東京都福生市にあるカフェバーさんペンの輪にまつわる話「さんペンの輪物語」と シナリオ「男はつらいよ」番外編『少年・寅次郎ものがたり』 さんペンの輪マスターshinが綴ります

35 同・校内

  寅、同級生数人とフザケ合いながら下校してくる。

  校門に差しかかったとき、

熊男の声「おい!腰抜け寅!!」

寅 「なにっ!!(と、声の方に顔を向ける)」

  熊男がいる。

寅 「なんだ、熊男じゃねえか。お前、今なんて言った!もういっぺん言ってみろ!!」

熊男「おお、何べんでも言ってやる。この、腰抜け寅!!」

寅 「(激昂して)このぉー、おれのどこが腰抜けなんだ!コノヤロー!!ふざけたことぬかすと、タダじゃすまないぞ!!」

熊男「(ナメきった態度で)だってお前、戦争が怖いんだろう」

寅 「なに!おれがいつ戦争が怖いと言った、ええっ!」

熊男「華子先生の授業の時、どっかの国が日本を攻めてきたら、お前は屁をこいて逃げると言ったじゃないか!」

寅 「逃げる?おれが逃げるだと!?お前な、いったい誰に向かって口聞いてるんだ。ま、お前は転校してきてから、まだ日が浅いから知らねえかもしらんが、この寅次郎様はな、ダンゴ屋の寅と言って、葛飾じゃ、ちっとは知られた顔なんだぜ。少しばかり図体がデケェからといって、調子にのってると、お前、明日から二本足で歩けなくなるぞ!」

寅、めいっぱい凄む。

熊男「フン、ダンゴ屋の寅だかイモ屋の寅だか知らないが、きょうの貴様の非国

民的発言は許せねえ!」

寅 「コノヤロー!調子にのりやがって!!許せねえのはこっちの方だ!!」

  寅、カバンをそばの生徒に放り投げ、憤然と熊男に突進していく。

  寅の手が熊男の身体に触れようとしたその瞬間、熊男の足払いが見事に決まる。

  どてんとひっくり返る寅。

寅 「痛えッ!(顔を歪めて)お、お前、柔道やってるな、チクショー、そうならそうと先に言っとけ!きたねえ真似しやがって!よおし、そんなら、こっちにもやり方があるわ!」

  寅、履いていた下駄を脱ぎ、両手に構えて立ち上がる。

  と、そこへ・・・

散歩の声「君たち、何をやってるんだ!」

  自転車で通りかかった散歩先生。

散歩「なんだ、寅次郎に熊男じゃないか。おい、寅次郎、転校生いじめとはお前らしくないな」

寅 「ち、違うよ、先生。最初に言いがかりをつけてきたのはこいつなんだぜ。ああ、いてぇー(と、尻を撫でる)」

散歩「いずれにしても、ケンカはいかん、ケンカは・・・。よし、寅次郎、君は先に帰リたまえ。先生はちょっと熊男に話があるから・・・」

  寅、憤激おさまらずという表情。しかし、散歩先生の出現とあって・・・。

寅 「やい、熊!きょうのところは二本足で帰してやる。散歩先生によーくお礼を言っとけ!」

  と、捨てゼリフを残し、見守っていた生徒たちと引き上げる。

  寅、足払いをくったところが痛みだしたのか、大きく足を引きずっている。

  熊男、それをニヤニヤしながら見送る。

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