の幅を広げたと言われる。博物館法にデジタルアーカイブが業務として明記され、DX推進のための政策方針 < https://museum.bunka.go.jp/wp-content/uploads/2023/02/20230213bukai04_DX.pdf> も用意される今日、日本の博物館も遅ればせながら是非そこを目指したい。

[筆者の横顔]
佐久間大輔(さくま・だいすけ)。大阪市立自然史博物館 学芸課長。菌類と植物を専門とする学芸員だが、友の会などの博物館コミュニティとそのデジタルな展開も研究。大阪市立自然史博物館の初期のWEB活動はARGのメールマガジン71号に執筆した。日本菌学会、デジタルアーカイブ学会評議員。著書に『改訂新版 博物館経営論』放送大学教育振興会(2023分担執筆)、『ミュージアムのソーシャル・ネットワーク』樹村房(2018分担執筆)、『きのこの教科書』山と渓谷社(2019)など


本記事は、表示 - 非営利 4.0 国際 (CC BY-NC 4.0) に基づいて利用できます。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja

博物館からの声明の補遺としての個人的総括

今回のクジラの標本化に関してFBで書いたことをまとめておきます。
標本化に関する経緯についてはオフィシャルで表明したこと以上に語ることはありません。

まずいくつか感謝したいことがあります。

1.クジラが死んだ、そのあとすぐ「標本にするべきだ!それなら大阪市立自然史博物館だ」と多くの方が思い浮かべていただいた事。これは大変ありがたい事です。博物館としては私たちの活動が世の中に受け入れていただいていると感じるところです。

2.即応チームとして早くから対応いただいた国立科学博物館の田島木綿子さんたちにも感謝です。東日本大震災の時も陸前高田博などのレスキューで科博の中では先任の山田さんらクジラ組の動きが圧倒的に早かった。その理由がこの機動力と実行力にあるな、と感じました。

3.「海にかえす」事が決まってからもギリギリ調査機会を確保いただいた関係の方々に感謝します。太平洋まで運んだ運搬船の前に、底の平らな台船にセットしていただいた手間をとっていただいたおかげで、調査チームは仕事ができました。

4.博物館の立場を尊重して、文書公開に同意いただいた関係部局の方にも感謝します。博物館にとって、社会とのコミュニケーションがいかに重要かを、理解いただいている事が素晴らしい事です。おかげさまで発表半日後の現時点でTwitterの公式つぶやきだけでおよそ2500RT、3000いいねをいただいています。博物館としての資料への向き合い方にご理解をいただければ幸いです。

5.これらの動きを館内で事務方含め、ずっとサポートいただいたことも、実は非常にありがたいことです。友の会、自然史センターなどアマチュアの皆さん、特にホネホネ団の皆さん、周辺研究者の皆様のサポートも感謝しています。

こうしたことは、淀ちゃんを標本にできなかったね、で終わるのではなく、今後の博物館の活動にも生きていると考えています。引き続き、博物館へのご支持を、そして博物館を楽しんでください。
以下は反省点。(省察モードなので語りかけ口調でなく呟き口調です。)
こうした時に博物館と本庁の距離感が問われてしまう。資料をメールや電話だけでなく、早い段階で、高いレベルで「体を当てに行く」という古典的な営業が必要だったな、と。これを奇貨として行政との直接のコミュニケーションをどう図っていくか。
田島さんがいうように必要な機材や費用のノウハウ、どう埋めれば匂いは大丈夫なのか、など今回何があれば説得できたのか、冷静に分析しないといけない。
分館的な郊外の場所を持っていたら状況は違ったのか。あるいは分館がなかったとしても博物館間の協力で土地確保、標本化みたいなことはあり得なかったのか。行政と事前にプロセス合意を作るべきだったか、博物館を巡る行政間の連携があれば良かったのか。いろいろアイディアは上がるし、今なら関係者にリアリティを持って聞ける。

「たられば」は、過去を悔やむためのものでなく、次の機会に向けた準備として。そして次はクジラかもしれないけれど大災害かもしれない。皆が博物館を残そうと思ってくれるのか、どうすれば即応できるか、その方法はなど、共通の要素もある。そう考えると、検討の優先順位は高くなりそうな気もする。
ということで反省点も含め前向きに行きましょう。

2022年お座敷メモ

今年は色々お座敷がかさんだ。大学の講義を除いて以下の通り。大体はResearchmapにも登録したけど、してないのもある。

1. タイ・ミャンマー国境で里山研究ができるかもと誘われてでかけた話
佐久間大輔
大阪市立自然史博物館友の会海の向こうの見聞録 2022年12月25日

2. 私達の街から緑と生きもの、 地域と地球をつなげて考えてみよう
佐久間大輔
おおさか市民環境大学2022 生物多様性とゼロカーボン社会 〜子どもたちに残したい未来〜 2022年12月17日


3. 表現手段としての評価 博物館は評価に「さらされる」存在なのか
佐久間 大輔
公開シンポジウム「ミュージアム評価の呪縛からの脱出」【プラス・ミュージアム・プログラム】 2022年12月11日 北海道大学文学研究院

4. 都市と里山を 歴史と自然史から俯瞰する ―自然史博物館の立場から―
北大文学部「社会生態学」ゼミ 2022年12月10日

5. 日本の博物館におけるSDGsの達成状況と課題
佐久間大輔
全日本博物館学会研究会 2022年12月5日

6.【絵をくぐる大阪市立自然史博物館 開催記念シンポジウム】
「自然史博物館で絵画を展示すること」ディスカッションコーディネーター
大阪市立自然史博物館 2022年11月27日

7. 展示は人の為ならず 博物館はスタンドアロンでは機能できない
佐久間大輔
日本博物館協会 第70回全国博物館大会(高知) 2022年11月17日


8. きのこ:食欲の前に知的好奇心を
佐久間 大輔
日本菌学会第66回大会(オンライン・大阪)公開講演会「きのこ・菌類をめぐる期待・幻想・誤解」 2022年8月20日


9. 博物館所蔵菌類標本のカビ問題特に DNA 利用に関連して
佐久間大輔, 浜田信夫
日本菌学会第66回大会(オンライン・大阪) 2022年8月27日

10. 自然史資料の災害時対応−初動プロトコルの個別検討にむけて−
佐久間大輔
日本博物館協会 公開シンポジウム これからの博物館防災を考える 2022年3月30日 (公財)日本博物館協会 共催:国立文化財機構 文化財防災センター

11. 地球温暖化と自然 人間のことだけ?じゃない
大阪市環境フェスティバル
2022年8月10日

12. 北摂の自然の200年 「昔いっぱいあった」のはどんな自然?
吹田市立博物館
2022年7月31日

13. 大阪府生物多様性地域戦略 自然史博物館の役割
大阪府
2022年7月17日

14. [P2-368]自然史系博物館を活用するために―博物館法改正で生態学コミュニケーションは広がるか
佐久間大輔
第69回日本生態学会大会 2022年3月15日

