2006年05月04日 ベンチャー起業の鉄則
創業時の事業計画書
1、事業計画書は何の為に?
起業しようと考えたら、まずやらなければならないのが事業計画書作りだ。これがなければ資金提供者を集めることもできない。特に、収支計画(PL)、資金計画(CF)は事業を始める第一歩だ。
しかし、この第一歩からして勘違いしている人が多い。
事業計画書は、人に見せるために作るものではない。
起業する人の中には、事業計画書とは人(出資者や協力者など)に見せる為に作る人が居る。人に見せる為に、少しでも数字を良くしようとし、実態からかけ離れた数字をつくる。数字を見せる相手が、もしプロならば、そんな数字は直ぐに見破る。
事業計画書はそれそのものよりも、作る過程と、作った後にそれを実行する行程にこそ、価値がある。極論を言うと、「事業計画書」なる紙切れそのものには価値が無い。
事業計画書を作る過程に於ける価値を得る為には、事業計画書は社長が自分自身で作らなければならない。仮に創業メンバーの1人に財務担当がいたとしても、社長が自分で作らなければならない。仮に3〜4人ぐらいの少人数で起業し、全員が役員ならば、社長が中心になり、全員で相談しながら作った方が良い。
創業時のPLとCFは、最終版を作るまでに2〜30種類は作ってみるべきだ。ありとあらゆるシミュレーションをパソコン上で事前にやってみることに価値がある。初めて事業をするならEXCELと丸3日、できれば1週間ぐらいは取っ組み合いをやって欲しい。
私のところへ、出資して欲しいと来た人にPL、CFの計画を見ながら質問をしてみると、計画外の事に何も答えられない人が多い。
「もし、システムの開発が3ヶ月遅れて、売上が計画より10%下回ったら、資金はいつ尽きますか?」
「原価率が計画では30%ですが、それが40%になって、社員数が後1人増えたらどうなりますか?」
「解約率が10%上回って、客単価が10%下がれば単月黒転はいつですか?」
創業時の事業計画が計画通りに行ったことなど見たことが無い。だから、計画をどれだけ下回れば、キャッシュがバーンナウトするのかなど、限界値を把握しておく必要がる。いろんな変数の数値を入れ替えてみて、どのような結果になるのかを試して見ておくと、数字の感覚が体に染み込んでくる。
コレこそが事業計画書を作る一つ目の価値、意義だ。
2、枝葉末節を気にするな
これから起業しようとする人のほとんどは、収支計画を決算書の勘定科目に合わせて作ろうとする。これが、そもそも間違いだ。
月々、交通費がいくら、新聞図書費がいくら、水道光熱費がいくら、、、
そんな枝葉末節はどうでもいい。そんな計画を立てても意味が無い。
それより、それぞれの経費の性格を理解し、それに合わせた分類で計画を立てるべきだ。
交通費、新聞図書費、水道光熱費などは、社員数に連動して増減する人連動型固定費だ。人連動固定費のグロスの額が合っていれば、その明細はどうでも良い。PL計画上は、人連動固定費として1科目で計上すればよい。
そして、業種と規模によって社員1人当たりの人連動固定費の額はだいたい決まっている。だから、社員数の計画を作れば、人連動固定費の数字も決まる。
店舗型ビジネスであれば、店舗数連動型固定費というのもある。
販管費からそれらの固定費を除けば、広告宣伝費や接待交際費など、恣意的に操作可能な科目が残る。その科目だけ、計画を立てればよい。
3、数字あそび
創業時の事業計画書で一番難しいのは、売上予測だ。
2年目以降は、過去実績を元に、前年度対比などの指標を用いて計画を立てることができるが、創業時の計画は、計画というより、未来の予想・空想・妄想でしかない。未来を正確に予測することなど、神の業であり、人間に出来る訳がない。
だから、「当てずっぽ」でしょうがない。私は、過去に数え切れない事業計画書を書き、そして実行してきたが、売上計画が当たったことなど一度も無い。(笑)
それでも、精度を上げる努力は必要だ。
売上予測の根拠として、マクロデータを引用したがる人々がいる。コンサルティング会社に事業計画を依頼すると、たいていマクロデータをふんだんに盛り込んだドキュメントが出てくる。人に見せるためにに事業計画書を作る人も、権威を借りてくるためにマクロデータを引用する。
マクロデータとは、例えば、「eコマースの市場規模」などの類だ。マクロデータから売上予測の数字を作っていくとは、市場全体に対して、シェアを何%とるか設定し、売上導き出していく訳だ。
あるいは、3ヶ年の事業計画を作る時は、自社の成長率の設定を市場成長率の何掛けというように設定する。
確かに、市場規模などのマクロデータを引用すると、一件それらしい事業計画書が出来上がる。大企業が市場シェアを本気で取りに行くような新規事業ならマクロデータかjらの類推には意味があるかも知れない。しかし、ベンチャー起業にとっては意味があるのだろうか?
