D' s Basement supplement

キノコ・植物・博物館
このところ通常の更新はTwitterまたはFacebookから、となっています。このBlogはまとまったものを検索可能な形で置いておきたい、という場合のために運用を続けています。 日常を表現しているツイッターはアーカイブ http://twilog.org/sakumad2003/ をご確認ください

「菌」という字はいつ頃から微生物全体を表しているのかという疑問

菌という漢字に現代のような「微生物」という意味が加わったのは、何が契機だったのだろう。大漢和などの辞書を見ても、中国の資料を見てもhttp://chardb.iis.sinica.edu.tw/meancompare/8528/83CC
「菌」の文字の意味するところはきのこだという。
確かに、目で見えるものに文字は与えられるし、草冠は、芽生え萌え出ずるものにつく。
「茸」は日本語ではほぼきのこを意味するが、中国の字義はそうでもないようだ
http://chardb.iis.sinica.edu.tw/char/20365
かびを意味する漢字はそもそも黴で、この2つが果たしてどこまで地続きに理解されていたか。本草的な観点で見てもそれほどつながってこない。他にも「麹」(中文でもほぼ同じ意味)もあるが、用途に応じた

一方で、黴菌という語がある。これが厄介な語で中国語の辞書を引くと黴菌=かびとなるのだが、日本語ではそうならない。
漢字表記の「黴菌」も、通常見られる「ばい菌」も微生物というバクっとしたくくりなのだ。これは明治期の寺田寅彦のような科学者の文章を見ても、「稲の生長を助けるアゾトバクテルという黴菌がある。」とか「流感は初期にかかると軽いが後になるほど悪性だとよく人が云う。黴菌がだんだん悪ずれがして来て黴菌の「ヒト」が悪くなるせいでもなさそうである。」というように黴菌の語をかびではなく、完全に細菌やウイルス?もふくめて微生物、あるいは病原体ぐらいの意味で用いている。
中国語ではこの意味では「微菌」という語になるようだ。

明治期の日本では微生物学が今ほど進展していなかったから、という事も含め、この頃に「黴菌」あるいは「菌」という表記に微生物あるいは病原体という意味が加わったということなのだろうか。ここにはどのようなことがあったのだろう。しばらく前から抱いている医学史上の興味ではあるが不勉強にしてよくわからない。

今回の新型コロナウイルス騒動の対策を見てもウイルス、細菌、菌の区別がついていないな、と感じるシーンは多々ある。その混乱の原因の一つに十把一絡げに「菌」とよび表してしまった事があるのではないかと思う。
しかし、言葉というのは一度定着してしまうとアップデートするのが大変難しい。

きのこを含めた菌類、への理解を形成するためにも、この混乱の背景はいつかしっかり調べてみたい。どなたかご存知の方があればご教示いただけるとありがたい。


追記:どうも中国での黴という字に病原菌というニュアンスは古くからあるらしい。
細菌スピロヘーターの仲間が原因の「梅毒」は古くは「黴毒」とかかれたということを濱田信夫さんに教えてもらい、関連して論文を読むと
16世紀に突如爆発的に中国で広がった梅毒は様々な呼び名(例えば楊梅瘡)でよばれ、1632年には『黴瘡秘録』が出版されるなど、黴という字を使った黴毒という語も広がっていったようだ。
参考→ http://doi.org/10.15055/00005733
日本でも19世紀初頭の『病家須知」などに「黴毒』として載っている。
https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/MM1605_05.pdf
つまり日本語の黴菌はこうした、病原体としての黴菌を指してきた医学の伝統に則った表現であり、博物学から生物学でかびと細菌は異なると言っても、それは実用上の用語の変更に迫ることではなかったのであろう。


博物館のBCPガイドラインの改定を

博物館のBCPに関するガイドラインとしては平成19〜21年に作成された「博物館における施設管理・リスクマネージメントガイドブック」というものがある
平成19年
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h19/

平成20年 実践編
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h20/1409469.html
平成21年 発展編
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h21/1409564.html
20年版までは感染症については食中毒などが中心で、コラム的にSARSへの言及はあるものの、今回の事態にはほぼ参考にならない内容だった。
平成21年版になって、2009年新型インフルエンザの内容も加味されて、
海外招聘の中止や国内感染発生時の措置などが掲載されている。
観覧者の距離確保なども含め、具体的だ。

恥ずかしながら、21年版のこのマニュアルを見つけたのはつい最近であった。

うちの博物館には新型インフルエンザの時にどういう判断で展示室を開け、行事を再開したのかほとんど記録が残っていない。多くの博物館でも同様だろう。
そういう意味では重要な手がかりになるはずだったが、あまり活用された形跡がない。そのために、
「スペイン風邪以来の大流行」という言い方が何度もされたが、現代博物館が体験したことのない大規模な「想定外」の事案となってしまったことは否めない。
今後は震災や水害に対する備えとともに、こうした感染症も含め総合的にリスクマネジメントを図る必要があるだろう。その意味では、東日本大震災よりも西日本水害よりもまえに作られたこのガイドラインを改定し、維持していく事が重要だろう。

とはいえ、通常BCPは早期復帰のためのマニュアルであり、災害は局所的であるという前提がある。震災などの場合はこれまでも博物館がネットワークで相互に支援するという手法で難局を超えてきたが、今回は全国的に、いや全世界的な流行であったことを受け世界の博物館が閉鎖を余儀なくされた。博物館だけではなくほとんどすべての業種が影響を受ける中、事業のリスク分散や事業分野のシフトによる事業継続はかなりの難問となった。その意味で世界的な博物館ネットワークとの連携が重要にもなる。相互扶助は難しくても情報共有や協調行動が可能になるからだ。

ポストコロナの重要なアクションの一つだろう。

(ほんとは別の文章の一節に書いていたのだけど、メモの段階で座りが悪くなったので、ここに書いておく)

