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サラリーマンの読書エッセイ

本を読んでふと何かを思うとき、徒然なるままに書く簡単書評とショートエッセイです。

24 7月

至高の音楽/百田尚樹5

 
百田尚樹の趣味のエッセイです。百田さん、クラシックマニアなんですね。
しかし、内容は決してマニアックではありませんし、純粋にエッセイとしても楽しめます。
サブタイトルは『クラシック「永遠の名曲」の愉しみ方』。はい、その気になります・・・。


taste:★★★★★

至高の音楽 (PHP新書)
百田 尚樹
PHP研究所
2015-12-16


百田尚樹(2013/2016)PHP新書

「その時は不意に訪れた。それまで幾度聴いても何も感じなかった私の心に、突然、すさまじい感動が舞い降りてきたのだ。『なんや、これは!』と思った。」(第1曲「エロイカ」より) 19歳のときにクラシックに覚醒して以来、40年毎日クラシックを聴き続けている小説家が、真の天才たちが命を削って書いた大傑作の凄さを語る。「完璧な音楽」と語る『平均律クラヴィーア曲集(バッハ)や、「文学は音楽に敵わない」と思わせる瞬間がある「第五交響曲(ベートーヴェン)」、『永遠の0』のエピローグ執筆時に聴いた曲など、初心者もマニアも愉しんでもらいたい名曲案内。
(PHP新書 内容紹介)

さすがに、一流の小説家が書いたエッセイです。この内容紹介の冒頭(本文よりの抜粋)なんて、まさに読んでその気にさせるような表現力。おそらく本当に、百田さんは『エロイカ』を初めて聴いた時にそんな感動を覚えたのでしょう。それを、このようなダイレクトな文章で表現できるあたりが、プロのエンターテインメント作家たる所以だと思います。

読者の心に直接訴えかけるようなこんな表現が、本書の至るところに散りばめられています。時々クラシックを聴く僕は、知っている曲はまた聴きたくなりましたし、知らない曲はどうにかして聴いてみたいと思いました。最初に紹介されているのがベートーヴェンの第三交響曲『エロイカ』、そして最後に紹介されるのが同じくベートーヴェンの『ヴァイオリン協奏曲』。いずれも僕が大好きな曲です。そうだ、この曲はやっぱりすばらしい曲なのだ! という納得感。知らない曲は、例えば5番目に紹介されている、ショパンの『十二の練習曲集』。それこそ「なんや、これは!」と言いたくなるような曲名ながら、実はこれはショパンの最高傑作と呼ぶにふさわしい名曲なのだとか。「ショパンが持てる演奏技巧と音楽性のすべてを注ぎ込んで作った」「すべてが宝石のような十二曲」なのだそうです。う〜ん、聴いてみたい・・・。

そんな「納得」や「気づき」を随所で与えてくれる、実に興味深いエッセイでした。この本を読んでから2週間の間に、7番目に紹介されているモーツァルトの歌劇『魔笛』のDVD、そして本書に紹介はありませんが、手持ちのないベートーヴェンの第四交響曲・第六交響曲『田園』・第八交響曲のCDを買ってしまいました。

最初に紹介されている、ベートーヴァンの第三交響曲『エロイカ』、日本語名では『英雄』。僕も、学校の音楽の授業で聞きかじるものではなく、自分の意思で初めて聴いたクラシックがこれでした。たまたま、百田さんと同じようなクラシックとの出会いです。確かにこの曲、初めて聴いた時に、ひたすら「これはすごい・・・!」と思った名曲です。最近、またハマってます・・・。

ベートーヴェン:交響曲第3番
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2005-11-16

バーンスタインの指揮するオーケストラは、楽団が比較的小規模なのでしょうか。
一つ一つの楽器が細やかに丁寧に表現されていて、好きなんです。


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《『エロイカ』との出会い、そして今・・・》 

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10 7月

フリーター、家を買う。/有川浩4

 
阪急電車』がいい小説だったので、有川さんの作品をもっと読みたくなりました。
はい、これも若者の心の成長を見事に描いた、心に沁みるすばらしいお話です。
内容紹介によると「ベストセラー」。納得できます。読んでみてよかったです。


taste:★★★★☆



有川浩(2009/2012)幻冬舎文庫

就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気儘に親の臑(すね)を齧って暮らす”甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って? やり甲斐って? 自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長篇小説。
(幻冬舎文庫 内容紹介)

著者は、単行本版のあとがきに、「書きやすいお話だった」とコメントしています。依頼から原稿の納入まで、二か月を切っていたとのこと。確かに、ストーリーは比較的単純で、先が容易に想像できる展開です。それでも、この小説には力があります。母親を襲った心の病。それを理解しない父親との確執。自堕落で甘ったれだった主人公・誠司を取り巻くそんな背景に、世の中の現実が深く影を落とします。そんなところが、この小説の読みごたえを作り出しているしているように思います。

この小説は、2010年にドラマ化されたそうです。僕はこの小説の存在を知りませんでしたし、無論ドラマも見ていません。単行本の刊行が2009年、文庫化が2012年ですので、ずいぶん早いペースで世に知れ渡った作品であることがわかります。遅まきながらも読んでみれば、そんなベストセラー小説であることが納得できる、心に沁みるお話でした。

