February 03, 2005

オペラ座の怪人 2回目

2月2日「オペラ座の怪人 Andrew Lloyd Webber's The Phantom of the Opera」の2回目の鑑賞。
目標として「今回は前回より冷静に…」と思ったのですが…

前回(初日)よりどきどきしてしまいました。
ストーリーは知っているはずなのに、次に何が来るのかとどきどき。
俳優の演技に歌に音楽にどきどき。
全然冷静になる余裕なんてないじゃないか!これぞファントムの魔法?
以下ネタバレ
で、何故か前回は全く気付いていなかった箇所を発見。
それはシャンデリアの墜落するタイミング!
舞台と映画で違っていましたね…何で気付かなかったんだろう。
一応比較を…

舞台版では1幕の終わり。
「イル・ムート」でカルロッタの声が枯れ、ビュケ(舞台係の男)の絞殺死体が舞台に落ちてくる。
ラウルはクリスティーヌを連れて屋上に逃げ、そこで”All I Ask of You”を歌う。
舞台にカルロッタの代役としてクリスティーヌが戻った所で、劇場にファントムの声が響きシャンデリアが落下する。
第二幕は”Masquerade”から開く。「勝利のドン・ファン」でファントムとクリスティーヌが”Point of No Return”を歌い、ファントムの仮面を剥がしたところで彼は彼女を連れ去る。
という流れなのですが。

映画版…
「イル・ムート」でビュケの死体が落ちてくる。
恐怖に駆り立てられたクリスティーヌがラウルを連れ屋上に逃げ”All I Ask of You”を歌う。
二人の去った後、物陰で見ていたファントムが”All I Ask of You”のリプライズ。
舞台は一度現代に戻ってから”Masquerade”へ。
「勝利のドン・ファン」”Point of No Return”を歌い、クリスティーヌがファントムの仮面を剥がしたことで怒りに狂ったファントムがシャンデリアを落とす。
となっています。

本当、何で気付かなかったんだろう私?
でもそれはきっと映画の流れがとても自然で心地よいものだったから。
こうやって書いてみると、舞台版より自然に思えます。
まず、突然死体が落ちてきた舞台をそのまま問題無く続行できるとは思えない。
ラウルとクリスティーヌの”All I Ask of You”を見たファントムが、代役として立ったクリスティーヌの舞台にシャンデリアを落とすという点。
愛が裏切られ怒りに変ったというのは納得だが、映画の悲痛に”All I Ask of You”をリプライズするファントムの方が共感を持てる。
もし私がファントムなら、愛が怒りに変ったとはいっても、愛する人の舞台にシャンデリアを落とすなんてできない。
彼は最後までクリスティーヌを愛しているわけだし。
「勝利のドン・ファン」のシーンに持ってきたほうが物語としても盛り上がるし、とても自然で綺麗な流れだと思います。
でも舞台の1幕の終わりに落とすというのも、盛り上がった状態で幕だから効果的にいいと思いますよ。
このあたりにも映画と舞台の楽しみ方の違いを感じたり。

それでは今回の感想。
一言で言うなら…やはり最高!!
しかも前回より大興奮。早く3回目が見たくて仕方ない!!

今回のお気に入りシーン、ベスト1は前回と変らず”Point of No Return”。
ファントムがピアンジに成代わり、舞台に出てきた時から心拍数急上昇!
その状態でクライマックスまでいきました。
このシーン、家でも何度もサントラを聞きなおし、スコア(持っています)見て歌ったり弾いたり。触れれば触れるほど深いんです。
歌っているのはファントム扮するドン・ファンとクリスティーヌ扮するアミンダのはずなのに、まるで二人が本心で心から愛し合い歌っているよう。
クリスティーヌ、”Angel of the Music”や”Wandering Child”では父を恋しがる娘、夢に憧れる少女だったのに。このシーンではファントムを見守る表情には驚きもあるけれど、何か熱い眼差しを感じるんです。
「少女」が「大人の女」になっているんです。
ファントム、愛を知らずに生きてきたのにどうしてそこまでの情熱とセクシーさが出せるのでしょうか…彼は純粋に心から彼女のことを思っているのでしょう。
彼女への思いが抑えきれない。
本気で彼女に愛を伝えたい。
そんな表情が仮面の下から感じられました。
そう、「音楽の天使と生徒」、「父と娘」、そんな感じの関係だった二人がドン・ファンとアミンダの姿をして愛し合う「一人の男」と「一人の女」になって愛し合っている。
バックのフラメンコダンサーの踊りも最高に情熱的で官能的で、袖から見守るラウルの表情にも「二人は愛し合っている」と出ているよう。
音楽からも俳優からも、この「二人は愛し合っている」と感じさせる感情の高まり。きっとこのあたりが私を捉えているのかと。
ファントムの心境になって見ても、クリスティーヌの心境になって見ても、この胸の拍動はとどまるところを知りません。
なんだか私の稚拙な言葉で書くと、せっかくのシーンがよくわからなくなってしまった気が…