アートセンター、サイエンスセンター、そしてミュージアム

先日、美術館教育の流れを教えてもらったときに、アートセンターでの取り組みが美術館に流入している視点を教えてもらった。コミュニティに根ざすアートセンターのあり方から考えて、対話の場や参加の場となり、それが今日のICOM などが唱道している博物館の考え方に通じているというのは理解しやすい(もちろんそんなに単純ではないだろうが)。
ところで、サイエンスセンターと博物館についても同じような面があるのではないだろうか。科学の基礎を市中に広げることを目的にしたサイエンスセンターもやはり、サイエンスショーやサイエンスカフェ、ワークショップの基礎となっている。アメリカやオーストラリアなどの大規模サイエンスセンターの「ハンズオン」が日本の科学館や自然史博物館を含めた科学系博物館の展示に大きな影響を与えていることは明らかだろう。
もの、や研究をベースにした科学系博物館とサイエンスセンターは欧米でもやはりちょっと違っている。同じカーネギー財団であっても自然史博物館とサイエンスセンターはフィロソフィーの部分から違っていたと感じる。
この2つの教育や展示に関する互いの影響はどの様になっているのだろう。そしてこうしたサイエンスセンターと日本の科学館は同じような立場においていいのか。多くの科学館では博物館の学芸員に当たるポジションが脆弱なようにも感じる。
そして科学館のスタッフのマインドは博物館と一緒ではないようにも感じる。(大阪の科学館はやや特殊だと思う)
アートセンターが美術館と違う立ち位置であるように科学系博物館とサイエンスセンターは違うものと考えたほうがいいのだろうか。
そしてそれらは互いにどう影響しあい、あるいはどう協力していくことが望ましいのだろう。
動物園などと博物館との対話も含め、これまでの影響、これからの可能性を考えることには価値があると思う。

まだ勉強も何もしていないけど、妄想としてメモ。

モバイル遍歴

スマホを変更することにしたので
過去のモバイル遍歴を書き留めておこう。PCの遍歴は書いたこともあるけど
モバイルはあまりまとめていない。(特にそんな話に需要はないが)

初期はDDI-Pocket のPHSをずっと使っていた。
たぶん最初はJ70じゃないかと思う。(アンテナ伸びなかったと思う)
SANYO PHS J80 PASCAL
PANASONIC KX-HS110
ここにはないが多分
SANYO RZ−J90も使ってたと思う。
黒いPanasonic機もうっすら覚えがあるのだけど代替機だったかも。この頃は契約維持してほしいから少し古くなった本体はどんどんくれてたしなぁ。
就職した頃はPHS+iゲッティというのが京阪電車内のお供でした。意外と使えた。

https://ascii.jp/elem/000/000/314/314999/


でその後に買ったのが W ZERO 3
これはだいぶ原稿も書いた。何だそのでかい携帯とも言われたが、多機能なマシンでした。
これ。https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1707/08/news013.html
そのごさらにWILLCOM03に。

https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1708/05/news011.html
こいつがぼろぼろになって、
iPhoneにようやく手を出す。
最初はiPhone4
https://ja.wikipedia.org/wiki/IPhone_4
でSナンバーを買わずに5,6と買って、7,8,X,XSの高価格路線にちょっと敬遠して
alcatel_idol_4s
https://www.gsmarena.com/alcatel_idol_4s-7896.php
UMIDIGI A5
https://garumax.com/umidigi-a5-pro-review-19924
というマニアックなAndroid機に手を出す。両方とも1万円そこそこで入手。
基本的に機種代金に月千円から2千円にとどめたい人なので。この道具の元を取れるのはこのくらいと決めている。

で、今回満を持してiPhoneSE(2020)を入手。上記の計算から言うと3〜4年は使わないといけない。
老眼が耐えられるのはそれぐらいでしょう。

テスト

ポスト"CORONIAL"なミュージアムを考えてみる

昨年のICOMでは Post-colonial Museum(植民地主義を排した博物館)が話題だったが、
この期間にじっくり考えたいのは、"Post- Coronial Museum"「ポストコロナ(post-COVID-19)時代の博物館のあり方」。まだまだアイディアメモです。こういうのnoteに書いたほうがいいのかな。


●ハンズオンからハンズアウトへ。
過去20年、博物館は見るだけの展示から、なるべく実物に手で触れられるように、操作して体験できる形へと努力してきたが、こうした展示が今回のコロナ騒動では完全に裏目に出てしまった。大阪市立自然史博物館でも、再開しても(いつのことになるか)しばらくは操作できる展示の多い展示室を閉めての部分開館にならざるを得ないだろうと予想する。

ハンズオンからマインドオンへすでにシフトしている気がしている。触らせることにフォーカスするのでなく、伝えたい主題にスポットを当てるためにはどうするか。さらに言えば、「博物館で」体験することから、博物館で見たこと、学んだことを「自分のフィールドで」体験して確認することへ学びのスタイルを一段上げたい。そのために必要な展示とはなにか。そのために何をどう持って帰らせるか。ハンズアウトも紙である必要は必ずしもない。

●特別なものを見せる博物館から普通を理解する博物館へ
特別を保存する、ことに意義があることは言うまでもない。それを見せることにも意義はある事もわかっている。でも、それが博物館の中心かというとそれだけではない。
博物館に来なきゃ見せられない、その「特別」を見せることに意義があるのか。身近な普通の中にひそむビックリなことに気づかせるほうが面白いのではないか。言うは易し、行うは難しい。さらに言えば、それで人が集まるのか。それは次の話とも絡む。

●集客からSocial Impactへ
大都市の博物館美術館は、やれ恐竜で●万人の入館者だ、モネで●十万人、ミイラで●万人とビジネスモデルとしてマスコミと共催したいわゆる「Block-buster」と呼ばれるような大規模巡回展が標準のように組み込まれている。大阪市立自然史博物館も過去20年、そうした展示を年に一回は行っている。
しかし、「三密」の塊のようなこうした沢山の人が集まる展示は、この夏どころか、しばらくの間難しくなるのではないだろうか。
ビジネスとしては必須の「沢山の人をあつめる」ことが、博物館の使命の中核ではないことはこれまでも学芸員からはしばしば発言されてきたし、社会的な変革を促すようなSocial Impactで評価すべきだ、ということは昨年、一昨年の全日本博物館学会での博物館評価に関わる発表でも述べてきた。
ここまで若干のズレを持ちながらもSocial Impactのためには沢山の人に見てもらうことが大事でしょ、という呉越同舟的なあやうい均衡をたもってきた大規模巡回展のモデルは、いよいよ本格的な再検討が必要になる。
Social Impactを経営モデルに組み込むことができるのか。平たく乱暴に言えば、「あの博物館はいい活動してるよね」、という評価をおまんまにできるのか。これまでは、それじゃ飯は喰えんという一言だったのだけど。クラウドファンディングではまだまだ経常的なことができる世の中じゃない。
いくらバーチャルに広く世の中に使ってもらえるデータ提供していっても、利益回収は簡単じゃない。フリーミアムモデルは広大な無料なリソースの中に埋もれてしまう。
伝統的な税金という回路だけではそれは難しい。そこをショートカットするような企業系CSRからの資金回流の道をちゃんと作らないと(とはいえ、今回のコロナ騒動で企業の財務もそうとうに手傷を負っているはずだ。それが癒える数年後以降だろうな、この話がちゃんとできるのは。でもそのために、しっかりと理論構築を図る必要がある)。

