東京都福生市にあるカフェバーさんペンの輪にまつわる話「さんペンの輪物語」と シナリオ「男はつらいよ」番外編『少年・寅次郎ものがたり』 さんペンの輪マスターshinが綴ります

48 江戸川・土手

  登校中の生徒たちの列。

  その間を、はずんだ足どりの寅が駆け抜けていく。

 

49 中学校・校庭

  昼休み・・・。

  校庭のグランドで男子生徒たちが三角ベースボールを楽しんでいる。

  寅がバッターボックスに立つところである。

  寅、上着を脱ぎ、手に唾を付け、バットを2、3回ブルンブルンと振り回し、

寅 「ヘーイ、外野バック、バック!」

と、大声で叫びながらバッターボックスに立つ。

小さな目をめいっぱい広げて、ピッチャーを睨みつける。

そこへ、ズバッと好球が飛んでくる。

寅、大きく空振りして、ドシンと尻餅をつく。

寅 「ハハハ、ジョーダン、ジョーダン・・・」

再びバットを構えて、

寅 「外野バック、バック!(と、叫ぶ)」

  こんどは寅の頭より高いクソボールが飛んでくる。

その30cmくらい下で、寅のバットが空を切る。

〈ヘイヘイ、どうした、バッター!!〉と、外野の声。

寅 「なんだぁ、ホームランが恐くてストライクが投げられねえのか」

  寅、バットを構え直すと、こんどはど真ん中の直球が飛んでくる。

  またも大きく空振りして、力余ってひっくり返る。

寅 「チクショー!このバットひねてやがる!!」

  バットを叩きつけ、

寅 「もう、やめた!」

  と、その場を立ち去ろうとする。

  と、校庭の向こうから熊男が歩いてくるのが見える。

寅 「(気づき)おーい、熊ッ!!」

  熊男、気づいてクルリと方角を変え、歩き去る。

寅 「なんだ、あいつ。せっかく野球教えてやろうと思ったのに・・・」

  寅、熊男を見送る。

 

50 畑の中の道

  夕暮れの町外れに広がるタマネギ畑。

  その畑の中の道を寅が1人歩いてくる。

  やがて行手に、大きな農家が見えてくる。熊男の家である。

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