2006年03月


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2006年03月08日 モバイル&インターネット

ワンセグを斬る(D命と放送の3つの融合形態)

ロングテールの話が続いたので、ここらで、久しぶりにワンセグについて書きます。

そういえば、先週、酔っぱらって携帯電話を紛失しました。真田に電話、メールしたのに返事が無いと言う方、ごめんなさい。それから、携帯の電話帳のバックアップを最後にとったのが2ヶ月ぐらい前で、その後に教えていただいた番号、アドレスは解らなくなってます。この2ヶ月間にアドレス交換下方、ご連絡を下さい。ちょうど、タイミング良くというか、予約していたワンセグ端末 FOMAのP901iTVが届きました。現在、電波調査員と化してます。

通信とは、もともとP2P(1対1)を双方向につなぐ手段である。大勢の中から「特定の1」を探し出して、もう一方の「特定の1」とつなげなければならない。だから、あらゆる通信には、プロトコルと呼ばれる手順があり、個を識別するためにコネクションまたはセッションを張るという手続きがある。これが放送と比較したときの長所であり、短所である。

通信の特徴とは
1)双方向であること
2)個別にコネクションを張ること

対する放送は、1対nで、一方的に情報を垂れ流すものである。コネクションもセッションもない。1の側(放送局)は誰が見ているのか、まるで解らない。

放送の特徴は
1)一方向であること
2)個別にコネクションをはらないこと


通信と放送の特徴をもう少し掘り下げてみよう。

個別にコネクションを張る、とか、張らない。とは、とういうことか。
放送は視聴者が1人でも100万人でも、1000万人でも、同じ設備投資、同じコスト、同じ電波帯域が必要。視聴者数が多くなれば、パーヘッドのコストは下がる。逆に言うと、視聴者数が多くなければ採算に合わない。

通信では、原則的には、通信量が100倍になると100倍の設備と100倍の帯域が必要になる。逆に通信量が100分の1ならば100分の1の設備で済むから小規模から始められる。

TVの場合、地上波キー局は6局しかなく、TV局のタイムテーブルに合わせた放送しか見られない。たから、8対2の法則の8の側(メジャー)の内容しか放送できない。それに対して、通信を使えば2の側(ロングテール)も流すことが可能だし、ユーザー個々が自分n合わせたタイミングで(オンデマンドで)見ることができる。

さて、ここまでは、当たり前の内容のおさらい。

法則好きで申し訳ないが、ギルダーの法則という法則がある。
「通信網の帯域幅(通信速度)は半年で2倍になる。」というものだ。
この法則が正しいならば5年で1000倍。帯域辺りの単価は5年で1000分の1。そのままのペースで行けば、限りなくタダに近づく。

先ほど、「通信では、原則的には、通信量が100倍になると100倍の設備と100倍の帯域が必要になる」と書いたが、通信量が100倍になっても価格が1000分の1になれば、十分採算に合うことになる。

これが、USENのGyaOを代表とする
A)通信設備を使って疑似放送を行う
サービスが可能になった背景だ。

ところが、ギルダーの法則は、今まで、固定網通信にしか通用しなかった。今までワイヤレス通信(携帯)の帯域、通信料金は高止まりしてきた。

理由は簡単、空間は1つしかないから。

今日はここまで。
次回、空間論から携帯に於ける放送と通信の融合について展開します。 
 



ワンセグの展望を考える上で、先に、通信と放送の融合について考えてみたい。
通信と放送の融合には3つの形がある。
この話題を語る時、どうもこの3つを混在させて語る人が多くて、だから話がこんがらがる。

3つの形とは、
A)通信設備を使って疑似放送を行う
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。
C)放送を通信の入口にする。

この3つの融合形態それぞれに可能性があるが、立場によってどの形態をとるかが異なる。MさんやHさんが通信と放送を提案したときも、ここの整理がなされていなかったので、話がかみ合わなかった。