15. 人吉城歴史館で被災した前原勘次郎標本の学術的価値と活用の展望
海老原淳, 佐久間大輔, 田尻雅之, 金重雅彦, 前田哲弥, 安田晶子, 副島顕子, 黒沢高秀, 池谷祐幸, 早川宗志
日本植物分類学会第 21 回大会 2022年3月6日

16. 文化審議会博物館部会 WG における博物館法改正の議論と 自然科学系博物館の今後
佐久間大輔
令和3年度第2回全国科学博物館協議会総会 2022年2月17日

17. 文化審議会答申を読む ―博物館法改正に向けて 登壇者
全日本博物館学会 2022年2月5日 京都国立近代美術館

18. 植物の根ときのこの不思議な関係
【OSAKA MUSEUMS 学芸員TALK&THINK】2022年1月23日[日]

この他に博物館内でのゼミ、オープンセミナー、越境シンポなどがあるがそれらは割愛。
何だ、お座敷は月に2本まで、というルールを(平均すれば)守れてるではないか。ほんとか?

2022年遠征まとめ

去年は前半はほとんどでかけていないが、後半は結構国内は多かった。
博物館絡みの調査や公園で行くことが多いが、プライベートででかけてもいくつ通っている。
行の最後に記号を付けた。
自腹○
呼ばれた仕事のついで△

4月 金沢 21世紀美ほか○
   千葉 放送大学 ついでに横須賀市美・観音崎博も△
5月 香川 栗林公園とうどん○
7月 熊本 人吉城歴史館(休館中)、熊本博物館、博物館活動センター
8月 北海道 小樽市博物館運河館、似鳥美術館、洞爺湖ビジターセンター、ウポポイ○
9月 静岡 ふじのくに地球環境史ミュージアム、東海大自然史博物館・海洋博物館
   北海道 北海道博、札幌市博物館活動センター、北大
  札幌市博物館活動センターではきのこ観察会にも参加できてよかった。
   和歌山 大学しか行ってないや△
   福井 県立恐竜博△
日帰りや一泊2日が多いが、この月はしんどかった。
10月 東京 都美・北斎美術館・科博
   沖縄 沖縄県美博、風樹館
  このときは帰ったその足で大台ケ原に行くという離れ業。しかも沖縄で足をくじくという。。
11月 高知 高知城歴史博物館△
12月 北海道 千歳水族館、北海道立アイヌ総合センター、北海道大学埋蔵文化財調査センター△

会議だけの東京とかは書いていない。近畿地方の博物館訪問も省略。
ざっと書き出すと琵琶湖博、京都国博、京都市美、あくぴ、大東、箕面昆虫館、箕面市郷土資料館、中之島、いたみ昆虫館、伊丹ミュージアム、ひとはく、あとどこいったかなぁ。
フィールドだけ、という出張が去年は全然できていないんだよなぁ。

では2023年はどうするか。
年始以降の予定で確実なのは

2月に浜松、前後して陸前高田にも行きたい。あと徳島か、ふじのくににもう一度行くか。
熊本ももう一度行くかなぁ。

海外遠征も少し復活させたい。
ロサンゼルスのカリフォルニア科学アカデミーになんとか行かないといけない。
台湾にも行きたいなぁ。
どう時間を確保するか。





2022年総括

今年もこのエントリーを書かねば、と思って
業績リストを眺めてみるが、今年はあんまり書いていないかなぁ
こちらに主だった業績はほぼ載せてあるはず。
https://researchmap.jp/sakuma_daisuke

上記にシステムとして載せられなかったものとしては台湾に翻訳された「きのこの教科書」がある。
https://readmoo.com/book/210246926000101
どういうわけかRESEARCH MAPは日本語と英語の著書しか入力ができない仕様だ。まぁ翻訳されただけの受け身な業績だから別にいいのだけれど。

きのこは高校教員向けに小文を書いた程度。書きたかった本は完成していない。去年きのこ化石の原稿を出した本はそういえばでてないなぁ。3年越し?→2023年1月に刊行となりました(下)


里山とか保全関係はOECM絡みのシンポジウムまとめくらいかな。(別刷り欲しい人はメールください)意外と依頼講演はこの関係で多く、特に大阪府市関係でお話しなくてはならないタイミングが多かった。厳し目の発言を続けているのでそのうち来なくなることも考えられるが。そういう事を言う人がいないのかな。

博物館関係も経営論教科書はなんとか原稿終了&録音も終了。(3月に発売)まぁそれなりに力を使ったと思ってる。
博物館法に絡んだ原稿&お話はそれなりに多く、お座敷も多く。展示の話はなんか原稿流してしまったなぁ。(メールに気づかなかったのと気づいてモチベーションが上がる状況ではなかった)媒体の性格と合わなかったのかもと思ってる。このリサイクルはまた考えよう。そう言えばメディア論の本も出なかったなぁ。
資料保存関係で菌学会で話したものは研究報告に、そしてもう一つのネタも投稿予定。
資料防災関係はなんか書かないとなぁ。
あと先日話したSDGsの話は書いておこうと思ってる。

欲張らないで小さなことからしっかり書いておこう。

京セラ美術館のコレクション展を見て

今日、所要があって京セラ美術館近くにでかけていて、昼に1時間ほど空きがあったのでコレクションルーム展示「特集 絵になる京都」を見てきた。
美術批評でなく、自然史的な情報を読み取る観点でメモ

菊池芳文 「春の有・霜の朝」(これのみ撮影OKでした)桜はオオシマザクラなんだけど八重咲き?っぽい描き方。霜の朝側に描かれていたのはムクドリ?

板倉星光 春雨
枝垂れ桜だけでなくカエデも花をつけているところが細かいなぁと思う一方、少女は帯こそ藤の花と春っぽいのに、着物の柄はナデシコにハギと秋のモチーフ。これはこの子がまだ垢抜けてないことの暗喩?

