高山リョウのブログ

出来事、会った人、思ったこと。

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (9)

Q.最後に。獣医師道とは、いったい何なのか? それに対する重大な背反行為をおこなった者は、獣医師免許を剥奪されるというが、今回の処分を見るに、鳥吉の一連の行為は許容範囲ということになる。具体的にどういう行為が、「獣医師道に対する重大な背反行為」なのか?

A.具体的な行為の規定はない。

Q.具体的な規定がない獣医師道なるものは、獣医師法の中にあって意味があるのか?

A.意味はある。もし獣医師道がなければ、民事訴訟の判決をもとに、最初の行政処分「業務停止3年」を与えることもできなかった。

Q.獣医師道という言葉の中身は、誰でもなんとなくイメージできるが、とても漠然としている。行政処分を下す際も、使い方次第では法律が適用できないグレーゾーンまでカバーできるものだと思う。しかし今回の処分を見るに、審議会も農水省も、獣医師道なるものを有効に活用できているとは到底思えない。
獣医師道適用のガイドラインとなるような、具体的条項を定めるべきではないのか?

A.具体的に定義付けてしまうと、今言われた通り、法律が適用できない事項を拾うことができなくなる。ただ、今言われた「獣医師道が活用できていない」との御意見は頂いた(聞き届けた)。

考察.獣医師道とは、いったい何なのか? 納得のいく説明は最後まで得られなかった。

「獣医師道」。言葉にすると、高尚な、厳粛な、聖人君子的な印象を受ける。しかし、その実態はどうか。

動物傷害、詐欺、暴行・傷害。そしてあろうことか顧客から起こされた訴訟全てに敗訴して、その賠償金を1円たりとも払わなくても、それはまだ「獣医師道に対する重大な背反行為」ではないという。
(余談になるが、賠償金の支払いを免れる相談や、円の為替相談を、鳥吉はYahoo!知恵袋でしていたとも聞く。払えないのではない。払う気がないのだ)

鳥吉英伸が獣医師免許剥奪の処分を受けなかったとは、つまりそういうことだ。


改めて問う。獣医師道とは、いったい何なのか?



納得のいかないことだらけだったが、今回の報告は、とりあえずこれで最後とする。鳥吉に関する続報は、ないに越したことはないが、何か起こした時は、またこのブログで報告する。

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (8)

Q.今回、「業務停止2年」の処分の他、鳥吉が受ける任意の研修があると聞いた。「免許剥奪」ではなく「業務停止2年」という決定の背後には、「鳥吉には獣医として更正の余地あり」との判断が見てとれる。そして研修には「更正の為の再教育」とのニュアンスもうかがえる。
しかしそれならば、なぜ義務ではなく任意なのか?

A.まず、研修は更正を期しての制度ではない。そして獣医師法に再教育の規定はないので、研修の義務化はできない。ただ業務停止という行政処分だけではいかがなものかということで、行政指導の範囲内で、任意として研修を受けていただく。
まだ始まったばかりの制度ということもあり、まずは行政指導、任意という段階から始める。

Q.鳥吉の「動物傷害」の例を見るに、悪意以前に、明らかな技術不足による治療・手術の失敗例も多々見られる。獣医師免許はペーパーテストのみで、実技試験も臨床実習の義務もなく開業できるとのこと。
そして一方で、免許を取るまで獣医学生は、動物治療の実習ができないとも聞いている。
そのような獣医師免許制度じたいに、そもそも不備があるのではないか?

A.免許取得後の動物病院等での研修は義務ではないが、平成4年の法改正で、努力義務化された。また医学生同様、獣医学生も大学内での参加型実習ができるよう、現在、検討中である。時代の趨勢で「動物の命を預かる獣医師」との観点が今後必要とされるとの見通しで、筆記試験にも倫理に関する設問が導入された。
これらの取り組みでどれだけ防げるかはわからないが、獣医師試験に合格しただけで獣医をやっていける時代ではなくなっていくだろう。

Q.鳥吉が再犯をおかしても農水省に責任はない、というのが農水省の見解であることはわかった。
それで鳥吉が再犯をおかした際、農水省はどういう対応をとるのか?

