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サラリーマンの読書エッセイ

本を読んでふと何かを思うとき、徒然なるままに書く簡単書評とショートエッセイです。

28 8月

読ませる自分史の書き方/工藤美代子3

 
作文を書くというちょっとヘンな趣味を持つ僕にとって、納得できる本でした。
「自分史」なるものを土俵にすれば、いわゆるハウツー本に類するかもしれません。
でも、自分史に限らず、人に読んでもらうには一定のスタイルが必要ですよね。


taste:★★★☆☆



工藤美代子(/2016)幻冬舎新書

読みたい人より、書きたい人が多い時代である。なかでも自分史ブームは止まるところを知らない。誰もが手軽に書き始められる「自分史」を、どうしたら自己満足に終わらない、読み手を唸らせる作品にまで仕上げることができるか。実は「売れる」作品として商業出版で流通させることはそう難しくはない。読ませるポイントや、決してやってはいけないことなど、執筆の肝を、第一線のノンフィクション作家が具体的に伝授。自分史入門の決定版!
(幻冬舎新書 内容紹介)

「自分史ブームは止まるところを知らない」という表現に、とても違和感を覚えます。ええ〜っ、それ、ホントですか!? なんて、突っ込みを入れたくなりますよねえ・・・。

僕のこのブログには、毎日数十人の方が来てくれています。そうやって不特定多数の方々に読んでもらっている以上、不快に感じてもらいたくはありませんし、できればおもしろいと思っていただきたいものです。決して「自分史」に限るものではなく、そんなことを考える人には、外部の人に読んでもらう文章に求められる一定のスタイルやマナー、そしてある意味での「コツ」を確認する意義は大きいものだと思います。

作文は一種のモノ作りです。自分の思うことを人に伝えるためには、読みやすくて理解されやすい文章を組み立てることが必要です。そして一方で、僕は作文に、自分の思いを引き出す効果があると思っています。過去の思い出や、その時々の悩みを文章にして書くことは、当時は自分の中に隠れていた意識を呼び起こすことがありますし、新たな考えや解決法を思い付くこともあります。こんなカウンセリングのような効果も期待しつつ、僕は作文を楽しんでいます。

そんなことを考えると、僕がこの本から読み取ったものは、「『自分史』を例に取った、自分を見つめながら人にも読んでもらえる文章の書き方」だと思いました。

さて、タイトルにある「自分史」。自分史というカテゴリーは、どんな範囲を言うものでしょう・・・。僕がこのブログで縷々書き続けている作文は、自分が考えたことや過去のエピソードなどを糸口にしています。考えてみれば、それは僕にとっての「自分史」の一部で、一断面。これを束ねれば、もしかすると自分史ができ上がるのかもしれません。

そうやって、僕がこれまで書いてきた作文を思い起こしました。これが「自分史」だとすれば、最も抜けているのは小学生の頃以前のことかもしれません。もう大昔のことで、記憶も薄れていますので、何も考えずに自然体で書いていればあたりまえです。

そんな考えから、今日は小学生の頃の思い出を絞り出してみることにしました。テーマは俗っぽく、「初恋」ってのはどうでしょう・・・?

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《あれが初恋、だったかも。・・・》 

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21 8月

空飛ぶ広報室/有川浩5

 
不慮の事故で、ブルーインパルスの夢を断たれた若き航空自衛隊員。
配転となった広報室で、自衛隊が突きつけられた現実を目の当たりにし・・・。
事実、自衛隊にはそんな宿命があることでしょう。涙モノの感動作です。


taste:★★★★★



有川浩(2012/2016)幻冬舎文庫

不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い・・・。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・サ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。
(幻冬舎文庫 内容紹介)

広報室で待ち受けていたクセのある先輩たちが、主人公・空井大祐を取り巻く脇役として、自衛隊が突きつけられた現実を描写するのに重要な役目を演じます。そして、その脇役たちの中で最も重要な「語り部」的な存在が、美人TVディレクターの稲葉リカです。彼女の自衛隊に対する偏見が大きく変化していく心を通じて描かれる、自衛隊が直面する社会的な現実。それがこの小説の大きな柱であり、また彼女が「美人」であることも、その柱を更に太くしているような気がします。

航空自衛隊に、ブルーインパルスのパイロットという夢を抱いて入隊した空井大祐。その夢は、不慮の事故により実現する目前で絶たれます。そんな経歴を持つからこそ、彼は広報室という未知の職場で冷静な目を持つことができ、社会に映っている自衛隊の像が見えてきました。当初はそんな「社会」を代表するような言動を繰り返した美人、稲葉リカ。空自を「空軍」と呼び、戦闘機を「人殺しの機械」と明言してはばからず。そんな彼女に対して空井が怒りをぶつけるところから、この小説は始まります。

実際、自衛隊でこの「広報室」に相当する部署は、日本国民への窓口として重要な任務を負っているものと思われます。何せ、自衛隊は設置以来、その存在自体に様々な意見があるものですし、足下でもその役割は、国際政治上の焦点として取り沙汰されます。だからこそ、自衛隊の任務や気概を広くPRすることは、一般企業の広報部門とはその意味合いが微妙に(あるいは、むしろ大きく)異なるものと思われます。