井上流光 藪、新たに伸びゆくたけのこがまじり、やはり初夏なのでしょう。でも画面が鮮烈に鮮やかで「竹の秋」の雰囲気はなくそこらはコントロールされているのか

徳岡神泉 麦 こちらも描きたいものだけを絹本の上に浮かび上がらせる、日本画らしい抽出。前作とともに気に入った作品。

野添平米 内海春色 これは瀬戸内を望む高台からの風景。塩田なども描かれるが、山の上まで畑?ただし斜面そのままに畑になっている。まるで茶畑のようだが瀬戸内で茶?そこまで細かくはわからないが、山の上まで平らでない畑が広がる景観は興味をそそられた。

原在中 嵐山春景 文政3年の作。嵐山には大きな松に混じって桜が茂る。かつての景観を思わせる。この植生はむやみに刈り取られたはげ山とは違うのだろう。すぐ隣の寺に隣接する山は大きな木がない柴山の状態。そこと比較するとやはり嵐山は来られずに残された山なんだとわかる。

後藤貞之助 高台寺裏山 昭和8年という時期でもここはしっかり林だったことがわかる。

長谷川良雄 糺の森檜垣茶屋 明治40年の糺の森は今より巨木も多く、暗く感じた。

浅井忠 若王子風景 京都周辺の里の風景
安井曽太郎 粟田口風景 やはり境内地には巨木。
鹿子木猛郎 加茂川の下流 河周辺が広い
伊藤快彦 加茂川真景図 以外に石の瓦も広がる
というように、明治〜昭和初期の風景が見えてきて楽しい。
こういうのって里山のイメージ捕まえるには結構大事。

その他にも宇野家の釉薬の妙とか、ろうけつ染めの大胆な技法だったり、ふらっとよったにしては楽しい時間を過ごさせてもらいました。

博物館法について思うこと

博物館法改正案が閣議決定されたという
https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00022.html

博物館法はなんのためにあるのか,といえば「博物館の健全な発達と国民の教育,学術,文化の発展」と第一条に書かれている。
そしてそれは民法や刑法やなんとか規制法みたいなものと同じく,社会の組織や予算を動かすための実用の道具だ。ただの理念法として作られているわけではない。
博物館法の改正に,これじゃないと思う人もいるだろう。博物館を大切に思う人の数だけ,博物館の理想がある,それは素晴らしいことだ。その理想のままに博物館が作れたらそれはたしかに素晴らしいと思う。
皆の共通の理想であれば,もしかしたら可能かもしれない。
でもこの社会は残念なことにそうではない。博物館にお金を使うなんて無駄金だ,と思う人もかなりの数いる中で,博物館をどうすればより良くしていけるのか,それがこの国の現実だ。
無駄金だと思う人が間違っている,そうだろう。でもそれは有権者の何割かを締めていて,そうした人たちの代表も含めてこの国の法律は決まり運営されている。法律は,予算査定や,日々の行政の決定と離れたところにあるわけではない。法律から,日々の決定や予算は導き出される。ということは,私達が向き合う日々の現実と,それほどジャンプしたところに行けるものではない。
ただし,今ある現実の中に,ギャップや淀みがあってお金が動いていないなら,動かさなきゃいけないし,こちらの政策はアップデートしてるのに,こちらの政策はそうではない,なんていう部分があるのなら,そこは直さなければいけない。地方分権によって,考え方がばらばらになってしまっているところも大きいかと思う。

博物館法を改正しなければいけなくなったのはそうした部分が大きい。
だから,その延長線で考えるのなら,博物館法をもっと良いものにしていきたいのであれば,現実の博物館が法の理念をどんどん追い越して,アップデートが必要な状態にしてやることが必要なんだと考える。それは現実の実践に裏打ちされた政策提言ということになる。
博物館は社会の中でどういう働きをするのか,それを前面に打ち出している世界の博物館の活動を2019年に目の当たりにしてきたところである。わたしはそこに社会包摂も,国際問題も,ツーリズムも文化経済も,貧困問題もポスト植民地主義も飲み込む博物館のたくましさを感じた。

社会教育法だけでは地域の課題に向き合うことが難しいと考え,文化芸術基本法も取り込んだ,というのが今回の法改正の一つの特徴だろう。ICOM京都大会を視野に入れて,その経過はしっかり考えるべきだと私は考える。

先日全国科学博物館協議会の講演でお話したパワーポイントはここ においてある。
https://researchmap.jp/sakuma_daisuke/presentations/36384021

そして,これまで博物館法について考えてきたことはだいたいオンラインで読めると思うので良かったら検索してみてほしい。(そのうちリストにします)

追記
ここに書いたようなことを総まとめとして、
「2022年博物館法改正への道程と論点」として大阪歴史学会のヒストリアという雑誌の291号55-68ページに報告した。手近に読める人は参照していただければ幸いである。

2022今年やりたいこと、やらなきゃいけないこと

正月三ヶ日は原稿をすすめることも大事だけど、一年の抱負みたいなことをかんがえるべきかなぁ
ということでとりあえずは書き出してみる。

やらなきゃいけないこと◎、やるべきこと◯、やりたいこと☆をつけながら順不同に

◎菌学会2022オンライン大会 面白い充実した大会にしたい、どうしたらそうできるか。皆さん御知恵を拝借
◎きのこ本の執筆 遅れております、すみません
◎博物館系教科書 絶賛進行中、ゲストも決めなきゃ
◎博物館法その後 お座敷は2つ決まってる。その後の動きにも関与しなきゃならないんじゃないかなぁ
☆某申請が通ればまたいろんな研究会をブーストできるんだが。 MLA連携ネタとかも。
◯評価関連のこともおそらくお題がやってくるのだろう
◎あ、頼まれてるwellbeingネタもあった
☆博物館の図書系ネタ
◎被災標本 熊本の方向性は見定めたい
◎簡易マニュアル、エマージェンシー送り出しキット 
◯博物館のきのこ展示更新 やりたい。
◎博物館そのもののリノベ計画
◎情報システム更新 楽になれるシステムにしたい。
◎岸川椿展 ああ、これ関連の文章書かなきゃいけないんだった
◯本草図譜展示?
◎きのこRDB 今年はデータを進展させなきゃだわ。他の動きもあるし。

☆きのこのフォトグラメトリー お遊び的にやってみたい
☆大阪府のきのこ目録の端緒だけでもつけたいんだけど、腰を定められていない
菌類収蔵庫の整理をすすめる もうちょっと支援者の組織化をしなければ

☆図譜関連 学会と絡めるか。あるいは某申請が通れば

☆西日本の中間温帯訪ね歩き やれそうな可能性はあるんだ、自分の時間が取れれば
◯油の話
元草山の話(ネタ検討段階)

エジンバラに行くことは難しいよなぁ、どうなるんだろう。
プラハの可能性はどうなんだろう。
Blender、Swift、webデータベースなど遊んでみたいものもたくさんある

対談者のYOUTUBE企画やりたい。誰かにプロデュースしてもらいたい。

今年行きたいところ
富士の国ミュージアム
ふくしま博
祖谷渓谷
シンガポール
ゆっくり台湾
いやどこでもゆっくり行ければいいんだ。


とここまでだいたい20分で書き出してみた。このあたりがいま頭の中で優先順位の高いものか。

博物館業務的にはいろんなこともあるのだけど。きっと忘れているものもあるので後で追記しておこう。




2021年懺悔その2 きのこ

2021年はキノコ関係はあまり進展していないです。それほど労力をかけることができなかったというのが本当のところ。

博物館的には2021年の大きな進展としては苔の標本だなの可動式の棚へ引っ越してきのこの棚が若干増加、ということがある。これで戦う方針ができてきたのだが、そろそろ取り組みたいなぁ。