A.もし次に何かあった場合は、民事訴訟ではなかなか事実の確認をしづらいところもあるが、判決等で事実が確認できるものについては、3年前と同様、審議会にかけて判断していただく。


考察、というか雑感。

こうして話はふりだしに戻った。夢から覚めたというか、既視感というか。月日だけが流れ、事態は3年前と何も変わってなかったというのか。そしてまた繰り返されるのか。

これまでの3年、この先2年の蓄積はすべてリセットされ、また一から積み上げていくことになるようだ。まるで賽の河原だ。
ただ生きるためにこの世に生を享けた動物たちが、また意味なく傷つけられ、殺されるのか。彼らの"家族"の怒り悲しみにまた耳を傾けることになるのか。目の前で起きていくことを、ただ見届けていくしかないのか。

はがゆい思いでいっぱいだ。

この3年で、農水省の担当者は2度変わり、この日説明をした佐々木氏、荻窪氏とも、僕はこの日が初対面だった。案の定、「3年前の事件報道のことは、ちょっとわかりませんが…」といった言葉も出た。
今、僕の手元には歴代の担当者7人ぶんの名刺がある。

2年あるいは、その後。次に農水省に行く時は、またおそらく新しい担当者と「初めまして」と初対面の挨拶を交わすのだろう。新たな名刺がまた増えるのだろう。そして今手持ちの名刺は、全て用をなさないものとなっているだろう。

リセット、リセット、リセット。それでも続けていくしかない。

(この項終わり)

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (7)

獣医師、すなわち獣医師免許所持者が獣医療行為を行えるのは、獣医師免許が彼の医療行為の責任を担保しているからだ。
その獣医師免許を管理しているのが農水省であり、免許与奪の権限を握っているのが審議会だ。

金銭的な詐欺と人間に対する暴行・傷害はともかく、不法な治療行為に関する詐欺と動物傷害は、獣医師免許と切り離して考えることはできない。鳥吉という行為者に、その行為を許可する者がいて、初めて成立する。

つまり獣医療行為を鳥吉に許可した審議会と農水省には、鳥吉の不法な治療行為に対する、間接的な責任がある。行為者としての直接的な責任が鳥吉にあるなら、その行為を許可した間接的な責任が、審議会と農水省にはある。

その具体的な責任者は誰か。
農水省でいえば、獣医事審議会事務局の局長ということになるだろう。
彼がその時たまたま、そこのポストに居ただけとしても、それを引っくるめての責任。組織における責任とはそういうものだと思う。手持ちの資料を見るに、獣医事審議会事務局は、農水省畜水産安全管理課と同一部署のようだ。

そして審議会。こちらは議事非公開なので、誰がどんな意見を述べたのか一切わからない。よって、いささか乱暴ではあるが、今回の決定に反対したはずの人も含め、会議に参加した全員を対象にせざるを得ない。


以下が今回の「業務停止2年」の処分を決定した獣医事審議会の参加者。会議は2011年3月11日と3月29日の二度行われた(資料は農水省より提供。一般公開情報)。

三森国敏(東京農工大 大学院 教授)
細井戸大成(日本獣医師会 理事)
雨宮英明(雨宮英明法律事務所 弁護士)
大橋邦啓(大橋獣医科医院 院長)
神田敏子(元 全国消費者団体連絡会 事務局長)
白井幸夫(千葉県 中央家畜保健衛生所 所長)
中山裕之(東京大学 大学院 教授)
堀口育代(ベネッセコーポレーションW&F事業本部長)
松永和紀(科学ライター)

以上9名が獣医事審議会の委員。

池田一樹
吉田和弘
佐々木勝憲

以上3名が獣医事審議会事務局の農水省職員。資料の一番上に記載されていた池田一樹氏が、並び順から考えて、事務局長ということになるのだろうか。


これ以上の絞り込み、人物を特定しての責任の追求はできないが、上記12名が、今回の「業務停止2年」を決定した獣医事審議会に参加していた。

そして同審議会には鳥吉英伸本人も出頭。意見の聴取に応じたという。その具体的な内容については、議事非公開のため不明である。


(この項終わり。次回に続く)


(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (6)

Q.「免許剥奪」ではなく、「業務停止2年」。審議会での決定を受け、農水省により鳥吉に下された処分。 処分が解けた2年後、鳥吉が過去と同様の犯罪を犯した場合、誰が責任を取るのか?

A.「たら」「れば」といった仮定の質問には答えづらいところがある。もしもということで答えるなら、鳥吉が犯罪を起こせば、その責任は当事者の鳥吉にあるだろう。

Q.再犯の可能性のある人物に、2年後の業務再開を許可した審議会と農水省にも、責任はあるのではないか?
A.そういった責任はないというのが、農水省の見解である。

Q.「たら」「れば」という仮定の話ができないということは、審議会と農水省には、未来の可能性を考慮に入れての議論や判断、決定はできないと理解してよいのか?

