・コードギアス 反逆のルルーシュ R2 第25話『Re;』(前編)
一つの戦争の終わりと、一つのキセキと、そして一人の人間の生き様が描かれた
今回――否、今作。最初の視聴ではあまりに綺麗に纏まっていた為に放心し、二度目の視聴ではキセキのシーンでぼろぼろと泣いてしまいました。細かな(特にサブキャラクターに関しての)突っ込みは多々あったのですが、これだけ色々なものを詰め込んだ作品の最終回としては至上の出来だったと思います。

 

キーワードは『Rebellion(反逆)』、『Remembrance(思い出)』、『Redemption(赦し)』、『Rebirth(再誕)』、そして『願い=ギアス』。

 

TBは前編に、そしてコメントは後編にお願い致します。

 

『八年ぶりにお兄様の顔を見ました。それが、人殺しの顔なのですね』

 

『恐らく私も、同じ顔をしているのでしょうが……』

 

あー、開眼ナナリーが自然な顔になった、と妙な安心感を覚えたのも束の間、真っ向から兄否定する彼女に恐れすら感じました。 しかし、二言目には少々閉口――一番の問題は、彼女が自分の顔を見ずに、殺してきたことな訳で。 自覚していると思い込んでいる……どこか、自分自身にギアスをかけているような、そんな感覚。

 

『ナナリーの意志まで捻じ曲げたら、俺は!』

 

ここで動揺しなかったら、ルルーシュじゃないよねえ、とまた妙に安心。 ただ、これもなかなかのブーメランになってるんですよね……既にナナリーの意志が彼の思うものではない保証は、どこにもないのですから。

 

『自分は――俺とルルーシュには、やらねばならないことがある』
 

『そう……そんなに力が欲しいの。だったら――』
 

まるで西部劇の抜き撃ちを思わせるような対峙シーン。スザクも『俺』と自分自身をアイデンティファイし、カレンもそれに合わせるように紅蓮の象徴たる右手を振り上げる。因縁の対決が、今正に――

 

『だったら?』
 

『あなたは、ここにいちゃいけない。あなたは倒し、ルルーシュを止める!』
 

『それは、させないっ!』

 

う、うおおおお! エナジーウィングには否定的だったけれど、こういう演出をするのなら大歓迎だ!(えー
  

今回、バトル物、メカ物としてのエンターテイメント性を一手に担っていたこの二機の激突ですが、凄まじかったですねえ……スザクvsカレンという思想対決も去ることながら、コードギアスという作品を象徴するこの二体のKMFの対決にラストバトルを絞った、というのは構成的な点でも良かったと思います。 ギアスが発動するにつれ、スザクの右目から左目とカメラが移っていくのはお馴染みの演出ですね。 ナイト・オブ・ゼロとしての最後の責務、という自覚があったのでしょう。

 

『俺はね、みんなと毎日、楽しくやっていければ――』

 

『それだけで良かったんですけど』

 

『うん、わかるよ』

 

上は前期、下は今期の思い出、ですな……それもまた、一つの生き方。そんな生き方を至上としていた会長がミレイ・アッシュフォードとして自分の道を創ったのも、ルルーシュが最愛の妹との世界を壊してまで、幸せに辿り着こうとしたのも、また――。

 

『主無き力などっ!』

 
『何かに頼る、弱い男!』

 

この会話、非常に短かったですけれどジェレミア卿の強さと弱さ(というか、私たちの懸念)を良く現していたと思います。 ルルーシュの忠臣として並々ならぬ人気を博していた彼ですが、裏返せば(私たち視聴者すら巻き込んで)『忠臣である自分』に酔っている、という風にも捉れる訳で。再登場の時にシャンパンを飲んでいたのもそんなミスリードを埋め込む為の小道具だったのかもしれませんね。 そんな杞憂は、今回爆滅してくれたのですが(笑 

 

……それにしても改めて見ると凄いパイロットスーツだなあ、アーニャ。

 

『始めた責任は、取らねばならぬ。人々を率いる資格とは――』

 

千葉さんが外見的に凄く幼く見えるのは私だけですか?(汗) とりあえずこれだけズタボロになってまで『キセキの藤堂』たる責任を取ろうとする矜持を見せた藤堂さんですが、やはり尺が足りなかったなあ。今までの行動の挽回はできなかったように感じました。

 

『お前の未来の為にも――』

 
『いつ、私がそんなことを頼みましたか!? 私は、お兄様と二人で暮らせれば、それだけで良かったのに!』
 

『しかし、現実は様々なものによって支配されている! 抗うことは必要だ!』

 