僕は、家を買ってからもうすぐ20年になります。その間、淡々とローンを返済してきました。気づいてみれば、もう55歳。そろそろ老後のことも、真剣に考えなければならない年齢になりました。過去も未来も、家族と暮らす喜びを大切にしたい・・・。最近、ふとしたことからそんな思いを新たにしました。少しこの小説と重なるような気もします。

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《サラリーマン、家を買う。・・・》 

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26 6月

阪急電車/有川浩5

 
どこの書店でも長く平積みなのが気になっていたこの小説、ようやく読みました。
もっと早く読めばよかったです。人の心を見事に描写した、すばらしいお話です。
文庫になってからもう6年。早くに映画にもなっていたようです。


taste:★★★★★

阪急電車 (幻冬舎文庫)
有川 浩
幻冬舎
2010-08-05


有川浩(2008/2010)幻冬舎文庫

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった・・・。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車― 人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
(幻冬舎文庫 内容紹介)

この小説の内容や魅力をコンパクトにまとめた、実にいい内容紹介だと思います。出会いあり。別れあり。人間関係での疲れもあり。そんな、悲喜こもごもの人生の断面に、たまたま電車で居合わせた人々との心の通い合い。ほっこり、胸キュン・・・。まさにそんな表現がぴったりの、心温まる小説です。内容紹介には「長篇小説」とありますが、僕はこれ、連作短篇小説だと思います。

たまたま居合わせた人との間で、コミュニケーションは簡単には発生しないものです。多くの場合、できれば他人のことには構わないで過ごした方が楽なものでしょう・・・。そんな殺伐とした空気に、この小説は温かさの一石を投じます。阪急今津線の、西宮北口〜宝塚、わずか8駅の間で互いに感じ取り、そして触れあう心と心。そこには他人と触れ合う「やさしさ」があり、また他人と触れ合う「勇気」があります。

そう、他人と触れ合うには「勇気」も必要だと思います。そんな心の障壁を乗り越え、人の喜びや辛さと自分の心が共鳴できた時、人はそれを「やさしさ」と呼ぶのかもしれません・・・。そんなことを考えさせてくれる、すばらしい小説でした。既に映画にもなっていて、『阪急電車 片道15分の奇跡』として2011年に公開されたそうです。テレビでやってくれたら、はい、これは絶対に観たいです。

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《勇気とやさしさの顛末・・・》 

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19 6月

ひとり飲む、京都/太田和彦4

 
本業はデザイナーという著者が、京都での飲み歩きをエッセイにした作品です。
京都には、歴史ある居酒屋や喫茶店、そしてうどん屋がたくさんあるようです。
夏と冬、それぞれ一週間ずつ滞在してののんびり紀行。やってみたいです・・・。


taste:★★★★☆

ひとり飲む、京都 (新潮文庫)
太田 和彦
新潮社
2016-03-27


太田和彦(2011/2016)新潮文庫

至福のとき、この店に私が座っていることは誰も知らない―。日常の慌ただしさから身をかわし、京都に降り立つ。ホテルの居心地を整えたら逗留の始まりだ。朝は珈琲、昼はうどんや定食。そして夜はきりりとした居酒屋で旬の肴に舌鼓を打つ。日本酒と人情にほろ酔いになった頃、味わいあるバーに足を向ける。夏と冬、1週間ずつの都暮らし。男女ともに楽しめる達人流・美酒滞在記。
(新潮文庫 内容紹介)

こんなの、いいですね〜。仕事に埋没した20代。家族と共に人生を築いてきた30代から40代。そして50代も中盤にさしかかった今、こんな余裕のある楽しみ方に、ふとした憧れを感じます。多かれ少なかれ、人はこれくらいの年齢になると、目に見える具体的なものを求めることなく、自分の好きなことを楽しみながらゆっくりと流れる時を味わう、そんな至福のひと時を求めるようになるのかもしれません。

たまたま足を運んだ書店で平積みになっていました。内容紹介を見て、何も考えることなく自然に手が伸びました。こんなの、やってみたい―。仕事ではまだまだ現役の僕は、なかなかそんな時間が取れないことはわかっていますし、家族との時間が優先されるのも当然です。

もう少し年齢を重ねて、時間的にも精神的にももう少し余裕ができたら、こんなゆったりとした旅をしてみるのもいいかもしれません。僕だったら、京都じゃなくて奈良かな。いや、温泉があった方がいいから、やっぱり北海道かな。去年の夏に一泊した釧路は、炉端焼きの風情がよかったな、なんて。

今は長旅は叶いません。だからこそ、僕は今の単身生活をそれなりに潤いのあるものにしようと、あれこれ試みます。ひとりで飲みに行くことはあまりしません。むしろ、部屋でひとりでゆっくりと、おいしいお酒を飲むのが楽しみです。週末には時々、見様見まねで料理をしてみます。うまくできた時には、ますますお酒がおいしく飲めます。

これから先の人生、あらゆる意味で余裕を持ちたいものです。飲み歩きや食べ歩きに限らず、中高年にそんな「ゆとり」を提案してくれるエッセイでした。

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《ひとり飲む、少しだけ・・・》 

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かつては単身7年間
解消してから3年半で
再び転勤、また単身
柴犬むすめと暫しの別れ
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