NHKクローズアップ現代「夏山トラブルに注意! ネット時代の登山ブーム」という番組がありました。
 結論から言うと「あんまり語る価値が無い放送」だったのですが、意外とハイカー達には見ている人が多くて、感想を書いている人もいます。まあ、私も録画して見たため評を。
 番組の題名をみると、私も含めて一部の人が問題視している「登山SNS『ヤマレコ』に実装されている拍手機能の弊害」のことかな?と思うのですが、その話は一部だけ。では、番組の内容はどのようなものだったのかというと・・・


■内容

①番組冒頭
 「最近は山ガールなど登山人気が沸騰。インターネットで登山仲間を気軽に見つけられる。しかしネットの情報を鵜呑みにし、力量にあっていない登山をしてしまう」

②鶏冠山にて
 「登山暦15年の男がネットで募ったメンバーで奥秩父の鶏冠山に登ったら大変だった」という話。
 男(リーダー)はネットで鶏冠山(西沢渓谷→鶏冠山→甲武信小屋)にあがるメンバーを募ったら、ある女性が来ました。その女性は「経験年数2年で、(リーダーの感じたところでは)自己申告した山経験は立派なもの」だったのですが、実際に一緒に山を歩くと「女性がリーダーの言うことを聞かなくて大変だった」という話。番組構成的には「山のルールを知らず、リーダーの指示に従わない女性。そんな人が募集に乗っかってしまうネット募集ってどうよ?」という感じになっている。
 登山暦15年男「リスクが高いから、ネットで仲間を募ることはもう止めた」

③北岳にて
 登山サイトに登録されている山行記録は登山者にとって有用なもの。しかし、記録を競い合う風潮を生むなどのリスクを生み出している。
 登山暦6年の男は登山サイトに山行記録を投稿してきた。コースを短時間で踏破するほど山行記録の評価は高まっていった。いつしか男にとって評価されることが目的となっていく。。。
 ある日、男は北岳に登った。その際、「登山サイトで注目される為に」山上で一泊せず、短時間で日帰り登山をした。体力的にかなり無理をしたためか、下山後、痺れなど体調に異変が出てしまった。
 登山暦6年男「登山する人にとって登山サイトは居心地のいい空間。しかし、自分を見失う人もいるのではないか」

④登山ガイド「山田淳」氏のコメント、その1
 ・(②のネットで募った、にわかパーティについて)旧来の山岳部・山岳界で定義されていたリーダーとは違う。パーティ募集の言い出しっぺがリーダーになってしまう。リーダーとしての資質があるかどうかはわからない。ただ、この人達をとめることはできない為、これを山岳界はどう受け止めていくか考えなければならない。
 ・(ネットにある山の情報について)量と質で考える。量はネットによって圧倒的に増えたが質は玉石混合。③で「(山行記録を書いて)賞賛されたい」というのがそうだが、ガイドブックとは書き手の思いが違う。単に登った人の記録であり、他人が参考にすることを考慮したものではない。そこを見る人は意識しなければならない。

⑤白馬岳にて
 とある登山サークルの話。全員始めまして状態での登山。ただしガイドをつけ、リーダー・サブリーダーをキチッと決める。白馬大雪渓に上る前に、アイゼン装着した歩行練習。登り始めてからはリーダー・サブリーダーがメンバーの体調を細かくチェック。無事白馬岳に登頂。これまで30回以上の登山を成功させている。
 サークル代表「若い世代が、安全に登山を楽しめる機会が、もっと増えればいいと思う」

⑥ヤマレコの話
 ヤマレコの代表。的場氏登場。無謀な登山を煽るような山行記録を削除。登山日数ランキングをやめた。遭難などトラブルの体験を載せたコーナーを新設。登山計画書提出システムを作った。
 的場氏「まず安全が第一にあって、その上に楽しむというものがある。ヤマレコではその両方をやっていけるようにしたい」

⑦登山ガイド「山田淳」氏のコメント、その2
 ・(⑤のガイドを雇う。リーダー・サブリーダーを決める方法は)いい取り組みである。人材育成にも繋がる。ただし、まだほんの一部の動きでしかない。
 ・(⑥の登山計画書提出システムについて)いい取り組みではあるが、元々登山計画書を出さなかった人が出すようになるかというと、それは怪しい。登山計画書を出させるためには理由付けが必要。例えば「損害保険の保険金支払審査と連動させる」「そもそも入山させない」など。
 ・登っている人達の属性が変わってきている為、新しい制度・仕組みが必要。
 

最後に山田氏が「"自分のスキル"と"次はどの山に行けるか"という2つのものさしが必要」という事を話して番組は終わる。


■私見

 この放送はガチハイカーの話では無く、有名な山しか登らない、主要な道しか歩かない人達が主題の話と理解。例えば、高尾山周辺や丹沢表尾根、高山では交通の便がよく、車で有る程度の高さまでいけるような山、雑誌によく取り上げられる山などに限定して歩く人。で、ネットでパーティメンバーを集めると、そういう人がガチハイカーのパーティに混ざってしまうから困る、というのが②の話。そういう人達でもベテランガイドをつければ安全というのが⑤の話。

②鶏冠山の話
 「女性が悪い、そしてそのような人が参加してしまうネット募集」という構成には大いに疑問を感じる。そもそも「鶏冠山のメンバーをネットで募ったリーダーの判断力がおかしい」んじゃないの?。あと、TVスタッフは地図をちゃんと見てます?。西沢渓谷から鶏冠山に線引いてあるんだっけ?。現在の地図では実線どころか点線すら書いてないはずですが。バリエーションハイキングのメンバーをネットで募集したこと自体に問題は無いの?
 そもそも「経験年数2年」なのに「山経験は立派なもの」っていうリーダーの判断はなんなのか。
 自分ならこの話は全部ボツかな。リーダーの判断力の問題であってネットの問題ではない。

③北岳の話
④登山ガイド「山田淳」氏のコメント、その1
 同感。従って私見は特になし。あえて言うなら、ネットの評価で自分を見失うという話はもう少し掘り下げて欲しかった。
 
⑤白馬岳にて
 「これまで30回以上の登山を成功させている」とあるが、たった30回?。まだ評価していいような回数ではないのでは。成功回数だけで言えばアミューズトラベルはものすごい数を成功させている。このサークルはまだTVで取り上げていい段階ではないと感じた。
 
⑥ヤマレコの話
 私が少し前に浅間山の立ち入り禁止区域に入った山行記録を探したら殆ど無かったんんだけど、運営側で消したのかな?昔は沢山ありましたよね。

⑦登山ガイド「山田淳」氏のコメント、その2
 「登山計画書の提出を、損害保険の保険金支払審査と連動させる」という意見は(整理しないといけない点はあるが)面白いアイデアだと思った。


②をカットし、その分を的場氏と山田氏が話す時間に割り振って欲しかった。山田氏は現実的な目線で色々考えてそうな印象。話足りなかったのでは?。この二人の考えていることをもっと聞きたかったですね。