関西菌類談話会の行事も軒並みオンライン化、そんな中、赤石さんが発表したものをサクッと報告してくれたのが亜欧録爵靴気鵑まとめてくれたもの。前投稿のなんかも結構キノコ業績ではあるのだが。

圧都府芦生研究林で再発見されたキイロスッポンタケ
赤石大輔, 佐久間大輔
日本菌学会NewsLetter (2021-3) 2-5 2021年3月

餌膾綮堽自然史博物館 菌類標本庫の学術活用と収集方針
佐久間大輔
日本菌学会第65回大会 2021年8月27日

Relative importance of climate, vegetation, and spatial factors in the community and functional composition of wood-inhabiting fungi in discontinuously distributed subalpine spruce forests
Yu Fukasawa, Kimiyo Matsukura, Yoko Ando, Satoshi N. Suzuki, Kunihiro Okano, Zewei Song, Mineaki Aizawa, Daisuke Sakuma
Canadian Journal of Forest Research 1-10 2021年6月15日

去年書いて音沙汰が無いなーと思ってたキノコ化石の関係はようやく年末に校正が来た。来年の業績になりそう。
その他に懸案の書きかけの本一冊。年末にすすめるゾ。(わざとらしいカタカナ語尾)

この他にきのこでのお座敷は1月に福井の皆さんにオンラインで、12月のPOPなきのこ展など
年明けは植物展に関連付けた菌類セミナー(2022年1月22日)がある。これも何か少しでも新ネタ入れたいなぁ。

この分野で十分にできていないのが「RDB関係で進展させること」、
きしわだでも展示していただいた「まつたけ山民俗関係を拡充してまとめたい、ということ」とくにRDB関係の情報まとめは少し力を入れる必要がありそう。

2021年懺悔 里山・植物・生態系関連

なんだかこのBlogも年末にこの懺悔をまとめるために書いているような感じになってきた。

気になることがあったら→Twitterでメモ
ネタのメモ帳:FBかTwitter(かつてはここがブログだった)
で、それらを発酵させていろんな雑文や論文、書籍になるというパスになっているのだが、かつてはBlogでまとめてそれで満足してるところもあったのよね。ある意味それらがいろんな形で成仏しているので悪い傾向ではないんだけど。

とりあえず、年末も押し詰まってきたのでちょこちょこと書いてみる。
まずはその1:里山・植物・生態系です。今年はあんまりやった気がしないなぁと思いつつ。
●これはずっと前にやったのがようやくでたもの
/肯啌悗良寛併典
日本森林学会 (担当:分担執筆, 範囲:二次林/天然生林)
丸善出版 2021年1月 (ISBN: 9784621305843)

●昨年のBlogで紹介済み?ちゃんと学会発表まではした。NSぐらいには書くかなぁ
南限域の「天然記念物」指定されたブナ林をどう守るか
佐久間大輔
日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 2021年3月17日

「和泉葛城山ブナ林 10カ年計画(令和3(2021)年度〜令和12(2030)年度)」
https://www.ogtrust.jp/user/media/ogtrust/page/project/izumikatsuragibuna/bunabayasi10_keikaku.pdf

●アンダーグラウンド展関係
ずを掘ってみる
佐久間大輔
Nature Study 67(5) 2-3 2021年5月

タ∧と地下の世界
佐久間大輔
大阪市立自然史博物館 第51回特別展「大阪アンダーグラウンド」解説書「大阪地下のひみつ」2021年4月

●コロナなので身近な観察シリーズ
身近にできる自然観察「植え込みから伸び出す樹木たち」
佐久間大輔
Nature Study 67(10)

Э閥瓩砲任る自然観察「植え込みから伸び出す樹木たち」その2
佐久間大輔
Nature Study 67(12)

●これこそblogやつぶやきから論文になったものの一つかも。共著者のおかげで形になりました。
─慄葉集』の橡(つるはみ)の解釈について
沖村 由香, 佐久間 大輔
日本言語文化研究 (26) 23-43 2021年9月


●これはようやく里山らしいお仕事
都市から読み解く里山 〜薪炭からマツタケまで〜
佐久間大輔
グリーン・パワー 2021(12) 26-29 2021年12月

●こちらは昨年の里山シンポから
2020年代に里山とどう向き合うか(特集趣旨) (特集 2020年代のための里山シンポジウム)
佐久間 大輔
地域自然史と保全 = Bulletin of Kansai Organization for Nature Conservation 43(1) 3-5 2021年8月

里山の課題と SDGs ―持続可能性の追求と分野横断的な取り組みの重要性―
佐久間大輔
地域自然史と保全 43(2):87 - 91, 2021 印刷中
持続的地域活性化の視点から見た里山の利活用 ―能勢の里山活力創造戦略についてー
井上良介・佐久間大輔. 地域自然史と保全 43(2):131 - 140, 2021 印刷中

●植物展の図録にも書きました
博物館での植物研究. 
佐久間大輔 特別展植物 : 地球を支える仲間たち 136-137, 2021

SDGsと植物
佐久間大輔 特別展植物 : 地球を支える仲間たち 192-193, 2021

●これはまだ出版されてないけど
生き物のすみ場所としての堺市域
―堺市レッドリストにおける要注目生態系としての視点から―
2022年1月ごろ刊行予定
大学的大阪ガイド、昭和堂 印刷中

このほかに講演は里山関連で3月に神戸大学など、河内長野の高校向けオンライン授業など

里山関係はまだやらないといけないことは残ってる。
この分野は昨年書いたことはほぼ実行したとも言える。
これに加えてやらないといけないのは岸川文庫の展示準備と紹介記事(これはちょい急ぎ)。
他に、油のことを文章にしないといけないというのが本人としての課題。

2022年はとりあえず新年から植物展があり、その関連のことなどもあり、、どんなふうになるかなぁ。

あと、1月8日に関西自然保護機構によるOECMのシンポジウムがある。私はこの中身に興味はありつつ、疑問をぶつける側の役回りとなる。


2021懺悔その3 博物館

博物館学、とその周辺領域に関しての書物がだいぶ増えている。
魁㉕は博物館法改正に絡んでのもの、本当にこの2021年はこれを中心に仕事を回してたような気がする。
㉖,㉗は地方独立行政法人化した博物館のこと。㉘〜㉛はコロナ+デジタルな新機軸に関わるもの。㉜〜㉞は自然史文化財レスキューに関連するものたち。


