東京都福生市にあるカフェバーさんペンの輪にまつわる話「さんペンの輪物語」と シナリオ「男はつらいよ」番外編『少年・寅次郎ものがたり』 さんペンの輪マスターshinが綴ります
「アンドロイドはホントは天使!だった」

無表情という表情はない、とシナリオ修行時代、ト書きの書き方でよく叱られました。でも他に表現のしようがないほど、ホテルのアエロフロートカウンターの彼女は無表情でした。まるでアンドロイド!!
どんなに粘っても東京行きは満席の一点張りで、「Het!(ニェット!)」と繰り返すだけ。ちらりとも表情が動かない。脅したり透かしたり、強圧的に例の手で交渉しても埒があかない。挙句に「そんなに日本に帰りたいのだったら翼にぶら下がって帰ったら」と憎まれ口をきく始末。

最初のうちは楽観していて、いい機会だからバレー観よう、クラシック聴こうと、毎日劇場通いしていましたが、さすがに5~6日たつと、ちょっとヤバイと思いました。手持ちの金も少なくなり、今のようにカードが使える国でもなかったので、スッカラカンになったらとさすがに焦り始めたのです。

とりあえずチケットが取れ次第すぐ発てるようにとトランクの整理をしていたとき、ふと目に止まったものがありました。
プレゼント用のパンティストッキングと安物の腕時計。
「!!!」。

私はすぐに可愛らしい包装用紙に包んでリボンを掛け、アエロフロートカウンターに取って返しました。
そしてアンドロイドに言いました。
「僕たちのために毎日ありがと。これ気持ちだから(とプレゼントを渡し)、明日またよろしく」。

手を振って部屋に戻ろうとしたとき、アンドロイドの表情が動きました。
「ちょっと待って」。彼女は手早くキーボードを操作しました。
そして言ったのです。「明日の便ならチケットが取れる」。
彼女のニッコリ笑った顔はまるで天使のようでした!

次回もヨロシクです。

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