年が明けてのご報告となってしまいましたが、
昨年11月30日(土)に開催いたしました「第49回 萩原朔太郎研究会 研究例会」に
ご来場いただいた皆様、ご協力、想いを寄せてくださった皆様、誠にありがとうございました。
当日は、上州名物のからっ風も吹きこむこともなく、穏やかな日和となりました。

誘導看板
 
例会は、安智史幹事と栗原飛宇馬幹事の進行で、松浦寿輝会長の開会の挨拶のあと、
東京大学大学院総合文化研究科教授のエリス俊子さんに、「萩原朔太郎「青猫以後」のうら* ── 郷土、亡霊、植民地」( *「うら」に傍点「・」)」と題したご講演をしていただきました。

司会進行お二人
 ▲安智史幹事、栗原飛宇馬幹事

松浦さん
 ▲松浦寿輝会長 
 
標題の「うら」という言葉に付された意味深な傍点…一体どんなお話が展開されるのだろうかと、
このミステリアスな言葉にそそられて、ご来場いただいた方も多かったのではないでしょうか。
栗原幹事の「青猫以後」の詩篇の朗読も交えながら、それらに通底する朔太郎の詩世界の魅力を読み解いてくださいました。
エリスさんと朔太郎の豊かな眼差しが次々に重なり、朔太郎が生き、詩篇を生んだ当時の時代の空気や雰囲気も静かに伝わってくるようなご講演でした。

会場の様子
エリスさん
 ▲エリス俊子さん


つづいて、院生のお二方による研究発表がおこなわれました。
東北大学 青木裕里香さんの「萩原朔太郎の北原白秋『思ひ出』受容 ── 詩的出発期に着目して」では、北原白秋の表現に繋がる思索をたどりながら、朔太郎が白秋の『思ひ出』をいかに大きな存在ととらえ、その表現を受容していたかということを読み解こうとするものでした。
青木さん2
 ▲青木裕里香さん
 
茨城大学 齋藤起輝さんの「朔太郎詩の分析から見る“自由律”」では、身体・病といったキーワードから朔太郎の詩を分析し、それらを生み出すに至った朔太郎自身の精神生活にも迫ろうとするものでした。
斎藤さん2
 ▲齋藤起輝さん

研究発表の終わりには会場からの質疑応答、エリス俊子さん、松浦会長からのコメントの時間も設けられ、充実したひと時となりました。 
最後に天笠次雄幹事長の挨拶があり、閉会となりました。
会場では、会報最新号や研究会関連書誌等の販売もおこないました。
会報最新号の内容につきましては、目次総覧をご参照ください。
今回の内容は次号会報に収載予定です。
天笠さん2
 ▲天笠次雄幹事長


当会の関係する次の催しは、3月22日(日)に文学フリマ前橋への出店、
5月9日(土)には、第48回 朔太郎忌が開催となります。
上記の日程や詳細につきましては、また改めてご案内をさせていただきます。
事務局を置く前橋文学館では、現在、2つの企画展が開催中です。
朔太郎とも親交の深かった前橋の詩人・萩原恭次郎の生誕120年記念展は 1月26日(日)、
前橋市出身の挿絵画家・髙荷義之氏の原画展は1月13日(月)まで。
詳しくは前橋文学館のウェブサイトをご参照ください。

皆様ぜひ、2020年も前橋へ、当会や文学館の催しへとお出かけください。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


文:眞鍋苑子(幹事) 写真:桑原高良(幹事)
2020.1.5 更新