まずは、通信と放送のそれぞれの特徴を、おさらいとして、もう一度整理してみよう。



「A)通信設備を使って疑似放送を行う」が可能になるには、通信料がタダみたいに安くなることが前提だ。

固定網通信は劇的に料金が下がって来たお陰で、動画配信サービスが可能になったが、携帯の通信料は高止まりしてきた。

理由は、空間は一つしかないからだ。 

モノやサービスの価格は、需要と供給の関係で決まる。
光ファイバーや、メタルの線は、競合会社が敷設合戦をやれば、地中や海底に何本でも線を埋めることが出来る。今まで1本だった幹線が3本になれば、供給は3倍になる。それに、技術革新が加わと、ADSLの様に容量は何倍にも膨らんでいく。

ところが、ワイヤレスはどうだろうか?
空間は一つしかない。10年前も、10年後もやっぱり空間は一つしかない。
光ファイバーを増設するような訳には行かないのだ。つまり、電波の物理的な供給総量は永久に増えないのだ。

これが、携帯電話料金が高止まりする、本質的な理由。

しかし、それはあくまでも本質論であり、実際には下記の二つの要素によって、通信料金は変動する。

1)認可行政
2)技術革新

一つしかない空間を電波は飛び交っている。この非常に貴重な資源をどう配分するかは、国が決める。警察無線、軍事無線、TV、ラジオ、携帯電話・・・・と周波数を国が配分を決め、免許を交付する。
同じ免許制の事業でも、他の免許は発行上限が決まっていないから、順番に増えていく。しかし、電波だけは、増えないので、免許の数も原則的には増えない。

余談だが、TV局が利益が出るのは、この構造のお陰だ。
経済発展と共に、会社(CMスポンサー候補)はどんどん増えるにもかかわらず、TV局免許は増えない。需要は増えるのに供給(CM枠)は増えない。だから波代が高止まりする。インターネット広告と比較すれば、違いは一目瞭然だ。WEBサイトは、誰の免許も登録も必要なく、毎日のように増えていく。それにしたがって広告枠(供給)も無限に増えていく。だからバナー広告の単価は下がり続ける。検索エンジンに限ると事実上増えていない。だから特定のキーワードのキーワード広告は高騰する。こうして比較してみると、TV局を買いたくなる気持ちも良く分かる。
 



前回、携帯電話料金が高止まりする、本質的な理由について書いた。
本質的に、高止まりする構造でも、実際には、これから携帯電話料金は下がっていく。

だから、通信と放送の融合の3つの形の内の一つ
A)通信設備を使って疑似放送を行う
が可能になってくる。
だから、USENのMobile GyaOが面白くなってくる。

携帯電話料金の実際の価格が下がる要因は、
1)認可行政
2)技術革新
と前回書いた。

もう一つ、付け加えよう。

3)携帯電話会社の収益構造の変化。 

ここは詳しく書くと難しいので、あっさりと。
前回書いたように、空間を飛び交うことが出来る、電波の総量は、変わらない。そこで、その電波と空間を効率的に使う技術が研究される。(HSDPAとかWiMaxについては、その内、書きます。)
また、今まで携帯電話に使われていなかった帯域を携帯電話に使う為の技術も開発される。そこで、新たな免許が交付される。

もう一つ、総務省は積極的にMVNOを勧めようとしている。MVNOと海外で流行った用語を使うから、なんか新しい事が始まろうとしているが、何のことはない。昔で言うところの第2種通信事業者のことだ。

新規の免許の割当とMVNOの登場で、携帯電話会社の数は今までの3倍以上に増える。だから、携帯電話料金、その中でもパケット通信料は、これから劇的に下がる。

そこで、
3)携帯電話会社の収益構造の変化。

携帯電話会社は通信料金では儲からなくなり、コンテンツやサービスなどの付加価値に収益源をシフトしていく。

特にに、ソフトバンクのようにコンテンツからインフラまでを持つ垂直統合型の企業グループが、これを仕掛ける。コンテンツやサービスを持っていない携帯電話会社でも、競争上、通信料金の値下げに追随せざるを得ない。消耗戦が始まろうとしている。

