「野間一族が持っている不動産は800坪以上も売却しました。講談社は組合が昔から強く、いくら不景気で人を切りたくても、リストラの『リ』の字も言い出せないような雰囲気なのです」(出版関係者のA氏)
そう、講談社は仲間意識が強く、人を切れない。だが赤字はかさむ。このA氏は9月末、講談社の役員である某氏に相談を受けたのだそうだ。
「内容は野間社長に『なにか出版以外で儲かる事情を始めろ』という命令を受けて、儲かる事業をコンサルタントである私に聞きにきたのです。しかし、情報の最先端であるはずの出版社の番頭が『儲かる事業はないか』と聞きに来ること自体が、音羽の凋落を意味していると感じました」と語る。
くわえて、音羽系では野間一族が資本に入っている光文社でも年間、50億円もの赤字を計上している。
「原因はやはり週刊誌の不調でしょう。『週刊現代』に至っては、鈴木編集長が多少、部数を戻したものの、毎号800万~1000万円の赤字が出ている。くわえて、屋台骨の女性ファッション誌の広告は半減、ITコンテンツも不況で閉鎖されるなど、ふんだり蹴ったりです」(元講談社社員)
ちなみに、光文社の「フラッシュ」も1号につき赤字は1千万円だそうだ。
一説には、銀行からの借り換えでしのいでいるというが、民主党が二次補正予算を凍結するなど、貸し渋りが加速する可能性は強く、先行きは暗い。
野間一族は光文社に役員として入り込むなどテコ入れを開始したが、焼け石に水。そこで役員らに「儲かるビジネスを探せ」とさんざんハッパをかけている。
別の大物作家が語る。
「私にも電話がありました。儲かっている事業家を探しているので紹介しろというものです。しかし、そんな人物は講談社の雑誌に山ほど出ている。編集の方に聞いてくれと断りました」
「社内はもういつ倒産するのかという話題でいっぱい。しかもお嬢様、お坊ちゃまが多く、就職には困らないのでしょうね。つぎに何をしようかと楽しんでいるようにも見える。彼らはノー天気ここに極めけりです」
(取次関係者)
もはや迷走を続ける音羽の杜。かつて出版が栄華を誇った「活字文化1丁目1番地」が、抗えない断末魔にあえいでいる。