A.最初に答えたように、今回の処分は、過去の同様の事例との公平性を踏まえて行った。


考察.「業務停止2年」の行政処分は、鳥吉の再犯の可能性を考慮せずに決定された。

前々回の記事で再録した、2007年3月の民事訴訟。東京地裁は判決文で、鳥吉の医療行為を不法行為とし、「計画的で、常習的」としている。

「計画」とは、未来を想定しておこなう行為であり、「常習」とは、過去そうであり、現在そうであり、未来もそうであろうという連続性のことだ(その問題行動が過去に始まり、現在で終わっているのなら、そもそも常習という問題視はされない。現在から未来に続くと思われるから、「常習」のレッテルを貼られ、問題視されるのだ)。

民事訴訟の判決文を根拠とするなら、鳥吉の「計画的で、常習的」な不法行為は、未来の想定なしには議論できないということになる。未来の時制を扱える「たら」「れば」の仮定を持ち出さないことには、同じ次元で取り扱うことすらできないのだ。

未来を想定しての議論ができない獣医事審議会は、議論の場として明らかに欠陥がある。しかも議事非公開。健全な議論が行われているか監視、指導するチェック機関もない。

獣医事審議会を議論の場として正常に機能させるためには、まずは議事録の一般公開から始めるべきだ。
外部の目に触れることにより、議事進行上の欠陥を改善できるなら、それは獣医事審議会にとってもプラスになるはずだ。
従来以上に「自由で率直な意見の交換」も可能となるだろう。
そして何よりも、審議会の参加者が、自分の発言に責任を持てるようになる。

(この項、考察続く)

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (5)

判決は画期的なものだった。
それまでどんな酷い殺し方をしても、法律上「器物破損」としかならなかった動物への殺傷行為を「動物傷害」と認定したこと。そして賠償金額も過去最高の100万円台の桁に。

警察も農水省も、取材を通じて会った人たちは、自分の仕事に責任を持たない適当な人たち、無力な人たちばかりだったが、東京地裁の水野有子裁判長は、前例でがんじがらめのはずの公的組織の中にいて、自分で判断をし、自分の責任において仕事を全うされた方と尊敬している。

TV、新聞、雑誌でもこの判決は報道され、事件が広く世間一般に知られるきっかけとなった。
警察、行政の怠慢も報じられたせいか、この頃から警察、行政の対応も徐々にましなものになっていった記憶がある。

この判決に対し、約1年後の2008年6月9日、農水省は鳥吉に「業務停止3年」の処分を下した。

そして順番は前後するが、2007年10月31日、来院した飼い主4名(件数としては2件)に対する暴行・傷害の容疑で、多摩中央警察署が鳥吉を逮捕。事件の始まりから4年間、多摩センター動物病院の目と鼻の先にありながら、被害者たちの訴えを無視し続けてきた同署だったが、遂に仕事をした。

翌年2008年の7月1日、検察の求刑通り「懲役1年執行猶予3年」の有罪判決。年末に上告棄却で確定。
この時の「暴行・傷害、懲役1年」に対して下された処分が、いまブログで取り上げている「業務停止2年」ということになる。今年の4月28日に農水省のウェブで唐突に発表された。6月9日で3年となる前回の業務停止終了後から2年間の効力を持つことになる。


そして前回の記事で「なかったことにされた」と書いた、もう1件の民事訴訟。
テレビ、雑誌でも一番多く取り上げられた、ダックスフンド殺害疑惑に対する損害賠償請求。

生後数ヶ月のダックスフンドの気管にビニールを詰め込んで殺害した疑いの事件で、茫然自失の飼い主に対し、鳥吉は手術代、治療費として総額約40万円を請求。飼い主の20代前半の若い女性は、借金をして全額を払い、遺体をひきとった。死後、他院での解剖の結果、鳥吉による治療行為の説明に虚偽があったと判明。
2008年11月14日に判決が下され、女性が勝訴。鳥吉に115万円の賠償が命じられた。同年末に確定。

この115万円、そして前記民事での賠償金320万を、鳥吉はいまだに1円も払っていない。


こうして改めて事件を振り返ってみると、今回の処分の対象となった「人間に対する暴行・傷害」は事件の核心からは、やはりほど遠く、そこだけ切り離して議論し、処分を与えても意味のないことがわかる。