ワンセグを斬る(-3本当に利用されるのか?)で「ニワトリと卵のジレンマ」について以下のように書いた。


プラットフォーム型の場合、「ニワトリが先か、卵が先か」という問題を解決できないと、なかなか普及しない。FeliCaの場合、使える店が少ないから、ユーザーは使わない。使うユーザーが少ないから店舗は導入しない。という「ニワトリと卵のジレンマ」を抜け出すのに手間取っている。iモードも最初の半年は苦戦した。提供されるコンテンツの質・量が低いからユーザーは使わない。ユーザーの数が少ないから、コンテンツプロバイダは参入しない、または予算をかけない。BSデジタルやEPなどこの「ニワトリと卵のジレンマ」を乗り越えられなかったプラットフォームは数限りない。

Mobile GyaOのような「A)通信設備を使った疑似放送」
に関しても「ニワトリと卵のジレンマ」が当てはまる。

今回の場合は、総務省の方針により、意図的に、携帯電話の通信速度が速くなり、パケット通信料金が下がる。つまり、
Mobile GyaOのような「A)通信設備を使った疑似放送
の再生プラットフォームが整ってしまう。
DVDの普及に例えると、DVDソフトが出揃うかどうか解らないのに、国の方針でDVDプレイヤーが配布されるようなものだ。

私は、関係者なので、今はまだ、「A)通信設備を使った疑似放送」についての一般論についてしか書けません。でも、Mobile GyaO、面白くなりそうです。

さて、通信と放送には3つの形態がある。と書いた。
A)通信設備を使って疑似放送を行う
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。
C)放送を通信の入口にする。

ここまで、
A)通信設備を使って疑似放送を行う
に焦点を当ててきました。

次回以降、
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。
C)放送を通信の入口にする。
に焦点を当てる予定です。

コラムのタイトルの割に、登場しなかったワンセグの登場です。

なお、3月23日(木)のMCF3月セミナーでは、この連載の今後の内容を先行して話します。

ワンセグについて詳しく知りたい方はこちら

 


次は、
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。
C)放送を通信の入口にする

に焦点を当ててみる。

今までも、CS事業者、BS事業者など様々な会社がSTB(セットトップボックス)にモジュラージャックやイーサネットのクチを付ける試みにチャレンジして来た。
しかし、ことごとく敗れ去った。
せっかくSTBにモジュラージャックやイーサーのクチが付いていても、ユーザーは面倒がって、誰も線を接続しなかったのだ。
こうして、電波系放送事業者の双方向化計画は未だに実現していない。
また、インデックスやサイバードも携帯を使って、地上波TVの上り回線を提供する試みを発表しましたが、未だ実現していない。

今年、数々の屍を乗り越えて、ようやく放送の双方向化が実現する。
それがワンセグです。

その前に、99%の方々が勘違いしている事が有るので、正しておく。 

「ワンセグとは、外出先でTVを見るものだ」
マスコミの記事や評論家の皆さんも、議論の前提としてワンセグの利用環境または利用シチュエーションを「外出先」と頭から決めつけている。

それ、違います。
ワンセグは家で使うモノ。
少なくてもケータイのワンセグは室内利用中心。

様々な調査会社の調査で既に明らかになっている事は、携帯電話は外出先より室内で使っている時間の方が長いということだ。携帯電話とは外で使うモノだとという固定観念に囚われている人は、一度自分自身の行動をメモって見てください。
外で何回メールを打って何ページのサイトをみて、家やオフィスで何回メールを打って何ページサイトを見たか。ハッと気付くハズだ。
調査によって数字は異なりますが、携帯電話は6割以上、家の中で使われている。若い人、学生はこの傾向が強くなる。また、音声通話よりメールやWEBの方がこの傾向が強くなる。

ワンセグはどうだろうか?