話を極端に振ってみれば良く分かる。
あなたがラーメン屋を始める場合、そのお店の売り上げ計画を日本全体のラーメン屋市場から類推しますか?
市場のトレンドは知っておいた方が良い。しかし、市場規模が大きいからといって、新しく作る会社の売上が大きくなるとは限らない。ラーメン屋の市場規模の成長率と自分の店の売り上げ成長率の間には何の関連性もないことはラーメン屋のオヤジでなくても知っている。
コンサルなどのアタマの良い人々は、ラーメン屋のオヤジなら決してやらない無意味な数字遊びで計画をたててしまう。
4、精度をあげる
事業計画書の売上予測を作るに当たって市場規模予測などのマクロデータが役に立たないとすれば、どのようにしてその精度を高めれば良いのであろうか?
同業の会社が有るならば、1番に同業他社の調査です。当たり前ですね。業界全体のマクロデータより、よく似たビジネスを微に入り細に入り徹底的に調査することが、売上予測を立てる上で一番効果があります。売上だけではなく、客単価や売れ筋、時間帯別など徹底的に調べることです。
同業他社をどうやって調査するのか?正面から質問しても教えてくれない。
そりゃそうだ。だったら、あの手この手とあらゆる手段を講じればよい。もし、その事業にうん千万円の初期投資をしようとしているなら、調査費用に100万円ぐらい予算を組むことは何の問題もないはず。定番で言えば、帝国データバンクのような調査会社に依頼する。
意外な方法としては、調査会社ではなく、興信所に依頼する。ガードを低くする方法として、学生に依頼して、卒論の調査や研究と称して調査して貰うという方法もある。
同業が存在しない、全く新しいビジネスの場合はどうすれば良いだろうか?
これも、やはり関連ビジネスの関係者にヒアリングをするのが最も精度が高まる。
類似するビジネスがまるで無いような、革新的な商品やサービスの売上予測を立てる場合は、統計的な処理や定量データよりも、感覚を大切にして事業計画を立てた方が良い。
一般ユーザーへのアンケートなど一般人の統計を無視した方が良い。それより、ごく一握りのキーマンと呼ばれるような識者の意見や感覚をヒアリングした方がよい。世の中の8割の人はフォロワーで、フォロワーの意見は全く聞く必要が無い。なぜなら、フォロワーはイノベーターの態度をフォローするだけで、自分の意見は持っていないのだから。
事業計画書を作る過程に於ける価値を得る為には、事業計画書は社長が自分自身で作らなければならない。仮に創業メンバーの1人に財務担当がいたとしても、社長が自分で作らなければならない。仮に3〜4人ぐらいの少人数で起業し、全員が役員ならば、社長が中心になり、全員で相談しながら作った方が良い。
創業時のPLとCFは、最終版を作るまでに2〜30種類は作ってみるべきだ。ありとあらゆるシミュレーションをパソコン上で事前にやってみることに価値がある。初めて事業をするならEXCELと丸3日、できれば1週間ぐらいは取っ組み合いをやって欲しい。
私のところへ、出資して欲しいと来た人にPL、CFの計画を見ながら質問をしてみると、計画外の事に何も答えられない人が多い。
「もし、システムの開発が3ヶ月遅れて、売上が計画より10%下回ったら、資金はいつ尽きますか?」
「原価率が計画では30%ですが、それが40%になって、社員数が後1人増えたらどうなりますか?」
「解約率が10%上回って、客単価が10%下がれば単月黒転はいつですか?」
創業時の事業計画が計画通りに行ったことなど見たことが無い。だから、計画をどれだけ下回れば、キャッシュがバーンナウトするのかなど、限界値を把握しておく必要がる。いろんな変数の数値を入れ替えてみて、どのような結果になるのかを試して見ておくと、数字の感覚が体に染み込んでくる。
コレこそが事業計画書を作る一つ目の価値、意義だ。
本日は、ここまで。
書きかけの他の連載と織り交ぜながら、この連載も進んで行きます。