え〜とこの話どっかにちゃんと書いたほうがいいのかな。ちょっと午前中の頭の整理に書き出したんだが広がりそうな話だ。ご意見リアクション求む。

2019年総括 博物館学関係

博物館学関係でも忙しい一年でした。
それはICOMがあったというのが大きいのですが、それ以外にもたくさんのプロジェクトに巻き込まれて(あるいは自分で仕掛けて)いるためです。

とりあえず書いたもの。
過年度分としては
佐久間大輔 2019 自然史資料を世界の共有財産として保全するために ICOM-NATHISTの要求する管理者への保全努力と社会との”engagement”の追求 全科協第26回研究発表大会資料集113-117 http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2019/02/26case16.pdf

釋 知恵子・佐久間 大輔・横川 昌史 2019 大阪市立自然史博物館の幼保こども園向け教育支援の取り組み 〜来館の前後を含めた博物館体験の提案〜 全科協第26回研究発表大会資料集:49-55 http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2019/02/26case07.pdf

佐久間大輔 2019 博物館が高齢化社会に対応するために必要な要件を考える. Musa 33: 7-11
https://www.i-repository.net/il/meta_pub/G0000145OTEMON_504190302

今年度に入って
Daisuke Sakuma
Building Collections, Nurturing People, Creating Culture:Considering the Potential for Museums of Cities, from the Point of View of a Natural History Museum.
CAMOCReview_No_1_2019__FV_01.pdf http://network.icom.museum/fileadmin/user_upload/minisites/camoc/CAMOCReview_No_1_2019__FV_01.pdf


Daisuke SAKUMA
The importance of citizens' communities around museums for building new activities and science communication.
Proceedings of ICOM NATHIST Kyoto-Osaka 2019,67-71 (2019-09-14)
https://doi.org/10.20643/00001383

佐久間大輔 2019
世界の中の博物館、社会の中の博物館 
NatureStudy65(11)2-4

で、先日全科協ニュースの原稿を書き上げ、あと2つ年内にほりこむべく原稿をゴリゴリしてます。
さらに、科研の総括としてあと2つ原稿出さなくっちゃいけなくって、
来年夏までに一章書かなきゃいけないのがあって。
ああ。

この他このカテゴリに書くべきか迷うところだけど
角野康郎・池田 博・海老原 淳・上赤博文・狩山俊悟・黒沢高秀・佐久間大輔・志賀 隆・鈴木浩司・鈴木まほろ・瀬戸口浩彰・盖楡鞠掘 高野温子・藤井伸二・藤川和美・持田 誠 2019
地域植物研究会等の現状: アンケートに基づく考察.
植物地理・分類研究 67(2): 165-178
というのにも関係させていただきました。まだJ-STAGEには上がっていないようなので追々。



博物館学関係の講演・授業
大阪市大博物館経営論(12月2コマ)
和歌山大学博物館経営論(9月、15コマ)

北海道大学Costep(11月1コマ)(これは去年の生態学会に書いた論文をネタに呼ばれたもの)

全国科学系博物館協議会 2月15日
つなぐ人フォーラム 2月16日
日本博物館協会 研究協議会「自然史系資料の保存修復」2月22日
全日本博物館学会 6月23日
釋知恵子・佐藤優香・北村美香・佐久間大輔
「博物館における教育プログラム実践家のための評価手法の開発(1) 評価項目の検討と基礎調査」

佐久間大輔・釋知恵子
「展示意図・目的に沿った展示事業評価を目指して」

ICOM NATHIST 9月4日
デジタルアーカイブ学会研究会9月24日
図書館総合展大阪フォーラム9月28日
博物館政策のこれから11月23日
JMMA研究会「ミュージアムの利用者調査〜利用者と潜在的利用者を知る」11月24日
文化政策学会フォーラム12月21日

ちと喋りすぎやね。
外部たのまれ講演は全分野トータルで20本ちょい。意外にも月にお座敷は2つまでの「自主規制」はクリアしてる。ほんと意外。きっとあれこれ忘れてる。
自分で喋りに行ってるものも8本ぐらいあるからまぁ、よく喋った。
これらをどう原稿化していくか。

2020年はこの分野での成果をだいぶ出さなきゃいけないんだろうと思う。というか、他のことあまりできなくなるかもなぁ。忙しくなると逃避的な原稿が進む部分もあるので、ご飯おかず、汁物、付け合せといろいろ回しながらすすめていきたいなぁ。






2019年総括 きのこ・菌類

つづけて2019年の「きのこ・菌類」関連の活動から。


もちろん最大の業績はこちら
昨年の特別展図録が無事売り切れたタイミングでの全面改訂。
これにかなりの精力を注ぎ込んだのは事実。
だいぶ誤植もやらかしてしまったが、正誤表はこちら
本を書くのはコリゴリ、と言ってるまもなく次の予定があるとかないとか。
(進んでない)


この他に菌類関係では
浜田 信夫 , 阿部 仁一郎 , 佐久間 大輔 2019
金管楽器内で生育するカビの金属耐性
日本防菌防黴学会誌 47(7), 265-271, 2019-07

佐久間大輔・藤田博昭・榎本輝彦 2019
京都市の変形菌:榎本輝彦コレクションより 変形菌36 24-33
等がある

あれ、これも今年か
野村 千枝, 昌山 敦, 佐久間 大輔, 梶村 計志 2019
リアルタイムPCR 法によるオオシロカラカサタケの同定
日本食品化学学会誌
2019年 26 巻 1 号 56-62
https://doi.org/10.18891/jjfcs.26.1_56

学会講演としては
菌類図譜の資料価値の検討
佐久間 大輔, 大坪 奏
日本菌学会大会講演要旨集
2019年 63 巻 A-18https://www.jstage.jst.go.jp/article/msj7abst/63/0/63_39b/_article/-char/ja/
これもかなり原稿を進めたのだが投稿には至っていない。これが当面の課題。

Daisuke Sakuma
Role of citizen scientists and local natural history museums for mycology