興味深い小説です。ちょっと調べてみると、有川さんはデビューから3作続けて、「自衛隊三部作」と称される作品を書いているんですね。その後の作品の印象からすればちょっと意外ながら、自衛隊をテーマにしたものは、得意な分野のようです。そして、デビューから10年弱の後に書かれたこの『空飛ぶ広報室』。自衛隊の実態に深く切り込んだ力作であると同時に、泣けて笑えるエンターテインメント性も十分に持った名作だと思います。

さて、かつて浅田次郎の『歩兵の本領』を読んだ時、以前に自衛隊の人と実際に接した時のことを思い出しました。今回、この『空飛ぶ広報室』を読んだ後にも同じような思いを持ち、改めてその時の自衛隊の人たちとの会話を思い出した次第です。同じネタながら、その時のことをもう少し詳しく書いてみたいと思います・・・。

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《距離のある異業種・・・》 

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7 8月

植物図鑑/有川浩5

 
最近、有川さんの小説をいくつか読みました。どれもほのぼのして、好きです。
この『植物図鑑』も、微笑ましい恋愛小説でした(決して図鑑ではありません)。
映画になって、ただいま大ヒット上映中(7/23〜)、とのこと。納得です。


taste:★★★★★

植物図鑑 (幻冬舎文庫)
有川 浩
幻冬舎
2013-01-11


有川浩(2009/2013)幻冬舎文庫

お嬢さん、よかったら僕を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹(イツキ)という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)”道草”恋愛小説。レシピ付き。
(幻冬舎文庫 内容紹介)

OLの「河野さやか」が酔っ払って帰宅すると、アパート前の植え込みにうずくまる若いイケメンが・・・。これが、行き倒れて寝ていた「樹(イツキ)」でした。つい、拾って家に入れてしまった樹は、植物のことを完璧に知っている「植物オタク」である上、普通は雑草に分類されるような空地や路傍の草も、見事な料理に変えてしまう天才的な料理家でもありました。自然、その同居生活は、恋に発展します。そしてその顛末は・・・。

全篇に流れる、やさしくほのぼのとしたタッチが、有川さん独特の雰囲気を作ります。週末に二人で「狩り」をして食べられる草を集め、独特のレシピで料理して美味しく食べる。物語の媒体に、そんな「植物」と「料理」を使い、純真でかわいい、若い二人の恋に、ぐいぐいと引き込まれるような仕上りになっています。いろんな面で楽しめる、魅力的なお話でした。僕はこれ、好きです。

映画でも、そんな魅力が十分に引き出せていることでしょう。是非、観てみたいと思いますが、残念、僕の近所ではもうすぐ上映期間が終わります・・・。

こんな、自然の植物を中心にした食事は、からだにもいいことでしょう。この小説でも、さやかがいつしか体重が減っていることを認識する場面がありました。古くから、植物が持つ自然の力を利用してきたのは漢方薬。それにも、納得できるような気がします。

僕は幼い頃、ハトムギのエキスを使った「ヨクイニン」という漢方薬に、大きな悩みを解決してもらった経験があります。この薬、最近テレビのCMで偶然見かけました。今でも効果のある漢方薬として、売れているんですね。なんだか嬉しくなりました。
(決して、宣伝目的ではありません。念のため。)

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《若き日の鼻クソの悩み・・・》 

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31 7月

超高速! 参勤交代 リターンズ/土橋章宏5

 
傑作『超高速! 参勤交代』の続編です。前回は「参勤」、今度は帰りの「交代」。
前作で、「5日で参勤」の難題をやり遂げた湯長谷藩、帰国時にまたも試練が・・・。
これもおもしろいです。前作よりもやや固いところも出てきて、深みが増したかな。


taste:★★★★★



土橋章宏(2015/2016)講談社文庫

「5日で参勤」の難題をやりきり、命じた老中の顔を潰した湯長谷藩の面々はのんびり帰路につくはずだった。そこへ老中が国許へ2日で戻り、さらに江戸城天守閣再建の沙汰を下す。絶体絶命の窮地に陥った藩主らは知恵を絞る。巨悪と対峙する痛快時代エンターテインメント。
(講談社文庫 内容紹介)

2日で国許へ戻る方法は、前作を読んでいればおよそ想像がつきます。今回はそれに、江戸城天守閣再建という超難題が加わり、お金のない湯長谷藩がこれにどう対応するのかが見ものです。無論、まともに再建の普請を行うことなどできません。なるほど、湯長谷藩はそこで「正式な沙汰を下させない」という策を講じます。その方法は・・・。笑えます。

知恵を絞り勇気を持てば、この世にできないことはない・・・。そんなことを教えてくれそうな小説です。前作『超高速! 参勤交代』より、難題は更に難題になりました。人の目をごまかし、色仕掛けも使う。そんな知恵を働かせながら、味方を増やして真っ向からの対決も。笑いあり、ふとした感傷もあり。最後は立派な勧善懲悪ものに仕上がった、実におもしろい作品でした。

さて、前作を読んだ時、僕は千葉の自宅に極力早く帰り着く方法について考えました。今回はやっぱり、千葉の自宅から北海道の職場に最速で戻る方法、に頭が飛んだ次第であります・・・。

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《考えました、「高速リターン」。・・・》 

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かつては単身7年間
解消してから3年半で
再び転勤、また単身
柴犬むすめと暫しの別れ
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