東京都福生市にあるカフェバーさんペンの輪にまつわる話「さんペンの輪物語」と シナリオ「男はつらいよ」番外編『少年・寅次郎ものがたり』 さんペンの輪マスターshinが綴ります

85 同・茶の間

  茶の間では宴たけなわである。

  梅太郎がシャツ1枚になり、真っ赤な顔をして唄い踊っている。

   わたしのラバさん

    酋長のむすめ

    色は黒いが、南洋じゃ美人

    ・・・・・・・・・

  平造、竜造、寅が手拍子をたたいて、梅太郎の踊りを盛りたてている。

  吉太郎とさくらは呆れた顔で見ている。

  つねは早くも女房然として酌をしたり、ときどきは台所に立ち、酒肴をこしらえて食卓に運んでくる。

  吉太郎、寅の肩をちょっとたたいて合図をし、目で2階に誘う。

寅 「なに?」

  吉太郎、黙って先に2階に上がっていく。

  寅、首をかしげながら後を追う。

  さくら、その2人を見送る。

 

86 同・2階の部屋

  吉太郎、窓から外を見ている。

  寅、軽快に上がってくる。

吉太郎「(振り返り)寅ちゃん、ごめんな」

寅 「な、なんだい、藪から棒に・・・・」

吉太郎「さっき・・・、実の母親・・・って言ったことさ。ぼくは母さんや寅ちゃんのお母さんのこと考えたこともなかったのに、なんであのとき、あんなことを言ってしまったのかと・・・」

寅 「・・・」

吉太郎「ぼくは寅ちゃんの気持ちを踏みにじってしまった。寅ちゃん、ホントにごめん」

寅 「ハハハ、これだから秀才は困るんだよねえ。あれこれ考えすぎちゃってさ・・・。吉ちゃん、おれ全然気にしてないよ。だって、おれのお母ちゃんは、誰がなんと言ったって、おれのお母ちゃんだもん」

吉太郎「・・・寅ちゃん、ありがとう・・・」

寅 「やだなあ・・・」

  いつの間にか、さくらが部屋に入ってきている。

さくら「お兄ちゃん!」

  さくら、2人に抱きつく。

寅 「おいおい、てへへへ・・・(照れる)」

  兄弟3人仲良く。

  階下から喧騒が上がってくる。

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