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政府は郵政民営化の見直しするという大上段構えを続けている。日本郵政の民間出身社長を更迭、「ミスター大蔵省」と言われた元大蔵事務次官へと交替させた。亀井静香大臣(
国務大臣 金融・郵政改革担当)は国会で「私が国民のためにじっくり考えてそうしました」と大向こうを張る。

 しかしこの「民から官への逆流」はうまくいくのだろうか。

「ゆうちょ銀行の総資産は196兆円。国債で80%以上も運用しています。国が国民から集めた金を自由にできるというのが小泉改革の表向きのお題でしたが、今後は国債の受け皿となりました」(全国紙記者)

 記者がたまたま取材できた簡易郵便局で働く職員A氏は言う。「小泉改革で、キャリアなのに配達に回された。この上、過疎化が続くところで国債をバンバン使うという現実が、果たして医療や食料品すら供給できない場所に郵便局が依然として残るという矛盾につきあえというのか」

 つまり、A氏によれば「簡易郵便局の担い手が高齢化している中、小泉改革でようやく農協や漁協も人員削減・統廃合で過疎地の予算をやりくりできたのに、いまさら国債を出してまで地方の郵便局を活かすというプランは税金の無駄だ。郵政関連の会社に歓迎されても、国民は受け付けない」というものだ。

 「官から民に戻すなら、今度は過疎地では受託料を引き上げないと採算はとれない。もう政府の思いつきで振り回されるのはゴメンだ」(A氏)

 いうまでもなく、郵政は票田だ。国民新党の「集票の4割」ともいわれる郵政票のためだけに、国民の血税、すなわち膨大な国債が使われていいものかどうか。