Asian Mycological Congress(10月2日)
http://amcfungi2019.com/data/program/275_P4-02.pdf

これも投稿しなくっちゃ。



その他きのこに関わる講演としては

POPなきのこ展(1月12日)
きのこ大祭(座談会5月3日)
食品衛生協会(8月6日)
熊本きのこ会(8月24日)
てところだと思います。

今年もPOPなきのこ展でしゃべるのが講演始め、かな。ああ、ネタ作らなきゃ。

2019年総括 里山・生物多様性

2019年総括はいつも、私のまたざきになっている状況を反映して「里山・生物多様性」、「きのこ・菌類」、「博物館」の3カテゴリーに分けているのだが・・今年は里山・生物多様性関連で余り見るべき成果がないように思う。

まぁとにかくは「里山・生物多様性」から。
昨年の今の時期に書いていた、

里山は林か草山か : 統計や民俗から探る大阪の里山の実態 (特集 里山を理解するために草山から考える)
佐久間 大輔
生物科学 70(4), 195-204, 2019-04
http://www.ruralnet.or.jp/seibutsu/070_04.htm

この論文が無事出せた、というのが最大の成果か。廃刊になった雑誌の最終号だったので入手できていない人も多いかもしれない。どうしてもという方は個人的にメールください。

同じ時期に書いていた森林学会関係の出版物は未だに日の目を見ていない(先日校正は済ませたので、まぁそのうち出てくるだろう)。

このあとの予定としては2020年3月の生態学会で
「生物多様性地域戦略は山間部の地域おこしと生態系保全の2兎をおえるのか」
という発表を予定しているがどうなることか。

生物多様性とは少しずれるかもだけど
佐久間大輔・米沢里美 2019 台湾にもあった「ジャリン」. Nature Study 65(4):8,16

そして大台ケ原の仕事の関係としては
Fukasawa et al. 2019 Effects of forest dieback on wood decay, saproxylic communities, and spruce seedling regeneration on coarse woody debris
Fungal Ecology
Volume 41, October 2019, Pages 198-208

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1754504818303131

とその続編
Fukasawa et al. 2020 Climate influences the effect of fungal decay type on regeneration of Picea jezoensis var. hondoensis seedlings on decaying logs
Canadian Journal of Forest Research 50: 73‐79
が出たのはありがたい。

生物多様性や里山に関わる講演としては
枚方市生物多様性講演会(1月19日)
交野市(同じ1月19日!何だそりゃ)
大阪自然環境保全協会(2月5日)
和泉葛城山のブナ林(3月21日、コーディネーター)
大阪湾岸の再生(夢洲)(11月18日、コーディネーター)
ってところかなぁ

このジャンルは今年は求められれば、という感じですすめていきたいと思っているのだが。どうなるかなぁ。


「きのこの教科書 観察と種同定の基本」佐久間大輔 2019_山と渓谷社 正誤表

2019年9月17日に山と渓谷社から出版させていただいた
「きのこの教科書 観察と種同定の基本」
ですが多くの励ましの声をいただき2刷りと好評を頂いております。

大変申し訳無いのですがいくつかの誤植・誤記・訂正が判明しております。
お詫びして訂正いたします。

なお※は2刷りでもまだ訂正できておりません。

p2  敬意を評す→敬意を表す p33 辛味苦味→辛味、苦味  p61 退職→褪色※
p69  カメラ内臓→内蔵 ※ p108 ベニヒダガサ→ベニヒダタケ
p132  2種に分れ→2種に分かれ p144 内臓の光源(表題)→内蔵の光源
p158 苛性ソーダ→苛性カリ
p171 ステージを近づけてしまうと簡単にプレパラートに100倍油浸レンズがカバーグラスに突き当たり、割れてしまう
→ステージを近づけすぎてしまうと、100倍油浸レンズがプレパラートに突き当たり、カバーグラスが割れてしまう
  p217 平塚市立博物館 「近年神奈川県立博に移管された」を削除※

ICOM備忘録(会議内容以外のこと)

ICOM京都大会が大変盛況のうちに幕を閉じた。中身も濃かったと思うので良かったよかっただけど、一応反省点的なことのために、中身以外のことについてメモ書きしておく。思いついたらまた適宜追加。


受付
 9/2の受付はセキュリティチェックもあるというので覚悟して前日に受付しておいて正解だったのだが、長蛇の列の原因はセキュリティチェックではなく、受付が4台?しかなかったこと。初日に来る人が多いことがわかっていたのだから、初日だけ台数を増やすとかができたら良かったんですけどね。
 予想より人が多く、前売りがなくなったのはしょうがないとして、ご飯もカバンもない(席もないかもの)当日立ち席券を用意できればよかったね。来た人を追い返すのは最悪の対応なので。

コングレスバック
 いろいろ資料をいただけたのは嬉しいが重い。コーヒーの紙コップを使わずにすむリユースの蓋付きカップでも入ってたら気が利いてるのになぁと思った。

ボランティア
 ボランティア向け研修は伝聞だが、かなり悪かったと思う
 これはコングレの担当者に猛省を促したい。ジェンダー配慮、ボランティアの学び、ボランティアへの敬意、参加してくれたボランティアの満足度すべてに配慮が足りていなかったと感じた

ホスピタリティ
 食べ物が圧倒的に足りなかった。エキシビターもちょっとした食べ物を振る舞えば大人気だったと思う。あれだけ実行委員幹部がミラノでの食事がしょぼかった、食い物の恨みは恐ろしいと言ってたのに

ソーシャルプログラム
 圧倒的に飲み物も食い物も足りない、時間短い、暑い

ジェンダー配慮
 登壇する実行委員会幹部のジェンダーバランスが悪いのは繕いようがないのだが、舞妓に芸姑、という接待文化を「財界が選りすぐりの子を」と臆面もなく言ってしまった某市長は全くいただけない。しかし、このプログラムがジェンダー的に大丈夫か、判断があったのだろうか。

環境配慮
 食事の飲み物をペットボトルの水にしていたことはマイクロプラスチックを始め環境問題に感度の高い参加者からはかなり『残念』という言葉を聞いた。ホント残念。

通訳
 ご苦労様でした。 SoundUDも含めて面白い試みでした。ただし、文字を写すディスプレーの背景色や柄模様はいただけなかった。視認性が最悪でした。

アプリ
 正直使い勝手良くなかったです。会場が全体構造把握しにくいのでやや仕方ないのもあるんですが・・各ICのデータ拾って登録とかされればよかったなぁ


録画
 AAMなんかだとセッション録画や録音などが参加者がアクセスできるような形で公開されるんですが、ICOMはしないのかな。プレナリーとかオフィシャルプログラムと総会だけでもアーカイブ公開してほしい。並行するICミーティング出ていた身としては、強く要望したい。特に総会とMDPP関係。今後の議論のためにも是非に!

