ブログは日記では有りません。過去記事に面白い記事、役立つ記事が有るかもしれません。こちらの目次より、興味の有る記事を探してご覧頂けると嬉しいです。

2006年04月11日 起業と経営のコラム

TV番組企画「起業&恋愛ライブ中継バラエティ」

最近、忙しすぎて、更新が止まってましたが、ようやく再開です。


ベンチャーという言葉もベンチャーキャピタル新興市場も無かった20年前と比べれば、現在は、大企業指向からベンチャー指向、起業指向に世の中が変わった。ある種の起業ブームと言っても良い。
しかし、日本経済が、より強くなるためには、日本もアメリカ並みに起業文化が根付かなければならない。

その為に、国や地方自治体やその他の団体が様々な支援策を行っている。
なぜか、そのほとんど、ビジネス・アイデア・コンテストの類なのである。


私も、このBlogのウリはビジネスアイデアにしているが、アイデアと言っても出来るだけ、経営とオペレーションにフォーカスを当てるようにしている。
実際にベンチャー企業の成功と失敗の分ける条件の内、「初期のビジネスアイデア」に依存する部分は10%もないだろう。

90%は企業後の経営のやり方によって成功か失敗が決まる。

言い切ってしまうならば、初期のビジネスアイデアがどんなアイデアも成功する会社は成功するし、失敗する会社は失敗する。それが証拠に、数あるビジネスアイデアコンテストで優勝したアイデアを持って起業して成功したという話を聞かない。逆に、現在大成功を収めているベンチャー企業の中には、創業時のビジネスアイデアは、どこにでもあるアイデアであるケースが多数見られる。

しかし、起業前のアイデアではなく、起業後の経営、運営に焦点を当てると、普通の経営学の話になりがちだ。それだと、一般の人には難しい。
日本に起業文化を根付かせるためには、一般の若者に起業の努力と喜びと感動をしってもらうことが大切だと私は思っている。

そこで、TV番組の企画として、「起業&恋愛ライブ中継バラエティ」という企画を考えてみた。

「電波少年」以来、台本無しの、ライブ中継型、しかも、極限状態をリアルに撮る番組が増えている。筋書きや台本を用意しないが、異国でのヒッチハイクや無人島など極限状態に人間を放置すると、台本通りに演じるより面白い映像が撮れる。
また、そういう状態に男女混成チームを放置すると、必ず恋愛感情が芽生える。恋愛のみにフォーカスすると「あいのり」のように「恋愛バラエティ」になる。

「あいのり」では1台のバスに、複数の男女が相乗りをし、見知らぬ海外というある種の極限状態をバス旅行する。そこで起こる恋愛模様をカメラがとり続ける。
この「あいのり」という番組企画の「バス」というビークルを「ベンチャー企業」に置き換え、「見知らぬ海外」を「未経験の起業」という状況に置き換えてみたらどうだろうか?

 



1)概要

●週1回1時間番組。深夜帯の放送。

●番組事務局側が提示したビジネスアイデアを元に、オーディションで選抜されたメンバーが起業し、奮闘努力する様をドキュメンタリーで追って行く。

●メンバーは公募・オーディションで選抜。従って、メンバー同士は番組の初回で初顔合わせとなる。様々なタイプ、経歴の持ち主を選ぶ。事業内容にも依るがメンバーは数人で、男女半々の構成。

●番組スタート時に、300万円〜1000万円の資本金を渡す。金額は事業内容によって異なる。ギリギリやっていける位の金額に設定する。

●番組は3ヶ月ワンクールとし、3ヶ月終了時点で軌道にのっている場合は、業績に応じてメンバーに株式の一部が譲渡され、経営を継続することが出来る。そして番組が継続する場合は、新しいビジネスアイデア、新しいメンバーに入れ替わる。

●3ヶ月以内に資金が尽きてしまう場合もあり得る為、その対策は後述する。

●カメラは24時間メンバーを追いかける。メンバーには毎日Blogを書いてもらう。そのビデオを編集し、スタジオでそのVを見ながらコメンテーターがアドバイスを与える形で進行していく。

2)キャスティングイメージ

●司会は笑いをとれるだけではなく、頭が切れるタレント。イメージは島田紳助さんか太田光さんだが、恐らくギャラが合わないので、、、、ん〜誰だろう?
レギュラー・コメンテーターは私、真田哲弥(笑)。
ゲスト・コメンテーターに毎週、若手ベンチャー企業家とベシャリのできる女性アイドル系タレントが登場。ベンチャー企業家として宇野さんや三木谷さんと言った大物からもっと個性のある企業家まで。千昌夫やジャンボ尾崎など倒産を経験した年配タレントや、大橋巨泉などちゃんと企業経営している年配タレントもゲストとしては面白い。

企業は直線ではなく階段式に成長するので、長い停滞期の後に一気に事が進む。
週1ペースで放映をすると、停滞期の映像は、メンバーの苦悩を映すだけで変化が少なくなるだろう。それだけだと番組的にツライ可能性がある。そういう場合はゲストのトークでカバーする。