2位は”Prima Donna”。
アンドレとフィルマン、結構好きなんです。いや、むしろ「オペラ座の怪人」は好きな人ばかりですが。
芸術なんて無関係だった屑鉄もといスクラップ・メタル業の成金の二人。
必死になってカルロッタのご機嫌をとろうとしたり、社交界で「格式ある紳士」に振舞おうとしている様子がなんともいい。
”Prima Donna”は歌としての完成度も高いけれど、ここは映画、俳優の演技も見もの。
カルロッタ役のミニー・ドライヴァーがまた上手!
心地よい響きに乗りつつ、コミカルでゴージャスな映像と演技に身を任せてうっとり。
犬好きの私としては、カルロッタのワンちゃんも気になっていました。

3位。クライマックスでラウルとクリスティーヌに逃げるよう言った後、一人猿のオルゴールの前で”Masquerade”を口ずさむファントム
”Down Once More”から続くこのシーン、なんて切なくて胸が痛むんだろう!
少年時代、サーカスで見世物にされていた彼の姿がここでふっと思い起こされました。
猿のオルゴール、とても大切なものなのでしょうね…
そして「ファントムは仮面をつけていない」これは私の中でかなり重要なポイントなんです。
”Masquarade”。普通の人にとっては余興の一つである仮面舞踏会。仮面の渦の中で倒錯した世界を楽しんでいる。
しかし彼にとっての仮面は違う。
母が彼に与えた最初の衣服であり、世間の冷たい眼差しからの盾であり、自分すら隠してきたもの…
「この仮面さえつける必要の無い姿なら!」彼は一体何度それを思い、憎み、絶望したことだろうか。
人間として自然の感情である「人を愛する」ということさえ仮面の下に隠すしかなかった…
それを思うと、私の中で一気に感情が駆け上りました。
そこへクリスティーヌが指輪をそっと渡す…
彼はどんなにか胸を締め付けられたことだろう!
直前の、クリスティーヌがファントムにキスするシーンも私のかなりのお気に入りでして。
彼女の口づけはどんなにか、堅く閉ざされていた彼の心に響いたことでしょう。
クリスティーヌも本心から彼にキスしたのでしょうね。

不思議です。書くほどに数々のシーンが鮮明に蘇り胸を締め付けます。
そして拙い文章のお陰で読みにくくなる…

ここで「ファントムかラウルか」という選択をしてみる。
私は迷わずファントム
確かにラウルは全てを持ち合わせ、命を顧みず愛を捧げてくれる。そして初恋の人。完璧な男性。
ファントムは感情の乱れから人を殺す。そして自分の運命を呪っている。愛を知らない。仮面が無いと姿を現すこともできない。
だけど私はファントムの中に自分の姿を見た。それは人間だれしもが持っている闇の部分。
彼に生まれ持っての「醜さ」など無い。
「闇」は彼の仮面が作り出したものだ。
(私自身、片方の目に義眼を入れている父を見てきたせいもあってか、所謂「異形のもの」に対する偏見が無く「世間の目」を知っているからかもしれないが…)
そして同時に彼の優しさと美しさを見た。哀しく痛い「自分を愛している」という感情。「一人の人間として生きたい」という願い。
彼に「仮面」を被せたのは「世間の冷たい目」
「仮面」の下に隠された「本当の彼」に出会えた途端、私はファントムを選ばずにはいられない。

話は飛んで…
1917年のシーン。
老いたラウルとマダム・ジリー、特殊メイクで本人達が演じているのですよね。
演技もメイクもすごいけれど…ラウルのほうが年下よね?
気のせいか、ラウルがものすごいご老人に見えてしまう…

あらら、結局前回の感想から進展が無い気が。
次回こそは冷静に見られるか!?
ということで、「第三回鑑賞」は今週の金曜日にでも。

追記として…
あまりにも、予想以上に熱くなってしまった私。
「映画」のカテゴリーにはめるのはどうかと思い、「『オペラ座の怪人』を語る」なんてカテゴリーを作ってしまいました。


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Comments
はじめまして、こんばんは。
TBとコメントを頂きまして、とても嬉しかったです。
有難うございました!

こちらの記事を拝見していると先日見たシーンが鮮やかに蘇ります。
私もここで挙げられているシーンはどれもみな心動きました。
私のような普段はオペラやミュージカル舞台を見ない者にとっても
この映画はとても観やすく、そして素晴らしい作品でした!
私ももう一度映画館で見たいなぁ・・と思っています。

TBさせて頂きました。
Posted by てるみ at February 03, 2005 19:51
>てるみさん
こちらこそTB&コメントありがとうございました。
「オペラ座の怪人」に限らず、舞台好きの私は今回の映画化にはやや不安もありました。
でも杞憂でした!
感想書いている自分が言うのもなんなのですが、私のこんな稚拙な言葉で書いてしまうのがいけないくらい。
どのシーンをとっても語りつくせないくらいの感動でした。
Posted by 咲耶 at February 03, 2005 22:40