廓酳館とはなにか:役割の拡大と硬直化している財源の矛盾
佐久間大輔
ミュージアムデータ (82) 20-24 2021年11月15日

看酳館総合調査とアンケート調査結果から見た博物館現場の課題
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからIV プレプリント = Future of Japanese Museums 4 preprint version 2021年9月


㉑多目的化する博物館における学芸員にとっての研究の位置付けを考える ―予察として―
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからIV プレプリント = Future of Japanese Museums 4 preprint version 2021年9月


㉒博物館法改正に向けた逐条点検の試み
山西 良平, 佐久間 大輔, 高井 健司
日本の博物館のこれからIV プレプリント

㉓報告書や提言から読み解く博物館法改正に向けた課題
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからIV プレプリント

㉔アカデミアの一部としての博物館、 社会の中の博物館
佐久間大輔
『博物館の未来を考える』
「博物館の未来を考える」刊行会
中央公論美術出版 2021年9月


㉕博物館の現状の課題はなにか、博物館法のどこを変えるべきなのか
佐久間大輔
全日本博物館学会 第 47 回研究大会 2021年6月26日


㉖博物館地方独法は飛躍できるのか.
佐久間大輔
ミュゼ (127) 12-14 2021年7月

㉗都市のコアとしてのミュージアムを模索する ―対話と共創の場としての自然史博物館
佐久間大輔
『学芸員がミュージアムを変える! 公共文化施設の地域力』
今村 信隆, 佐々木 亨編
164-177
水曜社 2021年3月

㉘博物館におけるデジタルメディアの可能性 ―ステイホーム期間中の取り組みで学んだこと
佐久間大輔
『発信する博物館 : 持続可能な社会に向けて』
小川 義和, 五月女 賢司編
ジダイ社 2021年2月

㉙COVID-19 状況下での普及教育活動へのデジタルアーカイブ活用 大阪市立自然史博物館での実践例から
佐久間, 大輔, 北村 美香
第16回 デジタルアーカイブ研究会 2021年6月26日

㉚Changes of SROI of natural history museums by Digitalization of activities under COVID-19 - case of Osaka Museum of Natural History -
Daisuke SAKUMA
ICOM NATHIST VIRTUAL CONFERENCE 2021 2021年9月14日

㉛新技術と博物館展示 コロナとSDGsの時代に
佐久間 大輔
ICOM JAPAN ジャーナル (2021-12) 2021年12月


㉜河川氾濫による水害に遭遇した植物標本のカビ汚染とその対策
浜田 信夫, 馬場 孝, 佐久間 大輔
大阪市立自然史博物館研究報告 75(75) 29-34


㉝文化遺産ネットワークの中で自然史科学コレクションの救援体制分担を考える
佐久間大輔
ICOM-DRMC 年次大会(東京) 2021年11月4日


㉞自然史標本レスキューのための取り組みと課題
佐久間大輔
日本文化財科学会第38回大会 2021年9月19日


これらの発表のうち、デジタルアーカイブ系のものともう一つを新規に書き下ろし、投稿中。査読まち。まぁ忙しいのによく書いたと自分で思う。

この他に1月1日発行の全科協ニュースに記事を書いた。5月に出る号にも書くことになるらしい。また改めて。あと短い記事を書いた某教科書はどうなったんだろう。

この他に、図書館+博物館のwebシンポを仕掛けたり博物館+環境教育な話を企画したりなど、まぁ盛りだくさんでした。

そして評価に関わる原稿の宿題も取り組んでいます。これは形になるのはもう少し先。
去年からの積み残しはマニュアル。

今年は常にワードとパワポを使ってた気がする
そしてそれを表示するためのズームなど各種オンラインソフトと。もう少しエクセルでデータを弄り、分析するような仕事もしなくては。(と書いたら去年の今頃もほとんど同じ投稿をFBにしていたようだ)

来年は科研費や他のことがどうなるかにもよるなぁ。いくつかやりたいことのキーワードは浮かんでいるのだが。

自由研究を始めたい人向けのメモ

自由研究の夏休みが近づいていますが、博物館の普及行事は、まだ再開出来ていません。なので相談しづらい人もいるかと思うのでちょこっと書いてみました。

1.よい疑問を見つける
疑問に思う、不思議だなと思う、というのはどんなところから発生するでしょう。

,呂犬瓩童た、知らないもの
「なんじゃこりゃ」と思うものに気づくこと、これは立派な才能です。「なんじゃこりゃ」と思ったということは、あなたはそれ以外の周りのものはだいたい見たことがあるか、知っているものだ、と判断したということです。そりゃすごい。こういうのは普段からよくものを見ているのと図鑑などで知識を蓄えている人しかできません。

あとは何じゃこりゃの正体をどのように突き止めていくか、です。探偵ナイトスクープにもよくありますね。ただ、専門の先生を呼んできました、と言う技はそう簡単に使えませんから、みなさんの側から出かけていくことになります。それもさいしょからその技を使うと、自由研究にもなりませんので、自力でどうやって調べられるか、いろいろ試してみましょう。

自然史博物館でよく持ちこまれる生物かどうかもわからない、なんてものを調べるときには
切ってみる、○○に溶ける、加熱したときの臭い、顕微鏡で見るなんてのは基本的なアプローチ。

生物だとわかるときには何の仲間か、じっくり調べてみるのはよい勉強です。

¬椶料阿慮従櫃鰺解したい、あるいは理解できない現象を解き明かしたい
研究のやり方としてはA今、どういう状態にあるのかを切り取るスナップショット型の研究とB継続観察型の研究があります。

庭や公園の草引きを手伝えといわれることがあります。
庭にはどんな草が生えているのだろう。と言う疑問を例にABそれぞれ簡単に研究例を書いてみましょう。

A→押し花にしてみる→調べるためる→知らない植物がでてきたらまた調べてためる→これを繰り返したら家の周りの植物リストができます。わかったつもりの植物がまちがっていたり、実はいくつかの植物が混ざっていたり。博物館などで見てもらったら間違えたところを教えてもらったり、もっとこうした方がいいと言われたり。家の庭と公園と畑を比べてみるなんて言うのも一つの手法です。

自然の今の状態を切り取るスナップショット型も簡単なようで奥が深い。ひとつの場所のスナップショットを採ったつもりでも、一回だけでは完成度を高められず、複数回調査しなきゃいけなかったり、いくつかの場所のスナップショットを比較して特徴を見いだしたり。工夫が必要です。
一カ所で力任せに数を取っただけ、ではあんまり評価されないかも。どう進めるか、壁にぶち当たったらまず、ちょっと悩みましょう。何を悩んでいるのか明確にして、どんどん周りにアドバイスを求め、聞きましょう。何を悩んでいるのかわからない人に的確なアドバイスは難しいものです。まず自分の悩みを明確にする。悩んでいると言うことはあなたが一歩前に進んでいることの証です。そうやって悩み、壁を乗り越えた自由研究はやっぱり魅力的です。


