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サラリーマンの読書エッセイ

本を読んでふと何かを思うとき、徒然なるままに書く簡単書評とショートエッセイです。

15 1月

仇敵/池井戸潤4

池井戸さんの、少し古い作品です。今ほど著名ではなかった頃かもしれません。
だからでしょうか、企業の不正や力関係が題材の比較的シンプルな構成です。
過去には、企業内にはこんな歪みが埋もれていたのかもしれませんねえ・・・。


taste:★★★★☆

仇敵 (講談社文庫)
池井戸 潤
講談社
2006-01-15


池井戸潤(2003/2006)講談社文庫

エリートバンカーの恋窪商太郎は、いわれなき罪を着せられ東都首都銀行を辞職、地方銀行の庶務行員となって静かな日々を過ごしていた― 元同僚・桜井からの電話に出るまでは。その翌日知らされた、桜井の死。一体何をつかんだのか。忘れたはずの過去が蘇り、恋窪はやり遂げられなかったあの男への復讐を誓う。
(講談社文庫 内容紹介)

社内のトップ層の不正をつかんでしまった者が、上層部の陰謀で消される―。サスペンス小説やドラマでよくある設定です。銀行を舞台にしたこの小説も、まさにそんな「よくある設定」で、複雑怪奇に入り組んでいたり、手の込んだ裏があったりするような、驚くようなストーリー展開ではありません。しかしそれだけに、憎むべき相手を素直に憎み、正義を行う主人公を素直に応援できる、純粋に楽しめる作品でした。

命を狙われるというのは小説の中でのお話とはいえ、日本の産業界や経済界にも、かつて大企業には、こんな類の不正めいた行為や、個人を取り巻く力関係があったのかもしれません。今の日本は、企業は社会的責任として、コンプライアンスを重要視する経営が当然の世の中になっています。それでもまだ、時々ポロポロと明るみに出てくる粉飾や改ざん、あるいは社員の執務環境などの問題は、そんな風潮から盲点のように取り残された、一部の「刃こぼれ」のようなものでしょうか・・・。

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《時代は変わった・・・》 

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8 1月

図書館戦争/有川浩2

有川さん得意の自衛隊とドタバタ劇を合体したような、不可思議な小説です。
おもしろいお話ではありますが、背景があまりに非現実的で、僕はダメでした・・・。
シリーズでコミックになっているようです。この小説はその方が合ってるかな。


taste:★★☆☆☆



有川浩(2006/2011)角川文庫

2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る”王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特別部隊に配属されることになったが・・・!? 番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート!
(角川文庫 内容紹介)

さて、このAmazonの画像、なぜ裏表紙の絵なのでしょう・・・?
(クリックしていただければ、Amazonのサイトで表紙の画像がご覧になれます。)

物語の概略は、この内容紹介の通りです。基本的には恋愛小説なのかもしれません。主人公・笠原郁のキャラや、彼女が教官の堂上篤に向けた仄かな恋心、そして対抗するエリート同僚・手塚光との確執など、人間関係のおもしろさが散りばめられています。しかしながら、「行き過ぎた検閲から本を守る」ことを目的として、図書館を防衛するために武器を用いた戦争を繰り広げる、という設定は、いかに想像力豊かであろうとも、どうにも小説として僕は受け入れられませんでした。

ただ、世代によっては広く受け入れられている小説のようです。この『図書館戦争』以降、シリーズは全部で6巻が刊行されていて、有川さんが大ブレークするきっかけとなっています。「花とゆめCOMICS」からコミック版としても全15巻が出版されています。はい、確かに、これはコミックにぴったりのエンターテインメントかもしれません。

一方で、本を守る、図書館を守る、という発想は、読書の楽しみや図書館の意義をからだで理解した人こそが生み出せる考えだと思います。そんな気持ちや思想を、世の若い世代に理解してもらいたい・・・。有川さんはそんな思いで、この小説を執筆したのかもしれません。

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《「図書館」つれづれ・・・》 

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25 12月

糖尿病バランスレシピ/今泉久美・【監修】女子栄養大学栄養クリニック5

やや「番外」的ながら、今年の僕を象徴する本として紹介させていただきます。
糖尿病と診断された人向けに、簡単で低カロリーな食事のレシピが豊富です。
それもさることながら、僕には第1章「糖尿病の基礎知識」が大いに役立ちました。


taste:★★★★★



【監修】女子栄養大学栄養クリニック(2012)西東社

女子栄養大学栄養クリニックとは?
栄養学の研究で知られる女子栄養大学構内に併設されているクリニック。糖尿病をはじめ、高血圧や肥満などの生活習慣病の予防・改善指導を行っている。定期的に行われているヘルシーダイエット講座は、無理なく長続きできる食事指導で、糖尿病や糖尿病予備軍の人からの人気が高い。
本書は、そのノウハウをわかりやくすまとめた一冊です。
(表紙カバーのコメントより)

このブログで何度も取り上げた通り、僕は今年の夏に糖尿病の太鼓判を押されました。決してすぐに命にかかわるような状況ではないとはいえ、このまま放っておけば、悲しい老後を送らなければならなくなる可能性もあります。ならば食事を改善して、今のうちに一気に数値を元に戻してやろう、と一念発起。女房が買ってきたこの本を、単身で暮らす北海道にも装備して、一人で糖尿病対策に取り組んだ次第です。