【追記】
休憩スペース
 New Hallの端にあったのだけどこういう場所は大事なのでもっと真ん中に広大に確保しても良かったのでは。こういう場所がコミュニケーションスペースとして大事なんだと思う。ご意見くださいパネルは良かったと思いますよ。できればこういうところにもメインホールの映像が中継されると、エキスポ出店者の人にも情報が流れていいんだと思うんだよな。

周辺環境
 せっかくの立地を活かせていないと思う。目の前に見えている山が延暦寺のある比叡山ということを解説するコーナーが有ってもいいし、宝ヶ池公園も活かせていない。なのできのこ観察会を無理やりやってしまったのだが。

出展者
 ふと思ったのだけど、JMMAとか全日本博物館学会、展示学会、日本博物館協会や全美、全科協なども、日本の博物館の現状を示す英語の冊子とか展示とかしたら良かったのに。

【更に追記】
歴彩館
 サテライトになった稲盛ホール、そこへの移動だけでも参加者には不満があるし蒸し暑い中での移動なのに、大人数だから歴彩館を通っての稲盛ホールへの移動は通すな、とボランティアに通達する館の関係者の判断のなんとホスピタリティにあふれていることか。あれで協力したとかよく言う。

その後
 そしてICOMをやって京都の町はどういう博物館行政はどう変わったのか、どう変わるのか。京都だけではなく大阪も、日本もどう変わるのか。お祭りでなく、博物館の力になったのか。このあと何をするかだ。

フィールド調査における安全管理マニュアルを改めて読んで

日本生態学会誌69巻別冊 フィールド調査における安全管理マニュアル を受領、拝読。基本的にはhttp://www.esj.ne.jp/safety/manual/
の改訂版という位置づけ。会員の方はとりあえず配布されたマニュアルの一読を、J-Stage で公開されたら電子会員や他学会の方も打ち出して研究室に1冊常備をおすすめする。
 基本的には大幅改定されたわけではないので事故事例が私的には身近な事故ばかりな私らにはちょっと色々フラッシュバックするものがある。最近ここに載るような大きな事故がないのだとしたら良いことなのだが。
 ざっと読んで気がつくこと。
1.野外調査で研究室の機器を持ち出して調査をするためには実験室の安全マニュアルをどう適用するか、考える必要がある(例えばボンベの取り扱いなんてことがあるし、薬品の取り扱いも)関連する実験室安全マニュアルのようなものも参照先に入れておくと良いよね。
2.ヒヤリハット事例はなんか集めたほうがいいのかも。
3.なにもないのが一番。そのためには、いかに強行軍をなくすか、無理をしない文化を作るか。
あちこちからお前が言うな、と礫が飛んでくるのが目に見えるようだ。
これはたいへん自己反省を含めて、いやむしろ自分に向けて書くのだが野外調査はエクストリームであってはいけない。ビジネスライクに、余裕でできる実験計画であるべきなのだろう。以下のようなことをやってるのは外から見ればアマチュアチック(ここは悪い意味で)でプロっぽくない。つまり、部下や上司として安心して使ったり頼ったりしにくい存在だ、ということになる。

・「強行軍こなしてる俺ってすげぇ」(すごくない)
・「むかしあいつはむちゃやってな」(武勇伝じゃない)
・「フィールド=冒険」(ちがう)
・「金ないから下道で全走破」(偉くない、資金も含めた研究計画に無理がある)

んー書けば書くほど自己嫌悪。締め切りこなきゃ原稿書けない、展示の準備やなんか一切合切含めイーブンペースが苦手な自分の甘さを見つめ直さざるを得ない。年寄りはそう簡単に悔い改められないという開き直りも禁じ手にしておこう。ただ萎縮してもらいたいわけじゃない(そこは反発がある)。でもそんなもんだというふうに肯定しちゃうのは駄目だろう。ネタになるのはやはりそこにやばいものがあるからだ。常識は踏まえた上でのネタでないと成立しない。

無理・無茶はエンターテイメント的要素てんこ盛りだが悲劇とも隣り合わせ。少なくともそこは理解して置かなければ。悲劇を避けたら面白くなくなったとならないような、Thin lineを探すよ、と言ったら反省が足りないと怒られるかもしれない。

まずは取りまとめた関係者の皆さんの努力に敬意を。「フィールド調査における安全管理マニュアル」手にした生態学会員には是非一読をすすめる。

追記:事故事例の最初にある熱帯林でのI教授の事故の後、葬儀の席で当時のセンター長が述べた「Iさん、君はかっこよすぎる」との弔事が今も耳に残る。
探検部、学士山岳会、林冠生物学と切り開いてきた彼はカリスマ的存在で、研究グループは違ったが私も非常に魅力的に感じていた人物だ。その果の小型機の事故による熱帯林での死亡。たしかにあまりにもドラマチックである。寝食をともにした同僚としての弔事に私も涙した。でも、その冒険ヒロイズムは、遠くから彼を見てきたものにはあって良いものだと思うけれど、本当に近かった我々は彼と同じ轍を踏まないことをまずは考えなければならなかった。
それは今の職場でのかつて在職中になくなったH学芸員についても言える。ヒーローとしてみつつも同じ轍は踏まない。
くり返しいうが自己反省を含め、いや自分に言っている。

追記
日本生態学会から、上記の「フィールド調査における安全管理マニュアル 」がPDF公開されました。生態学会以外の方も、生物学に限らず野外調査を伴う方はどうぞご活用ください。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/69/0/69_S1/_article/-char/ja

種分化とボトルネック

種は連続するのか、その認識は主観的(人為的な認識)なのかというのは古典的な命題であり、いろんな議論があるのはもちろん知っているし、ちゃんといろんな議論を把握できていないことも理解しているのだけど
今日思ったことのメモ
FBで書くよりBlogで書くほうが広がらなんじゃないかと思い(なんだそりゃ)
まとまらないけどメモっておく。不勉強ですみません。

