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サラリーマンの読書エッセイ

本を読んでふと何かを思うとき、徒然なるままに書く簡単書評とショートエッセイです。

8 7月

マインドフル・リーダーシップ/田口力5

昨年、田口さんの講義を聴く機会があり、彼の著書を読んでみたくなりました。
ビジネススキルより、心構えや態度といったものに軸足があるように思います。
田口さんは、親しみやすいおじさんでした。著書も田口さんらしい、いい本です。


taste:★★★★★

マインドフル・リーダーシップ
田口 力
KADOKAWA,中経出版
2015-09-11


田口力(2015)KADOKAWA

あなたは「1つのこと」に本当に集中できていますか
一日に何度もメールで仕事を中断されている/大量の仕事に忙殺され、ストレスが減らない/"情報が足りない"から、決断を先延ばしにする/先行きが不安で、目の前の仕事に集中できない
これらの問題の根幹は、実は同じです。本書で紹介する [意識を集中する=マインドフルにする] 習慣が、仕事を、人生を、大きく変えてくれるはずです。
(KODOKAWA単行本の表紙カバーより)

著者の田口さんは、様々な企業や団体からリーダーシップ研修を任された、リーダー育成の専門家です。昨年、会社の研修で田口さんの講義に参加する機会に恵まれました。その講義に共感を覚え、講義の中で紹介(宣伝?)のあった田口さんの著書を二冊、購入しました。一冊は『経営幹部 仕事の哲学』、そしてもう一冊がこの『マインドフル・リーダーシップ』です。

この本に書かれていることを一言で言えば、「目の前のことに集中して、自分の意識を最大限に活用して、心を開いて組織や部下と真摯に向き合いなさい」ということです。あたりまえと言えばあたりまえです。しかし、現実はなかなかそうはいかないものですよね。そんな現実に負けず、頑固にそんな「マインドフル」な姿勢を貫く人こそが真のリーダーになれるのである、というのが田口さんが説くリーダーシップ論の趣旨です。

僕は、リーダーが最も力を入れるべきものは、上下・左右のすべてにおいてのコミュニケーションだと思っています。意思の疎通ができてこそ、仕事は無駄なく効率的に進むものだと思いますし、そうやってチームの中の融合ができていれば、豊かな心が人に幸せをもたらすものだと考えています。おそらくそんな思いを明確に持つようになったのも、田口さんの講義を受講する機会があったからだと思います。

印象的な講義をしてくれた田口さん。著書も、わかりやすく明快なものでした。

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《典型的なコミュニケーション破綻の記憶・・・》 

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1 7月

羊と鋼の森/宮下奈都4

2015年の第154回直木賞候補作、そして2016年の第13回本屋大賞受賞作です。
心のままにピアノ調律師の世界に入り、そこで少しずつ成長していく青年の姿。
静かに流れるような作風が心を和ませる一方で、やや平坦な印象なのが残念です。


taste:★★★★☆

羊と鋼の森 (文春文庫)
宮下 奈都
文藝春秋
2018-02-09


宮下奈都(2015/2018)文春文庫

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。
(文春文庫 内容紹介)

かなり前から気になっていた小説です。文庫になっていたのを見つけて、ようやく読んでみることにしました。ピアノがテーマになっていることは知っていて、恩田陸の直木賞受賞作『蜜蜂と遠雷』のようなものを勝手にイメージしていたような気もします。読んでみると、主人公はピアノの調律師でした。あ、これはおもしろそう・・・と思いながら読み始めたら、久々に一気読みでした。

主人公・外村がピアノ調律師の世界に飛び込んだのは、初めて出会った調律師・板鳥さんが作り上げる音に、打たれるような感動を覚えたからでした。それまでピアノは弾いたこともなく、そして無論、調律したことなどありません。感動したその世界に入って自分もこれをやりたい、という一途な思いが、外村をピアノの世界にいざないました。

そんな始まり方のこの小説です。ここまで読んで、僕はこの小説が心温まる、魅力に溢れたお話に進展することに期待しました。はい、十分に期待に応えてくれました。色恋沙汰があるでもなく、ましてやサスペンス調の迫力はありません。ひたすら、外村が調律師として成長していく様子を、淡々と描いた作品です。心を込めた調律。弾く人それぞれが求める音。プロとして目指すもの。そしてラストは、何ということもないどこにでもあるシーンなのに、じ〜んと心を打たれるような静かな感動がわき上がりました。