冒頭にも書いた通り、第1章「糖尿病の基礎知識」が貴重でした。なぜ糖尿病になるのか。僕の何が悪かったのか。悪化すると何が起きるのか・・・。そんなことが、わかりやすく具体的に書かれています。そして何より、これからの食生活改善に向けて、どんな食材を一日にどれくらい食べるべきなのか、その考え方が明確に示されているのが大いに助かりました。そのあたり、さすがは女子栄養大学です。レシピも参考にはしましたが、指南通りにバランスよく食材を使うことを考えれば、料理のレパートリーは限られていてもかまいませんよね。どうせ食べるのは僕一人ですので。

驚いたことに成果はすぐに現れ、血液検査の値は3か月後には回復しました。そしてまた、体重が今年春のピークから10kgも減ったのは驚きです(ここまでは期待していなかったのですが)。いや〜、やればできるものです。いったい僕は、これまで何をしてきたのだろう・・・。そんな反省もしきり。

サプリメントや化粧品のコマーシャルでよく見るように、これは個人の感想です。この本を読んだからといって、すべての人に同じ効果が得られるものではありません。ダイエットに最も必要なものは、危機感とやる気、そして食の知識だと思いました。そんな行動を支えるものとして、この本は僕にとって、今年を象徴する書籍になりました。

そんなことがあった今年も、もう終わります。結果的に、いい年でした。何でもいいです。来年も、何か進歩のある年になるといいな。

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《死ぬ気で十年・・・》 

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11 12月

風花帖/葉室麟4

僕の故郷・小倉を舞台にして、藩の騒動に恋が絡む内容の濃い時代小説です。
男女の心と人情、そして藩に渦巻くお家騒動。葉室さん得意のパターンですね。
それでも飽きさせないのは見事です。今回もじっくり、堪能できました。


taste:★★★★☆

風花帖 (朝日文庫)
葉室麟
朝日新聞出版
2016-10-07


葉室麟(2014/2016)朝日文庫

小倉藩勘定方の印南新六は、生涯をかけて守ると誓った女性・吉乃のため、意に染まぬ刺客として藩の騒動に巻き込まれてゆく―。互いに想いを交わしながらも別々の道を選ぶことしかできなかった男と女の哀情を描く、感動の傑作時代小説。
(朝日文庫 内容紹介)

19世紀の初め、小倉藩(あるいは、僕らは「小笠原藩」と言いました)を二分する派閥闘争、「白黒騒動」というの実際にあったようです。「白」は小倉城にとどまった「しろ」一派、「黒」は小笠原家の政治に抵抗して、現在の八幡西区の黒崎に籠った「くろ」一派。この抗争自体は、どうやら「くろ」有利の形で終わったようです。

この小説の趣旨は、そこではありません。過去に想いを交わした、今となっては人妻である吉乃を救うため、旧来の主君である小笠原家本流から寝返った形で刺客となった印南新六。家臣としての自分の立場、そして自らの命より、一人の女性のためを思う新六の一途な恋心と人情が、この小説の肝となるところです。

最近読んだ『紫匂う』に少し似た構成です。葉室さんの作品には、他にも藩の抗争と男女の恋が絡んだものがたくさんあります。これが葉室さんのパターンと言えばパターンではありますが、どれを読んでもワンパターンを感じさせず、都度新鮮な読後感を持てるのは不思議です。いや、ただ単に、僕の好きなパターンなだけかもしれませんが・・・。

好きなくだりがありました。吉乃の夫・源太郎が、新六が吉乃に寄せる一途な想いに心を動かされ、しみじみと考える場面です。少し長くなりますが引用します。

印南殿は吉乃に懸想しているのではないか
そう思うと納得のいくことばかりだ。しかし、なぜか腹は立たない。
寡黙で容姿も地味な新六はおよそ恋など縁がなさそうだからだ。仮に吉乃に想いをかけていたとしても、それは新六の胸の中だけに留まるに違いない。それなのに吉乃の夫である自分をかばおうとするのは、どうしたことなのだろう。
ひとはそれほどまでに、誰かに想いをかけることができるのだろうか。
自分は吉乃を妻として、そして千代太の母としていとおしんではいるが、自らを顧みることもなく尽くすということはないだろう。(中略)
わたしは印南殿のようには生きられない
源太郎は唇を噛んだ。

(朝日文庫版第一刷 216P)

自らを顧みることもなく、一人の女性に心の底から尽くす新六。決して「不倫」とか「色恋沙汰」とかいう下世話な話ではなく、人としてのそんな純粋な心に、美しいものを感じます。はい、葉室さん、これも新鮮に響くいい作品でした。ありがとうございました。

さて、この小説のタイトルは『風花帖』。「かざはなじょう」と読みます。新六が切腹して果てた場面で、白い雪が花のように舞っていた風景に由来することばです。当然、ワープロで一発変換とはいきません。「かぜ」「はな」「じょう」と、ばらばらに打ってようやく「風花帖」ができ上がりました。

この変換から、僕は最近の自分の「風邪」と「鼻」を連想してしまったんです。
すみません・・・。

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《健康は開き直りで50代・・・》 

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かつては単身7年間
解消してから3年半で
再び転勤、また単身
柴犬むすめと暫しの別れ
これぞ日本のサラリーマン

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