・生き物の見た目にはAI認識できるくらい不連続があったりもする(気がする)。どんな生き物でもあるのかわからないけど。ドクツルタケとアケボノドクツルタケにはありそうな気がする。フモトニガイグチとオクヤマニガイグチだと自信ないけど(よくみてないだけ)。
AIで認識できる(つまり形質)の不連続と、ゲノムの不連続は一致するのだろうか。するとおもうけど、そこは確かめてみたい話だ。

・不連続は何故できるか。それは地域的なボトルネックなんじゃないか。平たくいえば、地域的に絶滅しかかること。別に寒くなるとか傾向のあるストレスでなくていい。火山の爆発でも隕石の衝突でもいい、絶滅しかかって個体群サイズが小さくなること、これによって遺伝的な偏りはかなり生まれる。元になった母集団からかなり遺伝的浮動が大きく効いてくる。定型的な方向の進化でなく、中立的な遺伝子にも浮動が効くので、色彩や形態にもだいぶ差が出るだろう。この結果各所で偏った集団ができれば、個体群サイズが回復しても、もとの母集団、あるいは近傍で別の方向に偏ってしまった元同種の集団とは変異が生じている。変異が、(完全にではなくても)生殖隔離を引き起こす要因になっていれば、これらの集団の変異はある程度固定するだろう。

・長い時間が経つとこの種間の隔たりは、偶然の交配などを積み重ねてぼんやりしてくるのであろう。そうはいってもこうしたボトルネックの痕跡はややゆっくりな進化速度を持つ遺伝領域などに
残っているのではないか。(この辺もうちょっと要件等)

・分子遺伝学的な進化速度って、こうしたボトルネックとその後の適応放散の急激な多様化を平均的に表したものという捉え方でいいのであろうか。

・ボトルネックが種分化のメカニズムとして考えられるのであれば、熱帯多雨林の高い生物多様性はどう説明すればいいのだろう。実は熱帯多雨林はすぐ乾燥化したり案外と安定しない環境だとか、というような過程を入れればいいのだろうか。

・絶滅危惧種の多い現在は、このあとでそれらの種が再び生息地を広げる条件が進んだとしたら、種分化のプレイベントみたいな状態なのかもしれない。
もう少し真面目に考えてみないとなぁ(こんなこと誰か言ってるだろうし)

とりあえず思考実験のメモとして

保護対象としてのユキヤナギ

「うちの自治体の保護上重要な植物にユキヤナギが入ってるのだけど、これってあの公園とかにあるユキヤナギ?」というようなことを尋ねられた。
確かに、春先に白い花をつけるユキヤナギは公園の緑化低木としてすっかり定着した感がある。

  wikipedia cc-by-sa 3.0 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%82%AD%E3%83%A4%E3%83%8A%E3%82%AE 
もちろん公園のユキヤナギが保全対象なわけではなく、自生のユキヤナギがその地域に植栽によらず昔から生えていたならそれが保全対象となっているだけだ。
とはいえ、自生かどうかは昔から人の生活がある地域ではしばしば難しい。幸いにしてユキヤナギを植えるようになったのはそれほど昔ではないので生息状況を見れば自生か、植栽または植栽から逃げ出したものかはほぼわかるだろう。
古い時代の標本があればますます有力だ。
大阪では自生と思われるユキヤナギの標本は高槻市の芥川、茨木市の安威川それぞれ上流の、岩場で採取されたものがある。これらは場所から言っても年代から言っても自生と考えてよかろう。近畿では他の産地もほぼ渓流沿いの岩場だ。そこから類推して河川沿いのまして上流部なら自生の可能性がある。
だから最初の質問は、そのリストを出した調査での採集地がそうした環境なのかどうかで大きく判断が変わる。リストを出した調査者による標本も詳細な情報もない中ではなんとも判断がつかないのである。(ましてそのリストに他に植栽種があった日なんかには。)

新時代に新しいアプリ「バイオーム」におもうこと。

 Biomeのアプリローンチを、どんなものになるのだろうか、と眺めている。
 生物多様性の問題を認識しつつ、という問題意識には共感しつつも、それをどのように情報の力で解決をはかるのか、アプローチに納得まではできていない。その納得感がいまひとつないところが、応援しようという動きにまでいたってないんだろうか、と自分について分析して見るんだけど、大上段感とアプリの実装の無理矢理感のギャップが生き物見ている人にとっては、「ん?」となっちゃってるんだと思う。でもまぁ、色んな意味で注目されるのは悪いことじゃない。
 いろいろ言われるのはなんにも言われないよりはよっぽどいい。

 さらに言えば、アプリとかwebサービスの世界は、そもそも完璧なものをリリースするんじゃなくてとりあえず動いたらリリースして、市場の声を聞いて改良して、うまくマッチさせて行くというのが常道。80% is good enough. これから面白がってくれるコアなユーザーが付いてくれるか、このアプリとちゃんと組んでくれるパートナーがついてくれるのか、その上で「情報で環境課題を解決」に道がつくのか。
 要は最初の段階でいけてる、とかダメとかでなくて、しばらく走るのを様子みてみよう、ということ。うまくいくようにイベントやキャンペーンも必要だろう、そうしたところで博物館とかもうまく使えると面白いんだけどな、などと勝手に見ている。
 地理情報だって、ポケモンGOまでまともに使われるデータになってないし、LODとかIIIFも社会の中で消費される道はまだまだ未開拓。うまくいったとはいえ同時にポケモンGOで使われ方に迷惑した、と感じている名所旧跡も少なくない。生物多様性情報も「良い使われ方」になっていくためには紆余曲折はあるに違いない。実害がないように素早いいろいろな対応が必要なのは事実だが、それはこれまで出版物やデータベースで博物館もまた苦労してきたところでもある。それでもオープンにすることで守れるものもある。「生物多様性データ」に価値が出てくる世界を作れるならそれはそれで素晴らしい。研究者とは違う面白みやこだわりで動く市場を相手に、圧倒的なデータの積み重ねという現実を作れるか。質は量が作り出す、ともまたいう。

 どんな動きを作り出してくるか。とりあえずはこういう動きが出てくることは歓迎したい。あえて冷めた言い方をすれば、ダメでも第二第三のBiomeがチャレンジしてどこか成功すればいい。スタートアップでそういうもんだ。
 誰もなんにも出てこないよりはよっぽどいい。
 時代も新しくなるっていうんだ、新しいアプローチの様子を見て、みんなでダメなところはダメと声を上げて、それを乗り越えて育つもんは育ってほしい。

