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サラリーマンの読書エッセイ

本を読んでふと何かを思うとき、徒然なるままに書く簡単書評とショートエッセイです。

25 9月

旅猫リポート/有川浩5

有川浩の作品を検索して見つけました。評価が高いようなので購入した次第です。
子どもでも読めるような配慮でもわかる通り、広い年代に読まれている作品です。
猫と人の立場が、交互に現れる構成も飽きさせません。ラストは涙の傑作です。


taste:★★★★★



有川浩(2012/2015)講談社青い鳥文庫

人気大作家、有川浩の作品が、青い鳥文庫に初登場!
ぼくはオス猫のナナ。なにかの事情でぼくを手放さなくてはならなくなったというサトルは、引き取り手をさがすため、銀色のワゴンに乗って旅に出る。サトルとぼく、ひとりと一匹が出会う、素敵な風景、なつかしい人々。
そしてついにぼくらの最後の旅が始まる―。
(講談社青い鳥文庫 内容紹介)

講談社のこの文庫(サイズは新書版ですが)は、小学校低学年くらいから中学生くらいまでのを対象とした児童書レーベルです。この作品は、当初は一般向けの単行本として刊行されたようですが、漢字をひらがなにしたりふりがなを打ったりして(総ルビです)、2015年に「青い鳥文庫」として刊行されたようです。内容は、子どもから大人まで広く受け入れられそうなものですので、はい、この企画は大成功と言えるでしょう。

おそらく、猫の視線だけで通してしまえばすぐに飽きるかもしれません(実際、僕は『吾輩は猫である』で何度も挫折しています)。この小説は、人間の目線と猫の目線が交互に現われます。同じ場面を双方の目で捉えることで、なるほど、猫ってこんな風に考えるのか、なんて、妙な納得感が生まれます。そして、ラストに訪れる意外なほどの悲しい結末と、そこで見せてくれる旅猫「ナナ」と飼い主「サトル」の心の通い合い。小説を読んでここまで涙が出たのは、僕は久しぶりです。

いいお話でした。動物って、こんなにも人間の心を温めてくれるんですね。子どもから大人まで、たくさんの人に読んでもらいたい名作です。

さて、僕は猫は飼ったことはありません。いわゆる「犬派」なんです。事情はこの小説ほど悲しいものではありませんが、僕も幼い頃に犬を手放さなくてはならなくなって、引き取り手を探した経験があります。僕なりに悲しい、そんな思い出を書いてみたくなりました・・・。

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《犬との出会い、そして別れ・・・》 

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18 9月

月の上の観覧車/荻原浩2

この作家は初めてです。売れているようなので、読んでみることにしました。
短編が八篇。どれも主人公の過去を描いた、泣かせる物語です。でも・・・。
僕には、どれも過去の悲しみをなぞっているだけのような気がしました。


taste:★★☆☆☆



荻原浩(2011/2014)新潮文庫

閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来― そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に至った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の過去」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように繰る作家が贈る、極上の八篇。
(新潮文庫 内容紹介)

八篇の短編で描いているのは、どれも悲しい過去を持った人たち。内容紹介にある通りの、表題作『月の上の観覧車』が、この短篇集に概ね共通した主題を代表しているように思われます。主人公の過去と現在をつなぐ「鍵」となるのは、トンネル、マジック、レシピノート、金魚、あるいはゴミ屋敷・・・。それぞれの物語に存在するそんなアイテムが、時間を越えた物語の柱となっています。どれも、涙を誘う悲しい物語です。

でも、僕は個人的に、今ひとつ奥の深さに欠けるような気がするんです。ああ、そうだったのですか、悲しい過去があったのですねえ・・・。そこで終わるような感覚です。僕がこの本を読んだのは、およそ1か月前。残念ながら、今思い返しても、あまり記憶に残っていないのが実情なんです。短編で、悲しい物語を奥深く描くのは難しいのかもしれません。あるいは、これは短編の宿命とも言えるのかもしれません。

そんな中で、僕の心にキラリと光るようなものを投げかけてくれたのは、3番目に収録されている『レシピ』というお話でした。主人公・里瑠子(りるこ)が、ひとり暮らしを始めた若い頃からずっと書きためてきたレシピノート。一つ一つの料理に、その時々の記憶が刻まれています。学生時代に付き合った男。就職してからの恋の顛末。結婚してからの家族との確執、そしてその破局・・・。それぞれの時代が、料理という身近なアイテムを鍵にして描かれるこのお話に、僕は過去から現在に至る里瑠子の真摯な心と悲しみが、手に取るように伝わってくるような気がしました。ややコミカルな雰囲気も合わせ持つのも、この物語に厚みを増しているように思います。

さて、「レシピ」。最近僕にも、このことばが急激に重みを増してきました。はい、それには深いわけがあってですねえ・・・。

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《訳ありレシピの成果・・・》 

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4 9月

アンマーとぼくら/有川浩4

 
最近、有川浩の作品にハマってます。先日、この単行本に飛びつきました。
主人公である息子「リョウ」が、沖縄に住む母親と過ごした三日間の物語です。
母親は実母ではなく継母。過去の父親との確執に、涙してしまうお話でした。
 

taste:★★★★☆

アンマーとぼくら
有川 浩
講談社
2016-07-20


有川浩(2016)講談社

「過去は変わらない。変えられるのは、今だけだ」
母と過ごす三日間。恩返しは、今からでも遅くない。
休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と島内を観光する。ひとり目の「お母さん」はリョウが子供の頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気付く。
(講談社単行本の「帯」より)