B→植木鉢で育ててみる→どんな成長をするのか→どんな花が咲くのか→どんな実がなるのか→庭の雑草には何か特徴があるのか。
Aのようにドンドンと前には進みません。育てられる種類はある程度限られているでしょう。もしかすると、というかたぶん夏休みの終わりまでには結論は出ないでしょう。成長をはかるにも学年ごとにいろんな計測の仕方があります。高さ、葉っぱの枚数、葉っぱの面積、葉っぱの単位面積あたりの重さ、などなど葉のデータと花の数、あるいは実の数や重さなどと比べてもいいかもしれません。
途中まででもいろいろはかれるデータはあります。こんなことをしらべてこれと比較してみたい。継続観察の最大の課題はタイムマシンはないので、観察したりはかるべき項目は、最初からちゃんと決めておく事が大切だと言うことです。

今話題の○○について、身近なところでどうなっているか調べてみた
このパターンの自由研究もよく見ます。これをやるために大切なのは今話題の○○をよく理解して、適切な調べ方を知っておくこと。マイクロプラスチックであれば、海の砂をどう調べたらいいのか、魚の胃袋を調べるにはどうするのか?。内蔵を取り除いていない魚はどこで変えるのか?などなど、よく調べましょう。
外来生物であれば、○○は自分の街にはどれくらい普通にいるのか、どんなところに住んでいるのか、といった調査も魅力的です。世界でわかっていても自分の街でどうなのか、リアルなデータを示す自由研究は魅力的です。ただ、オリジナルなアイディアを発揮するのが難しいところでもあります。

2.調べ終えてからが勝負
どれもそうですが、調べてみた、で終わらずに、わかったことをグラフや表でしっかり伝えましょう。
棒グラフがいいのか、折れ線グラフがいいのか、中学生以上なら近似の線を書き込んだりと言ったこともできるかも。グラフにする、というのはどんな変化を示したいのか、何と何を比べてどんなことがわかるのか、その比較をはっきり示すということです。

見てわかりやすい示し方は、他の人に意見をもらうことも大事です。大人でも友達でもいいです。いいたいことが伝わってるかどうか。伝わらないならどう工夫できるか。
わかりやすい自由研究にするには調べ終わってからが勝負です。

3.タイトルとまとめは最後に書こう。
最できたーとおもってから、この自由研究って結局こういうことだよね、とわかる簡潔なタイトルが出来れば、それが一番です。初に思っていたことと、わかったことが全然違ってもいいです。自分の自由研究の意味を一番はっきりと表すタイトルにしましょう。ミュージシャンも曲ができてからタイトル決める人も多いですよね。


 自由研究は自然を相手にしていても、その他社会の何かを相手にしていても、あなた自身の目で、今まで見えなかったものをとらえるためのよい訓練です。ぜひ何かチャレンジしてみることをおすすめします。先生や大人は、その子が何を見いだしたのか、その成果をとらえてあげてください。理科の先生だからかどうかは、関係ないと思います。




2020年懺悔 里山、生態学関係

里山、生態学関係ではえーと、
あまり書物はできていない。

学会発表としては
中止になった生態学会で
「生物多様性地域戦略は山間部の地域おこしと生態系保全の2兎をおえるのか」
を発表予定だった。要旨はこちら

その他には
「2020年代のための里山シンポジウム」
https://www.youtube.com/watch?v=smbUNjq06tw
を実施できたことは成果だろう。
まぁ私は企画者に過ぎないのだけれど、演者のおかげで大変充実したシンポジウムになった。
新春までは見逃し配信をやっているので、ぜひ見てほしい。全部で6時間あるので年末年始の時間があるときがおすすめだ。私にも勉強になる。
なお、これは来年初夏頃?の「地域自然史と保全」誌に特集として掲載される予定だ。

この他、この分野で2020年大変時間をかけたのが「和泉葛城山ブナ林 10ヵ年計画」なるものだ。
天然記念物としての保全計画なんだが、南限域のブナ林、社寺林として小規模だが維持されてきた孤立ブナ林、レジャー流入の多く利用マナーの確立していない山域という三重苦のなかでの保全計画となる。2021年冬には公表できる予定。そしてそれをもとに生態学会でもご紹介の予定。

そんなところかなぁ

2020年懺悔 きのこ菌学関係

きのこ・菌学関係では
メインイベントだったはずの日本菌学会大阪大会が流れてしまった。
この大会では
豊嶋弘菌類図譜について
佐久間 大輔
日本菌学会大会講演要旨集 64(0), 28, 2020
を発表予定だった。
要旨はこちら

以前頂いた発酵研究所 IFO Research Communication 34 :135に
「市民科学者とアカデミアの協働体制の構築と博物館が所蔵する
学術的レガシーの活用による未記載・未解明大型担子菌類探求の推進」
を簡単に報告。
ポスターはこちらもオンライン公開だけだったが
http://www.ifo.or.jp/rc_pdf/14-sakuma.pdf
として掲載されている。

熊本きのこ会年報 令和2年に「きのこ図鑑の舞台裏 本郷次雄先生の菌類調査、 コレクション、彩色図の作成にまなぶ」 が講演録として掲載。

少し変わった成果としては
埼玉県深谷市平方付近の上部中新統,楊井層から菌類化石の発見
楡井 尊 , 佐久間 大輔 , 秋山 高宏
埼玉県立自然の博物館研究報告 14(0), 25-28, 2020

それと
NatureStudy 66(9)
小難しい学芸員のやさしい小咄「バイキンの正体」
を執筆。細菌もウイルスもみんな菌と言っちゃう状況に腹が立ちまして。

この他、執筆中の原稿(書籍)が一つ、辞典系の頼まれ原稿が一つ。
共著でもう少しで掲載な国際誌が一つ。
被災標本のカビについて一本投稿中。簡単な報告投稿中がひとつ。
あと大阪春秋にも軽いエッセイを少し書いたな(多分もうすぐ刊行?)。
あと保全関係で書く予定なものがもう一つ。
あ、RDB関係は進行中のものが一つ、締切格闘中のものが一つ

こちらもなんだかんだ追われてるじゃないか。

2021年にやりたいことはRDB関係で進展させること、
きしわだでも展示していただいたまつたけ山民俗関係を拡充してまとめたい、ということ
執筆中のものを吐き出すこと。
後は懸案のあれとこれを進めないとなぁ・・・
新規の進展はやや厳しいなぁ