メールやWEBより遙かに家で利用する率が高くなるはずだ。
常々指摘されて来たワンセグの弱点の中につぎのような点がある。
1)ヘッドホン。外だと、ヘッドホンを着けないといけない。これが面倒。
2)バッテリーの持ち
3)外でワンセグを見ている姿がカッコイイかどうか?カッコイイと思わない人が少なからずいる。

家の中では、上記を気にする必要がない。外でワンセグを見ない人も家の中なら見る。

家の中には普通のTVが有るのに、どうして携帯でTVを見るのか?




私が想定しているのは、

居間の大画面TVを見ながら、左手には携帯。

大画面TVでTVを見ながら、携帯で他のチャンネルをカチャカチャとザッピング
大画面TVで映像を見ながら、携帯でデータ放送をチェック。
気になる情報が有れば、データ放送画面から携帯サイトへジャンプ。または、携帯から、番組中のアンケートや抽選に応募したり、番組中で紹介された商品購入。

携帯の利用場所として、意外にシェアが高いの布団の中。携帯を目覚まし時計として使っている人は非常に多く、寝るときも近くに携帯を置いている。寝付けない時は、起き上がるのが面倒なので、布団の中で携帯をいじる。
その延長線上で、寝付けない時は、携帯のワンセグでTVを見るという生活習慣が根付くに違いない。

もし、防水のワンセグ携帯が発売されれば、お風呂でワンセグという生活習慣も十分あり得る。

さあ、ここで、本題に戻ってみよう。 

ワンセグは、通信と放送の融合の切り札となる。

ワンセグの価値、位置づけは、外出先でTVを見られることにはなく、家庭の大画面TVの上り回線の役割を果たすことにある。

つまり
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。

そして、家庭の大画面TVをを見ていて、契機に携帯のWEBサイトへ誘導する
C)放送を通信の入口にする
役割を果たす。

入口という言葉を別の言葉にすると玄関(ポータル)。

最近、TV番組やテレビCMあるいはラジオ番組、ラジオCMでもインターネットのサイトのURLを告知するケースをよく見かけるようになった。
しかし、その番組なりCMを見た人の内、何パーセントの人がパソコンを立ち上げて、キーボードからURLを入力するだろうか?かなり低いことは想像に難くない。

「居間の大画面TVを見ながら、左手には携帯。」の視聴スタイルでは、TVでURLが告知されると、その場で携帯を開き、データ放送画面のBMLをワンクリックでサイトに接続。大画面TVでテレビを見ながら、サイトをチェック。そう「ながらサイトチェック」のスタイルが一般化する。

先日のWBCの視聴率が50%を超えた。6000万人以上の日本人が同じ時間にTV番組を見ていたことになる。これが地上波TVの破壊力だ。

TV局のデータ放送が、YahooやドコモのiMenuを超えるポータルとして通信の世界に君臨する時代がやって来る。 


Profile
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KLab(株) 代表取締役社長

19歳で株式会社リョーマを起業して以来、数々のベンチャーを起業。地獄と天国を経験し、それでもベンチャー起業と経営にこだわり続けます。


趣味:音楽(オールジャンル)、酒(飲み過ぎ)、ゴルフ(下手くそ)、サーフィン(過去形)、旅行、
出没地:六本木、西麻布、麻布十番、豊洲、沖縄

真田が登場する本

Director'sMagazine
巻頭特集では未公開の幼少期や学生時代の半生記が描かれています。


TechnoTokyo

IT系のベンチャーの受付や応接室でよく見かけるTECHNO TOKYOカレンダーの書籍版。巻頭のカラー特集では、GMOの熊さん、インデックスの小川さんなどと共に、KLab(株)、真田も掲載されています。


モテカフェMesseage
Tokyo FMの人気番組「モテカフェ」が本になりました。ゲストとして登場した13人のベンチャー社長が"モテる"秘訣を語っています。
六本木ヒルズ
真田哲弥が、三木谷浩史、藤田晋(敬称略)などとともに、10人の21世紀勝ち組企業家の1人として紹介されています。
勝ち組と言われても、今は、再び挑戦者なんですけど。。。

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真田哲弥の学生起業家時代からサイバードの公開直前までが描かれています。
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