東京都福生市にあるカフェバーさんペンの輪にまつわる話「さんペンの輪物語」と シナリオ「男はつらいよ」番外編『少年・寅次郎ものがたり』 さんペンの輪マスターshinが綴ります

87 同・茶の間

  やがて梅太郎、歌と踊りを終えて席に戻ってくる。

  平造、竜太郎、つね、拍手で迎える。

  寅、吉太郎、さくらも拍手しながら2階から降りてくる。

  平造が盃を梅太郎に出し、酒を注ぐ。

平造「ま、ま、一杯」

  梅太郎、受けてぐっと飲み干し、

梅太郎「いやあ、やっぱり日本はいいねえ。ねえ、竜造さん」

竜太郎「そうだね。戦地では苦労したからなあ」

梅太郎「(平造に盃を返しながら)平造さんは兵隊の方は?」

平造「私は中国の方を転々としました。運が良かったのかどうか、終戦の前に内地に戻ってきまして・・・」

梅太郎「そうですか。あっちもひどかったそうですなあ」

竜造「兄貴は満州の馬賊にあこがれとってね」

つね「まあ、本当ですか?」

  と、話に割り込み、いつの間にか竜造のそばにべったりとくっついている。

平造「そんなこと夢見ていたときもあったけなあ(苦笑する)」

梅太郎「しかしこうやって、竜造さんと平造さんを並べて見ていると、本当に仲のいいご兄弟ですなあ。じつにうらやましい。戦地でもとらやさんのことは随分聞かされましたよ」

つね「引揚船のなかでも、この酒は兄貴と一緒に飲むんだと言って、ぜったいに封を切りませんでしたからね」

梅太郎「うんうん(と頷く)」

平造「いや、私ら兄弟は早いうちに両親を失くしちまいましてね。2人で力を合わせんことには、この店を続けてこれんかったのです。もっともこいつは根っからの堅物ででしたが、私の方はいつまでも遊び癖が抜けなくて、節子にも苦労かけました・・・」

  平造、目頭が熱くなってきている。

  竜造、その気配を察して、

竜造「(梅太郎を指さし)こいつはね、男3人、女2人の5人姉弟の末っ子でね。姉さんの名前が鶴子に亀子、で、兄貴の名前が松太郎に竹太郎、それでこいつが梅太郎!」

  一同、大爆笑。

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