2020年懺悔 博物館学関係

2020年は博物館学関係の科研を自分主担で1つ、分担で3つ持っていることから、そりゃ色々書物もしなきゃいけない。
書かねばならない締切に追われる、という状況に近い。

★ICOM関連は以下の3本くらいかな。
ICOMの指し示す自然史博物館の将来の機能 (特集 持続可能な社会を目指す 科学館・博物館の役割)
佐久間 大輔
金属 90(9), 704-709, 2020-0

博物館は持続可能性を社会にもたらすか? (ICOM京都大会2019特集)
佐久間 大輔
博物館研究 , 27-30, 2020-04
https://icomjapan.org/journal/2020/09/02/p-1307/

新しい博物館定義(MDPP)と自然史博物館の将来の機能 (博物館の社会的役割を考える : 持続可能性の視点から)
佐久間 大輔
全国科学博物館協議会研究発表大会 : 資料 (27), 67-72, 2020-02-13
http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2020/02/Kenkyuhapyoukai_9.pdf これのアップデート版が金属の記事なのでホントはそちらを見てほしい。


★コロナ関係でもいくつか依頼原稿を書いた。実はこの他にゲラが終わっている書籍の分担執筆が一つある。

コロナ禍の中で、あえてこれからのミュージアムを考えてみる
佐久間大輔
ミュゼ125

コロナ禍で博物館の受けた影響、見えてきた価値
佐久間 大輔
文化経済学 17(2), 1-4, 2020
https://doi.org/10.11195/jace.17.2_1
まだ公開されていない



★文化財防災関連
文化財防災マニュアル 被災自然史標本の処置例と減災対策 : 文化財防災ネットワーク
映像資料 岩見恭子, 佐久間大輔, 鈴木まほろ 監修. 国立文化財機構文化財防災ネットワーク推進室, 2020.3

この他に、
テーマ展示
「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化−自然史標本レスキューの現在地点−」
を実施し、その中で
シンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」
を開催した。参考

シンポジウムの論点は2021年の全国科学系博物館協議会で改めて報告の予定である

あと、博物館総合調査(令和元年度)に参加、執筆した。
https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/R2sougoutyousa.pdf


この他、博物館法改正に向けて

博物館施設群を全体として強化するために 登録制度によるスタンダード設定とネットワークによる機能強化
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからII ―博物館の在り方と博物館法を考える― , 39 , 47 , 2020-08-31
http://doi.org/10.20643/00001484

博物館の基盤となる学芸員体制の維持と高度化を考える
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからII ―博物館の在り方と博物館法を考える― , 117 , 124 , 2020-08-31
http://doi.org/10.20643/00001491

多様なミュージアムプロフェッショナル育成のために
佐久間 大輔
日本の博物館のこれからII ー博物館の在り方と博物館法を考えるー , 125 , 130 , 2020-08-31
http://doi.org/10.20643/00001492

の3本と、もう一つ本の1章を担当させていただいている(こちらも昨日ゲラを返したところ)

これらの仕事は2021年に尾を引いて次ミッションに関わってきそうな気配だ。

2021年に何をするか
どのプロジェクトが採択されるかにもよるのだが、
原稿という意味で1月中が2つ、2月までの締切が2つ来年にかけて4つか。
その他自分で書こうと思っているものが都合3つ。
このあたりは走り続ける必要がある。

まずは春に向けて進行するはずの大型案件をこなすこと。
可能なら翻訳プロジェクトをすすめること。
多分目の前のネタを請われるままに吐き出し続ける状況が続くと思う。


「デフレーミング戦略」読了

とりあえず博物館ベースで無理やり解釈してみる

1『画一性による規模の経済』の終焉
これを博物館に置き換えると、ブロックバスター型の大規模展示の終焉、ということになりうなずけることもあるんだけど、
分解と組み換え:博物館というものが提供するサービスを個別に価値を発揮できるようにしよう、ということならわかる。しかし、全てをマネタイズする世界にはなじまないものも多い
分解せずに垂直統合を強みとするアップルみたいな例をどう考えてるんだろう。なんかアウトソース万歳的にしか聞こえない
個別最適化:能動的利用者になるためには博物館への高度なリテラシーが必要。そのリテラシー獲得のための標準的なコンテンツはあったほうがいいんじゃないか。この本全般に消費者に過剰に高いリテラシーと能動性を期待しているような気がする。
個人化:個人で動ける事が重要なのはもともと研究者としても大事な資質。だが、共通の収蔵庫を維持していくような場合には組織も必要。後段でもすべてが個人化できるわけじゃないと書いているが、でフレーミングによっても継続する組織がどうなっていくのか、なんか考察が中途半端な気がした。

2デフレーミングのメカニズム
組織の弊害論はわかるけど。

3分解と組み換え
デジタルファーストで再構成してみた方が面白そうというのは納得。
ただし今GAFAが批判されてる個人情報の適正利用の問題、下請け企業、従業員との関係などをすっ飛ばした美味しそうな話しされてもなぁ

4個別最適化
ここは博物館としてもなにかできそうな気がする。

5個人化
コワーキングスペースは気になっているものの一つ。

6デフレーミング時代の「信頼」
組織を信頼の看板に出きない、というがそれは放置していいのかとも思う。
エクスクローとソーシャル評価レビュー、ブロックチェーン技術を上げるけど、それらは全部会社を基盤にしてるよね。

7デフレーミング時代の個人の戦略
終身雇用時代ではそれはない、かもしれないが
なんか政策論何もしないで全部個人の責任にするのおかしくない?

8でフレーミングの課題と展望
色々書き足りてない気がする。イノベーションのゆりかごとしての「都市」の復権、は同意かも

コワーキングプレースとschoo、udemyはちょっと調べてみたい。

「菌」という字はいつ頃から微生物全体を表しているのかという疑問

菌という漢字に現代のような「微生物」という意味が加わったのは、何が契機だったのだろう。大漢和などの辞書を見ても、中国の資料を見てもhttp://chardb.iis.sinica.edu.tw/meancompare/8528/83CC
「菌」の文字の意味するところはきのこだという。
確かに、目で見えるものに文字は与えられるし、草冠は、芽生え萌え出ずるものにつく。
「茸」は日本語ではほぼきのこを意味するが、中国の字義はそうでもないようだ
http://chardb.iis.sinica.edu.tw/char/20365
かびを意味する漢字はそもそも黴で、この2つが果たしてどこまで地続きに理解されていたか。本草的な観点で見てもそれほどつながってこない。他にも「麹」(中文でもほぼ同じ意味)もあるが、用途に応じた