 

●メンバーの人選が番組の成否を決める。仮に6人だとすると、次のような人選。この後、企画イメージを書く上で、人物イメージを描写してみる。

ニックネーム人物像
アキバ君いわゆるオタク、Aボーイ。服装はダサく、ちょっとおデブ。性格は内向的でコミュニケーション下手だが、芯は強く、粘り強い努力家。読書家で知識が豊富、コンピュータに強い。
チャラ夫君前職、新宿のホスト。髪は茶髪で、背が高く、男前。お調子者でノリが軽い。誰とでも直ぐに仲良くなれる才能を持つ。
生徒会長一流大学の大学生。子供のころは生徒会長を歴任。将来の夢は起業することで、経営の勉強をしている。言うことが理屈っぽく、周囲から浮いたり、空回りすることがある。
お嬢様お嬢様女子大の大学生。カワイイ系の顔立ちで清楚なお嬢様ファッション。父親は創業社長でファザコン。真面目で几帳面。
キャバ嬢将来自分の店を持つことを夢見る六本木のキャバ嬢。派手目の服装とメークの美人。物怖じをせず、誰とでも馴れ馴れしく、おねだり上手な水商売キャラ。
元スッチー元外資系航空会社のCA。帰国子女で英語はペラペラ。学生時代はレースクイーンのアルバイトとミスコン荒らしなどをしていて自己顕示欲が強い。その一方で向上心とプライドが強く、勉強熱心で秘書検定2級を取得したりしている。

野球やサッカーが普及するのと同じで、起業文化が定着するためには、圧倒的に強いヒーローと、「俺にも出来そうな身近な感覚」の相反する二つの要素が両方とも必要。

そういう意味でも、優秀な人を集めて起業するのではなく、異なる個性を持つ普通の人に起業してもらう。TV番組とし面白くする為にも価値観の異なる個性がぶつかり合って一つの目標に向かってみる方が面白い。
そして、番組的には、美男美女が登場してくれないと、視聴者が応援する気がしない。

 



学生から「なぜ、起業したのですか?」と聞かれることがある。
マスコミの方からは「やっぱりお金ですか?」と聞かれることもある。

初めて起業した時のことを思い起こせば、「やってみたかったから起業した」としか言いようがない。
そして、今になって考えてみると
私は、劇的な人生を送りたいから、起業家人生を送っている。

「劇的」という日本語は、面白い。
「劇的な幕切れ」という形容は、最後の土壇場で「予想していなかったどんでん返し」を指すのであろう。「劇的な展開」という形容は、「何度も、予想を裏切る転換が連続する」状態を指すのであろう。
「劇的」という日本語は、漢字を見れば解る通り、「ドラマティック」という英語の日本語訳であろう。
アップダウンが激しい状態をさし、反意語は、単調、平坦、順当などの言葉になるだろう。

友人の企業家のインタビューを読むことが希にあるが、皆、劇的だ。反対に、大手のサラリーマンをすると生活が安定する。アップダウンが少ない。しかしながら劇的ではない。

人間には2種類の人種がある
大多数が、リスクが少なくボラティリティが低い人生を送りたい人。そして、もう一種類の希少種が、リスクが高くボラティリティが高い人生、つまり劇的な人生を送りたい人。

私は、少数派である後者の典型ということだろう。

ところが、自分の人生ではなく、他人の人生を観て楽しむとなると、ほとんどの人間が、後者の劇的な人生を観るのを好む。
普通のサラリーマンの人生を劇にしてみても劇にならない。なにせ劇的ではないのだから。

だから、TV番組の企画も劇的でなければ視聴率がとれない。ノンフィクションを撮る場合ですら「劇的」でなければならないのだから大変だ。ライブでドキュメンタリーを撮る場合も劇的な事が起こるように、劇的な(非日常的な)シチュエーションを設定する。それが、見知らぬ海外でのヒッチハイクだったり、バス旅行だったりする訳だ。

しかし、私の体験では、起業、創業期は、海外旅行など比べものにならないぐらい、劇的な事、そして感動的なことが起こる。夏の甲子園が感動的なのは、高校球児の直向き(ひたむき)さ、故だ。
成功したベンチャーの成功の裏には、高校球児を凌ぐ、直向きで真剣な思いと、血の滲むような努力が必ずある。初めから成功したベンチャーなど1社もない。プレッシャーに押しつぶされそうな思いの後に、会心のホームランが飛び出す。

成功したベンチャー経営者の豪勢な生活振りや豪遊だけを映したがる、馬鹿マスコミが多いが、、企業の創業期は、マスコミにとってもドラマが詰まった美味しい素材であることにマスコミの方々にも気が付いて欲しい。

さて、ようやく本題。というところで、今日はおしまい。
前置きを書き始めたら、止まらなくなってしまった。
 



今まで、企画概要やキャスティングイメージを書いてみたが、さて番組がスタートするとどんな展開になっていくのだろうか。。。
私の体験に基づき、見知らぬ男女6人が起業して、どんな事態が起こるのかシュミレートしてみたい。