ICOM NATHIST講演のお誘い

国際博物館会議京都大会が2019年9月1日から7日に、京都国際会議場周辺で行われる。
この中には、自然史コレクションに関する国際委員会NATHISTも含まれる。9月2日から4日までの各日には京都で午前中に基調講演やプレナリーセッションが、昼からはNATHISTなどの各委員会が開催される。
国際委員会というと「会議」をするように聞こえるが、(もちろんディスカッションが中心の部分もある が、)実態としては博物館に関する国際学会だと思っていただいていい。
なので、自然史博物館にまつわる、様々な世界にアピールしたいこと、すべき活動を発表する場がNATHISTであると捉えてほしい。菌類に関する新しい博物館を菌学会に発表するように、博物館や博物館の活動に関する新たな視点を提供するような事例を発表してもらいたい。

一応参考に、先日全国科学博物館協議会でお話した内容を掲載しておく。

自然史資料を世界の共有財産として保全するために
ICOM-NATHIST の要求する管理者への保全努力と社会との "engagement" の追求
予稿PDF
http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2019/02/26case16.pdf
発表スライド
https://www.slideshare.net/sakumad/icomnathist-engagement

全国科学博物館協会による参加費助成
http://jcsm.jp/collection/icom%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%A4%A7%E4%BC%9A2019%E5%8F%82%E5%8A%A0%E7%99%BB%E9%8C%B2%E6%96%99%E5%8A%A9%E6%88%90%E5%8B%9F%E9%9B%86/

講演申し込みサイト
ICOMメンバーでなくても講演はできます。
https://icomnathist.wordpress.com/conference-2019/

後ほど西日本ネットで解説つけます
<追記>
つけました。こちらです。http://www.naturemuseum.net/blog/2019/03/post_71.html

参加者登録サイト
全日程での参加の場合以外は急ぐ必要はありません
講演は1日参加でもできます。(講演日が決まってからの申込みでも1日券は料金変わりません)
http://icom-kyoto-2019.org/jp/reg-guideline.html

2018年総括その4 2019年への展望と抱負

里山・生態学
里山はお誘いしていただいている科研費が当たるか外れるかでまぁどの程度力を注ぐかは大きく変わる。
能勢のこと、和泉葛城山のこと、などなど地域の動きがどうなるかでも変わるだろうなぁ。そうそう、生態学会神戸大会もあるんだった。

博物館学
評価関連のプロジェクトは間違いなく動くだろうと思う。これらは法改正なんかにも絡んでいきそうなので手を抜くわけにも行かない。

文化財保全、というかレスキュー絡みの動きも、ことによるといろいろと動くことになるだろう。
博物館人でいる以上、すべての仕事は博物館学に関わってくるので、雑事を雑に終わらさず記し、記事にするという覚悟で臨まなければならない。

何よりもこの分野では2019年には否応なしに2つのことが起こる。
一つは大阪市の博物館の地方独立行政法人化。インサイダーのものとして何をどう語れるのか、悩みながらも歴史の証人としての発信の責務がある。
もう一つはICOM京都大会である。世界の中の日本の博物館を明確に意識する機会になるだろう。自然史博物館のオフサイトミーティングは大阪市立自然史博物館で行われることになる。

何れにせよ当事者として、お仕事としてこれらは関わることになる。関わる以上は雑事にはしたくない。

きのこ
きのこ展の解説書をあのままで終わらせるつもりはないので、これが自分的には当面の課題。

1月12日から行われる咲くやこの花館の「POPなきのこ展」(謎なタイトルだが)やオオサカきのこ大祭にもまぁ無関係ではいられない。
とは言え2018年のようにキノコ専業ではいけないこともまた確か。
アマチュアの皆さんとの仕事を形にすること、博物館の蓄積を形にすることを中心に、少しずつでも着実に進めていければと思う。

おそらくは2018年よりも更に激しくしんどい状況になるんじゃないかなぁとも、予想するのだが、諦めず、進めていこうと思う。


2018年総括その3 きのこ・菌類

きのこ展

2018年私が何をしたとしか、ということで言えば、やはり特別展を行った年、ということになるだろう。
学芸員にとって、特別展そのものが最大の作品、業績でもあり、来場者がその最大の評価者でもある。
DSCN0980DSCN0979

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まぁとは言え、展示にはピアレビューシステムがあまり機能していない。館内では、事後に総括という自己評価の仕組みがあることはあるのだけれど、異なる立場の業界の人からのきちんとした批評というのは受けてみたい。(SNSの一言、ではなく論評として)

オーソドックスな「書いたもの」としての業績としては

解説書として発行した
佐久間大輔 2018 『きのこのヒミツを知るために ─観察から始めるきのこ入門─』大阪市立自然史博物館 100pp.
お求めはこちらからhttp://omnh-shop.ocnk.net/product/1722
があるが、他に

佐久間大輔 2018 きのこ展3つの愉しみ方 標本と図譜から見る、研究者たちの交流. NatureStudy64(7):2-4
がある。これも時間がない中でよく書いたもんだ。

博物館学のところに書いたロジックモデルのものも含め、いくつかの文章をまとめ的に書こうと思っている。
一つはもう原稿段階まで行ってるのでぜひ正月の間に目鼻を付けたい。


この他に
佐久間大輔 菌学を学ぶ学生のための,学芸員資格取得のススメ 日本菌学会ニュースレター2018-1:14-15

佐久間大輔・藤田 博昭・榎本輝彦 2019? 京都市の変形菌:榎本輝彦コレクションより変形菌36号(印刷中)

などがある。

学会発表は
佐久間大 輔 2018 菌類コレクションはどのようにして 形成されるか —採集者の多様性— . 日本菌学会信州大会 2018年5月
名部みち代・森本繁雄 ・大久保泰和・齋木達也・佐久間大輔 2018 青木実 菌類資料の研究. 日本菌学会信州大会 2018年5月
など。

この他に、共著のもので査読に敗退したり再チャレンジ中のものが4つくらいあるんだけど、これらはそのうち花開くことでしょう。

2018年総括 その2 博物館、教育関係

博物館関係
きのこ展関係のものはのぞいてもそれなりに色々書いている。


●前からの課題が形になったもの
佐久間大輔 2018 自然史系博物館をとりまく重層的ネットワーク――博物館のネットワーク
『ミュージアムのソーシャル・ネットワーキング』博物館情報学シリーズ3
考えてみればこの現行の初稿を上げたのは2015年7月の入院中のベットの上。正直もう出ないかと思った時期もありました。
2018年5月の国際博物館の日の講演で話した元ネタも入ってます。
ちなみにその日のプレゼンはこちら