ここでも民事、刑事と便宜上わけて書いてきたが、個々の事件は、互いに関係しあう全体の一部としてのみ、意味を持つのだ。

鳥吉英伸の一連の行為は、獣医師免許にふさわしいものか。獣医事審議会は事件の全体像を見て、判断すべきだった。

僕も全てを把握しているわけでは勿論ないが、多摩センター動物病院事件では、あまりにも多くの動物が意味もなく傷つけられ、殺され、そしてその動物と心を通わせていた人々の心も傷つけられ、あるいは殺された。

そしてそれは、この事件に適切に対応すべきだった、多摩中央警察署や農林水産省の担当者たちの怠慢と無力により助長され、今回の処分決定を見るに、今も続いている。


次回からまた質疑応答に戻ります。

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (4)

農水省の処分が事件の本質からかけ離れているという話を前回したので、いま一度、事件の概要を振り返っておこう。

多摩センター動物病院事件は、獣医師・鳥吉英伸による動物傷害(致死)、詐欺、暴行・傷害事件の総称。
2003年に開業した自身の病院・多摩センター動物病院で鳥吉が、犬、猫、鳥などの小動物に不適切な治療・手術をおこない、傷を負わせ、あるものは死に至らしめた(動物傷害、詐欺)。ネット上で確認できた被害報告は100件以上。
また実際には行っていない架空の治療行為を含め、飼い主に対し、数万〜数十万円に及ぶ高額の医療費を請求。全額払うまでは、まだ治療を行う前でも、動物を飼い主に返すことはなかった(詐欺)。
そして、上記の行為が原因で起きた飼い主との押し問答の際、飼い主(女性含む)に対し暴力を振るった(暴行・傷害)というもの。

事件の当初から被害者たちは警察に通報、あるいは行政(東京都・農水省)に相談していたが、警察は「民事不介入」を理由に被害届を受理せず。また獣医師免許を管理する農水省も、警察や都に責任転嫁し、被害者の訴えに耳を貸さなかったという。都も同様。

被害は続き、行き場のない被害者たちの声はネット上に集まった。事件を告発するまとめサイトができ、TVのワイドショーも事件を報道。被害者の有志が、多摩センター動物病院の営業停止、鳥吉の獣医師免許剥奪を求め、行動を始めた。

獣医師法によれば、獣医師免許剥奪に必要な条件は2つ。ひとつは罰金刑以上の刑事罰に処せられること。ふたつめは獣医師道に対する重大な背反行為を行うこと。この2ついずれかを行った者は、獣医師審議会の議論を経て、免許剥奪が可能となる。

警察による刑事事件の立件は期待できないので、被害者たちは免許剥奪条件のふたつ目に注目した。「獣医師道に対する重大な背反行為」。
刑事罰は無理でも、民事訴訟で勝訴すれば、その判決文をもとに獣医事審議会での議論が可能となるはず。

2005年の11月〜12月に被害者の有志5名が、鳥吉に対する損害賠償請求の訴訟を起こした。2007年3月22日に5件ともに被害者側の全面勝訴。鳥吉は最高裁まで上告したが、棄却され敗訴。(前回記事で「処分済みの民事の判決4件と書きましたが、記憶違い。5件でした。ここに訂正します)

一審で東京地裁の水野有子裁判長は鳥吉に約320万円の賠償支払いを命じ、判決文で鳥吉の医療行為を「不法行為」「動物傷害、詐欺といった故意に基づくもの」と認定。「被告の行為は計画的で常習的」「極めて悪質」「獣医師に対する飼い主の信用、社会的信用を著しく損なった」と厳しく断じた。

(続く)

(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (3)

Q.なぜ「暴行・傷害、懲役1年の刑事罰」のみを処分の対象としたのか? そして誰がそのような前提を決めたのか?

A.3年前、最初の処分(業務停止3年)時に、民事訴訟の判決(動物傷害、詐欺行為)に対する処分は済んでいる。よって今回は刑事罰のみを対象とする。この前提を決めたのは、獣医事審議会事務局。

*考察.「獣医事審議会事務局」(以下、事務局)とは、獣医時審議会の庶務を担当する農水省内の部局で、構成員は農水省の職員。一方、「獣医事審議会」(以下、審議会)は農水省の諮問機関で、外部の有識者で構成。

今回の処分を含め、問題ある獣医師に対する、獣医師免許剥奪の決定権を持つのは、審議会。実際、この日説明を行った事務局の佐々木氏も、今回の処分を決定した審議会に参加したそうだが、文字通り事務の仕事に徹し、会議での発言は一切許されていないとのこと。「審議会の決定は絶対」のようだ。