この会話、21話『ラグナレクの接続』での会話と対比されていますね――実質、ルルーシュはナナリーの兄であると同時に、父親でもある訳ですし。あの時の彼とほぼ同じことを言っているのに、何故彼女の言葉はこうも虚しく響くのか。 それは一重に、彼女が兄のように『世界を見てこなかった』から、なのでしょうね。 一番上のキャプのイメージでも見て取れるように、彼女が生きていたのはこの箱庭のような、閉じた世界。 『優しい少女』だけであれば良かった、そんな浮世離れした子供、な訳です、彼女は。 基本的にルルーシュの視点からこの作品を観て来た私たちさえもが、彼女をどこか特別な存在として見ていた、ということなんでしょうねえ。 『抗うことは必要だ!』と叫ぶルルーシュから、若干の苛立ちを感じたのは私だけでしょうか。 

 

『その為に、レジスタンスとして戦ってきたのよっ!』
 

『組織を使うという手だってあった筈だ!』
 

『その組織に――システムに入れない人はどうするの!?』
 

『《それは違う》って、どうやって言えばいいのよ!』
 

『この……ッ』

 

『高い所から偉そうに言うなあッ!!』


『組織に入るしかない人はどうなるっ! 正義とはっ!!』

 

ガンダムシリーズばりの戦闘会話シーン、イイですねえ。 先週からの期待通り、ルルーシュvsナナリーと平行・クロッシングさせながら描いているのにも好感。 会話の内容は二人の頑固さと融通の利かなさも手伝って、相変わらず平行線なのですが、ね。 この二人に語り合いで解り合って貰おうとは思っていなかったので、これでいい、と思いました。輻射波動砲をブレイズ・ルミナス(盾)を犠牲にして弾いて、両手で剣を振るうランスロットの姿にナイト・オブ・ゼロを見ました。

 

『お前はそれでも!』

 

『……すまない。私は、こういう生き方しか――』

 

こんな不器用な人だったっけかなあ、藤堂さん。 千葉さんに手を上げなかったことには心底安堵しましたが。 それでも、の後は『軍人か』、『武人か』か『私の妻か』、辺りでしょうかね。 肩に手を置かれて、『ああ、そうだ、こういう人なんだ』と観念した表情を浮かべる千葉さんの切ないこと……しかし、『一人一人の生き様、生き方』を描写するのであれば、ここで彼を散らせてあげても良かった気はするのですが、スザクが後に『世界は思い通りにならない!』って言っているんですよね。 ちょっとしたメタフィジカルなフォローに感じました。

  

『護るべきものが、あるのならっ!』

 

私の予想(希望)もすっかり外れ、何の出番も残されていなかった星刻……(苦笑) 神虎の機動からして、もう歩くのも精一杯、って状態だったんだろうなあ。

 

・私が大喜びした瞬間

 

紅蓮がランスロットに一撃加えたからでもなく、ダブルMVSvs輻射波動に燃えたからでもなく、ただただ一重に互いの飛翔能力を奪ったが故に地上戦へともつれ込むことを予測したから。

  

『戦の在り方に、矜持と美学が失われているのやもしれんな』

 

……? すいません、今回ここだけは何を言っているのか解りませんでした。 戦争にはそもそもそんなものは在りはしない訳で。 矜持と美学を以って戦っているのは兵であり、人間です……と自分の持論を展開してもいいのですが、ここでこの一言が挿入された物語的・構成的な理由がわかりません(汗

 

『それでも、居場所が必要だったから……』

 

彼女もまた、『居場所』という形で自分のアイデンティティを確立したかったキャラクターの一人、なんですねえ……貴族になりたかった、というのもそこが発端でしょうし。

 

『ただそれだけで、戦ってきたのに……なあナオト、俺たちこれで良かったのかな?』

 

この期に及んで死人に答えを求めないで下さい(汗) 藤堂さん、星刻と続いて、この人も残念でしたねえ……細かい所は後述。

 

『でも戦争は発明の母っていうよね』
『認めないよ……プリン伯爵は、その先の人間を見ていないからさ』

 

ギュルギュルデフォルメされる程の地上格闘戦をまた見れるとは! しかもそれに平行して科学者トリオの因縁を描写してくれるとは、と思ってたら触れただけ、って感じでしたね(苦笑) この『人間を見ている』という言葉を聞く限り、やはりセシルさんがスザクと重ねていたのはラクシャータだったんでしょうか。

