重松清(2002/2005)講談社文庫

かつて単行本で読んだこの小説をもう一度読みたくて、文庫を購入しました。
そして今度も泣きました。世の父親・母親のみなさんにオススメしたい一冊です。

流星ワゴン

taste:★★★★★
【2005.7.1】

元来ノーテンキな僕でも、後悔はいくらでもある。しかしやり直しはできないし、たとえやり直せても別の現実はもっとひどいかもしれない。だったら後悔するより、現実を起点にして明るい未来を考える方がずっと楽しいではないか。そうやって自分の人生をハッピーエンドに導きたいと、僕は常々思う。

過去の「分岐点」に戻ってみても、結局一雄は現実を変えることはできなかった。しかし彼は、現実を受け入れ、未来へ向かって戦う勇気を橋本さん親子から授かった。僕はこの小説のそんな展開が大好きだ。家を掃除したり、美代子の手を握ってみたり、という日常の小さなことから立ち直りのきっかけをつかむラストに、痛く感動するのである。

残念ながら、命を落とした橋本さん親子には未来はない。それでも、健太くんは見えない未来に幸せを求めて「成仏」の道を選ぶ。彼が事故現場から霧の中へ去っていくシーンは、今回も涙なしには読めなかった。