しかしその一方で、審議会での議題(つまり今回で言えば、鳥吉への処分)の設定、そしてその処分の対象を「暴行・傷害の刑事罰に限る」 と設定するところまでは、事務局の仕事だという。

こう書くと、「事務局としては獣医師法と関連法に基づき、判断、決定しているだけで、そこに恣意的なものはない。だから恣意的(人為的)なニュアンスを持つ『事務局の仕事』という表現は不適切だ」との反論があるかもしれない。

しかし、処分済みの民事の判決4件と、今回の刑事罰2件との間に、適切に処理されなかった民事判決が1件あるのだ。正確に言えば、「最初の民事判決4件と同種のものなので、新たな処罰の対象とはしない」と“判断”され、最初の4件に吸収させる形で、なかったことにされた。これは法律が自動的にやってくれる作業でも、事務局という部署が漠然と行う作業でもない。ひとり、あるいは複数の人間が自覚的に行った行為、つまり人為的な行為だ。

誰か特定の人物(たち)がそう判断し、指示したから、そうなったのだ。

あるいは事務局の外なり上なりからのお達しがあり、事務局はそれに応じただけかもしれない。しかしいずれにせよ、誰かの意図がそこに働き、事務局が最終的にそれを容認したことに違いはない。事務局というのだから、その責任者は事務局長ということになるだろう。


こうして獣医事審議会事務局長の責任のもと、「暴行・傷害、懲役1年の刑事罰」のみを対象に、鳥吉英伸への処分を議論する審議会は開催された。


審議会に言わせれば「我々は事務局が準備した議題について話し合っただけ」 となるし、事務局に言わせれば「審議会の決定は絶対。我々の出る幕はない」となる。自分たちの下す決定に対して、誰かが決定的な責任を負わずに済むような、巧妙な役割分担がここにはある。責任がまっぷたつに分断されている。

そしてその分断は、事件本来の意味をこまぎれにしている。多摩センター動物病院事件を知るものにとって、刑事罰の対象となった「(人間に対する)暴行・傷害」は、事件の核心から外れた、あくまで二次的なものであることは、言うまでもない。

全体像を欠いた議論は、あさっての方向へひとり歩きを始める。

「暴行・傷害、懲役1年」から連想される、この事件とは本来全く無関係の前例が引き合いに出された。
さらにその前例の付属物にすぎない「業務停止1年」が、本来裁かれるべき、この事件特有の悪質な犯罪性とすり替えられた。
そして分断と連想とすり替えを前提に、本来の事件に根拠を持たない「業務停止2年」という見当はずれの処分が決定された。

まるで最初から間違うように作られた伝言ゲームを見ているようだ。

(続く)



(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明 (2)

Q.なぜ「業務停止2年」なのか?

A. 過去の同様の事例との公平性を踏まえて。「暴行・傷害で懲役1年」という今回の鳥吉と同じ事例はなかったが、「脅迫」「器物破損」といった似た罪で「懲役1年」となり、それを受けて「業務停止1年」となった前例が過去にあった。ただ今回は動物病院の中で起き、しかも飼育者に対して行った暴行ということもあり、1年より重い2年の業務停止が適当、との意見を獣医事審議会から頂いたため。

Q.その「業務停止2年」の結論は、獣医事審議会の会議中、どのようなプロセスを経て出たのか?多数決か?誰かのツルの一声か?

A.議事非公開につき、詳細は教えられない。差し支えない範囲で、概要として伝えるなら、多数決ではなかった。誰かの一声でもない。議論の中で最終的に合意が形成された。

*考察.小学校の学級会に始まり、およそ会議というもので、多数決でもなく、誰かの決定的な発言もなく、なんとなく形成される合意など存在しない。会議中に自然に出てきて、支配的になった発言というものも、元をたどれば必ず誰か特定の個人の口から出ている。「2年の業務停止が適当」との趣旨の発言をした人物が審議会の中にいて、それに同調した人物も複数いなければ、「最終的な合意」は形成されない。

Q.会議中、「獣医師免許剥奪」を主張した委員はいなかったのか?

A.人物の特定はできないが、そういう意見はあった。

*考察.少なくとも「業務停止2年」「獣医師免許剥奪」、あるいはそれ以外にも複数の処分案が会議で出され、なんらかのプロセスで、「業務停止2年」に決定したと推測できる。議事非公開なので、全て憶測に過ぎないけれど。

Q.そもそも獣医事審議会は何故「議事非公開」なのか? そしてその根拠は?