 

『あたしは、ただやれることを……』

『繰り返したくなかっただけなんです』

 

『ふうん……でも、人は弱いからさ』

 

前期最終話での『人は、すぐ壊れちゃうからさ』と語っていたロイドさんと重なりますねえ。

 

『そうだよ! 夢くらい見てぇじゃねえか! なのに俺にはその資格もねぇってのか? まだやれるのに、やれるのによォ……なんでみんな俺をバカにすんだよォ!』

 

あー、やっぱ玉城は一番人間臭いなあ、と思った瞬間。他の皆が遠まわしでどこか高尚なことを言う中、一番解り易くこの道を選んだ理由を叫んでいる。とりあえずオペ子の中では一番可愛い綾芽ちゃんといきなりフラグが立ったよ!? 今回、ここが一番不思議だった!(えー

 

『私は見てきた。見続けてきた。抗うことが、人の歴史だと。しかし――』

 

『人は、世界は、こんなにも思い通りにならない!』

 

『だから、思い通りにしようっていうの!? それは――』

 

『それは、卑劣なのです。人の心を捻じ曲げ、尊厳を踏み躙るギアスは!』

 

この辺りのザッピングの演出はイイですねえ。それにしても買い言葉に売り言葉で、すれ違いに決着を着けるどころか逆方向に突っ走ってしまっているカレンとスザクが見ていて痛々しい(泣

  

『ではダモクレスはどうだ? 強制的に人を従わせる、卑劣なシステムではないのか?』

 

『ダモクレスは、憎しみの象徴になります。憎しみは、ここに集めるんです。みんなで明日を迎える為にも』

 

『そうか……ナナリー、お前も――なら!

 

やっぱり、似たもの兄妹なんだなあ、と思った瞬間。 そして、ルルーシュが目の前の少女を『自分の妹』ではなく、『自分の考えを持った一人の人間』として認識した瞬間ですね。 ある意味、この一連のシーンはルルーシュがナナリーに課した試験のようなものだったのかも。 彼女が、明日を託すのに値する人間なのか、という。 失格だったのなら、シュナイゼルにかけたようなギアスをかけるつもりだったのでしょう。

 

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!』

 

『ダモクレスの鍵を渡せっ!』

 

作中最後の左目ギアス――それは、未来への鍵を渡せ、というシンプルなもの。 自由意志の為の強制意志としても、最後のギアスですね。

 

『いや……! お兄様に、渡してはいけない! これ以上、罪を……っ!』

 

ユフィの時とは違い、確固たる意志の伴ったこのギアスに、ナナリーは抗える訳もなく――

 

『どうぞ、おにいさまっ♪』

 

我々の知る、可愛らしい笑顔を浮かべて、鍵を謙譲します。 しかし抗えなかったという事実とこの笑顔からして、本当は兄を信じて渡したかった、と頭のどこかで思っていたんでしょうなあ。 冒頭の憎まれ口は、彼女の精一杯の反逆だった訳で。

 

『まだまだァ!!』

 

『爆・散ぁんんッ!!』

 

ごめん、盛大に笑った(笑) まさか本当に中身が入っているとは! そして物の見事にオレンジ&グリーンとは! 第九世代ナイトメアがガチバトルを繰り広げる中、ただ一人サザーランドを駆った武人に畏怖を感じずにはいられません。

 

『記憶せよ! ジェレミア・ゴォットバルトォ!

 

『お前に敗北を齎した、記念すべき男の名前だ』

 

 

 

小粋過ぎるぞ、このサイボーグ!(汗) 記録、記憶、ときて『記念』の言葉を贈るとはっ!

 

『記念? 関係ない。どうせ私には、記憶が……』

 

『記憶……? まさか!』

 

ここで一瞬、『DAMEEEE! ナナリーもシュナイゼルもスザクもギアス解けちゃう!』とか狼狽したのは秘密なんだぜ? そのお陰でルルーシュがフレイヤ撃った時にダモクレスが爆発したかと思ったしね!(笑) とりあえず泣き顔も可愛いこと、アールストレイム卿。 それにしても温存した割には、その効果がどういった結果を招いたのかは不明瞭だったなあ、ギアスキャンセラー。 この二人の絡みはギアスのせいでアイデンティティを根本から喪失したキャラ同士、ということでしっくり来るのですがね。

 

『決めきれない!? ギアスの呪いを使っているのに! カレン――なんて強さだ!』

 

