2005年12月21日 ベンチャー起業の鉄則
アイデアなんて二束三文だ
ベンチャー起業の鉄則
アイデアなんて二束三文だ
すばらしいアイデアを思いついたら、盗用されることを恐れずに多くの人に話しまくるべきだ。アイデアに鍵をかけてしまっておいても、腐るだけだ。アイデアは人に話すことで熟成していく。
「画期的なアイデアを思いついた」とほのめかす人に「どんなアイデアか」と聞いても、口ごもった言い方しかしない人が多い。アイデアを口にしてしまったら、誰かに盗用されるのではないかと恐れているわけだ。こんな人は、まず失敗する。アイデアまではどうということはない。問題は、そこから先をどうするかだからだ。
アイデアは後生大事に倉庫に入れて鍵をかけて保管していたら、いざだそうとしたときには腐っているものだ。腐ったアイデアなんて、ものの役に立つわけがない。アイデアを腐らせないためには、思いついたら人にしゃべりまくることだ。真似されたらとか、パクられたらとか心配する必要はない。
もし、パクられたらラッキーと思えばいい。アイデアを聞いただけで他人も真似ができる商売なんて先行きは見えている。もし、自分が始めた後でアイデアをパクられれば、結局その商売は上手く行かなくなるだろう。貴重なカネをドブに捨てる前に他人がやってくれたことを感謝するのだ。
アイデアは「人に話してナンボ」だ。人に話してWとTを指摘してもらう。では、こうしたらどうかと対策がまとまったら、また人に話す。「おいおい、まだこんなWとTが隠れているじゃないか」。そこでまたどうするか考える。人にしゃべりまくることで、カンコンカンコンとアイデアの角を取ってもらう。アイデアに肉付けし、修正を加え、熟成させてからビジネスのスタートを切るのだ。
しかも、アイデアは人に伝えると、ときに共鳴して1+1が3に膨らむ。
また、アイデアをしゃべりまくると、相手も刺激を受けて新しいアイデアが思い浮かぶことがよくある。「この前、真田が話していたアイデアに関連して、こんなことを思いついた」。「ふーん、そうか。でもそのアイデアはこうすればもっと面白くなるよ」。こうした、お互いが刺激し合える人間関係を日頃から作っておくといい。
パクられることを心配するなと述べたが、もしパクられたとしたら、それはパクられたほうにも問題がある。アイデアを黙って借用するような友人と付き合っているのが悪いのだ。長く付き合いたい友人だとお互いが思っていれば、決してそんな裏切り行為はしない。周囲にいる相談相手がそんな信頼できないやつばかりなら、ベンチャーで独立なんて考えないほうがいい。
よくベンチャーはアイデアが勝負などといわれるが、それもまやかしに過ぎない。画期的なアイデアを武器にする企業ほど足腰が弱い。なぜなら、画期的なアイデアは世にでたときに画期的ではなくなり、真似をされたらそれで終わりだからだ。そういう意味では大したアイデアなんてなくても起業はできるし、成功もできる。
大切なのは小さなアイデアの積み重ねだ。例えば、携帯でコンテンツを提供してみようというのは大きなアイデアだ。ユーザー課金をするというのも大きなアイデア。この大きなアイデアは誰でも真似ができるから、二番煎じ、三番煎じが効く。
ところが、実際に運営を始めると物を言うのは小さなアイデアだ。例えば、携帯コンテンツの場合、解約率をいかに下げるか。「解約」のボタンを押せばそれで手続きが完了するのではなく、手続き完了までにワンクッション画面を挿入する「今解約しても、今月末に退会しても料金は同じです。どうせなら今月末まで使ってから解約されてはいかがですか」のメッセージを流す。あるいは、今月のプレゼントや来月の更新予定を表示しても良い。このような小さなアイデア、工夫の積み重ねで解約率が下がり、しいては利益が増え、競争力がます。
このような小さなアイデアは言い出したらきりがない。小さなアイデアは山のようにあり、しかも日々改善されていく。この小さいアイデアの集合体を「ノウハウ」と呼ぶのだが、これは一朝一夕では真似ができないし、真似しようとしてもきりがないのだ。そうした小さなアイデアを積み重ねた企業のほうが、画期的な1つのアイデアに依存する企業よりもずっと足腰が強いことを覚えておいてほしい。