1)創業

●メンバーの初*顔合わせ
TV>人は同じカテゴリーの人間に安心感を感じ、異なるカテゴリーの人間に反発を感じる生き物だから、当然メンバー相互に反発を感じる。でも、悲しいかな、男は綺麗な女性には異なるカテゴリーでも好意をよせる傾向があるから、男性メンバーは女性に対して悪くない感情を持っているのに対し、女性メンバーは。アキバ君など一部の男性メンバーを侮蔑している。というのが物語りの始まりとして相応しい。

解説>これから新しく設立される会社を、直ぐに破局に向かわせない為には、社長だけは予め決めておくのが安全だ。サークルでは事業は出来ない。やはりピラミッドの形をしていなければならない。学生時代の友達で起業して破綻するケースで一番多いのは、社長を決めても意志決定構造がサークルのままであるパターンだ。

●会社設立
TV>社名、役員などを決め、登記手続きをする。社名にはコダワリが出るので簡単には決まらないかもしれない。メンバー6人の内、例えば3人を役員登記するとなると、その役員選びは後々シコリを残すことになるかもしれない。

解説>登記手続きは行政書士任せではなく、登記所にメンバー揃っていくと、TVとしていい絵が撮れるかもしれない。初顔合わせから、「上手くやっていけるか?」と不安が先行していたメンバーも、身が引き締まる思いで「頑張るぞ!」という気持ちになるはずだ。

●オフィスと什器備品選び。
TV>オフィス選びや机選びメンバーが皆前向きに士気が高揚とする瞬間だ。しかし、ここから意見対立は始まる。「こんな机はダサイ!」「どうせ借りるなら、良い所を!」という意見と「最初は出来るだけ金を掛けずに」という意見がぶつかる。

解説>それでも、真新しいオフィスに入居して、机の配置をしたり、、、、束の間の全員が一致団結できる尊い時間だ。


2)始動

●事業開始だ。
TV>まずは、仕事を取らないと何も始まらない。営業から全てが始まる。
全員、営業に出る。
アキバ君、チャラ夫君、生徒会長、キャバ嬢、お嬢様、スッチー、全員が意気揚々と営業に出て行く。そして、夕方。全員が戻ってくる。

誰も、売れなかった。

次の日も、全員、営業に出ていく。夕方、全員が戻ってくる。

誰も、売れなかった。

次の日も、全員、営業に出ていく。夕方、全員が戻ってくる。

誰も、売れなかった。

次の日も、全員、営業に出ていく。夕方、全員が戻ってくる。

誰も、売れなかった。

反省会では、大激論。
チャラ夫君、キャバ嬢、投げやりなセリフ。
「そもそも、この商品がダメなんだよ!」
「そもそも、このビジネスが無理なんだよ!」

お嬢様、泣き出す。。。
お嬢様の涙で空気が変わる。

アキバ君、意外に冷静。
「売り先を変えてみよう」

それにつられて
「セールストークを、変えてみよう」
など、前向きな意見もちらほら。

解説>事業を開始してしばらくの間は、なぜか全く売れないものだ。私も経験があるが、売れない期間がしばらく続くと不安で不安でしょうがなくなる。スタート前は自信満々だったのが、「このビジネスは、そもそも無理なんじゃないか?」などと思い始めてしまう。こういう時は自分を信じるしかない。自分で発案したビジネスなら信じることができるが、このTV企画では、番組スタッフから渡されたビジネスプランなので、そこを乗り切ることができないかもしれない。

 

息抜き用に書いた企画の割に、連載が長続きしてますね〜。
こういう文章を書くのも楽しい! ですね。


sana3991 at 13:51│起業と経営のコラム 
Profile
プロフィール用写真


KLab(株) 代表取締役社長

19歳で株式会社リョーマを起業して以来、数々のベンチャーを起業。地獄と天国を経験し、それでもベンチャー起業と経営にこだわり続けます。


趣味:音楽(オールジャンル)、酒(飲み過ぎ)、ゴルフ(下手くそ)、サーフィン(過去形)、旅行、
出没地:六本木、西麻布、麻布十番、豊洲、沖縄

真田が登場する本

Director'sMagazine
巻頭特集では未公開の幼少期や学生時代の半生記が描かれています。


TechnoTokyo

IT系のベンチャーの受付や応接室でよく見かけるTECHNO TOKYOカレンダーの書籍版。巻頭のカラー特集では、GMOの熊さん、インデックスの小川さんなどと共に、KLab(株)、真田も掲載されています。


モテカフェMesseage
Tokyo FMの人気番組「モテカフェ」が本になりました。ゲストとして登場した13人のベンチャー社長が"モテる"秘訣を語っています。
六本木ヒルズ
真田哲弥が、三木谷浩史、藤田晋(敬称略)などとともに、10人の21世紀勝ち組企業家の1人として紹介されています。
勝ち組と言われても、今は、再び挑戦者なんですけど。。。

本表紙_あのバカ
真田哲弥の学生起業家時代からサイバードの公開直前までが描かれています。
記事検索


アクセスランキング