一方で、黴菌という語がある。これが厄介な語で中国語の辞書を引くと黴菌=かびとなるのだが、日本語ではそうならない。
漢字表記の「黴菌」も、通常見られる「ばい菌」も微生物というバクっとしたくくりなのだ。これは明治期の寺田寅彦のような科学者の文章を見ても、「稲の生長を助けるアゾトバクテルという黴菌がある。」とか「流感は初期にかかると軽いが後になるほど悪性だとよく人が云う。黴菌がだんだん悪ずれがして来て黴菌の「ヒト」が悪くなるせいでもなさそうである。」というように黴菌の語をかびではなく、完全に細菌やウイルス?もふくめて微生物、あるいは病原体ぐらいの意味で用いている。
中国語ではこの意味では「微菌」という語になるようだ。

明治期の日本では微生物学が今ほど進展していなかったから、という事も含め、この頃に「黴菌」あるいは「菌」という表記に微生物あるいは病原体という意味が加わったということなのだろうか。ここにはどのようなことがあったのだろう。しばらく前から抱いている医学史上の興味ではあるが不勉強にしてよくわからない。

今回の新型コロナウイルス騒動の対策を見てもウイルス、細菌、菌の区別がついていないな、と感じるシーンは多々ある。その混乱の原因の一つに十把一絡げに「菌」とよび表してしまった事があるのではないかと思う。
しかし、言葉というのは一度定着してしまうとアップデートするのが大変難しい。

きのこを含めた菌類、への理解を形成するためにも、この混乱の背景はいつかしっかり調べてみたい。どなたかご存知の方があればご教示いただけるとありがたい。


追記:どうも中国での黴という字に病原菌というニュアンスは古くからあるらしい。
細菌スピロヘーターの仲間が原因の「梅毒」は古くは「黴毒」とかかれたということを濱田信夫さんに教えてもらい、関連して論文を読むと
16世紀に突如爆発的に中国で広がった梅毒は様々な呼び名(例えば楊梅瘡)でよばれ、1632年には『黴瘡秘録』が出版されるなど、黴という字を使った黴毒という語も広がっていったようだ。
参考→ http://doi.org/10.15055/00005733
日本でも19世紀初頭の『病家須知」などに「黴毒』として載っている。
https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/MM1605_05.pdf
つまり日本語の黴菌はこうした、病原体としての黴菌を指してきた医学の伝統に則った表現であり、博物学から生物学でかびと細菌は異なると言っても、それは実用上の用語の変更に迫ることではなかったのであろう。


博物館のBCPガイドラインの改定を

博物館のBCPに関するガイドラインとしては平成19〜21年に作成された「博物館における施設管理・リスクマネージメントガイドブック」というものがある
平成19年
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h19/

平成20年 実践編
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h20/1409469.html
平成21年 発展編
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h21/1409564.html
20年版までは感染症については食中毒などが中心で、コラム的にSARSへの言及はあるものの、今回の事態にはほぼ参考にならない内容だった。
平成21年版になって、2009年新型インフルエンザの内容も加味されて、
海外招聘の中止や国内感染発生時の措置などが掲載されている。
観覧者の距離確保なども含め、具体的だ。

恥ずかしながら、21年版のこのマニュアルを見つけたのはつい最近であった。

うちの博物館には新型インフルエンザの時にどういう判断で展示室を開け、行事を再開したのかほとんど記録が残っていない。多くの博物館でも同様だろう。
そういう意味では重要な手がかりになるはずだったが、あまり活用された形跡がない。そのために、
「スペイン風邪以来の大流行」という言い方が何度もされたが、現代博物館が体験したことのない大規模な「想定外」の事案となってしまったことは否めない。
今後は震災や水害に対する備えとともに、こうした感染症も含め総合的にリスクマネジメントを図る必要があるだろう。その意味では、東日本大震災よりも西日本水害よりもまえに作られたこのガイドラインを改定し、維持していく事が重要だろう。

とはいえ、通常BCPは早期復帰のためのマニュアルであり、災害は局所的であるという前提がある。震災などの場合はこれまでも博物館がネットワークで相互に支援するという手法で難局を超えてきたが、今回は全国的に、いや全世界的な流行であったことを受け世界の博物館が閉鎖を余儀なくされた。博物館だけではなくほとんどすべての業種が影響を受ける中、事業のリスク分散や事業分野のシフトによる事業継続はかなりの難問となった。その意味で世界的な博物館ネットワークとの連携が重要にもなる。相互扶助は難しくても情報共有や協調行動が可能になるからだ。

ポストコロナの重要なアクションの一つだろう。

(ほんとは別の文章の一節に書いていたのだけど、メモの段階で座りが悪くなったので、ここに書いておく)

アートセンター、サイエンスセンター、そしてミュージアム

先日、美術館教育の流れを教えてもらったときに、アートセンターでの取り組みが美術館に流入している視点を教えてもらった。コミュニティに根ざすアートセンターのあり方から考えて、対話の場や参加の場となり、それが今日のICOM などが唱道している博物館の考え方に通じているというのは理解しやすい(もちろんそんなに単純ではないだろうが)。
ところで、サイエンスセンターと博物館についても同じような面があるのではないだろうか。科学の基礎を市中に広げることを目的にしたサイエンスセンターもやはり、サイエンスショーやサイエンスカフェ、ワークショップの基礎となっている。アメリカやオーストラリアなどの大規模サイエンスセンターの「ハンズオン」が日本の科学館や自然史博物館を含めた科学系博物館の展示に大きな影響を与えていることは明らかだろう。
もの、や研究をベースにした科学系博物館とサイエンスセンターは欧米でもやはりちょっと違っている。同じカーネギー財団であっても自然史博物館とサイエンスセンターはフィロソフィーの部分から違っていたと感じる。
この2つの教育や展示に関する互いの影響はどの様になっているのだろう。そしてこうしたサイエンスセンターと日本の科学館は同じような立場においていいのか。多くの科学館では博物館の学芸員に当たるポジションが脆弱なようにも感じる。
そして科学館のスタッフのマインドは博物館と一緒ではないようにも感じる。(大阪の科学館はやや特殊だと思う)
アートセンターが美術館と違う立ち位置であるように科学系博物館とサイエンスセンターは違うものと考えたほうがいいのだろうか。
そしてそれらは互いにどう影響しあい、あるいはどう協力していくことが望ましいのだろう。
動物園などと博物館との対話も含め、これまでの影響、これからの可能性を考えることには価値があると思う。

まだ勉強も何もしていないけど、妄想としてメモ。

大阪市立自然史博物館








このサイトへのコメントはtwitterであるいはFacebookで。
Archives
Access since 2004/Nov/20
大阪市立自然史博物館FaceBook
Google
Google

WWW を検索 blog内 を検索
[PR]

RSS

「きのこのヒミツを知るために」ネットショップにて好評販売継続中!
  • ライブドアブログ