「アンマー」は、沖縄のことばで「母親」。このタイトルの通り、息子と母親の間での愛情や過去の確執、父親とのすれ違いを描いた物語です。タイトルの『アンマーとぼくら』の最後の「ら」は、おそらく「ぼく」(リョウ)とその父親を指しての「ぼくら」でしょう。産みの母親である「お母さん」が亡くなった直後に、後妻「おかあさん」を迎えた父親。そんな父親を理解しかねるリョウ、そして継母を「おかあさん」と呼べずにお互い苦しむ日々・・・。そんな設定は、比較的陳腐とも言えますし、終わってみれば、ストーリー自体はシンプルなものだったとも思えます。

しかし、この小説の特徴は、過去と現在、そして「帯」にある「なにかがおかしい」と感じる異次元を含めた、時空を超えたストーリー展開にあります。過去と現在が入り混じった形で進むお話は、やや読みにくさがありました。しかし、それこそがこの小説に、設定の陳腐さや単純さを忘れさせるような力を与えています。「おかあさん」とリョウの間に通うようになった愛、そして、互いにひたすら愛し合った、今は亡き父親と「おかあさん」・・・。結果、それらがたびたび涙を誘う、心に沁みる物語に仕上がっています。

思い切って単行本を手に入れて、よかったと思いました。実の親ではないとはいえ、母親と息子の間に通じ合う心と心。久しぶりに温かいものに触れたような、心地よい読後感のあるいいお話でした。

さて、僕の母親は、今年90歳です。この小説を読んで、少年期までの僕と母親のことをあれこれ思い出しました。当りまえかもしれませんが、やっぱりそこには、いろんな形で「愛」があったんですよねえ。元気なうちに、会っておいた方が良さそうです・・・。

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《思い返せば、母の愛。・・・》 

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28 8月

読ませる自分史の書き方/工藤美代子3

 
作文を書くというちょっとヘンな趣味を持つ僕にとって、納得できる本でした。
「自分史」なるものを土俵にすれば、いわゆるハウツー本に類するかもしれません。
でも、自分史に限らず、人に読んでもらうには一定のスタイルが必要ですよね。


taste:★★★☆☆



工藤美代子(2016)幻冬舎新書

読みたい人より、書きたい人が多い時代である。なかでも自分史ブームは止まるところを知らない。誰もが手軽に書き始められる「自分史」を、どうしたら自己満足に終わらない、読み手を唸らせる作品にまで仕上げることができるか。実は「売れる」作品として商業出版で流通させることはそう難しくはない。読ませるポイントや、決してやってはいけないことなど、執筆の肝を、第一線のノンフィクション作家が具体的に伝授。自分史入門の決定版!
(幻冬舎新書 内容紹介)

「自分史ブームは止まるところを知らない」という表現に、とても違和感を覚えます。ええ〜っ、それ、ホントですか!? なんて、突っ込みを入れたくなりますよねえ・・・。

僕のこのブログには、毎日数十人の方が来てくれています。そうやって不特定多数の方々に読んでもらっている以上、不快に感じてもらいたくはありませんし、できればおもしろいと思っていただきたいものです。決して「自分史」に限るものではなく、そんなことを考える人には、外部の人に読んでもらう文章に求められる一定のスタイルやマナー、そしてある意味での「コツ」を確認する意義は大きいものだと思います。

作文は一種のモノ作りです。自分の思うことを人に伝えるためには、読みやすくて理解されやすい文章を組み立てることが必要です。そして一方で、僕は作文に、自分の思いを引き出す効果があると思っています。過去の思い出や、その時々の悩みを文章にして書くことは、当時は自分の中に隠れていた意識を呼び起こすことがありますし、新たな考えや解決法を思い付くこともあります。こんなカウンセリングのような効果も期待しつつ、僕は作文を楽しんでいます。

そんなことを考えると、僕がこの本から読み取ったものは、「『自分史』を例に取った、自分を見つめながら人にも読んでもらえる文章の書き方」だと思いました。

さて、タイトルにある「自分史」。自分史というカテゴリーは、どんな範囲を言うものでしょう・・・。僕がこのブログで縷々書き続けている作文は、自分が考えたことや過去のエピソードなどを糸口にしています。考えてみれば、それは僕にとっての「自分史」の一部で、一断面。これを束ねれば、もしかすると自分史ができ上がるのかもしれません。

そうやって、僕がこれまで書いてきた作文を思い起こしました。これが「自分史」だとすれば、最も抜けているのは小学生の頃以前のことかもしれません。もう大昔のことで、記憶も薄れていますので、何も考えずに自然体で書いていればあたりまえです。

そんな考えから、今日は小学生の頃の思い出を絞り出してみることにしました。テーマは俗っぽく、「初恋」ってのはどうでしょう・・・?

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《あれが初恋、だったかも。・・・》 

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かつては単身7年間
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再び転勤、また単身
柴犬むすめと暫しの別れ
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