54 lancelot.png 

『スペックはこっちが上の筈なのに……! スザク、これだけの力があって、なんでっ!』

 

 

 

 

 

殴り合い! 殴り合い! 回し蹴りっ! 回し蹴りィ!! と大喜びしていたのはバレバレですか、そうですか(笑) ここに来てKMFの魅力を最大限に活用してくれるとは、嬉しい誤算。 ナリタ連山を遥かに凌ぐベストバウトになりましたねえ。

 

『終わりにしよう! カレンッ!』

 

『あなたに、正義さえあればッ!』

 

 

 

うぉおおお! うおおおおおおぁああ!!! こういったぶつかり合いがなくて、何がロボットアニメか!(感涙) 監督的にはロボットは物語を盛り上げて、視聴者を楽しませる為の小道具、という認識だそうですが、そういう意味じゃこの上ない使い方でしたねえ。 片や多くのものを粉砕してきた必殺のスザクキック、片や輻射波動機構を護拳とした手刀……!

 

『そんな……届かなかったの?』

 

『いや……』

届いているよ、カレン……っ』

『あぁ――』

幾度と無く戦場で合間見えた少年少女の、戦争の終わり。カレンのほうは、肩の力が抜けた感じから、どちらかというと『やっと終われた』って感じですね。 スザクのほうは終わったどころか、やっと始まった、なのですが。しかし、仙波さんの時みたいにどうしようもなく致命傷負っているようでもなかったので、この時点から『ああ、なるほど』という印象はありましたねえ。 ここで彼の言った『届いているよ』は『君の信念は受け取った』という意味でもあるのかな。

 

・裏切りの騎士・ランスロットの最期

72 end of.png 

感慨深いものがありますねえ……しかし、ちょうどコクピットブロックから脱出していても見えないようなアングルになってますね、これ。 柱もあるし(笑) ただ、後述のルルーシュの言葉からして本当にここでランスロット共々爆発した、という可能性も多分にあると思いますけれど。

 

『そうか……勝ったのか、カレン』

 

結果だけ見て勝ちだの負けだの言うのは止めて欲しいなあ、とイラッと来た自分がいる(苦笑) ジノについては本当に残念でしたねえ……後一話でも多くあったら、もっと掘り下げられたでしょうか。カレンの補助役、というシナリオ上の役割はきっちり果たしてくれたのでわんこニストとしてはお礼を言いたい所ですが、ね(笑

 

『ナナリー……お前はもう立派に自分の考えで生きている。だからこそ俺は、俺の道を進むことが出来る。 ありがとう。愛してる、ナナリー』

 

ああ、切ないのう……第五話の最後の『愛してる』とはまた違った響きがありますね。あの時はギアスのお陰で言葉だけ伝わり、今回はギアスのせいで言葉さえ届かずも、想いだけはしっかりと彼の胸に。

 

『待ちなさい……っ! 待ってっ!』

 

視聴者が初めて見る、激昂したナナリー。 待ちなさい、の後の『待って』で地が出た感じですねえ……『お兄さま』がそんなことをする筈がない、という甘えにも似た想いを持っていたのでしょう。 同じく、『お兄さま』が自分を置いていく筈がない、ことも。故に、

 

『お兄様は悪魔です! 卑劣で、卑怯でっ! なんて……なんて酷いっ!』

 

こんな、心に「は」なかったであろう言葉を……(泣) 

 

ああ、本当の意味で役者になったなあ、ルルーシュ……ここでこんなしれっとした顔を浮かべられる程、君は仮面を使いこなすようになったのか。 むしろ、こういった言葉を浴びせて貰えたほうが、やりやすかったのかもしれませんね……どこまでも不器用な愛だなあ。

 

『なのに、本質の一部を理解していた。お前は、優しいな』

 

この言葉のお陰で、唯一彼女だけはルルーシュのやろうとしていたことの漠然としたアイディアはあったんじゃないかなあ、と思ったり。 故に、彼女だけエピローグにいなかったことが不思議でならないのですが。

 

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる――』

 

『世界は、我に従えッ!』

84 takes the.png 

『オォルハァイルッ! ルルゥゥゥシュッ!』

 

 

世界を、自分の色(紫)一色に染める悪逆皇帝・ルルーシュ。見せられた機体が皆ヴィンセント・ウォードだったのにはそういう視覚的な意図もあったんでしょうかね。

 

……それにしてもカノンさんがここから先出てこないんですが、どうなったんでしょう(汗) ワイルドカードだと期待していたんだけどなあ。 

 

中編へ