佐久間大輔 2018 共生の時代のアウトリーチとアドボカシー: 生態学コミュニケーターの担うもの. 日本生態学会誌 68:223 - 232
こちらに至っては2013年の生態学会のセッションまとめ的なものです。しかも私はこのセッションのプレゼンテーターでないという。まぁ形になってよかった。

●教育関係でもいくつかの発表といくつかの文章になった
共著者のおかげ。

佐久間大輔 2018 大阪市立自然史博物館と市民科学 ―資料の収集・研究から教育普及までの協働― シンポジウム「新」自然史博物館@台湾国立博物館南面公園分館

佐久間大輔 2018 市民科学のプラットフォームとしての自然史博物館(序論として)サイエンスコミュニケーション協会誌 8(2):10-11

釋 知恵子・佐久間大輔・横川昌史 2018 幼児が出会い・関わり・次につなげる博物館体験のデザイン. 日本理科教育学会岩手大会

●評価 今年から2つほど博物館評価のプロジェクトに参加している。以下の1つ目はどちらというと私は「まな板の上の鯉」。

釋 知恵子・佐久間大輔 2018 特別展「きのこ!キノコ!木の子!」におけるロジック・モデル. 日本文化政策学会 第11回年次研究大会 平成30年11月24日
これはきのこ展まとめとも絡んで話にしなくっちゃ。

佐久間大輔 2018 博物館行動規範における研究の位置づけ. 博物館における研究評価研究会
まだ形には全然していない。。


●ICOM関係
佐久間大輔 2018 ICOM 京都大会 2019に何を求めるのか. 全科協ニュースvol48_no5「ICOM京都大会2019開催まであと1年文化の拠点としての科学系博物館の取り組み」
http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2018/09/vol48_no5.pdf

●保存科学
この分野はもう1つ2つ書きたかったのだが。
浜田信夫・佐久間大輔 2018. 自然史博物館の収蔵庫と展示室における落下カビ調査. 大阪市立自然史博物館研究報告 72:161-166
https://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=ir&lang=ja&type=pdf&id=http%3A%2F%2Fid.nii.ac.jp%2F1504%2F00001299%2F&naid=120006425249


あと昨年度末だが
レガシーとしての自然史標本を継承・発信するための事例集にもちょこちょこ書いたり
「ただ外国人のためだけでない多言語対応のために」なんて講演をしたり遺贈寄付のことなども少し話しているのだが、形にはできていない。
少しずつ、着実に。

2018年総括 その1 里山・生物多様性関係

毎年恒例の年末総括であります

里山に関する2018年の動きは予想に反していろいろな展開を見せた

●草山
2015-2018年にかけて行ったプロジェクト
「草山」はいつどのようにして里山林となったか―里山の今を理解し管理する視座としてhttps://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H02855/
のまとめとして
2018年3月の日本森林学会でテーマセッションを開催した。
私のパートは
佐久間大輔 2018 大阪の里山はどのくらい草山だったのか―過去の利用と変遷を考えるhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jfsc/129/0/129_749/_article/-char/ja

さらに
そしてこの内容を『生物科学』70(4)に特集として投稿したことが最大の進展といえるだろう。
多分年を明けてしばらくしたら、刊行されるはず、、、です。

ちなみに、これのもとになる話の一つは
佐久間大輔・風間美穂 2018 きのこから大阪の里山を考えるいくつかのヒント. Nature Study 64(9):2-5
としてすでに刊行しています。マツタケ話は改めてまとめたいなぁ。

あと、こんなものも書きました
佐久間大輔 2018. 生物多様性保全と里山管理.「人と植物の共生 ―都市の未来を考える―」(「人と植物の共生」編集委員会編)大阪市立大学、大阪:17-21.

●能勢
昨年に引き続き、森里川海事業に関係して能勢と吹田といったような農村と都市の交流の議論を今年も続けた。8月末には吹田市でのフォーラムもあったのだが、いつものようにパネルディスカッションコーディネーターをさせていただいた。
http://www.city.suita.osaka.jp/home/soshiki/div-kankyo/kankyoseisaku/biodiversity/_91931.html

実は能勢に関してはちょっと大きな申請をしてそこに結構力を使ったりもしたのだが、まぁうまく行かなかったので改めて何かの時に。(一部は天満さんに上記の特集の中で原稿にしてもらった)


●昨年結構時間を取られたのが大阪市の多様性戦略は
とりあえずこういう形で公表されました
大阪市生物多様性戦略http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000431225.html

まぁ正直課題も多く残り2年後の改定に向けてのステップと位置づけているところなのだがそうしたこともあり、以下のようなまとめを書いた。

佐久間 大輔 2018 都市域における生物多様性戦略を考える(試論として). (特集 都市の生物多様性地域戦略の課題と展望) 地域自然史と保全 40(1), 53-58


●生物多様性協働フォーラム関連も収穫の一年となった。
つい最近出たものとしては

西田貴明・橋本佳延・三橋弘宗・佐久間大輔・宮川五十雄・上原一彦 2018 多様な主体の参画と協働を促す交流イベントの生物多様性の主流化への効果−普及啓発イベント「生物多様性協働フォーラム」の実践とその効果の検証. 保全生態学研究 23 : 223-244

があるが、その他に(もう年度としては昨年度だが、)季刊政策・経営研究の特集号が出た。
私もいくつかの報告を書いた。

佐久間 大輔・濱崎 加奈子 2018 文化多様性から生物多様性への気づきを. 季刊 政策・経営研究2018-1:58-67

佐久間大輔 2018 生物多様性保全を社会の中で実現するために. 季刊 政策・経営研究2018-1:87-94

西田 貴明・橋本 佳延・三橋 弘宗・佐久間 大輔・宮川 五十雄・上原 一彦・舛田 陽介 2018生物多様性の主流化に向けた課題と展望(まとめ).季刊 政策・経営研究 2018-1:106-115

これらはこちらから読むことができる

更に派生的ですがこんな講演にも繋がりました。
佐久間大輔 2018 自然への気づきと 感情的理解のための 生物文化多様性 2018.11.23 「野生生物と社会」学会@九州大学伊都キャンパス
若干かぶるようなかぶらないようなテーマ。これもなんか書かないとなぁ。

この他、生物文化多様性の関係で
大阪市立自然史博物館







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