一方で、ストーリーは全体に平坦で淡々としていて、もう少し抑揚があってもいいように思います。映画にもなっていて、今まさに公開中のようです。おそらく映画では、そのあたりがうまく脚色されているのではないかと期待するところがあります。是非、観てみたいですが、残念ながら近くの劇場ではやっていないんです・・・。

この小説の主題とも言える、好きな一文がありました。外村が調律師としての自信を無くしかけ、才能が足りない分を何で補えばいいのか、悩んでいる時の先輩調律師のことばです。

才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ。
(文春文庫第1刷 p.139)

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《好きこそものの・・・》

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24 6月

生きている会社、死んでいる会社/遠藤功5

 
これも新聞広告を見て飛びついた本です。大胆なタイトルに引き寄せられました。
「熱」を帯びていること。「理」を探求していること。「情」に満ち溢れていること。
「生きている会社」の条件は、小難しい理屈よりずっと納得感のあるものでした。


taste:★★★★★



遠藤功(2018)東洋経済新報社

4つの新陳代謝で会社は強くなる
 「事業」「業務」「組織」「人」  4つを新陳代謝する秘訣がわかる
 生きている会社の条件 「熱+理+情=利」の高め方を紹介
 実践すべき「10の基本原則」を具体的に解説
 課長、部長、経営者 「何をすべきか」を紹介
(東洋経済新報社 単行本の帯より)

特にこの本のようなビジネス書の場合、タイトルが売れ行きを大きく左右することになるかもしれません。僕は新聞広告でこの本を見つけ、タイトルに引き寄せられるように購入を決意しました。これが『新陳代謝で会社は強くなる』なんていうものだったら、そう簡単には手に入れようとは思わなかったかもしれません。

そしてその内容は、自らがタイトルで投げかけた問いに十分に答えるものでした。会社とは「経済体」であり「共同体」であり、そして「生命体」である―。「経済体」と「共同体」は、ごく自然に認識できているものです。この本の特徴は、3番目の「生命体」としての会社を語ることにあるでしょう。

見えないもの、測れないものが大事―。会社を「生き物」として活性化するには、その根源となる「生命体」としての力強さが不可欠。「生き物」である会社は、生命力に溢れていなければならない。本書の113ページに書かれているこんな考えが、この本の柱となるものだと思います。そして帯にもある通り、「生きている会社」の条件は、「熱」と「理」と「情」を持っていること。これこそが、会社の本質を見極めたとき、自ずと見えてくる「生きている会社の条件」であると、著者は熱く語ります。

実際の「生きている会社」、あるいは「死にかけたけど蘇生した会社」の事例も豊富に取り入れ、わかりやすくまとめられた快著です。納得のいくことが書かれたページの角を折りながら読んでいると、読み終えた時には本がボコボコになっていました。会社で少しでもマネジメントに関わる仕事をされる方には、その職種や役職・階層にかかわらず、それぞれに納得できる内容だと思います。

そうやってここ20年以上、会社のマネジメントばかりをあれこれ考える僕が、会社員ではない、いろんな仕事に携わる人に会って話す機会がありました。それは、中学校の同窓会です。生き方とか働き方とかいう「人生のマネジメント」という切り口で見ると、普段の生活ではあまり触れることのできない、とても興味深い飲み会でした。思ったよりおもしろかったので、それをネタに「続き」を書いてみることにしました・・・。

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《50代後半の同窓会にて・・・》 

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3 6月

戦略参謀の仕事/稲田将人5

 
新聞広告で見つけ、すぐに読んでみたくなってAmazonで手に入れました。
会社の経営陣に求められる思考スタイルが、わかりやすくまとめられたこの本、
読むほどに納得感の広がる名著だと思います。


taste:★★★★★



稲田将人(2018)ダイヤモンド社

参謀役は、嫌われ者や利己主義者には務まらない。
「火中の栗」は自ら拾え。
トヨタの実践力、マッキンゼーの戦略プランニング力を身につけた企業改革請負人が、次代のビジネスパーソンにおくる骨太なアドバイス。
(ダイヤモンド社単行本の帯より)

