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2006年08月14日 モバイル&インターネット

携帯コンテンツ業界の2007年問題

携帯電話のナンバーポータビリティの実施日が10月24日に決まった。
携帯電話会社(通信キャリア)間の顧客の囲い込みと奪い合いが熾烈になり、結果、高止まりしている携帯電話の通信費が下がっていく。ユーザーにとって歓迎すべきことであると同時に、携帯電話会社の収益は低下していく。
ナンバーポータビリティは一般にこの様に理解されている。

ナンバーポータビリティによって、大きな影響を受ける業界がもう一つある。
それは、携帯公式コンテンツ・プロバイダーの業界だ。通信キャリアより体力が無い会社が多いため、コンテンツ・プロバイダー業界の方がダメージが大きい。

今年黒字の会社も、来年に赤字転落する会社が現れるだろう。

これこそが「携帯コンテンツ業界の2007年問題」だ。

1年前のMobidecというカンファレンスで携帯の公式コンテンツ事業が緩やかに崩壊に向かうという講演を行い、その一部を年初にブログに書いた。その記事に、問題が大きすぎて書かなかった事がある。
そう、「携帯コンテンツ業界の2007年問題」だ。

海外の携帯コンテンツが儲からない理由

日本で成功した携帯コンテンツプロバイダは、海外への直接進出や海外の同種の企業の買収を行った。
ところが、その後、海外で大成功した。とか、海外で高収益をあげた。
と、いう話はとんと聞こえてこない。

一つには、日本と海外では、同じ携帯コンテンツと言っても、技術、ノウハウ、コンテンツのライツなどで流用出来る部分が余り無く、マーケット構造や趣味趣向性・文化の差が大きい。したがって日本の成功体験は通用せず、現地に於いては、単なる新参者の1社でしかない。という事情も確かにある。

しかし、それ以上に、ビジネスモデルの違いがある。日本と海外では、同じ携帯電話コンテンツと言っても、ビジネスモデルが異なるのだ。
どちらも、通信キャリアによる有料課金と同じビジネスモデルのように見える。
ところが
日本は月額課金
海外は都度課金(ダウンロード課金)

これが、明暗をわけた。

着メロ、ゲームなどのダウンロード型が一番わかり易い。
日本では300円で●曲ダウンロード可能
海外では、1曲ダウンロード毎に●円(円じゃないけど)

日本でも、若い人、ヘビーユーザーは、ダウンロード権利を使い切って、忘れない内に、即解約する。ところがダウンロード権利を使い切らない人の方が遙かに多い。そして、解約し忘れて、使っていないにも関わらず、お金を払い続ける人も多い。サイトによって大きく異なるが、着メロの場合、ダウンロード権利の消化率は20%〜60%程度だ。残りの未消化分は原価0のまんま利益となる。これが日本の携帯コンテンツ・プロバイダの利益率の源泉の一つである。

日本では、一時期、着メロ会社がとんでもない利益率をはじき出していたことがあるが、海外では着メロでも大して儲かっている会社は無かった。「海外では普及率がまだ、、、、」というような解説をしている人が大勢いて、私は内心、笑っていた。日本と海外では、そもそも、携帯コンテンツの収益構造・ビジネスモデルが異なるのだ。

余談だが、その後、私は海外の通信キャリアの方々に何度も月額固定制の導入を提案したが、誰も理解しなかった。日本の携帯コンテンツプロバイダの繁栄は、ドコモ夏野氏の慧眼によって成立した、と言っても過言ではない。

携帯コンテンツ業界の2007年問題

さて、ナンバーポータビリティに伴う「2007年問題」に話を戻そう。 



前述したとおり、日本の携帯公式コンテンツは、月額課金というビジネスモデルの上に成り立っている。
この月額課金のシステムに於いては、ユーザーは使ってようが、使っていまいが、解約手続きをしない限り、永久に課金され続けてきた

課金されているが、1ヶ月間の内に一度も使っていないユーザーのことを休眠ユーザーと呼ぶ。

全ユーザーの内、休眠ユーザーが占める比率、すなわち休眠率は、もちろんサイトによって異なる。
休眠率が高いサイトでは、なんと50%を超えている。
一方で、低いサイトは5%を切っている。

ECサイトや勝手サイトで一度会員登録すると、その後、嫌って言うほどメールが届く。ユーザーからすればウザいが、サイト運営者はなんとかリテンションしようと経営努力している訳だ。
ところが、有料課金公式サイトからこのようなメールマガジンが届いたことがある人は誰も居ないはずだ。
有料公式サイトでは、「寝た子を起こすな」が鉄則だからだ。

もうすぐ、寝た子を起こす黒船がやって来る。
携帯電話会社を乗り換える、つまり今契約している携帯電話会社を解約すると、全てのオプション契約、登録している公式サイトも自動的に解約となる。
ナンバーポータビリティは、この携帯電話会社の乗り換えを活性化するため、
結果として公式サイトの休眠ユーザーの解約を促進する。

ナンバーポータビリティによって全ユーザーの10%が携帯電話会社をチェンジしたとすると、休眠ユーザーが50%のサイトでは、5%の休眠ユーザーが解約することになる。これはそのまま、売上を5%引き下げることになる。この売上は原価がかかっていない売上なので、利益はもっと下がる可能性がある。

では、どのようなサイトが休眠率が高いのだろうか?
●古くからあるサイト
●新規ユーザーの獲得が出来ていないサイト(純減傾向のサイト)
●DL系より情報系のサイト

このようなサイトが一般的に休眠率が高い。したがってナンバーポータビリティによって深刻な打撃を受ける。このようなサイトを多数運営しているコンテンツ会社は、2007年は間違いなく減益になる。冒頭に書いた通り、赤字に転落する会社も現れるだろう。

KLabは、コンテンツプロバイダイーと売上をシェアする形で、携帯コンテンツの企画開発運用を行っている。

しかし、KLabでは2年前からコンテンツ・ポートフォリオの入れ替えを行ってきた。縮小傾向のコンテンツカテゴリーのサイトと小規模サイトを解約し、着うたなどの拡大傾向の大規模サイトに集中するという「選択と集中」戦略を実施してきた。一時的な流血を伴ったものの、ポートフォリオの入れ替えは完了している。2007年問題の影響もほとんど受けない。


Profile
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KLab(株) 代表取締役社長

19歳で株式会社リョーマを起業して以来、数々のベンチャーを起業。地獄と天国を経験し、それでもベンチャー起業と経営にこだわり続けます。


趣味:音楽(オールジャンル)、酒(飲み過ぎ)、ゴルフ(下手くそ)、サーフィン(過去形)、旅行、
出没地:六本木、西麻布、麻布十番、豊洲、沖縄

真田が登場する本

Director'sMagazine
巻頭特集では未公開の幼少期や学生時代の半生記が描かれています。


TechnoTokyo

IT系のベンチャーの受付や応接室でよく見かけるTECHNO TOKYOカレンダーの書籍版。巻頭のカラー特集では、GMOの熊さん、インデックスの小川さんなどと共に、KLab(株)、真田も掲載されています。


モテカフェMesseage
Tokyo FMの人気番組「モテカフェ」が本になりました。ゲストとして登場した13人のベンチャー社長が"モテる"秘訣を語っています。
六本木ヒルズ
真田哲弥が、三木谷浩史、藤田晋(敬称略)などとともに、10人の21世紀勝ち組企業家の1人として紹介されています。
勝ち組と言われても、今は、再び挑戦者なんですけど。。。

本表紙_あのバカ
真田哲弥の学生起業家時代からサイバードの公開直前までが描かれています。
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