A.自由で率直な意見の交換を阻害する可能性があるので。根拠は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」。国民への情報の開示義務は基本的にはあるのだが、この「獣医事審議会の議事内容」は不開示情報に該当する。

*考察.何が開示義務のある情報で、何が不開示情報に該当するのか? その解釈、判断をしているのは、結局農水省の役人なのでは?「法律を根拠に、そう決めている」だけで、議事非公開に「法的根拠」はないのでは?

そして「自由で率直な意見の交換」が行われたはずの会議で出た結論(処分)が、その算定方法からして、事件を知る者にとって、まるでピント外れなのは何故?
(今回はここまで。続きます)





(獣医師)業務停止2年。鳥吉英伸への処分について、農水省の説明(1)

7月1日(金)16時より農林水産省にて。多摩センター動物病院事件の被害者、猪飼佳子さん、マイケルママさんに同席してもらった。

今年4月28日に元・多摩センター動物病院長・鳥吉英伸に農水省が下した処分、「2年間の業務停止」についての数々の疑問、質問を担当者にぶつけた。

説明を行ったのは農水省で小動物獣医療を担当する佐々木勝憲氏。獣医事担当の荻窪恭明氏も同席。

時間にして約90分。全て録音し、文字に起こしたが、質疑応答を忠実に再現しても膨大な量、かつ読みづらいので(同じ質問を繰り返し、堂々巡りの末、ようやく回答らしきものを得られることが多かったので)、質疑応答の趣旨を要約、再構成したものを掲載します。

読みやすさを優先するため、話者も基本的には明記しません。こちらの疑問→農水省が回答という単純な構成にします。

当然、文字に起こしたものを読んでいてまとまった考えもあるので、事後の考察も加えます。もちろん発言の趣旨をねじまげたり、なかった発言を捏造したりはしません。話し合いでの発言と事後の考察は、分けて記述するよう心がけます。
(もし質疑応答のテープ起こしを見たい人がいたら、メールで連絡を。また話し合いに参加された方で、記事中に記憶と異なる記述などあった場合は、お手数ですがコメント欄にその旨、ご記入を)

複数回に分けての投稿とし、随時アップしていきます。








多摩センター動物病院事件をおぼえていますか?

当時院長で獣医だった鳥吉英伸に「3年間の獣医師免許停止」の処分が下されたのが、3年前、2008年の6月9日。

その頃僕が仕事をしていた「女性自身」で一度、告発記事を発表して(2007年4月24日号)、その後はこのブログで裁判の傍聴記などを随時アップした(2008年1月から2009年7月頃あたりまで見てみてください)。

最後にブログでこの事件について書いたのが、2009年の7月1日だから、この事件についてちゃんと考えたの、2年ぶりってことになる。

その2009年7月1日の日記見ると、管轄の農水省が「3年間の獣医師免許停止」に加え、さらなる処分を検討中で、僕はその更なる処分が「獣医師免許剥奪」であることを期待していたことが、うかがえる。

なんか他人ごとみたいな記述で申し訳ないけど、僕も今になって、一生懸命この事件のこと思い出してるんです。この事件のためだけに生きてきたわけじゃなし。

で、もう一と月以上前ですが、今年の4月22日付で、人知れず農水省から鳥吉への追加処分が下されていたようで。さらに2年の営業停止が命じられたとか。

2009年7月1日に、最後にこの事件のことちゃんと考えてから2年。
月日の経過とともに、事件(というか農水省の鳥吉への処分)に対する自分の関心は薄れていったみたいなんだけど、むしろそれだけに「追加処分=免許剥奪(以外ありえねーだろ)」との2009年7月1日時点での希望的観測は、まるで冷凍睡眠のように俺の記憶の中で、完全な形で保存されていたようで。

は? 免許剥奪じゃなかったの? その準備のために時間かけてたんじゃなかったの?

話違うじゃん! 

なぜ営業停止? 
なぜ2年? 
その根拠は? 
どういう経緯で? 
どういう事情で? 
最終的に誰の一声で決まった? 

責任者は、だれだ?

農水省のウェブは結果を知らせるのみで、経緯等についての説明は一切なし。

納得できないことだらけなので、近日、事件の被害者の方と一緒に農水省に行きます。ここでもその時の模様、報告します。

月日が経っても記憶が薄れても、思い出したら、それは今の出来事だ。
責任の所在はじめ、時間が何もかも解決すると思ったら、大間違いだぞ。

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