サブタイトルは「プロフェッショナル人材になる79のアドバイス」。その中で、著者が最も力を入れて主張するアドバイスは、「見える化」と「PDCA」です。強力なトップを擁し、トップダウン経営を信条とする会社もあります。経営トップに会社の全てが見渡せている場合は、それで会社は力を発揮します。しかし、多くの場合はそうはいかないもの。会社組織の中で上層部になればなるほど、現場で何が起きているのか、問題の根底に何があるのか、そんな真実が見えなくなるものです。

著者は、「上手に『見える化』を行うだけで、ほとんどの課題は解決する」と言いきっています。トレンドや分布などの実態が一目でわかるようにすること、それを起点とした計画的な戦略を策定して実行すること、そして状況や結果をフィードバックして計画をステアリングすること。このような仕事の原則が、ダイナミックに動ける会社経営の基本的な力になるということです。

帯に書かれている「トヨタの実践力」の根幹にあるのも、まさに「見える化」と「PDCA」だと僕は考えます。よく言われる「なぜなぜ分析」というのも、原因や根拠を「見える化」するための方法の一つでしょう。そして「PDCA」は、あらゆるシーンでの管理の基本です。実態を正しくつかんだ上でのアクションこそが、問題の解決、戦略成功へ向けた道しるべになります。

誰もが、頭の中ではそんな思考回路を回しているはずですし、もちろん僕の会社での仕事のスタイルも、少なからずそれに沿ったものです。それらを意識してより深く実行し、そして会社にますます浸透させることが、より明るい未来を切り拓くための原動力になるかもしれません。経営に関する「知識」よりも「術」に重きを置いたこの本、わが社でも上級管理職以上の「参謀」全員と共に読みたいと思わせるような、納得のいく名著だと思います。

さて、最近、街場でちょっと興味深い場面に遭遇しました。今では決して珍しいものでもありませんが、それを目の当たりにしたのは僕は初めてでした。なるほど、こんな仕事を企画・運営して、社会貢献に成功している会社があるんですねえ。世の中をよ〜く見える化して、試行錯誤のPDCAを繰り返した結果の成功に違いありません・・・。

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《幸せを運ぶ仕事・・・》 

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20 5月

0から学ぶ「日本史」講義 古代篇/出口治明3

 
「日本史」というものはない、日本史は世界史の一部、という持論の出口さん。
その出口さんが書いた、日本史を初歩から紐解いたような歴史書です。
特に中国とのつながりで、日本史の成り立ちをわかりやすく説明してくれます。


taste:★★★☆☆



出口治明(2018)文藝春秋

教養の達人がついに「日本史」に挑んだ―。
世界史についての著書で数々のベストセラーをものにした著者は、これまで「『日本史』というものはない」としばしば語ってきた。日本の歴史は世界とつながっており、そこだけ切り出すことはできないという考えだった。だが、「世界とつながっている、この地域の歴史」はある。「世界史の中での日本」を鮮やかに語り尽くす新講義、いま開講!
(文藝春秋 単行本の帯より)

この本は『古代篇』です。ということは、『中世篇』や『近代篇』も近々刊行予定なのかもしれません。

たとえば近代では、日本史を語るのにヨーロッパや米国の影響は避けて通れません。古代となれば、日本の歴史を形作る上での世界との関連は、中国や半島の文化の流入、あるいは政治的な影響がカギとなるでしょう。出口さんの「日本史というものはない」ということばも、そのように考えれば納得できます。

そのような日本の古代史を、改めて「ゼロから」掘り起こしたような著書です。関西弁風の親しみやすいことば遣いも織り交ぜています。出口さんは三重県の生まれのようですが、ああ、これは日本の古代史は今の関西地方が主な地盤となっていたことの表われでしょう。そんな工夫も凝らし、初心者でも入っていきやすい「日本史講義」を狙ったこのシリーズは、まだ『古代篇』だけ。続編にも期待します。

さて、今年のゴールデンウィーク。僕は女房と二人で、奈良から高野山、そして帰路で京都に立ち寄る「日本史探訪」の旅に出ました。お目当ては、僕は奈良の平城宮跡とその周辺の古墳群、女房は興福寺と高野山散策です。近いようでかなりの広範囲になった今回の旅。自分たちの「足」と合せて、役に立ってくれた移動手段は「バス」でした。僕は通常、バスの利用はあまり得意ではないのですが・・・。

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《バスに、ありがとう。・・・》 

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かつては単身7年間
解消してから3年半で
再び転勤、また単身
柴犬むすめと暫しの別れ
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